バカとテストとスポンサー~愉快な彼らのバカバカしくも素晴らしき日常~   作:アスランLS

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とりあえず、まずは合体召喚獣からで。
この要素は本編でも後にクローズアップしようと思っているので。


合体召喚獣①

【雄二視点】

 

「実はアンタらに頼みがあるんだけどね」

「「「お断りします」」」

「……つれないねぇ」

時刻は放課後。教室に残って雑談をしていた俺達のところに、学園長のババァがやってきてそんなことを言い出した。

「だって前にババア長のせいで酷い目に遭ってますから。勝手に本音を喋る召喚獣のこと、忘れてませんよ」

「んだな。あんなモン二度と御免だぜ」

「…………こりごり」

「まったくじゃ」

「ウチもちょっと、ね」

「あはは……」

明久の台詞に俺、ムッツリーニ、秀吉もうんざりといった口調で同意し、姫路と島田も苦笑いを浮かべている。前回の騒動で被害が無かった翔子は和真に誘われて『アクティブ』の面々とテニスをしている。翔子はともかく和真は間違いなく面白そうと軽いノリで安請け合いしていただろうから助かった。アイツがこういう場面で安請け合いすると間違いなく俺達も被害を被ると相場が決まっているからな。

「まぁまぁ、そう言うんじゃないよ。今度のは召喚獣に酷い目に遭わされるようなことはないからね。アンタらも……アタシも」

渋い顔をする学園長。そういやあの時は最後に俺達の召喚獣に仕返しされていたんだったな。どう考えてもこのババァの自業自得だから悪びれないぞ、デストロイヤー(和真の召喚獣)をけしかけなかっただけありがたいと思え。

「学園長先生。今回は召喚獣関係のお話じゃないんですか?」

召喚獣に酷い目に遭わされることはない、と言う言葉に反応して姫路がそうねる。人間ができているコイツのことだ、ただの雑用程度なら手伝っても構わないとでも思っているのだろう。

「いや、召喚獣の話だよ」

「う……。召喚獣のことですか……」

ババァの返事に姫路が怯む。あの姫路ですらこんな反応だ、多分俺も今苦虫を噛み潰したような表情に様変わりしていることだろう。くそっ、面倒事の気配しかしねぇ……。

「んでババァ。一応聞くが、それはどんな頼みなんだ?」

とは言え召喚獣の設定変更絡みの話しだ、Aクラス戦のことを考えれば内容は確認はしておきたい。

 

……よし、いつものように明久を生け贄にするか。

 

「おや。文句を言ってもやる気かい?素直じゃないねぇ」

「内容次第だが、受けても良い。「雄二がね」明久がな」

「「……………(ガスガスガスガス)」」

無言でお互いの脛を殴り合う俺達。このカス野郎。目的のために俺を売ろうとするなんて、相変わらず性根の腐った奴だな。

「そいつは丁度いいさね。今度のは二人用だから、アンタらにやってもらおうか」

「え?二人用、ですか?」

「そうさ。御門のガキンチョからの案でね、今度は二人で一体の召喚獣を呼び出す形に調整を入れてみたのさ。まったくあのダメ人間は……頭がキレるし仕事も出来るのにどうしてああもサボりたがるかね……」

疲れたように溜め息をつくババァ。あの人間の駄目なところを具現化したようなオッチャンが一年の学年主任に大抜擢されたことには流石の俺も驚いたが、就任後も以前と変わらぬ破天荒ぶりに教師達の頭を悩ませている。まあFクラスの俺達からすれば鉄人の仕事が増えたおかげで悪巧みがバレにくくなったから、感謝の一つでも送りたいとこだがな。

「前大会優勝者が試してくれるとなれば、こっちとしてはかなりありがたいんだがね」

「二人で一体、ねぇ……」

「それなら前のようなことはなさそうね」

「面白い試みであることは確かじゃな」

本格的にそのシステムが試験召喚戦争に導入されることになれば、扱ったことがあると言うのはある程度のアドバンテージになる。和真や翔子や姫路がいるものの、上位クラスには総合的な点数で劣る俺達には、そのアドバンテージは無視できないかもな。

