wor stand→R   作:あめか

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更新が遅れ、誠に申し訳ございませんでした。


8話

 

「少し人の役に立ってみる気はないか?身の安全は保証しよう。」

 

 

 

────────────────────

 

身の安全は保証しよう。

 

 

その言葉が、頭の中で、木霊する。

 

自分の弱みに、蛇のようにまとわりついてくる。

 

この男が怪しい人物ではないとは言いきれるのだろうか。

 

周りに自衛隊のような人達をつかせているので、政府の役人だと思うのが普通なのだろうが、もしこの銃を構えた人達が自衛隊でなかった場合、一転して危険人物となる。

 

「難しい顔をしてどうしたんだい?」

 

そう言いながら男は、手が届くほどにまで近づいて、こちらの髪の毛を少しかき分けた。

 

さっきまで雨に濡れ、目にかかっていた髪がよけられたことにより、男の顔がはっきり見えると同時に、目が合う。

 

目が合った瞬間、男は優しく微笑んだ。

 

50~60代だろうか、縦長方形の、荘厳な顔つきだ。だが、難しそうではなく、むしろさっぱりしていて、優しそうな顔だった。

 

「光がある、綺麗な目をしているじゃないか。だけど警戒の色があるね。さながら、この人は本当に信用できる人なのか。と言ったところだろうね。しかし今、なかなかの好印象を持ってくれたみたいだ。ありがたい。」

 

と、こちらの気持ちを読んだかのように、そう言った。

 

「あなたは………何なんですか」

 

「政府の者だよ、安心してほしい。君たちに絶対、危害を加えたりはしない」

 

そう言いながら右手を差し出す彼の目に、一切の曇はなかったように感じた。

 

「…………………わかりました。あなたを信じることにします」

 

はぁ…と、息を吐き。

 

差し出された右手を握る。

 

握った手を引っ張られ、立ち上がる。

 

「生憎、今気強いやら頑固だとよく言われるんだ。根性勝負をしたら負けん。」

 

と、黒服の男は柔らかく微笑んだ。

 

それに釣られて、自分も笑ってしまう。

 

「取り敢えず、君の家族や知人の安否を確かめに行こうか」

 

そう優しく笑う男の顔と、その言葉で、少し安心した。

 

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幸い、還也と自分の家族は無事だった。

 

家族を保護したあと、黒服の男に連れられて役場へ向かい、そこで色々と話を聞いた。

 

黒服の男は六条と言うらしい。「六条のおっさんとでも読んでおくれ」と言う本人の要望で、そう呼ぶことにした。

 

六条のおっさんが言った「身の安全は確保しよう」という言葉は嘘ではなかった。

ただし条件があり、近辺の軽い事件解決、制圧。いわゆる治安維持活動をボランティアでして欲しいとのことだった。

それと引換に政府が管理するアパートに住める権利と、何かあった時の対応が普通よりも強化される特権がもらえるという仕組みだ。

 

そして、還也の右腕は自分の能力で治せた。どうやら自分は遺伝子などをコピーする事ができるらしく、それを使い還也の右腕を複製し、繋げることができた。

 

エネルギーを吸収することで、ダメージを受けないはずの還也、なのになぜ右腕が切り落とされたのかは不明のままだが、切り落とした人物を最重要危険人物扱いにすることは決定した。

 

六条のおっさんはほかにも、政府が緊急で発表した情報を教えてくれた。

 

しばらく学校は閉鎖だそうだ。

 

そりゃそうなんだろうと、理解はできるのだが実感が湧かない。

 

そして新たな法律の作成を検討しているという事。

 

この異常事態は全世界で起こったという事。

 

ほぼ全人類に能力が宿ったこと、それにより、世界が壊滅状態だということ。

原因もまだ分かっていないんだよ。と、六条のおっさんはへらっと笑った。

 

世界各地で紛争が相次いでいること、現時点で死人が大量に出ていること。

 

これから紛争や戦争が多発するのは避けられないだろうという事実。

 

話を聞くにつれ、実感のわかなかった現状が本当のことなんだと、段々実感が湧いてゆき、それにつれて恐怖が増していく。

 

「これから先、自分はどうなるんでしょうか。戦争と言われても実感が湧きません。僕達も戦わなければいけないのでしょうか…」

 

その問に対し、六条のおっさんは自分の頭を軽く叩きながら

 

「そんなに深く考えることは無い、案外今まで通りかもしれないよ?」

 

それに、少し耳を済ましてみな。と、言われたので耳を済ます。

 

すると、町内放送が流れてきた。

 

『こちらは 日本 政府です。ただ今 新たな 条例が 緊急で 発表 されました。能力を どんな 意図でも 使用した 場合は 少なくとも 5千万円 以上の 罰金が 課せられます。』

 

繰り返します。と、放送が続く。

 

「これで能力の使用は激減するだろう。それでも使う奴がいたら能力を持つ警察の出番だ、正直現状はあまり変わらないんだよ。1部の人に能力が発現したならややこしいんだが、全人類となるとね。インフレと同じ原理だ。」

 

「なるほど、なら少しは安心できそうです。」

 

「それに君みたいなパトロール役をいろんな人に頼む、それを証明する腕章やバッヂも後々配る。そうすれば更に犯罪は減るだろう。」

 

 

「日本政府ってこんなに有能でしたっけ……ポンコツなイメージしか無かったんですが…」

 

はははっ。と六条のおっさんは笑いながら

 

「侵害だなぁ。意外と頑張っているんだよ?見直したかい?」

 

はい、少し。そんなことを言いながら微笑み合う。

 

こんなに平和な雰囲気でいるのは不謹慎なのかもしれないが、他人のことよりも自分の事を心配した方がいい。

 

今はこの幸せを噛み締めよう。

 

さて。と、六条のおっさんは一区切り入れ

 

「採用試験と行こうか。」

 

と、言い放った。

 

……………はい?

 

 




次の更新も未定です。

また気が向いた時に開いてやってください…
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