きゃすたー(7mg)の雑多なネタ倉庫   作:きゃすたー(7mg)

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つまりはそういうこと。オリ主がグランブルーファンタジーの世界でエルステ帝国軍側に立ってストーリーに絡む話。


グラブルを帝国軍側から眺めてみる

 エルステ帝国外征艦隊旗艦プリンツ・ユージンの上部甲板から眺める景観はどこまでも空が続いている。

 風が駆け抜けていく。果てなく続く蒼穹は赤みが差し始め、間も無く世界は漆黒の天蓋に閉ざされるだろう。どこまでも続く雲海の果てに沈む太陽の世界と、静かに顔を出して夜を照らす月の世界が交わる。

 人は其れを黄昏時と呼んだ。ある者は生命の生き死にを見出し、ある者は世界の移ろいを悟り、ある者は星空の運行を読み解いた。だがそれはもう何万年と昔の話らしい。

 

 世界の終焉から数万年、地上に住んでいたヒトは今空に暮らしている。文字通り空に浮かぶ島々に。

 そこにはかつて地上に存在した環境が存在しており、人々は細々と、しかし穏やかに命を繋いでいた。揺り篭(クレイドル)の恩恵に授かりながら、かつて自らが地上に住んでいたことさえも忘却して。

 

「かくて、“人は天に在り、世は全て事もなし”ってところか」

主様(ぬしさま)や、何を言うておるのじゃ?」

「ああ、すまんガルーダ。ちょっと感傷的になっただけだ」

 

 ふむ、と小首をかしげた少し浅黒い肌の琥珀色の瞳の少女ガルーダは小さな身体をふわりと空に浮かべて空を翔る。

 大地と同じ色合いを持つ大鷲の羽を広げ、また同じ意匠を凝らしたワンピースのような服を揺らして空に舞う。手首や足首にあしらわれた黄金の装飾品が沈み往く日輪の光を映し煌く様は炎を纏う演舞のようにさえ見て取れる。

 

「もうすぐダイダロイトベルトだ。瘴流域(しょうりゅういき)を突破するから中に入ろうか」

「なんじゃ。もう終わりか? のう主様や、もう少し風を感じてもよかろう?」

「早く戻ったほうがいいぞ。お前にはあそこはきついんだ。ま、外征も落ち着いたことだし、帝都へ戻ったら休暇が待っているぞ。ついでにそのままノース・ヴァストで温泉にでも入るか」

「温泉! うむ、うむ! 温泉卵のあとはマツヴァガニが食べたいのじゃ!」

 

 軽やかに甲板に降り立った少女の身体を抱き寄せる。自身の胸元に届くかどうかという少女は突然のことに目を丸めていたが、すぐに自ら摺り寄せるように顔を埋める。

 

「やはり好い匂いじゃ」

「そんなに違うものなのか」

「ただの土の匂いとは違う。大地の匂いじゃ。潮騒の香り、緑茂る木々を抜ける風、照り付ける太陽に苗や若木の活力。島々それぞれにしかないものが、主様(ぬしさま)には全部ある。

 春の日差しの温もり。夏の空と燃えるような大地の熱。秋の実りと喜び。冬の凍てつくような風雪と空。たった一度だけじゃったが……わらわを産み落とした星の民にそれを見せてもろうたのじゃ。なんの実感も湧かぬただの“すくりーん”に写された“えいぞう”とやらだったが、主様(ぬしさま)の大地の匂いはその全てを再現してくれるのじゃ。より圧倒的な現実感でな」

 

 絹糸のように輝く鳶色(とびいろ)の髪。頭をそっと撫でるとガルーダは幸せそうに私の背中に腕を回す。

 

「さて、この後の予定はどうなっている。ガルストン」

「……よくお気づきになられますね」

「年の功さ」

 

 振り返った先に見えたのは帝国軍の近衛兵(インペリアル)か上級士官・将官に与えられる青藍(せいらん)のフルプレートアーマーを纏った男、ガルストンだ。

 

「のう、主様(ぬしさま)