「召喚獣が暴れたりすることはない。それはアタシが保証してやるよ。それに、召喚獣に何か問題があればフィールドもすぐに取り消そうじゃないか。それならどうだい?」

ババァが俺達の目を見てそう言う。

「う~ん……すぐに取り消してくれるのか……雄二、どうする?」

「そうだな……。正直ババァの言葉はビタイチ信用できないが、他クラスの連中……特にこれから挑むAクラスには話を持って行かれたら困る。悩ましいところだな」

このバカ一人の犠牲で事足りるなら即決だったが、俺にまで害が及ぶとなれば話は別だ。こんなことなら、やっぱり和真にはここにいて欲しかったかもな……。

なんて悩んでいると、

「悩むくらいなら決定だね。吉井と坂本、二人ともこっちに来な」

俺達二人の背中を押すように、ババァが話を勝手に進めてしまった……仕方ねぇ、やはりAクラスに持っていかれる危険を考えれば、多少のリスクには目をつぶるしかない。

「吉井でも坂本でもいい。相手の身体に触れて召喚獣を喚び出しな。それで出てくるようにしてある」

「へぇ。それだけでいいんですか」

「簡単なのは助かるな」

明久が俺の顔に手を伸ばしてくる明久に対し、俺も明久の顔に手を伸ばす。

そして、お互いに思いっきりその顔面を鷲掴みにする。

 

「「ぐぁああああっ!!」」

 

ミリミリと頭蓋骨から鳴ってはいけない音が聞こえた気がした。

「二人とも何やってんのよ……」

「バカじゃな」

「…………いつものこと」

「あはは……」

で、この後どうすりゃいいんだよ?

「あとは吉井でも坂本でもどっちでもいい。普通に召喚獣を喚びだしな」

 

「「ぐぅぅ……っ!試験召喚(サモン)っ!!」」

 

ほぼ同時に召喚獣を喚び出す。すると、毎度お馴染みの幾何学模様が出てきた。

「けほけほっ。さ、さて……。どんなのだろう」

「げほっ。妙なもんじゃなければいいが」

アイアンクローを外して様子を見守る俺達。いつもより若干長い待ち時間の後に、召喚獣がゆっくりと姿を現す。

「あ……!可愛いですっ!」

「へぇ~。本当ね」

出てきたのはいつもの三頭身の召喚獣ではなく、二歳程度の普通の男児だった。あざとさ全快の耳と尻尾はいつも通りだが。

「雄二と明久の間を取ったような外見じゃな」

「…………それを幼くした感じ」

秀吉達の言うとおり目つきは俺譲りの鋭い感じがするな。このバカの特徴は……髪質あたりか?

「んで、これはどうやって運転するんだ?」

大事なのは外見よりも性能だ。

「御門のガキンチョいわく今回は試運転かつ二人で召喚だから、干渉し合わないように操作はなくしてあるそうだよ。アンタら二人の性格を元に自律行動を取るのさ」

「ふぅん。今度のも自分で勝手に動くのね」

「え?そうなの?」

オイオイ大丈夫かよ、前回の悪夢が甦るんじゃねぇのか……?そんな俺の不安は杞憂だったのか、召喚獣を見る限り問題行動は無さそうだ。

 

《うゅ……?うー……(べしべし)》

 

トコトコと歩いて、卓袱台に触って遊びだす召喚獣。

 

《わー。きゃっきゃっ♪》

 

それが気に入ったのか、そのままご機嫌で卓袱台の下に潜り込んだりし始めた。

「なんか、本当に子供みたいだね」

「そうだな」

そんな召喚獣を見て、明久と俺がそう呟く。見た感じ、召喚獣と言うよりもその辺の子供に見える。すると、俺達の言葉を聞いたババァがこんなことを言い出した。

「おや。よく気が付いたね。バカジャリのくせに」

「「うん?」」

誰がバカジャリだーーなんだって?

