バカとテストとスポンサー~愉快な彼らのバカバカしくも素晴らしき日常~ 作:アスランLS
そして二つ目は……バカテス二次創作にあるまじきギャグ要素の無い話が続きます。
【和真視点】
ベキベキベキャッ!!
「ぐぎゃぁぁぁあああああ!!!」
俺は足元で馬鹿みたいに転がっている―まあこいつが転がってるのは俺が原因なんだが―チンピラの利き手の指を足で踏み潰した。指の骨が砕ける音とチンピラの断末魔が不愉快極まりないハーモニーを奏でる。
「ちっ…耳障りだからいちいち喚んじゃねぇ、鬱陶しいんだよガラクタの分際で」
「ヨシオ!?こ…このガキャァァアアア!」
チンピラAの悲痛な叫びを聞いて激昂したチンピラBが俺に殴りかかってくる。おーおー、頑張るねぇ……。
「死ねぇッ!(ブンッ!!)…んなっ!?」
「雑魚が…」
ガァァアアアンッ!!!
「ぐげぇえっ!?」
あくびが出そうなほど単調な攻撃だったので適当に避けてから相手の懐に潜り込み、手に持った鉄パイプを首筋に叩き込む。よほど強い衝撃だったのか、チンピラBはそのままAと同じように地面に這いつくばる。
「ぐ、ぐぐ…テメ(ガァンッ!)ゲボォッ!?」
何か喋りかけたが興味無かったので気にせず第二撃を顔面に叩き込み意識を奪った。
ガンッ!ガンッ!ガンッ!
その後も躊躇なく殴り続け、チンピラBは覚醒と気絶を交互に繰り返しながら顔がどんどん腫れ上がっていく。
「……あん?」
「死ね-(ブゥンッ…)…っ!?う、嘘だろ……!」
ふと、後頭部に嫌な予感がしたので屈んでみると……そこにチンピラAのへし折られていない方の拳が通過する。さっきあれだけ痛めつけてやったのにもう復活しやがったのか、丈夫さだけは大したもんだなコイツ。俺はチンピラAが完全な不意打ちを避けられて呆然としている内に素早く後ろに回り込み…
「こんなガキ相手に後ろからとかさぁ、プライドねぇのかよお前」
ドゴォッ!!
「ぐぁぁあぁああっ!?」
腰を全力で蹴り飛ばした。激痛のあまりチンピラAがその場にうずくまるが手を緩めてやるつもりはさらさらない。今度は背中に向かって鉄パイプをフルスイングする。
ベキャァアアッ!!!
「~~~~ツ!!!!!」
「けどワリーな、俺に不意打ちは通じねぇんだよ。理由は俺もよくわからんねぇけどよ、生まれつきそういうのに気づいちまうんだよ……なぁっっっ!!」
止めとばかりに、俺はもう片方の無事な方の腕に鉄パイプを降り下ろす。人体から鳴ってはいけない音とともに、チンピラAの断末魔が路地裏全体に響き渡る。
「ククッ……クククク……
ヒャハハハハハ!アーハッハッハッハッハ!!」
ジャァァァアアアアア…
「チッ……返り血までしぶといなオイ」
一仕事を終えて多少すっきりした俺は動かなくなった(死んでない。俺もそこまで鬼じゃねぇ)残骸二体を路地裏に捨て置いて、近くの公園の水道で袖口に着いた返り血をひたすら洗っている。こんなクレイジーな遊びしてるなんて、クソ親父にはともかく母さんには絶対隠し通さなきゃな……。しっかし微妙にスッキリしねぇなぁ今日の獲物。耐久はそこそこだったがてんで弱かったし……チンピラならチンピラらしくせめて4、5人くらいで群れてろよシケてやがる。
…………別に俺は通り魔よろしくあのチンピラ共をぶっ壊したわけじゃねぇ。あくまで先に手を出してきたのは向こうだ。……たとえ俺が挑発してそうなるように仕向けたとしてもその事実は変わらねぇし、この事実が隠蔽に意外と役に立つ。もし警察か誰かが路地裏を通りかかってあの二人を発見して事情聴取しても、絶対俺には辿り着けねぇ。
小学生のガキに殴りかかって返り討ちに遭いました…なんて死ぬほどダセェことを、イキッたヤンキー達がよりによって警察に口外できるわけねぇし、仮に口外したとしても誰も信じちゃくれねぇもんな。
