聲の形~過去の罪を背負った少年~   作:成龍

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女コエーっ

転校生の西宮硝子が巧のいるクラスにやってきた。

女子たちはシャーペンを持って西宮硝子と会話をしようと集まる。

男子は女子ばかりが集まるとこに入りにくいからかプロレスをしたりゲームの話をしたり巧のように机に伏せていた。

すると誰かが突然巧の肩を叩いてきた。

 

「あん?」不機嫌そうに体を起こして肩を叩かれた方を見ると植野という女子が話しかけてきた。

 

「ねぇ…まだ小2の時の事、気にしてんの?」

 

小2の時の事とは巧が石田をベランダに吹っ飛ばした時に大ケガをさせた事だろう。

その事が原因で巧には同級生に避けられ友達も出来ずにずっと1人で過ごしていた。

巧としてもあんな大ケガをさせるつもりは無かったので当然の報いだと思っている。

 

「別にお前に関係ないだろ」

 

あの時、石田の応援なんかせずに喧嘩を止めてれば巧が1人で過ごす事はなかったかもしれないと植野も少し後悔していた。

 

「アンタいっつも1人でいるじゃん、つまんなそうだなって思ってさ」

 

「…別に」

 

すると石田がやってきて

 

「お前いつも1人で楽しいか?」

 

「楽しかったらいつもこんな不機嫌な顔にはならねぇよ」と巧は言葉通り不機嫌な顔で言った。

 

「不機嫌な顔してるって自覚してたんだ」と植野はビックリしていた。

 

「だったらさ、放課後遊びに行こうぜ!」といきなり石田は巧を遊びに誘ってきた。

 

「はぁ?お前、俺に何されたのか忘れたのか?」

 

「そんなん昔の話じゃんっ!いいから放課後遊ぼうぜ?」とピースをして石田はニッコリ笑う。

 

「…分かった」

 

 

 

放課後になった。

 

「乾ー帰ろうぜー」と馴れ馴れしく石田が肩を組んでくる。

いつも1人で帰っていた巧には正直暑苦しかった。

 

「放せ!暑苦しい」

 

「いま冬だから暑苦しくていいじゃん!」

 

「はぁー」と巧はめんどくさそうにため息を吐いた。

 

「しょーやって、ひょっとしてホモ?」島田が若干引いているような演技をしながら言うと石田が嫌そうな顔をして「なっ?ちげーよ!分かったよ放してやるよ」と言った。

 

「なんで上からなんだよ!」と巧はキレ気味にツッコんだ。

 

「プハハハ!ナイスツッコミ」と石田の友達の広瀬とかいうヤンキーみたいな髪型をした太った少年が楽しそうに笑いながら言った。

 

「で…何すんだ?」

 

「そりゃあ…初めて遊ぶわけだから」と島田は石田と広瀬にアイコンタクトすると

 

「「度胸試し」」とピースをしながら二人が答えた。

 

「はぁ?」

 

 

 

 

 

 

「ここで飛ぶのか?」

 

巧が連れて来られたのは鯉が沢山いる川だった。

 

「大丈夫、大丈夫!いつも飛んでるし」

 

すると3人は手摺に登って立ち幅跳びのように川に飛び込んだ。

 

「乾ー!お前も飛べよ!楽しいぞー」

 

正直巧は服が濡れるのが嫌だったが着いてきてしまったからには仕方がないと思い嫌々飛び込んだ。

 

「楽しいだろ?」

 

「濡れていい服だったらな…」と巧はシラけた顔をしながら言うと

 

「っんだよ、つまんねーやつ!」と石田は退屈そうに言った。

 

「次もやるなら、前の日ぐらいに言ってくれ」

 

「OK!」

 

「とりあえず今日は帰るわ…」

 

「おう!またな」と3人は手を振ると巧も家の方向に歩きながら手を振った。

 

 

 

 

「はぁ…」と巧が濡れた服を見ながらため息を吐きながら歩いていると転校生の西宮が施設のような所に入っていくのが見えたが巧は興味無さそうに家へ向けて歩きだした。

 

次の日、国語の授業で担任の竹内先生がテスト範囲を話していると、耳が聞こえない西宮が少し気になった巧はチラッと後ろを見ると植野が西宮のノートにテスト範囲を書き込んでいたのが見えた巧はアイツ結構キツそうな性格してそうなのに意外と面倒見いいんだなと思ってしまった。音楽の授業になると西宮が先走って歌ってしまい何度かやり直しになった。「合唱コンクール負け戦じゃーん」と植野は残念そうに呟いていた。

 

 

「僕は悪くない…」と植野がやる気無さそうに朗読していると、先生が若干キレ気味に植野にもういいと言って座らせる。

植野は「なんで怒られなきゃなんないのよ!」と石田に愚痴っていると竹内は西宮に朗読させたがまともに言えていなかった。

巧が何気なく先生を見ていると西宮の朗読を聞きながら竹内は若干笑いそうになっていた。

植野は「わたしは怒られたのに」と特別扱いされてる西宮を見ながらため息をついていた。

 

それから二日後、巧の教室に喜多先生という女の先生が手話を教えにきた。

西宮は手話を使った方がペンで書くよりも楽なんだという。

そこで植野が立ち上がり

 

「ペンで書いた方が楽なんですけどー」と手話を覚えるのがめんどくさいようだった。そこへ佐原という女生徒が立ち上がり「わたし、手話覚えたいです。」と言った。

それから佐原という生徒は西宮の隣の席に座ってノートに手話を教えてと書き込むと西宮は、さ・は・ら と手話を教える。

「へぇーわたしの名前ってそうやるんだー!」巧はチラッと後ろを振り向くと植野が佐原に対して「ポイント稼ぎおつー」と呟く。

それを聞いた佐原が怯えていた様子だったのを見た巧は植野を見ながら若干引いていた。

 

それから数日が経ち、巧がトイレから教室に戻ろうとすると植野と川井とトイレかは分からないがトイレの方向に行こうとする佐原が目に入った。

佐原が植野の前を通りすぎると「アイツの服ダサくね?」と佐原にわざとらしく聞こえるように言う。

「プフフっ…も~ダメだよ直ちゃん、そんな事言っちゃ」川井が笑いながら植野に注意していた。

佐原がそれを聞いて怖かったのか下を向いて早足でトイレに向かったのを見た巧は、初めて「女コエーっ」と呟いてしまった。

 

アイツやっぱアレだ、見た目の通りの性格だ。

 

 

 

 

 

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