武士だけどお姫様   作:小鴉丸

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莉緒の家での会話はこれと次の話まであります。

今回はちょっと前の九郎の言葉からの展開です。グダグダですけどちゃっと今回は長いです。


第六話 遊びでやってはいけない

〜莉緒side~

 

 

「「「おじゃましまーす!!!」」」

 

「お邪魔するわね、莉緒」

 

「し、失礼するっす!」

 

「わぁ。多人数だ……」

 

「(……くそ、どうしてこんな事に)」

 

明らかにこの部屋には多い人数が入ってきた。

俺はベットに横になりながらどうしてこうなったのかを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは昨日の夜、俺が家の手伝いが終わってからの出来事だった。

 

「──ふむ、話は分かった。けどな……どうして俺の許可を取らずに家に呼ぶんだよ!?」

 

『どうせ家で駄べるのなら別にいいでしょ……。人が一人や二人、増えても変わ──』

 

「るよ! 一人二人じゃなくて五人だよ!?」

 

旅館の手伝いが終わり部屋に行くと紙が置いてあり、そこには『電話よろしく』と短く書いてあった。来るのが遅かったから先に帰ったのだろう。

 

紙を見てすぐに九郎に電話をしたら今日、俺が手伝いをしてる間にあった事を話してくれた。内容はパスパレメンバーが明日の昼に俺の家に来るという事で勝手に九郎が返事をしたのだ。

 

『ん、それならどこか行く? 外』

 

「外って……行く場所ねぇよ」

 

『そうだね……。僕が行きたくない』

 

なら提案すんな、心からそう思った。

 

『……あ。ごめん莉緒、ギルドで会議始まるから……』

 

会議とはゲーム内でのチャットの事だ。九郎はそのゲームでのギルマスをしているらしく、割とゲーム内では有名なギルドらしい。

 

聞きたい事はあるが邪魔するのは嫌だし……。

 

俺はここで電話を切る事にした。

 

「はぁ……。ま、いいや。明日の昼な覚えとく」

 

『うん、よろしく』

 

電話を切りベットに横になる。

 

明日か、面倒な事にならなければいいが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ〜! 本物の莉緒くんと九郎くんだ! あっ、握手お願いします!」

 

「見てみて莉緒、有名人(アイドル)と握手してるよ」

 

「彩ちゃんいつもに増してるんっ、ってしてるね〜」

 

それにしても賑やかだ。野郎二人の時とは大違いに賑やかだ。

 

「疲れてるわね莉緒」

 

ベットが沈んだかと思うと千聖が腰を掛けていた。

 

「見ての通り疲れてるよ」

 

「ふふっ、でもイヴちゃんと会えたから良かったじゃない」

 

……こいつまで。

 

やり返すついでに俺はちょっと千聖をからかってみる事にした。それは俺が言われたように、似た言葉を返す事。

 

「ああ嬉しいよ。お前も九郎が居てくれて良かったな」

 

「……わ、私は別にそんなんじゃないわよ!」

 

前から分かりやすいなぁこいつ。どうして九郎を好いてるのかは知らんが。

 

「ねーねー」

 

「ん?」

 

聞きなれない声に首を動かして声の主を見る。声の主は氷川日菜という女の子だ。

 

「君が莉緒くんでしょ?」

 

ああ、と短く答えると目を輝かせて興味深そうに質問をしてきた。

 

「バンドでは何をしてたの?」

 

「ギターだ」

 

「ギターなんだ! 私と一緒だね!」

 

そうだったな〜、と思い出した。話はイヴから聞いてるから少しは向こうメンバーの情報は持っている。

 

聞くところによると、日菜は天才らしい。何をやっても完璧にこなす。俺の周りにはそういう奴が居ないからイメージはつかないが……。

 

「ふんふ〜ん♪」

 

割と不思議ちゃん、なのか?

 

そんな事を考えてると九郎が俺の服を引っ張ってきた。

 

「何だ?」

 

「ねぇねぇ莉緒。あの時のやつ……やってよ、本人も居るんだし」

 

「──は?」

 

あの時のやつ? 何だ、何を指しているんだ?

