バカとテストとスポンサー~愉快な彼らのバカバカしくも素晴らしき日常~   作:アスランLS

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本編のプロット製作に苦戦しています……私、乱戦の描写がすこぶる苦手みたいで……。

和真「思い返せばこれまでの試召戦争もほとんど一対一だしな……」


動揺してはいけない土屋家③

【雄二視点】

 

「…………散らかってるけど」

ムッツリーニがそう言いながら自分の部屋のドアを開ける。その言葉とは裏腹に部屋の中は結構綺麗に片付いていた。

「へぇ~。ムッツリーニの部屋はこんな感じなんだ」

「やっぱりカメラとかが多いんだな」

「…………(コクリ)」

「明らかに学生にゃ手の届かなさそうな機材もちらほらあるな。資金源は……言うまでもねぇか」

和真の言う通り、デジカメ一つとっても学生が持っているものと比べると何ランクも上だろう。そして資金源は間違いなくムッツリ商会だ。まさに趣味と実益を兼ねた機材ってとこか。

「本棚は……なるほどね」

「不自然なほどに辞書や百科事典が多いな」

「つーかムッツリーニの部屋に辞典なんかある時点で不自然極まりねぇよ」

「…………どこも不自然ではない」

あのカバーの中にはまず間違いなく辞書とはかけはなれた内容の書物が何冊も入ってるのだろう。恐ろしい強敵の目からどうすれば隠しきれるか常日頃思考を繰り返している俺や明久からすれば、あんな隠し場所机の上に堂々と積んでいるのと大して変わらねぇぜ。

「ねぇムッツリーニ。あの本棚を見せて-」

「んなことより暇潰しにDVDでも見ようぜ。ムッツリーニ、良いよな?」

「…………構わない」

明久の台詞を強引に遮って、テレビの電源を入れてDVDを読み込ませる和真。ムッツリーニが話を逸らすならともかく、なんでこいつが…?こいつがこの場面でムッツリーニのフォローをさるメリットなんて……

 

ははぁ~ん、そういうことか。木下姉と付き合いだして多少改善されたとは思うが…………そういえばこいつ、グラビアすらまともに直視できないほどウブだったよな。そうとわかればこんなチャンス絶対見逃せねぇ…

「まあそう言うなよ和真。DVDなんざいつでも見れるんだしよ、ここはムッツリーニの秘蔵コレクション鑑賞タイムに-」

「すぐにそのへらず口閉じろ。さもないと次蹴るとき手加減してやらん」

「さーてこのDVD何が録画されてるかなー?」

触らぬ神に祟りなしだな、うん。

和真がDVDを再生している間に、暇になったので部屋の中を見回してみる。すると、壁のカレンダーに書き込まれている丸印とメモが目に止まる。なになに……

 

『9月14日 Aちゃん写真集納品日』

 

基本的に明久の幸せは大嫌いな俺だが、自分の知らない内にどんどん世界を広げられていくこいつに少しばかり同情した。

 

と、そんなことをしているうちに、TVの方から音声が響いてくる。

 

《(ピッ)……鳳蒼介の英語講義~日本文学編~》

 

画面には鳳がAクラス教室の教卓についている映像が映っている。この時点で和真が一枚噛んでいるのは明白だが、鳳が仕掛人……こいつがさっきのしゃもじやら鍋つかみといったしょうもないボケをかますことはないだろうし、さほど警戒する必要はないな。

 

《今回は日本文学を通して英語を学ぶ。多国の書物を翻訳する際、異なる言語間による差異が原因で奇妙な翻訳をして原書の雰囲気を壊してしまうといったケースは意外と少なくない。諸君らが将来そういった職業につくのであれば、ここでの講義は決して無駄ではないはずだ》

 

内容もおふざけ要素が一切ないガチなやつだ。……つーかガチ過ぎるだろ。和真、明らかに人選ミスじゃないのか?

