バカとテストとスポンサー~愉快な彼らのバカバカしくも素晴らしき日常~   作:アスランLS

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~ifの世界~

【源太の場合】

《こっちだって好きで怖い顔に生まれたわけじゃねぇんだよォォォ!》

【徹の場合】
《憎いな……ああ憎い!僕より背の高い奴を皆殺しにしてやりたい!》

結果:爆発するコンプレックス



本音を喋る召喚獣(完結)

【和真視点】

 

「ひどい目にあったな雄二、同情するぜ♪」 

「してねぇだろ!?なんだその満面の笑みは!?」

俺の召喚獣にぶちのめされた雄二がようやく目を覚ましたので、とりあえずおちょくってみる。

「でも、なんで和真の召喚獣だけ暴走したのかな?」

「そう思うのも無理はねぇがな明久、あれは別にシステムが暴走してるわけじゃねぇんだ」

「え?どういうことよ?」

理解できないという表情でそう問いかけてくる島田。いや、島田だけじゃなく誰もわかってないなこりゃ。

やれやれ、一人ぐらい気づいても良いだろうに……俺のオカルト召喚獣は阿修羅だったんだぞ?

「あの召喚獣は無意識領域の一部を読み取って活動する半自動型の召喚獣、言い換えれば自我を持った召喚獣だろ?」

「う、うん……」

「なるほど、そういうことか……」

明久達がキョトンとする一方、全てを理解したらしい雄二が苦虫を噛み潰したような表情になる。

「そして構成される人格は、簡単に言うと本人から理性を抜き出して幼児退行させたみてぇなモンだ。ここで一つ問題だ、俺から自重と理性と自制心が失われるとどうなると思う?」

「「「…………」」」

「当然、純然たるデストロイヤーができあがる」

「…………お前は本当に、生まれついてのサディストなんだな……」

呆れるような雄二の溜め息。こいつが襲われたことに大した理由なんかねぇ。ただ単に一番デカくて壊し甲斐がありそうとだからだろうな。

無尽蔵に溢れ出る闘争心に従い、この世のありとあらゆるものを敵に回し、それら全てをぶっ壊そうとする修羅……それこそが俺の本質、勝負事を好む性分や嗜虐趣味などは所詮その上澄みでしかない。

このどうしようもなく下種な性分に対して自己嫌悪に陥ったことも以前あったりするが、今後そういう機会は多分訪れないだろうな。変えようがない本能に対してどれだけ悩もうが卑下しようが無意味だろう。……大切なのは、いかに上手く折り合いをつけるかだ。

「どうだお前ら、常日頃俺がどれだけ自重してるか思い知ったか?」

「やけに上から目線なのはこの際放っておくとして……本性があれと考えれば、確かに随分と制御できてるな」

「制御っつっても抑圧してるわけじゃなく上手いこと折り合いをつけてるだけなんだがな、スポーツだの試召戦争だのお前らを追い詰めるだの色々な方法で」

「「「ちょっと待て今なんつった最後!?」」」

しかし強靭な理性を受け継がせてくれた母さんには感謝だな。あとソウスケにも。……実際、俺の人生で一番荒れていたのはアイツに会う前の次期だしな。……今でも思うが、『破壊神』ってどう考えても小学校低学年のガキにつけられる異名じゃねぇよな……。

