バカとテストとスポンサー~愉快な彼らのバカバカしくも素晴らしき日常~   作:アスランLS

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【前回のシーン(もし和真君と優子さんの関係が現在の状態だった場合)】

和真「ククク、俺と同じクラスになったからには……お前ら平々凡々でありきたりな学園生活が送れると-」

優子「自己紹介ではっちゃけないの!めっ!」

和真「………今言ったことは無しの方向で(シュン…)」

一同(完全に手懐けられてる……)





和真と優子③

【優子視点】

 

「……………zzz」

「こいつは……」

あのハチャメチャな入学式から早一ヶ月が経った。ただ今現国の時間、昨日の席替えで隣になった柊君は始まってまだ10分もたっていないというのに何の躊躇いもなく爆睡している。現国の時間毎回こうなる…というわけではなく、全教科の授業でちゃんと受けるかどうかが完全にランダム、というか完全にこいつの気まぐれによる。見事に問題児一着線だが難儀なことに成績はかなり優秀(アタシほどではないけど)なので先生達は完全に諦めムードだし、クラスメイト達は微笑ましいのかそっとしている。

……でも残念だったわね、このアタシが隣になったからにはそうはいかないわよ。

「ほら、授業ちゃんと聞かなきゃダメでしょ」

起こそうとやや強めに揺すってみたものの、まるで起きる気配がない。……しょうがない、多少乱暴に起こそう。

「んむ…木下……」

「え?アタシ?」

と思ったら何故かアタシの名前を呼んだ。でも目は瞑ったままだし、もしかして寝言?

「お前今…………“UNO”って言ってなかっただろ…?」

「どんな寝言よ!?」

思わず大声でツッコんでしまった。

「……木下さん、授業中ですよ」

「え、あっ。す、すみません……」

先生に軽く注意され、教室のどこからかクスクスと笑い声が聞こえてくる。あぁもう、余計な恥かいたじゃない!……という先生か、なんで夢の中でUNOしているであろうこいつはスルーなのよ!?

アタシが世の中の理不尽に憤っていると、また柊君が寝言を……

 

「……何べんやっても同じだっての。わっかんないかなー、時間の無駄だってよー……わかりやすく言うとだな、木下が俺に勝つなんざお前が日頃やってるダイエットだのバストアップトレーニングだのくらい無駄な努りょ-」

 

……思わず掴みかかってしまった私をだれが責められようか。何故かその瞬間に目を覚まして全部避けられたのは余計にアタシを苛立たせた。その後喧嘩両成敗とあうことで二人とも厳重注意を受けることになったことはもっと腹立だしい。

それよりも、あぁ………一ヶ月間必死にこつこつ積み上げたアタシの優等生像が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いい加減機嫌直せよ木下。そもそもだな、たかが寝言だろうがよ」

「それじゃないわよ!?いやそれもあるけども!どうしてくれんのよ、アンタのせいでアタシが築き上げた優等生像がパーじゃない!」

「むしろその発言がアウトじゃね?というか木下、俺にはバリバリ地の性格で接するのな」

「どうせアンタにはもうバレてるんでしょ…だったら取り繕うだけ無駄よ」

「ほー、潔いな。そういうとこ嫌いじゃないぜ」

「うるさいわよバカ!」

ただ今放課後。生活指導の西村先生からの軽い説教を受けた後、アタシ達は教室までの道のりでまた口喧嘩を……いや、口喧嘩というよりはアタシが一方的にこいつに振り回されている。

柊和真…アタシはどうもこいつに苦手意識があるのよね……。本性をあっさり見抜かれた(アタシの予想では初対面でもうバレてたと思う。今思い返してみるとなんか意味深に笑ってたし)こともあるけど、どうもこいつと話してると何故かカッとなりやすい。愚弟相手ならともかく、アタシそこまで血の気多くないはずなんだけど、こいつは何故か呼吸をするようにアタシの神経を逆撫でしてくるのよ……。

まあそんなわけで、どちらかと言えばかかわり合いたくない相手なんだけど……客観的に見てもアタシ達のクラスの中心は間違いなく柊君だ。こいつははっきり言って社交性の化物で、同学年で面識の無い生徒が既にいないほどの行動力がある。輪の中心に座るのはもはや必然だった。つまり、誰からも好かれる優等生を演じたいアタシからすれば決して避けて通れない相手なんだけど……こいつと関わったら今回みたいに築いた優等生像が崩壊していくのよ畜生!どうすりゃいいのよこんなの!?あと、第三者がいるときは頼まなくてもアタシの猫かぶりに合わせてくれてるのが逆に腹立つ。そんな気をきかせられるならアタシに余計なちょっかいかけるのやめてよ!……もしかしてわざとやってんの?アタシがイメージを守るために涙ぐましい努力をしてるのを適度に邪魔して面白がってるの?……そうだとしたら心の底からぶっ飛ばしたいと切実に思う。

「でもよぉ木下、お前猫かぶんなら男子トイレに突撃したりなんて非常識なことはやめとけよ」

「した覚えないわよ!?」

何突拍子もないこと言い出すのよこのバカは!?