 

《ではまず英文はこうだ。

 I am a cat. I don't have any name yet.I can't remember in where I was born, but I can do that I cried "ニャーニャー" at a dark and wet place. I saw a creature as human there for the first time. Later, I knew that the human was a student who was the evilest race in all humans.》

 

この文は……『吾が輩は猫である』か。というかおかしくないか?なんで最初に英文なんだよ、この手の講義なら普通は日本語の文を英語に翻訳していくんじゃ…

 

《これを日本語に直すとこうなる。

 

 

 

吾んねーまやーどぅやる。のーじぇーなーだねーらん。まーんじが生まりたらむさっとぅ分からん。ゆー分からんしが薄暗さぬ湿たいみーんじマーウマーウ泣ちょーたるくとぅびけーやうびとーん。 吾んねーうまんじ初みてぃにんじんでぃ言しんちゃん。あとぅからちちゃしがうれー書生んでぃぬちゅぬなーかんじ一番そーしちぬわっさぬやなさにやたんでぃぬ事》

 

「「なんで方言んんんんんっ!?!?」」

『明久・雄二、アウトじゃ』

あの野郎、真面目な顔してなんつーもんぶっこんできやがって!つーかなんであの内容を表情一つ変えず淡々と読むんだよ!?なんかそれだけで笑えてくるわ!

「柊和真、容赦せん!」

 

バコォオン! バコォオン!

 

「「ケツがぁぁあああっ!!!」」

そして襲い来る衝撃。俺達は急いでDVDを止めようとするが和真に止められてしまう。その時の和真のなんともまあイキイキした表情と言ったら……こいつ、サディストスイッチがONになってやがる!?そしてDVDの鳳は無情にも話を続ける。

 

《そしてこれを古文に直すとこうなる》

 

古文か……英会話の講義なのに古文に直す必要があるのかと普段ならツッコんでいるが、さっきのコテコテの方言に比べたらさしてアレな内容にはならないだろうから安心-

 

《ってゆ~うかぁアタシにゃんこなんだけど~、でもウケることにアタシ名前なくね?ハピバのとこもイミプ~だしマジでチョベリバって感じ~。けどアタシ的には超テンサゲなとこでニャーニャーとオールでオケってた気も-》

「「お前もう黙れぇぇええ(バコォオン! バコォオン!)ぐぁぁあああっっっ!!!」」

真面目な顔のまま何ほざいてるんだこいつ!?古文っつーか……それただのちょっと昔のギャル語じゃねぇか!よくあんなふざけきった文淡々と言えたな!?

「うく、くくくく……ほ、ホントにやりやがったソウスケの奴……」

悶える俺達の隣で和真が必死で笑いを堪えている…もしかしなくてもやっぱりお前の差し金か!というか和真経由って時点でこいつが鳳にいらんこと吹き込むのは確実だろうが!なんで警戒しなかったんだ俺のバカ野郎!

俺達がしばらくして痛みから立ち直ると、まだDVDが続いていることに気づく。まだあんのかよ……

 

《……続いて須川亮の、女子の告白を上手に断る方法講座》

 

聞こえた瞬間、俺と明久はプレーヤーの停止ボタンを連打していた。

「ムッツリーニ、折角こうして遊びに来てるんだ。DVDはこの辺にしておこうぜ?」

「そ、そうだよ。もっと違うことをしようよ」

「…………わかった」

ムッツリーニが頷いたので俺達は元の位置に戻る。ふぅ、当面の危機は脱したな……。

「そう言えばムッツリーニって漫画とかはあまり持ってないんだね」

「確かに見かけないな」

「…………兄さん達が読んでいるのを、たまに読むくらい」

「あ、そっか。兄弟で貸し借りできるのか」

「兄弟がいる利点だな」

「俺は持ってるのは『キャプ翼』と『ドラゴンボール』くらいで、あとはたまに源太に借りるくらいだな」

「え、五十嵐君漫画好きなんだ?」

「『特攻の拓』とかばっか読んでそうなイメージだな」

「やめてやれよ。アイツだって好きでチンピラ顔に生まれたわけじゃねぇんだし(カチッ)」

 

《(ピッ)…そうですね。どう気遣っても、僕と付き合えないという事実は相手を傷つけてしまいますから-》

 

「「和真ぁぁぁあああああッ!!!」」

『明久・雄二、アウトじゃ』

やり方が汚すぎる!あんなキメ顔で“モテる男の苦労”について語る須川の映像を流されて、平然と観ていられるわけないじゃねぇか!?

 

「柊和真、容赦せん!」

 

バコォオン! バコォオン!