「あれ?でも和真君、なんで優子はあんなにアッサリ止められたのカナ?」

ちぃ、やっぱり聞かれたか……。愛子のあのにやけ面、十中八九わかった上で聞いてきてやがる……仕方ねぇか……。

「あー、それはだな……優子に対しては闘争心よりも遥かに強い感情を向けているからで……その、つまりそういうことだ」

「「「「「「ほほう、なるほどなるほど♪(にやにや)」」」」」」

「ニヤニヤすんな!」

う、うぜぇ……。揃いも揃ってにやけ面を浮かべつつの鬱陶しくハモりやがって、不快指数100割増しだなオイ……。

「……まあそんなわけで、俺の召喚獣には近づかないようにしろよ?今は優子のおかげで無力化できてるけど、他の誰かが視界に入った途端襲いかかってもおかしくねぇから」

「わ、わかったよ……」

「まだ弄り足りないが仕方ねぇか……」

「…………召喚獣のパワーを考えると、冗談抜きで死人が出かねない」

普段から死線を潜りなれている男性陣はどれだけ危険かよくわかってるな。で、女性陣はというと……おーおー、全員こっちを睨んでるな。

「なんだよお前ら?何か不満でもあんのか?」

「……アンタ、やけに説明がしっかりしてるけど、もしかして召喚したらこうなるってわかってたの?」

「まあ……概ね予想はしていたな」

「ウチら完全に土下座のやり損じゃない!」

「そうですっ!あんまりです柊君!」

「ボク達は心を弄ばれてご立腹だよ!」

猛然と抗議してくる女子共だが、そんなこと言われても正直お門違いでしかない。俺は召喚してやると約束しただけで、お前らの思い通りになるなど一言も言った覚えはない。後先考えずに行動した行動したのはお前達だし、責めるべきはその短絡的な思考回路だろうが。……そして何より、

「人の弱味を握って陥れようとした奴らには、お似合いの末路だろ?(にやぁ)」

「「「少しも悪びれていない!?」」」

どこからか「お前がそれを言うのか!?」という突っ込みが聞こえてくるようだが……そんなことはお構い無しに、そろそろ攻めに転じさせてもらおうか!

「つーかお前らの好きな奴も教えろよ。俺のはなんだかんだで教えたくないことバレちまったんだからよ」

《 《 《 《 《えっと、それは…》 》 》 》 》

「「「「「どぉりゃぁあああーっっ!!」」」」」

愛子を除く五人が一斉に召喚獣をゴミ箱にダンクシュートした。愛子への仕返しは、今度暇なとき千本ノックにでも強制参加させてやろうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【雄二視点】

「「ファイヤー!!!」」

《 《にぎゃぁああーっ》 》

明久とハモるように、それぞれの召喚獣をファイヤーショットでゴミ箱に蹴り込む。この作業、今日で何十回目だ……。

「はぁ、はぁ、はぁ……。今日はなんてハードなんだろう……」

「まったく、だ……。実体化した召喚獣が、ここまで厄介、だとは……」

「雄二なんか、まだ、いいよ……。僕なんて、フィードバックまで、あるんだから……」

というかさっきから散々攻撃してるのに、点数が全然減ってねぇ!この仕様は十中八九ババァの仕業だな畜生!

「……そろそろ雄二は諦めて正直に本当の気持ちを聞かせてくれるべき」

「ボクは吉井君の色んな秘密を聞きたいな~。誰かさんたちの為にもね、ね♪」

「「誰が聞かせるかっ!」」

自分の召喚獣を喚び出していない翔子と工藤は余裕な表情だ。まあこの二人は喚び出したとしても余裕な気もするが……特に翔子は喚び出したら絶対俺の負担のだけが多くなる気しかしない!

「工藤さんっ。工藤さんは僕なんかのところより、ライバルのムッツリーニのところに行くべきなんじゃないかな!」

「ん~……。そうしたいのはやまやまなんだけどね。ムッツリーニ君はあんな感じだから…」

 

『…………エロなんて興味はない』

《…………興味津々》

『…………スカートなんてどうでもいい』

《…………どうでもよくない。凄く大事》

『…………どうでもいいんだ……っっ!!』

《…………違う。大好き》

 

「…あんまりいつもと変わらないんだよね~」

「う……。ズルい……」

汚ねぇ!リアクションが鼻血から召喚獣に変わっただけじゃねぇか!?

