ゾンッ!!
金属で空気を切り裂くような音。
溢れ出る真っ赤な血。
一瞬見えた、自分の顔を見下ろし、微笑んでいる顔。
ゆっくり感じてゆく鋭い痛みで
意識が、遠く、なって、ゆ、く…
────────────────────
はっ。と、視界が、意識が、蘇る。
どれだけ気を失っていたのだろう。
確認するために上半身だけを起こし、周りを見渡す。
ただよう砂煙、転々と燃える炎。
森や林に燃え移り、すこし侵食が進んだ程度。
「気を失ってからあんまり時間はたってない……?」
そう考えたところで、ふと、何かの違和感が頭をよぎった。
「……右腕!!」
ばっ!。と、右腕を見てみる。
「………嘘だ……有り得ない…」
そこにあったのは
何事も無かったかのように
すらりと滑らな腕が生えていた。
その事についてすこし、考える。
自分の能力は『無からの物質生成』『自身の肉体の物質変化』『自身の物質の操作』『無駄に羽がある』以上の四つである。
そして、その能力を使って新しい腕を作ることは可能だ。
だが、能力を使う際、意図的に命令しなければ発動しなかった。
なのに、この腕は俺が命令していないにも関わらず自然に再生した。
ならば考えられることはただひとつ。
「自分で命令しなくても体が勝手にやってくれることを、能力で強化しているってことか」
例えば、腕を鉄に変えることは自然に起きない。だから命令しなければ変形しなかった。
だが、傷が治る。というのは人間が元から持っている機能だ。それが自分の能力。
いや、能力よりメカニズムと言った方がいいかもしれない。
新しく追加された自分のメカニズムを含めた上で、今まで通りのことをしようとすれば、治癒力が格段に向上するのは自然なことだ。と、考えることが出来る。
「なるほどな、便利な体になったものだな」
この状況を呑み込むことと重ねつつ、右手をゆっくりと、力強く、握りしめる。
「にしてもさっきの奴はなぜ俺の右腕を切断したんだろう。ただのサイコパスかね。」
こんなにも、気に留めずに思い出すことが出来るのも自分の能力のおかげである。
「いいこともあれば悪いこともある。先人はうまいことをいったものだよな。」
ふぅ。
「そんなことはどうでもいいか、還也の所に行こう。あいつも襲われてるかもしれない。少しでも手数が多いほうがいいだろうし。」
腕が簡単に治るこの体だ、くじいた足など何事も無かったかのように治っている。
その足をつかい、全力で走る。
親友の元へ向かう。
スタミナも大幅に強化されているのか、全く疲れず、今までよりも、2倍ほど足が早くなっている様に感じた。
この状態だと筋力もとてつもない事になっていそうだな。
などと考えているうちに。
「おっと、あいつの家が見えてきた。」
親友の家が少しづつ視界に入ってきた。
近づくほど、細かいところまで良く見えるようになって来る。
見る限りこの惨状では珍しく、目立った外傷は見当たらない。
「これなら無事かな。」
そう思うと、急に気が楽になり、緊張が溶けてきた。
ガラガラ…
還也家のスライドドアの玄関を開ける。
すると
「よっ、遅かったな。何も無かったよ。助かった。取り敢えずここに俺達がいれば最低限何とかなる。家族は台所で現状確認してる。」
還也家の玄関は靴を脱ぐ所が2段の階段になっている。
そこに還也は、そういいながら微笑み、座っていた。
「それは良かった、一件落着。にしてもなんでこの家狙われてないのかな?」
そう、還也に聞くと。
「しらね、運が良かったんじゃねぇk」
ズガァン!!!!
言い終わるか否か、還也のセリフ終盤とほぼ重なるようにして、後ろから自分たちの真横を、衝撃波のようなものが家を切り裂きながら横切っていった。
窓や家全体がガタガタ、ギシギシと揺れている。
「ちくしょぉ!!!!ふざけんな!!言ったそばからかよ!!」
還也が嘆き、叫びながら立ち上がる。
自分も後ろを振り向き、衝撃波の根源を目で捉える。
「っ!!!!おまえぇ!!!!」
そこに居たのは…
次は6月24日の午前0時に投稿する予定です。