「先に部屋に戻っておいてくれ」

 

 名残惜しげにガルーダは腕を放し、密閉ドアの向こうへと姿を消す。

 残る私と彼の間に生まれたのは一瞬の静寂。風の音が聞こえるだけの静かな世界。それを打ち破って彼が話し始める。

 

「外征艦隊のこの後の予定ですが――」

「そうじゃない」

「と、申されますと?」

「お前のことだ、ガルストン」

 

 彼は言葉を発さずただ黙する。

 

「異動となるのだったな」

「はっ、第三軍フュリアス少将旗下(きか)、ポンメルン特務大尉の下で隊を率いることとなります」

「そうか……よりによってあの狂人」

「中将、どうかそこまでに。どこに耳があるかわかりませんので」

「フン、律儀だなお前も」

「エルステ帝国軍の軍人でありますので」

「だろうな。まあフュリアスはアレだが、ポンメルン・ヴェットナーなら問題なかろう。エルステ帝国への忠誠を文字通り体現したような男だ。仁王の如き(つわもの)さ」

 

 空を翔る風を手で遮り、口に咥えた煙草に火を灯す。夕闇の広がる中に灯った小さな火の灯りがふっと消え去ると、立ち昇る煙が風に乗って空に溶けていく。

 

「壮健でな。任務ご苦労だった」

「はい。三年間お世話になりました」

「……お前の代わりを探すのは骨が折れそうだよ。ほんとに」

「中将に食らいついていけるだけの人材はそうは居ないでしょうな。波乱万丈でしたよ。外征とは人間と戦うばかりではないと思い知らされました。まさか紙の山を踏破する破目になろうとは」

「うるせぇ。書類は苦手なんだよ」

「できるのにしないのはただの怠慢ですよ」

「その分戦ったし言論をぶつけてきた。外征を円滑に行えるよう下地を作るのも俺の仕事だ」

「ええ。中将の肩書きは伊達ではないと思い知りましたよ」

 

 ガルストンは兜の面の下でくつくつと笑う。あいつ、あの時のことを思い出しているな。

 

主様(ぬしさま)! ガルストン! 主計長がさっさと飯を食えと吼えておるぞ! 飯を抜かれても知らぬからな!」

「さて、もうすぐファータ・グランデだ。凱旋で腹が減って倒れたのでは締まらんからな」

「ええ。急ぐとしましょう」

 

 

※彼の率いる外征軍を見たグラン君やルリアちゃんたち

 

 彼の威圧感は格が違った。見た目は二十台から三十台の青年。特別体格が大きいわけでもないし筋肉質そうに見えるわけでもない。ごく普通の青年という見た目の黒髪黒眼の男。

 

「星晶獣の気配がします……あの女の子から……」

「オイオイ、マジかよルリア! どう見たって普通の女の子だぜありゃ!」

 

 その傍らに寄り添う褐色の肌の少女からは威圧感は感じない。だけどルリアは星晶獣だという。それを俄かに信じられないのはビィも僕も同じだ。

 軍艦のタラップに立つ彼は帝国軍の将官用の真っ白なコートを羽織り、その下に上質な革製のアーマーを着込んでいる。周りに居る重装の兵士たちや士官たちとは毛色が違う。ひしひしと感じるのは違和感、そして圧迫感だ。

 彼がタラップから一歩を踏み出すと、兵士達は整然と中央に道を開けて傍らに控える。いつでも剣を抜ける。どんなときでも戦い始められる。臨戦という言葉が最も相応しいだろうピリピリとした緊張感が小さな港町を包み込んでいく。

 

「諸君、私はエルステ帝国軍外征艦隊総司令官を務めているユーリ・ナイトハルト・オスヴァルト中将だ」

 

 帝国軍中将。その名を聞いた瞬間に暴動の最中にいた人々も取り巻く人々も家の中から様子を伺う人たちも、皆が皆総毛立つ。

 無理も無い。帝国軍、あのフュリアスの統治と侵攻に晒されたこの島の人々はその名だけで震え上がる。

 