「そ、それなら、えっと……」

明久はなんとか自分から離れさせようと、周囲を見渡して様子を確認している。

 

『あ、明久君っ!絶対にこっちに来ちゃダメですからねっ!?』

『声を聞くのもダメよ!あっち向いてなさい!』

《でも、他の人をそういう目で見るのは困るんですっ!だからお仕置きはしないけど、お説教はしていたんですっ!》

《あ!それはウチも同じっ!許せないよねっ!》

 

姫路と島田は少し離れたところで、召喚獣のお喋りを聞かれまいと必死にガードしていた。

「残念でした。瑞希や美波の秘密は、お泊り会とかで聞いちゃってるもんね」

工藤がちっちっち、と指を振る。ハッ、残念だったな明久、お前だけ助かろうったってそうはいかねぇんだよ!

 

『…………zzz』

 

ちなみに和真は飽きてしまったのか、教室の隅で横になって惰眠を貪っていた。アイツどんだけ自由なんだよ!?

「じゃあ和真に…」

「嫌だよ、ボクまだ死にたくないし」

「ですよね……」

和真の召喚獣にも無理矢理起こされて不機嫌状態の和真にも、はっきりいってかかわるのは危険過ぎる。ムカつくが放置しておくしかないみたいだな……。

「それじゃあ雄二で」

「ふざけんなっ!翔子一人でも手に余るってのに!」

「ん~……。坂本君は、代表の管轄だからダメだよ」

こっちに来ないのはありがたいんだが、管轄って何だ管轄って!?

「あれ?そう言えば、さっきから秀吉の召喚獣の声が全然聞こえてこないね」

「ん?そう言いやそうだな。不公平じゃねぇか」

考えてみりゃ、さっきから召喚獣も本人も全く声が聞こえてこない。いったいどうなってるんだ?

「んむ?なんじゃお主ら。ワシを呼んだかの?」

そうやって名前を呼んでいると、離れて静かに座っていた秀吉が目を開けた。一応この場には居たんだな……いや、その割には静か過ぎやしないか……?

「木下君、寝てたの?」

「和真じゃあるまいし、流石にこんな中ではいくらワシでも寝られんぞ、工藤」

 

『……zzz』

 

この状況で寝ていられるようなマイペースな奴なんざ、学園中探してもあのバカぐらいだろうな……。

「妙なことを口走られては困るからの。修行僧になった気持ちで瞑想して気分を落ち着かせておったのじゃ」

《……………》

秀吉の召喚獣が本人の隣で座禅を組んで、目を閉じている。

「へぇ~。そうするとおとなくしくなるのか~」

「そうか。意識を空っぽにしたらいいってわけだな」

「うむ、どうやらそのようじゃ」

となると、瞑想慣れしている鳳あたりが今回の試運転に参加していてもなんらダメージはないってことか。

「……雄二と吉井の召喚獣を連れてきた」

「「え“?」」

《痛かった》

《酷い目にあった》

しまった!?秀吉に気を取られていた!?

「しょ、翔子!そいつをこっちによこせ!」

「お願い霧島さん!僕の召喚獣を返して!」

「……ダメ。渡したら、二人ともまた邪魔するから」

俺らに渡すまいと、召喚獣を抱いたまま工藤の後ろに回る翔子。まずい!まずいまずいまずいまずい!!!

「これでようやくちゃんと本音が聞けるねっ。吉井君。好きな人はいないのかな~?」

「……雄二。本当の気持ちは?」

満を持して、俺達に質問をしてくる工藤と翔子。俺達はかたくなに口を閉ざしているが、

《好きな人?それは……》

意思に反して、召喚獣がその質問に答えようとしていた。こうなったら一か八かで秀吉の方法を頼るしかねぇ……っ!

大急ぎで座禅を組む俺と明久。瞑想、瞑想……。

《 《 …………… 》 》

すると、俺達の召喚獣は口をつぐみ、黙ってその場で座禅を組み始めた。よし、手応えあり!