「アンタらの言うとおり、これは子供だよ」

「いや。それは見たらわかりますけど」

この召喚獣を見て大人だと思う奴はいないだろ?

「だからそうじゃなくて、子供なんだよ。…………アンタら二人の、ね」

そう言って、俺と明久を指差すババァ。俺達の子供ってー

 

「「はぁああああっ!?」」

 

何言い出すんだこのババァ!?ガチで頭沸いてるんじゃねぇか!?

「む……。そう言われるとそんな気がしてくるのう」

「…………二人にそっくり」

秀吉とムッツリーニもそれらしいと思い召喚獣を見ながらそう言う。いや待て、ふざけんな!?

「いやいやいや!僕と雄二で子供っておかしいから!」

「まったくだ!気色悪い!」

「気色悪いのはこっちだよ!」

明久とガンくれ合う。

そこに召喚獣が歩いてきて、

 

《ケンカ、ダメ!(ガッ)》

 

「「うぐぁっ!」」

俺達の脛を蹴ってきた。

じ、尋常じゃないほど痛ぇ……!以前和真に蹴り飛ばされたとき並に痛ぇ!外見はガキでも流石は召喚獣ってことか、攻撃力が尋常じゃねぇ……!

つか、喧嘩はダメっつってんのに暴力で解決しやがった!?この頭の悪さ、伊達に明久の性格を継いでねぇな!

「明久テメェ!子供にどういう教育してやがる!喧嘩止める為に暴力ふるってどうすんだ!」

「それは雄二の性格のせいだろ!僕のせいにするな!」

「いーや、この頭の悪さと喧嘩っ早さはお前のだ!」

「絶対に雄二だね!」

「落ち着きなジャリども。子供の教育は夫婦の責任さ」

「「誰が夫婦だ!!」」

 

《またケンカ!(ゲシッ)》

 

「「ぐぅぅぅう……!!」」

ま、また蹴られた……!どんな神経してんだこのガキ!?

「ババァ!召喚獣を戻せ!思いっきり俺達に危害を加えてるぞ!」

「やれやれ。仕方ないねぇ」

ババァが肩を竦めつつ、召喚フィールドを消す。すると召喚獣の姿も一緒に消えていった。ふぅ……。助かった。

「とにかく、協力はしたんだ。これで充分だろ?」

「だよね。どんなのが出てくるのかはわかったんだから」

被害は脛蹴り二回か。俺達のいつもの日常に比べれば無いも同然の被害だし、まあ許容範囲だ。

と、そんな風に胸を撫で下ろしている俺達に、ババァは含みのある笑いで答えた。

「まぁ、アタシとしてはこれで終わりにしても良いんだけどね」

「「ん?」」

「協力したいって言う可愛い生徒のお願いには答えてやらないとねぇ。学園長として」

「「はぁ?」」

ババァの視線が俺達の後ろに向くと、そこには目を輝かせる姫路と筆を組んでどうでも良さそうに取り繕いつつも眼だけは姫路と同じように輝いているのが丸わかりの島田の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【翔子視点】

 

「……ごめん皆、急用ができた」

「え?いいけど、どうしたの翔子?」

「ん、雄二絡みだろ?行ってこい。……さぁ、あと三回でゲームセットだぜ優子さんよぉ!」

「相変わらず坂本君絡みだと翔子の勘は和真並ね……それと和真、まだ勝負はついていないわ!ここからアタシの逆転劇が始まるわよ!」

私と試合をしていた飛鳥と隣のコートで試合をしている和真と優子に離脱を伝えると、皆快く送り出してくれた。我ながら良い友達を持ったと思う。でも優子、流石に和真相手に0-5から逆転は無理じゃないかな……?

 

 

 

根拠なんて無い、でも確信している。

今、私のいるべき場所はFクラス教室だと。

 

 




※その後、順当に和真が勝ちました。

和真「最近優子が俺を手玉に取っているせいか調子に乗ってる気がしたんでボロクソにしてやった、反省も後悔もしていない」
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