「え?でも確かにこの前入っていくのを見たぜ?何故か男子制服着て。カムフラージュのつもりか知らんがあんなんで誤魔化せる訳ねぇだろ……」

男子制服?……あぁなるほど、そういうことね。

「それ、アタシじゃなくて双子の弟の秀吉よ。二卵性なのに何故か瓜二つなのよね……」

「あー、そういうことか。どうりで木下なのに女みてぇだっ-おっと…女みてぇだったわけだ」

「ど・う・い・う・意・味・よ!?」

「よっ、ほっ、とぅっ…こんな風に暴力に訴えてくる奴よりかは-よっ…可愛げが-ほっ…あるだろう?とぅっ…」

「この、いい加減おとなしく捕まりなさいよ!その腕へし折ってやるんだから!」

「それ聞いておとなしくする奴がいると思ってんの?バカなの?脳みそババロアなの?」

「うがぁぁあああ!!!」

間接技をかけようとしてもことごとく避けられる。今までも何度か手が出たことがあったけど忌々しいことに全部避けられている。さっきも熟睡状態のこいつに掴みかかったのに避けられたし、ホントどうなってんのよ!?

「まぁ落ち着け木下。お前はもう少しゆとりを持った方が良いぞ?」

「誰のせいよ誰の!?」

「わかったわかった悪かったって。この通り頭下げるから許してくれよ」

「どの通りよ!?一ミリも下げてないじゃない!」

「あ、俺これから徹達とサッカーする約束があるからここら辺でおいとましてもいいか?」

「勝手にしろぉぉおおお!」

 

まったく、今日はとんだ厄日よ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…とまあこんな感じよ。……まったく、男子ってほんとデリカシーが無いんだから」

「……そう」

下校中、アタシを待ってくれていたクラス代表(一年生は試験召喚戦争が無いため役割は学級委員長に近い)の霧島翔子に愚痴を聞いてもらっていた。代表はクラスでは一番仲が良く、アタシの素も十全に知っているためたまにこうして柊君絡みの愚痴を聞いてもらっている……のだが、なんで毎回心なしか微笑ましいものを見る表情をしているのよ?

「何がおかしいのよ?」

「……優子と柊はいつも仲良しだなって」

「んなっ!?ど、どうしてそうなるのよ!?」

いきなり何言い出すのよこの子!?

「……だって、柊とのやり取りを話してるときの優子…いつも楽しそうにしてるから」

「!?!!?!!!??」

重ね重ね何言ってんのよこの子!?

 

「……昔は、私と雄二も…」

 

代表が心無しか辛そうな表情になってるけど今はそれどころじゃない!代表の言ってることがもし本当なら、まるでアタシが……いやいやいやないないない!どうしてアタシが

あんな男を…そりゃまあ見てくれはかなりいいし、普段はああだけど肝心な時は気遣いができるし、話してて退屈はしないけど…って違ぁぁあああう!?違うからね!?そんなことあるわけないからね!?

 

結局その日は悶々としてほとんど眠れなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…爽やかな朝だってのに瞼が重い……」

ただ今登校中、コンディションは激しく寝不足。物凄く眠たいけど、昨日の今日で授業中寝落ちなんてしちゃったら柊君のこと責められないし、何よりもう取り返しがつかなくなってしまう。そんなわけで石にかじりついてでも起き続けなきゃならないことを考えると、HR前だってのに憂鬱になる。

「……ん?あれ、柊君と……誰?」

自クラスに向かう途中、空き教室で柊君と見知らぬ女子生徒が向かい合っていた。柊君は自然体だが女子生徒は真剣な表情を……まさか告白!?気まずい場面に出くわしちゃったわ……。それに昨日の今日で…いやだから違う!結論はもう出たでしょ!柊君がどこの誰と付き合おうとアタシには関係な-

「別れましょう!あなたにはもうウンザリ!」

告白現場じゃなくて破局現場だったぁぁあああ!?どうしよう!?もっと気まずい場面だこれ!

「ん、オーケー。じゃあさいなら」

軽っ!?少しは動揺とかしなさいよ!…ほら、女の子の方涙目になってるじゃない!

「バカ!(ブンッ)」

「おっと(スカッ)」

女子生徒としては柊君の横っ面を張って捨て台詞を残しつつ去りたかったようだけど、柊君が避けちゃったから物凄く残念な絵面に。……いやそこは空気読んでひっぱたかれなさいよ、女の子別の理由で号泣しながら出ていっちゃったじゃない…。

「予想してたけど、やっぱアイツじゃダメか……ところでそこの鼠、隠れてないで出てこいよ」

「っ」

バレてる!?なんで!?あの角度からは見えるはずないのに!