 

九郎との会話を遡るが思い出せない。そもそもあの時ってのがどの時かが分からないし。

 

「……忘れたの? ほら、あれだよ好きってやつ」

 

「え。今? 他に人が居る状態でやんの?」

 

思い出した。俺がイヴに好きと言うって話だ。一体一じゃなくて周りに人が居る状態でやるなんて聞いてないぞ、公開処刑かよ。

 

「イヴ〜、莉緒が言いたい事があるって〜」

 

「どうかしましたか?」

 

これで後ろには引けないか……。覚悟を決めよう、こいつに意気地無しと思われるのは死んでも嫌だし。

 

そう思いながらイヴの目の前に立つ、それに何も知らないイヴは戸惑う。周りのパスパレメンバーは何をするのかと俺達二人をじっと見ている。。

 

「? リオさん?」

 

小さく深呼吸をしてからイヴを真正面から見つめて、俺は口を開く。

 

「初めて見た時から綺麗だと、可愛いと思った。イヴ──お前の事が好きだ」

 

「──……?」

 

何を言われたか分からないという表情。だが徐々に言葉の意味を理解していったのか白く綺麗な顔が赤く染まっていく。

 

「えぇぇええっ!? り、りりりリオさん!? なっ、何を言ってるのか分かってるんですか!?」

 

パシッとイヴの片手を掴む。

 

「ああ、分かってる。俺はお前が好きだと言った」

 

「あぅ、あぅぅうう……」

 

オロオロとし始めたのでここら辺で止めることにする。前の約束をやりきった俺は九郎に言葉を発する。

 

「はっ、どうだ九郎。余裕だぜ」

 

そう言うと九郎は微笑して俺と入れ替わるように立ち上がった。

 

「ダメだよ莉緒、シチュエーションが足りないね。僕が手本を見せてあげるよ」

 

九郎は部屋にいるメンバーを見渡す。変な雰囲気が漂う中、九郎は千聖の前に立った。

 

「? どうしたの?」

 

「ちょっと立ってくれないか、千聖」

 

それでこっちに……、と壁が千聖の後ろにくるように場所を移動させる。

 

「それじゃあ見てなよ莉緒。“俺”が手本を見せるからさ」

 

と、そこで気付いた。九郎の雰囲気が変わっている事に。

 

九郎は自分の楽しさが頂点まで達すると一人称が“僕”から“俺”に変わって話し方、性格が変わるという厄介な特性を持っている。因みにエタハピでライブをする時はずっと俺モード(総士命名)だった。

 

「え……く、九郎くん?」

 

ようやく九郎の雰囲気の違いに気付いたのか珍しく千聖が動揺する。が、そんな千聖を今の九郎が気にするわけもなく……。

 

ドンッ!

 

「「「「「「──っ!?!?」」」」」」

 

九郎の行動にその場に居た全員が驚いた。九郎がしたのは所謂壁ドンなるものだ。

 

俺らの様子に気付いていない九郎は千聖を近距離で見つめて言い始める。

 

「千聖」

 

「──なっ、何かしら……っ」

 

あんな千聖を見るのは初めてかもしれない。離れていても分かるほど顔を赤くしている。

 

「好きだ」

 

 

 

 

~千聖side〜

 

 

「────え?」

 

私は自分の耳を疑った。

だって今聞こえた言葉というのは、いえドラマなどの撮影ではよく聞いている言葉だけど……。

 

「聞こえなかったのか? 俺は千聖、君の事が好きだ」

 

こんな、みんなが居る前で? それも壁ドンをされながらなんて……。

 

彩ちゃん達には話さないけど、私だって一応女の子。それも女子高生だからこういうシチュエーションには憧れているのであり……、実際にされると心臓が破裂しそうなくらい動いているのが分かる。

 

これが莉緒だったらこんなにはならないだろう。でも、こんな──。

 

「(く、九郎くんがしてくるなんて……予想外だわ)」

 

私は今どんな顔をしているのだろうか? チラ、と九郎くんの腕の隙間から見えるみんなの表情を意味も無く確認してみる。

 

イヴちゃんはさっきの莉緒のアレでダウンしていて日菜ちゃんに膝枕されている。彩ちゃん、麻弥ちゃんは顔を赤くして私達を見ていた。

 

「目を逸らさないで。俺は千聖が好きだ、千聖はどう思ってるんだ?」

 

ただでさえ近いのに、更に顔を近付けられる。

 

「(え、演技? それとも本当に?)」

 

戸惑いながらも私は決断をする。どちらにせよこの状態をどうにかしないと私が耐えきれない。

 

「す──す、き……。私も、好きよ……九郎くんの事」

 

言い切った後に体中が熱くなる。私は両手を胸の前で握り、九郎くんの返事を目をつぶって待つ。

 