「あれ?吉井君?」

「……雄二。返事は?」

《 《……………》 》

召喚獣は沈黙を保ってる。いいぞっ、これなら大丈夫だ!

 

『見て下さい美波ちゃん。瞑想したら大丈夫みたいですよっ』

『ホント!?じゃあウチらも真似しましょ!』

 

目を閉じているからわからないが、姫路と島田が俺達のところにやってきて、同じように瞑想を始めたような気配が伝わってくる。

《スカートで座禅っ。見たいっ。見たいっ》

「しまったぁああーっ!邪念がぁああーっ!」

俺の隣で明久の叫び声が響き渡る。やれやれ、相変わらずはバカげたことを-

《なんだとっ!スカートで座禅だとっ!?》

《…………俺も見る……っ》

「「邪念がぁあーっ!」」

明久の大馬鹿野郎!?俺とムッツリーニの召喚獣も反応しやがったじゃねぇか!

「あ、明久君……?」

「アキ……。アンタ、またそうやっていやらしいことを」

「ち、違うんだ!誤解だよ!そうじゃなくて僕は《なんだー。二人とも座禅じゃなくて正座じゃないかー》ごめんなさい!いやらしいことを考えてました!」

「……雄二。浮気は許さない」

「ち、違うぞ翔子!俺は別に《スカートで座禅なんて言われたら反応するのが男の本能だよなー》ぐおぉおおおっ!明久ぁああっ!テメェが余計なことを言うから連想しちまっただろうがぁああっ!」

翔子にアイアンクローを極められて俺は断末魔の叫びを上げる。

《んっと、今日の私の下着はピンク色だったよね?》

《ウチはみずいろだよ~》

「「いやぁああああーっ!」」

隣で島田達がそんなことを暴露していたが、幸か不幸か顔面に走る痛みのおかげで邪念は湧いてこなかった。

《 《 《………………》 》 》

しばらくすると全員が落ち着きを取り戻し、再び静寂が教室に訪れた。

『ん~。なんか、静かになっちゃったね』

『……困る。雄二の気持ち、聞きたいのに』

『さっきからやけに賑やかねアンタ達』

『あ、優子……あれ?和真君の召喚獣寝ちゃったんだね。本人が眠っているからかな?』

『多分そんなんじゃない?愛子、一応釘を刺しておくけど無理矢理起こして八つ裂きにされてもアタシは止めてあげないからね?』

『さらっと恐ろしいこと言うね優子……』

 

なんかお喋りに夢中になっているらしいが無視無視、瞑想瞑想……。

 

『あ。そう言えばボク、さっきこの教室に入ってくる前、学園長先生に会ったんだけど』

『……うん』

『その時、全員の動きがなくなったら使うようにって渡されたものがあったんだよね』

『渡されたもの?』

『そ。この箱なんだけど。なんか、ここから一枚ずつ取り出して、それを読み上げなさいって』

 

薄目を開けて見てみると、工藤が小さな箱を取り出していた。なんだか無性に嫌な予感が……いやいや、それよりも瞑想だ。無心に、無心に……。

 

『……三枚のカード……連想ゲーム?』

『よくわからないけど、そういうことかなぁ。……まぁ、とりあえずやってみよっか。はい翔子』

『……“しましま”?』

『はい優子』

『アタシも手伝うのね……“ピンク”?』

『で、三枚目は……“みずいろ”かぁ。この3つから連想されるものねぇ……』

 

《 《 《パンツ!》 》 》

 

落ち着け坂本雄二、これは敵の罠だ。

とにかく今は無心状態を保つよう心がけろ……!