「5秒以内に出て来ねぇと、取っ捕まえた後黒板を引っ掻く音を3時間くらい聞かせ続ける。はい1-」

「わぁあ!?待って待って!?」

慌てて空き教室に入る。なんでこいつはこう、嫌がらせの内容が斜め上なのよ!?

「なんだ木下かよ。優等生様にしちゃ随分とお行儀が悪ぃじゃねぇか」

ニヤニヤしながらからかうように揶揄してくる。イラっとするけど非はこちらにあるから我慢我慢……。

「えっと、その…悪かったわよ……」

アタシが申し訳なさそうに謝ると、柊君は何故かきょとんとした表情になる。

「なんであやま…あぁ、そっか。そういや木下は知らなかったな」

と思ったら納得した表情に変わる。勝手に納得してるけど、どういうことよ?

「さっきの、別に珍しいことじゃねぇから気にしなくて良いぞ」

「え?珍しいことじゃないって…」

「俺女子と付き合っても長続きした試しがねぇし。今までで最長は……三週間くらいだな」

「いや短すぎるでしょ!?」

何をどうしたらそんな短期間で愛想尽かされるのよ!?

「いいんだよ別に。そもそも付き合う前から長続きしねぇって奴ばっか告白してくるからな。お前に言っても仕方ねぇことだけどよ、俺をアクセサリーか何かと思ってやがる女子多過ぎねぇか?」

自分で言うのもなんだがアタシは察しが良い方だ。だから、柊君が何が言いたいのかだいたいわかった。

「要するに、アンタの表面やステータスしか見ていない女子ばっかりってことね」

こいつはルックスも成績も良いし運動もできる、それに社交性も抜群にある。そんなこいつと付き合ってる女子はそれだけで一目置かれてもおかしくないからね。

「流石優等生様、そういうことだ」

「その優等生様ってのやめなさい。バカにされてるみたいでイラっとくるから」

「じゃあ犬畜生で」

「ストレートにバカにしろとは言ってないでしょ!?」

「じゃあ閣下」

「どうしてそうなるのよ!?……それに、嫌なら断りなさいよ」

「そうしてぇのは山々だが、昔それで色々あったからな。……意外かもしれねぇがな、俺って意外と口撃力あるんだぜ?」

「全然意外じゃないから安心しなさい」

「わざわざトラブルの素をばらまくのもなんだし、相手が幻滅して離れていくのを待つようにしてるんだ。……俺に振られるより自分から振った方が、相手も安いプライドを守れるだろうしな」

「ほら、そういうところよ」

わざわざ“安い”をつけなくても良いでしょうに…。

「さて、そろそろ教室に………なぁ木下」

「何よ」

「お前、何だか疲れてねぇか?随分と眠たそうだ」

っ!?…一番触れてほしくない相手に……昨夜のことまた思い返してきちゃったじゃない!

「まぁね…昨日中々寝付けなくて……」

やたらと勘の良いこいつに下手な誤魔化しは通用しないので、ここは一部だけ伏せて正直に打ち明けた。

「そうか……木下、午前中は保健室で休んどけよ。先生には俺が言っておくから」

「え?…いや、大丈夫よこれくらい」

「端から見たらそうは見えねぇよ。ノートとかは俺が取って置いてやるから」

「いや、だから…」

「俺にはいまいちわからんが、優等生像とやらはお前にとって大事なんだろ?昨日の今日で寝落ちなんてしてみろ、もう取り返しがつかねぇぞ」

「それは、そうだけど……」

確かにアタシは今寝不足だ。強がっているが、放課後まで起きていられるかというと……

「……じゃあ、お願いしても良いかな?」

「気にすんな。お前に体とか壊されでもしたら…」

「えっ…」

何よその心配そうな表情………やばい!?顔が熱くなっていくのを感じる…し、してない!アタシはちょっと優しくされただけで落ちるようなチョロい女じゃ-

 

 

 

「最近俺のマイブームになりつつある『木下いじり』がままならなくなる」

「この野郎!」

 

一瞬でもときめいたアタシの純情な感情を返せ!…いや、そもそもときめいてないから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




蒼介「なんというか……全力で木下のこと振り回してるな」

飛鳥「あと、優子が凄く女の子してるわね」

和真「そういや最初はこんなんだったな。この頃の優子は良いリアクションしてくれて楽しかったなぁ…今では俺をあっさり手玉にとる魔性の女になっちまって……」

蒼介「お前がアッサリ尻に敷かれてるだけの気もするがな」

和真「うるせぇよ!」

飛鳥「でも、嫌じゃないんでしょ?」

和真「………………うるせぇよ」



ヒロイン力全快な優子さんでした。現在ではではヒロインポジションはどちらかと言うまでもなく和真君ですからね……。

この時点では、優子さんがばっちり意識しているのに対して、和真君は多少の好意こそ持っていますが恋愛感情ではありません。というか和真君が恋愛感情を理解するのは四巻末でしたからね…。構ってほしいからちょっかいかけにいく子供みたいなものです。
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