「……どうやらフュリアスのクソッタレは派手にやったようだな……!」

 

 彼の顔が怒りに歪む。同じ帝国軍の軍人である彼はフュリアスのやり方に納得しているわけではないらしい。

 

「外征艦隊総司令官……ユーリ……まさか……あの男!」

「知っているのか、オッサン」

 

 ラカムの質問にオイゲンが声を震わせて答える。

 

「あ、ああ……俺が傭兵やってた頃の話さ。エルステ帝国の拡大に伴った紛争に関わってたころだが、あいつの軍とやりあったことがある。

 恐ろしいモンだった……全員が全員死を厭わず果敢に攻めてくるんだ。ヤツらは上官が一言声を上げるだけでいつだって死兵になれる覚悟ができてる。

 そのくせ個人個人の技量は高く、オマケにあの一糸乱れぬ統率と連携で間断なく、容赦なく攻め立ててくる。あいつに最初に目をつけられた城砦は二日と持たず陥落し、その後方にあった関所は砦の陥落からものの一時間で突破された。こちらが数百人以上の戦死者を出したのに対してあちらは僅かに八十人にすら満たなかったとさえ聞いたことがある……」

「その話は……確かに事実だ。帝国軍の教導資料の一つとして見せられたことがある。あの男がかの“外征騎士ユーリ”だとすれば……今すぐにでも逃げるべきだ。干戈を交えることそのものが致命的な失策だ」

 

 カタリナが忌々しげに彼らの姿を見つめる姿には焦燥が浮かんでいる。

 

「カタリナ嬢ちゃんの言うとおりさ。あちらは数百人規模で軍艦が艦隊でお越しなんだ。対してこちらは中型の騎空艇一隻と乗員が十名ほど。どう考えたって正面からやりあって……いや奇襲だろうが勝ち目は無い」

「ならとっととオサラバしたほうがよさそうだ。今から急いで――」

 

「どうやら、我々はアレらと同じように見られているようだな」

「じゃのう。ならば違うところを見せ付けねばならんな、主様(ぬしさま)

 

 何かをするつもりだ。なんとなくだが、そんな気がする。

 一息置くようにして彼はその眼光を研ぎ澄まし、張り裂けるような声を上げる。

 

「貴様らァッ! 帝国軍人の誓いを忘れはしまいな!」

 

「「「「「いかなる時にもッ! 職務を弁えっ!」」」」」

 

「祖先の名に賭けて! 子孫の名に賭けて! エルステに忠誠を誓う!」

 

「「「「「この命尽きるまで!!!」」」」」

 

「この誓いを破る者は全て叛逆者! 情け容赦は無用だ!」

 

「「「「「ヤツらを叩きのめしてやれ!」」」」」

 

「外征艦隊第一大隊前進! みな己が責務を完遂することを期待する!」

 

「「「「「サー! イエス、サー!」」」」」

 

 ぞわり、と背中を悪寒が走る。まさかの予想が脳裏を過る。それは僕だけではなく他の皆も同様のことを考えていたらしく、彼らは焦りを抱えながらもそれぞれの得物を構えていつでも走り出せる態勢をとっている。

 

「クソッ、こんな小さな町で戦争おっぱじめようってのかアイツら!」

「こんなの、こんなことを繰り返したら町の人たちが……!」

 

 ラカムもイオも、カタリナやオイゲンさえも怒りをあらわにしている。

 

「……人が、誰かが、また死んじゃう。せっかく仲良くなれた人たちが死ぬなんて……私……そんなの、絶対にイヤです!」

 

 腹を括ろう。この島はやっとフュリアスが撤退したばかりで復興も何も進んじゃいないんだ。

 これ以上帝国の好きにさせるわけには――

 

「救護班は迅速に仮設診療所を設置せよ! 動けぬ市民が居る場合は直接出向け!