 

『じゃあ、次いくよ二人とも。……セーラー服』

『……浴衣』

『メイド服』

 

《 《 《木下秀吉っ!》 》 》

《 《 《吉井明久っ!》 》 》

「待って!どうしてその連想で僕と秀吉が同数なの!?」

……ん?同数?姫路と島田が明久を、俺と明久とムッツリーニが秀吉を連想したとすると、秀吉は必然的に……

「まさか、秀吉まで僕をそういう目で……?」

「んむ?何を言っておるのじゃ明久。ワシが友人をそんな目で《女装と言えば明久しかおらんのじゃ》見ておるはずがなかろう」

恐ろしいなこいつ……顔色一つ変えず堂々と嘘を言い切ったぞ。和真曰く木下姉ならそこそこ見破れるらしいが、もはやそれ人間技じゃないだろ……。

《違うよ秀吉。さっきので僕が連想したのは女装じゃないよ。あのランナップは秀吉の私服じゃないか》

「明久よ。お主、ワシをどんな目で見ておるのじゃ……!」

たまにこいつは演劇部の朝練後、着替える暇がなくてあのラインナップで一時間目の授業を受けてたりしているから、あながち否定できないんじゃないか?

 

『更にもう一回。はい翔子』

『……いやらしいこと』

『はい優子』

『囁きかける』

『で、三枚目……吉井君に、と』

 

貧乏くじを引きやすいデコイがいるのはとても便利なことだとつくづく思うぜ。

 

『そっか~。吉井君にいやらしいことを囁くのか~。んふふ~。これ、ボクがやってみてもいい?』

『……うん』

『別に良いわよ』

『ありがと二人とも』 

 

さて、明久はどう自爆するかな…って今は自分の身が大切だ、瞑想瞑想……。

 

『ねぇ、吉井君』

《明久君っ。愛子ちゃんにいやらしいことを考えちゃダメですからねっ》

《アキっ。おかしな反応したら、許さないからねっ》

 

冗談抜きで明久の命が懸かっているな。

 

『……………………○▲×□の……△●※■』

『へ?』

ここからじゃよく聞こえなかったが、どうやら明久は理解できてないようだった。選択を誤ったな工藤…

 

『…………○▲×□の……△●※■だと……っ!(ブシャァアアアアッ)』

《…………○▲×□の……△●※■だと……っ!(ブシャァアアアアッ)》

 

アイツも多少成績が向上したとはいえ、近くで召喚獣と一緒になって鼻血を吹いているバカのような、保健体育のエキスパートじゃねぇんだよ。

 

『あれ?吉井君、なんともないの?』

《?意味が分かんないよ》

『…………むー…………』

 

どうやら工藤のプライドを傷つけてしまったようだな。ああなったら何をしてくるかわからんぞ。

 

『……ふーっ』

『ひぁああああああああっ!?!?!?』

 

なんだ!?工藤はいったい何を……違う!今はそんなことより無心になれ坂本雄二!でないと…

 

『あ、愛子ちゃんっ!ダメですよっ!明久君にそういうことをするのは《さっきの明久君の声、可愛かったですっ》きゃぁああーっっ!』

『そうよっ!アキにそういうのは《アキって耳や首が弱いのかな》いやぁああーっ!!』

 

…あんな風に自爆することになる。

 

『うん。これで少しスッとしたかな』

『……愛子。あんまり吉井を苛めない』

『はーい。じゃあ、最期にもう一回やって終わろっか。はい、“あなたの”』

『……“本当に”』

『“好きな人”』

 

《 《 《 えっと、それは 》 》 》

「「「どぉりゃぁあああーっっ!!」」」

気がつけば姫路も島田も秀吉までもが、耐え切れずに自分の召喚獣をゴミ箱に叩き込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうダメだ……。フィードバックで体中が痛い……」

「俺もこんなに疲れたのは久々だ……」

「…………キツい……」

「流石にワシも疲れたぞい……」

「はぅ……。このままだと、いずれ変な勢いで告白する羽目になっちゃいます……」

「ウチも、こんなことで告白するなんて、絶対に嫌なのに……」

全員の口から弱音が漏れ始める。とはいえ、解放されるまでにはまだまだ時間があるし……くそっ、今日は厄日だ!

