青と藍と蒼と碧   作:藍澤 碧

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9 蒼火竜の攻撃

あおは、急降下し足の鋭い爪で蹴り上げ、眠鳥の頭に毒を仕込んで空中で翻った。

その瞬間にあおの背から藍瑪蔬(あいめそ)が、眠鳥の首めがけて飛び降りながら、くるりと舞うように回転し小太刀二本で深く斬りつけた。

鈴菜(すずな)につけられた傷の上から二太刀浴びた眠鳥は、血を吹き出しながら前のめりに大きく転ぶ。

そこへ、上空から再び急降下してきたあおが強脚で踏みつける。

投げ出された格好となった眠鳥の脚を、小太刀二本が斬り刻む。

血しぶきが上がるが、頭上で振り回された眠鳥の尾が兜に当たり、藍瑪蔬(あいめそ)はふらついた。

左後方に退き、一度眠鳥から離れた。

体勢を立て直し左右の手に握った二本の小太刀を構え直す。

足踏みするように踏みつけるあおの足元でばたばたと暴れる眠鳥。

その右翼に斬りつけ、二本の小太刀が乱舞した。

血が飛び散る眠鳥を踏みつけ続けていたあおは、再び毒爪を深く刺し、一旦舞い上がった。

毒が回り、脚も右翼もひどく傷ついた眠鳥は、それでもふらつきながら立ちあがる。

しかし、すぐさま右翼下から腹に二本の小太刀が斬りかかり、橙色の羽はみるみる血色に染まっていった。

あおが降りてくるのを確認した藍瑪蔬(あいめそ)が右に転がり眠鳥の頭の先に抜けて離れた。

その瞬間、あおが火球を吐き、眠鳥の背中に三連続で浴びせかけた。

羽毛が燃えて転げまわっていた眠鳥は、火を消した頃にあおに再び体を強く踏みつけられ、喉を小太刀二本に斬り刻まれて息絶えた。

 

空を飛ぶ竜の背に乗って飛行できる者はほとんど居ない為、まさか空から同時攻撃されようとは思っていなかったのか、油断していた眠鳥軍勢。

慌てた眠鳥軍は鈴菜を盾にしようとして、更に焦る事態になっていた。

 

捕らえていた鈴菜の見張りなどの周りの兵はことごとく、オトモたちに倒されており、鈴菜は縄を解かれているところだったのだ。

 

後方からオトモ軍勢と鈴菜、前方からはあおと藍瑪蔬(あいめそ)に攻められた眠鳥軍は壊滅していった。

最後はあおの火球が炸裂し、残されていた陣までも跡形もなくなった。

 

 

 

「鈴菜殿!! お怪我はござらぬか!?」

藍瑪蔬(あいめそ)が返り血を拭って、鈴菜に駆け寄った。

「眠鳥の尾に殴られたくらいで、何ともない。ご心配には及ばぬ」

鈴菜は、笑って答えた。

 

朱納(しゅな)姫さまが心配しておられる故、すぐ戻られよ!」

「かたじけない」

鈴菜は、配下のオトモたちと根子之輔(ねこのふ)弥湖之輔(みこのふ)を連れて戻りかけて振り返った。

 

「さすがは藍瑪蔬(あいめそ)殿とあお殿! 素晴らしい連携でござった!絆は盤石ですな!」

「またぁ!何を申されるか。私など、鈴菜殿の足下にも及びませぬよ」

そう言う藍瑪蔬(あいめそ)に笑いながら応じる鈴菜の笑顔は少女の様である。

「そう謙遜されなくとも、十分な力をお持ちではないか」

「まあ、このあおは充分過ぎる程、力強い味方ではござりますが・・・」

そう言って藍瑪蔬(あいめそ)はあおの鼻先を撫でた。

「仲良きことは美しきかな。 では、お先にご免仕る」

鈴菜は言い残して、今度こそオトモ軍勢を連れて合戦場を後にした。

 

 

 

 

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