 大隊は街道の魔物を一掃してこい! 一匹残らず塵に帰してやれ! 時間の余裕は無い! 急げ!」

「サー、イエスサー!」

「第一歩兵部隊が街道の安全を確保した後、第二歩兵部隊は山中の村と近隣の集落への物資輸送を遂行し、そのまま集落の防備を固めろ! 輸送ルートの確認と護衛戦力を待機させておけ! 無辜の人々を襲う盗人の類は容赦なく始末しろ! 必要なら竜騎兵を出して構わん!

 炊事班は炊き出しを行え。工兵隊は市街の入り口と外縁に防護壁を設置せよ。日没まで四時間しかない、最優先で防備を固めろ! 魔物が入り込めばおちおち眠ることさえできんのだぞ!」

「サー、イエス、サー!」

「各隊散開! 時間との勝負だ。ぐずぐずするな!」

「「「サー! イエス! サー!」」」

 

 彼の口から放たれたのは再侵攻でも制圧でもなかった。有無を言わさぬ気迫で出された指示は、“町を復興させる”ことだ。

 例え彼等は拒否の言葉を突きつけられても、復興(それ)を己の責務として押し通すのかもしれない。

 

「……なあオイゲン。これって、そういうことなんだよな?」

「だろうなぁ……。始末だの塵に帰せだの言ってることは物騒だが、用は“この街と近隣集落の安全を確保して治安の回復を行え”って言ってるわけだしな」

 

 

 

※外征艦隊の日常編

 

 にらみ合うは大蛇と大鷲。ヒトならざるソレらの発する威嚇は途轍もないダメージを見るヒトに与えることだろう。

 

「……何よ」

「……お主こそ、何じゃ?」

 

 全身をぴったりと覆う濃紺のタイツのような装束。胸と頭に飾られた黄金の胸当てと兜。そしてすらりとしたスレンダーな腰と小さくぷりんとした可愛らしいお尻の中間から生える鱗を纏った尻尾。アメジストを更に薄めたような色合いの髪と、それに擬態したいくつかの蛇たち。

 年の頃は十代の前半だろうか。ガルーダとそれほど変わらない見かけの少女、メドゥーサは目の前のガルーダを見据えて言い放つ。

 

「……アンタ、アタシのとっておきのプリン……食べたでしょ」

「ハッ――たかだかプリン一つでその剣幕とはの。高が知れるぞ、小童」

「あらそう。でも似たようなことがもう三回もあったわよね。何度言ってもわからないの? 正直、ニンゲンの子どものほうがよっぽど大人だわ」

「言ってくれるではないかメドゥーサ! プリンを食べられて涙目になったお主の顔を鏡に見せてやるといいわ!」

「ッ――! へぇー、さすがは光り輝く神鳥()ガルーダ様! 傍若無人でワガママなクソガキみたいな理論もガルーダ様にかかれば高尚な理論に早変わりってワケ? そっちこそ程度が知れるわね」

「こ、のっ……! わらわより3センチも小さいクセに生意気を……!」

「ぐっ、あ、アンタこそ私よりも胸が2センチ“も”小さいクセに!」

「ガァーッ! 言いよったなこのドチビ!」

「キィィーッ! 誰がドチビよ! アンタなんか“ぺったん”どころか“スットーン!”じゃない!」

「「この、ロリチビ星晶獣が!!」」

 

 頬をつねりあい、押し倒し、押し倒され、ガルーダは羽を模したワンピースがはだけるのも気に留めずメドゥーサに仕掛けていく。

 対するメドゥーサはピッタリと張り付く装束が張り裂けそうなほどの勢いで押し返し、ガルーダごと私のベッドの上に二人して倒れこむ。

 

 幼い少女二人の――ただしどちらも島ひとつ沈める程度は容易くできる――キャットファイト。

 脚を絡め、腕を取っ組み合い、なけなしのささやかな勝利を得るべく少女達は今日も痴話喧嘩を繰り広げる。

 

「“星は天に在りて、世は全て事も無し”か。…………ああ、平和だ」

 

 窓の外に移る星空の輝き。かつて星の民が生み出した星晶獣も、今だけはただの少女たちなのだ。




ガルーダちゃんとメドゥーサちゃんのキャットファイトを書きたかっただけ
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