「というか、なんで俺たちがこんな目に遭わなきゃならねぇんだ」

「まったくじゃ。理不尽にも程があろう」

「だよね。僕らがこんなひどい目に遭うなんて、一体誰が原因なんだろう」

「そうよ。誰が元凶なのよ」

「えっと、誰って言いますと……」

ふと、全員の頭にとある人物の姿が思い浮かぶ。

白髪で、口が悪く、こうなると知っていながら俺達に召喚をさせた、諸悪の根元であるクソババァの姿が。

 

《 《 《……………》 》 》

 

ガラッ ザッザッザッザ

 

すると、全員の召喚獣がさっきの和真の召喚獣に負けず劣らずの修羅となり、そのままドアを開けて教室から出て行った。なるほど、全員同じ結論に辿り着いたか。

「まぁ、そりゃそうだよな」

「人を実験台にしておいて、自分だけ無事でいようなんていうのが甘いよね」

「因果応報じゃな」

「…………当然の報い」

「ま、そう簡単に許せることじゃないわよね」

皆でうんうんと頷き合う。最初からこうするべきだったぜ。ちなみに和真の召喚獣をけしかけないのは俺達に残された最後の慈悲だ。

 

 

 

数分後、階下からはババァのしわがれた悲鳴のようなものが聞こえてきたが……おそらく召喚獣のシステムの暴走が原因で起きた悲しい事故だろう。俺達には何の関係も責任も無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




綾倉「え?私は事前に察したので、学園長を囮にしてさっさと避難しましたが何か?」 

ま さ に 外 道 ! 


本編で語られた通り和真君の本能は、特に理由もなくあらゆるものを躊躇無くぶっ壊そうとする破壊衝動に近い性質です。そんなサイヤ人みたいな闘争本能を持つ和真君ですが、それと同時に彼の理性はそんなことは許されないし許さない、断じて認められないし認めない、という本能と完全に相反する性質を持っています。
そうして本能と理性が心の内でぶつかり合った結果、和真くんは他者を壊すことなく全力を振るえるスポーツに対する関心と、人を適度に追い詰めたがるサディズムに目覚めたというわけです。和真君のアイデンティティーは異常なまでの闘争本能に上手いこと折り合いをつけている証でもあるわけですね。

僅かに仄めかされて理性が発達する前の荒れていた時期については、いずれ過去編を書くつもりなので是非ともお楽しみに。

ちなみに和真君の召喚獣を止められるのは優子さん、飛鳥さん、和真君のお母さんのたった三人です(翔子さんは不確実ですが可能性はあります)。
理由としましては、三人とも和真君に闘争心にも勝る強い感情を向けられているからです。

優子さん……愛情 
飛鳥さん……敬意
母親……感謝
翔子さん……友情

ちなみに相当仲の良いはずの蒼介君がダメな理由は、「こいつとは全力で闘ってみたい」という潜在的欲求が爆発するからです。破壊対象から戦闘対象に変わるだけでむしろ余計暴走しかねません。似たような理由で徹君や源太君もダメです。




和真「あん?『頑丈な雄二だから良かったものの、もしもか弱い女子達に襲いかかってたとしたらどうするつもりだったんだ!?』……だって?ハッ、知るかよそんなもん。人の弱味を握ろうとしたんだ、自己責任だろ。明久と違って俺は男女平等主義者だしな。……あ、俺にとって男女平等は『男だろうが女だろうが、壊れりゃ総じて単なるガラクタ』っつう捉え方だ」
「「「怖っ!?」」」
和真(そうだ……だからこそ、男だろうが女だろうが、壊していい道理なんざどこにもありゃしねぇんだよ)

※和真君は100%頑丈で壊し甲斐がありそうな雄二がボコられると確信していました。雄二の耐久力を信じた結果がアレです。


それと、夏期休暇中思ったよりバイトが忙しいので2週間ほど休暇を頂きます。待たせることになってしまい申し訳ありませんが、その間にストックを貯めておきます。
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