ちなみに俺がこんな頭のネジ飛んだとしか思えない趣味を持っている理由は、原因不明のイライラを紛らわすためだ。しかしいつからだっけな、人を見るとぶっ壊したくなるようになったのは……。
「やっと取れたぜ。さてと、さっさと帰るか……転校しても俺のやることは大して変わってねぇなぁ~」
翌朝、いつものように早起きして朝食を取り、学校に行く準備を済ませてから家を出る。
この俺、柊和真・小学五年生(11歳)は一月ほど前に名門と名高い霜月大附属小学校に転校することになった。転校の理由は親父の仕事の都合という至極ベタなもの。なんでも高校時代の旧友にヘッドハンティングされて、系列の会社を任されたとか。そんなそこそこ重要なポストにあんなド腐れ脳筋サイコパスバカを迎え入れるなんて正気か?とか、色々ツッコみたいことは多々あったがこの際気にしないことにする。もともと柊家はそれなりに裕福な上に俺も親父も母さんも物欲はかなり薄いので、親父の給料が上がろうが生活に変化はないだろうしな。
……あと、明らかに俺と波長が合わないであろうお坊っちゃん学校に通うことになったのにはちゃんとワケがある(ちなみに編入試験は問題なくパスした。こう見えて勉強はできる方だ)。俺は近くにある公立の水無月小でも別に良かったんだが、そっちに通えば前の学校の二の舞になると母さんが心配したからな。
………………俺は前の学校であることを孤立していた。
きっかけは、そうだな……同じクラスの学校で一番人気のあった女子を泣かせたことだろうな。
自分で言うのは正直アレだが、俺の外見は母さんに似て整っている。おまけに勉強もスポーツもできるっちゃできるし、何故か周りには俺のそっけない態度をクールでカッコいいと勘違いしていた(実際は原因不明のイライラに苛まれていてそれどころではないので、対応が雑になっていただけなんだがな…)残念な女子がやたら多かったのでぶっちゃけかなりモテた。結構な数の女子から告白されたがさっきも言った通り俺はイライラに苛まれていて、誰かと付き合いでもしたらヤンキー狩りに割ける時間が減っちまうので全て断ってた。もうこの時点で男子達からの評価は最底辺だったが、(残念な)女子達からはそうでもなかった。…だが学校にマドンナ(笑)を泣かせたことで女子達からの評価も地に落ちた。俺が泣かしたそいつは……なんつうか、世界は自分を中心に廻っていると常日頃考えているような奴だった。そいつも俺に告白してきたんだが、俺がいつものように拒否すると突然逆上しだしてな……えぇとなんだっけな、「自分が付き合ってあげると言ってるのだからありがたく思え」みたいな内容の罵詈雑言を俺に浴びせてきた。我ながら沸点がもの凄く低いこの俺がそのバカから言いたい放題言われて黙っているわけもなく、かと言ってここで暴力に頼るのはなんか負けた気がしたので……こちらも正々堂々真っ向から容赦なく罵倒して、そいつの心をこれでもかと言うほどバッキバキにへし折って最終的に泣かせてやった。
女子のネットワークはそれはもう優秀なようで、放課後に告られたのに明日の朝にはクラス中の女子全員に俺の悪評が広まっていた。おまけに日ごろから俺に不満を持っていた男子とも結託して、クラス……いや、学年全体からのイジメが始まった。かつての仲間達から耐えがたいほどの苦痛を受け、俺の心はとうとう壊れてしまった…………
わけねぇだろ。