「…………」

 

「〜〜っ」

 

その無言だった空間を破ったのは、意外にも莉緒だった。

 

「別にお前はやらなくていいだろ」

 

「でも俺──ああ、疲れた。僕は楽しかったよ? いつもと違う千聖も見れたしね」

 

「間に受けたらどうすんだよ」

 

「千聖が間に受けるはずないじゃん……、莉緒はバカだな~。あれは演技だって……」

 

二人が謎の会話を始める。

 

「え、演技?」

 

キョトンとして言う私に二人共不思議そうに、それもさも当然かのように言い返す。

 

「演技だろ? 天才子役」

 

「あれ……演技じゃなかった?」

 

さっきの私の反応が演技と思っている?

 

「え、演技よ。それで……どうして九郎くんはあんな事をしたの?」

 

二人がそう思い込んでるから取り敢えず話に乗る事にする。そもそも九郎くんが、どうしてあんな事をしたのかが知る必要もあるから探りを入れる。

 

「どうして……。それは莉緒のお手本になるためにだよ」

 

「莉緒の?」

 

ますます分からなくなる。どうしてあの行動が莉緒のために繋がるのか、莉緒がそういうのを知りたがってるのというのも不思議だ。

 

そんな時、莉緒が説明をしてくれる。

 

「あぁいや。前にこいつからイヴに好きって言えば面白い反応が見れる、って言われてな? 俺は乗り気じゃなかったけどこいつが煽ってくるから、しょうがなく乗る事にしたんだ。……で、それが最初のアレ」

 

それを聞いたイヴちゃんが、ゆっくりと何かを持って立つのが見えた。

 

「それでこいつは、シチュエーションがどうのこうのって言って千聖を相手に練習的なのをしたわけ」

 

「そ、それじゃあ私に言った好きは……」

 

「ん?」と首をかしげて九郎くんは答える。

 

「冗談だよ。千聖も、僕なんかに告白されても嬉しくないでしょ……?」

 

ゴロンと床に転がる。

 

嘘? あんなに恥ずかしくて、私は頑張って返事したのに……嘘ですって?

 

「莉緒さん……」

 

「? どうしたイ──」

 

「バカぁぁあああ!!!」

 

莉緒が振り向いた瞬間に枕を顔に投げつけた。全力で投げてたので衝撃とイヴちゃんの突然の行動に驚いて倒れる。

 

「なっ、何すんだよ!?」

 

「それはこっちのセリフです! リオさんが……リオさんが乙女心を弄ぶから──!」

 

ぼふっ、ぼふっと莉緒に跨り枕を叩きつける。

 

そんな莉緒を見て、九郎くんは笑っていた。

 

「ははっ、面白い事になったね~」

 

呑気に莉緒とイヴちゃんのやり取りを見てるところ悪いが、私もお返しをしないと気が済まない。という事で、手元にある座布団を手に取って九郎くんの近くに立った。

 

「……千聖?」

 

「私もね九郎くん、さっきのはいけないと思うの。だから、これくらい許してね?」

 

と、私も腕を振り下ろして顔めがけて座布団を落とす。

 

「…………むぐっ」

 

そして二回目をしようとした時だった。

 

「……あ、千聖」

 

「何かしら? 謝るのなら意味無いわよ?」

 

「いや、そうじゃなくて……。僕のこの位置だと下着が見えるけど……」

 

「~~〜~っ!!!!」

 

昔から思った事は偽りなく口にするのが良いところでもあり、悪いところでもある。でも今回のはどうにかならなかったのか。

 

私の怒りは頂点まで達していて。

 

「バカ──」

 

「ち、千聖ちゃん……?」

 

彩ちゃんが心配そうに声を掛けてくれるが、それを無視して怒りの矛先である九郎くんに座布団を投げつける。

 

「バカ! 九郎くんのバカッ!」

 

「凄い……、千聖にバカなんて言われると何かに目覚めそうだ……」

 

どうしてこんなにも余裕なのだろうか!

 

そんな九郎くんにますます腹が立つ。日菜ちゃんや麻弥ちゃんは普段は絶対にしない私の行動に驚いている。

 

「反省しなさいッ! いくら私でも怒るんだから!!」

 

私とイヴちゃんは同時に同じ事を言った。

 

「「遊びで“好き”なんて言わないで(ください)!!」」

 




今回も読んでくださりありがとうございました!
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