クラスの連中は最初全員で俺を無視しだしたが、あんな有象無象どもハナから仲間ですらねぇし、無条件で苛つかせる分その辺に転がってる石ころにすら劣る。そんなことをしたところで「ああ、そうか」とも思わねぇよ。そもそも視界に入れるだけで、イラつくんだからあちらから関わってこないのはむしろ逆にありがたかったし、なんだったら感謝の一つでも心の中でしてやってもいい。そんな風に平然と学校生活を送る俺が気にくわなかったのか、アイツらは次の手段に移行した。朝いつものように登校したら俺の机にマジックで「死ね」だの「学校来んな」だの何の捻りも無いテンプレ臭い悪口が所狭しと書き込まれていた。よくここまで書き込めたなと若干関心はしたもののそれで済ませてやるつもりは更々無い。くどいようだが俺の沸点は我ながらかなり低いので、実行犯を炙り出してぶちのめすことにした。
クラス全員が心なしかにやけてたため全員グルであることはすぐわかったので、俺は適当に手近にいた男子を締め上げて犯人を吐かせようとした。そんな俺の暴挙を止めるべくそいつの友人らしき奴が数名が飛びかかってきたが、高校生ですら一方的にボコれる俺に敵うはずもなく秒殺してやった。その時点でクラス全員にビビりだしたが、それに気にも止めず俺は恫喝を再開。最初はなけなしの勇気を振り絞って口を閉ざしていたが、「さっさと教えねぇとお前の両手両足の爪、一枚ずつ剥がしていくから」と耳打ちすると快く吐いてくれた。人間素直が一番。
そいつがゲロったせいで特定された実行犯男女4名(その内の一人は笑えることに俺が泣かせた件の女子だった)は青ざめた表情でその場に固まっていたが、俺がゆっくりと近づいていくと、「ちょっとした冗談だった」だの「悪かった」だの言い訳や大して心のこもってない謝罪をしてきた。完全にイラついてる俺がそんなことで止まるはずもなく、4人仲良く跡が残らないように気を付けて痛めつけた。その後、他クラスの連中も強行手段に出てきたが一人残らず返り討ちにし、一方的に俺が悪いと決めつけてきたバカ教師を事故に見せかけて潰し学校から排除したりと…まあ色々やったなぁアッハッハ。保身に走った学校側が俺へのイジメや俺の暴行をもみ消したりしたおかげでこの件は闇に封印されたが、俺は変わらず孤立したままだった……ただし悪意ではなく恐れによるものに変わっていたが。
それで、ヤンキー狩りはともかく学校で俺が孤立していることは知っていた母さんが、公立に行かせたら同じことを繰り返すのではと危惧して私立の霜月小に通うことになったっつうわけだ(前の学校が保身に走らなければ確実に書類で弾かれてただろうな)。
で、霜月小での俺はと言うと……以前ほど露骨なものでは無かったが、やはりクラスで浮いていた。名門校だけあって頭が良いのか、俺が相当頭のネジ飛んだイカレヤローだって薄々感づいてるのかもな。
ま、何にしてもありがてぇ。俺の近くでうろちょろされるとぶっ壊したくなるしな。そんなことを考えながら登校していると、校門の前で見覚えのある顔がちらりと。
…………。
そう……俺は今、一人でいたいんだ。
だからよぉ……
「おはよう。……?どうしたヒイラギ?今日はいつにも増して不機嫌だな。それに身だしなみもだらしないことこの上無い。いかんぞ、そんなことでは…(クドクド)」
「んなことでいちいち俺に突っかかって来るんじゃねぇよオオトリ!あと不機嫌なのはこの清々しい朝にお前と遭遇しちまったからだよこのボケェッ!」
はい、というわけで無慈悲、残虐、無愛想のスレ和真君の話でした。こんな自他共に認める人格破綻者がどうして本編のような性格になったのか……。
といっても自身の自己評価は「どうしようもないクズ野郎」なので、本人もこのままじゃダメだと理解しています。しかし苛つく原因は不明、破壊衝動を完全に抑え込める理性もまだ無いため、とりあえず壊しても問題無い奴に八つ当たりして問題を先送りしている状態です。
ちなみにこの頃の和真君、身体能力こそ現在の和真君を大きく下回りますが、それを補うために武器を使う、ブレーキの類いが一切無いため躊躇なく相手を破壊できる、ある理由で“天性の直感”の恩恵が現在と比べものにならないことから、人によっては現在の和真君より厄介かもしれません。