 

「「少しは容赦しろぉぉおおお!!!」」

 

 

再びケツに襲い来る地獄のような衝撃に耐えてから、俺達はムッツリーニに向き直る。

「このDVDはやめよう、いややめてください」

「頼むムッツリーニ。あの須川のキメ顔を観るだけで吹いちまうんだ」

「…………わかった」

頷いて、ブレイヤーからディスクを外すムッツリーニ。助かった……あんなもん何度も再生されたらあっという間に限界を迎えるところだぜ……。

「…………それなら、他のDVDは?」

「あ、いや。それは……」

「や、やめとこうぜ。音が欲しいなら…」

状況を打開すべく辺りを見回すと、運良く活路を見いだせそうな物を見つけた。

「ほ、ほら、CDとかはどうだ?」

そう言って俺はCDラックを指差す。

「…………CDはクラシックしか持ってない」

もうツッコミ所しかない台詞だがとにかくスルー。

「いやいや、クラシックでいいじゃない」

「お、おう。クラシックは最高だよな」

「お前らにクラシックの何がわかるんだよ」

余計なこと言うな和真!

「…………そこまで言うなら」

ムッツリーニが立ち上がり、CDプレーヤーの再生ボタンを押す。すると、スピーカーからは荘厳な音楽が流れてきた。

 

《二-B根本恭二、詩の朗読をします》

 

ついでに余計な声も。

「ムッツリーニ、CDもやめよう。僕、クラシックとか苦手なんだ」

「そうだな、実は俺も性に合わないんだ」

「あ、じゃあ俺の持ってるCDでも聞くか。タイトルは『SOUSUKE-魂のヘヴィメタル-』」

「「遠慮しておきます」」

もうタイトルの時点で笑えてくる。

というか鳳、お前も友達だからってこいつの馬鹿げた思い付きにほいほい付き合うなよ!?

「…………了解」

CDを止めるムッツリーニ。だいたいなんで根本が協力してるんだよ……。あれか?一学期散々な目にあわせた仕返しなのか?

「ところでムッツリーニ、ちょっとトイレを借りてもいいか?」

「あ、僕も」

「…………部屋を出て、右手側にある」

ムッツリーニに言われて、俺達は部屋を出てトイレに向かう。

「……まさか、ここには仕掛けはないよな……?」

トイレを前に、俺のこの言葉がきっかけで俺達二人に緊張が走る。その後どちらが先に入るか軽く揉めたが、最終的に俺がじゃんけんに勝って明久が先に入ることになった。さて、何が潜んでやがる……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【明久視点】

 

「……あれ?普通だ……」

警戒して個室の中を見回したが、おかしいところは特に無かった。

「考えすぎだったのかな……」

水洗式で、芳香剤やタオルがあって、あとウォシュレットがついている。壁につけてあるウォシュレットのリモコンには“停止”、“おしり”、“ビデ”の三つ。うん、普通だ-

「ん?」

何かがひっかかる。

もう一度今のところを確認する。ウォシュレットのリモコンがあって、ボタンには“停止”、“おしり”、

“ビデーーー()?”

「っーーーっ!」

即座に息を止めてこみ上げてくるものを堪えた。

ビデオってなんだ……!用を足しながらビデオを楽しめってか……!?普通は“ビデ”だろ……っ!

ツッコミを入れたい衝動を押さえ込んで、平静を保つ僕。落ち着け僕……また()()を喰らいたいのか……!

自分に言い聞かせること数十秒、秀吉のアウト宣告は発せられることはなかった。良かった……本当に良かった……。

息を整えでトイレのドアを開ける。用を足したいという気持ちはいつのまにか消え去っていた。

「おう明久。どうだった?」

「うん。何もなかったよ」

平然と嘘をつく。折角だし、雄二も僕と同じ苦しみを味わうべきだろう。

「そうか、それほ良かった」

僕がセーフだったからか、安心してトイレに入る雄二。バカめ!セーフだったのは、僕の精神力が凄かったからだ!なんとなく気になったので、その場で数十秒待ってみる。

『雄二、アウトじゃ』

『ちくしょぉぉーーっ!!』

アウト宣告と雄叫びが聞こえてきた。一拍遅れて和真がかけつけ、雄二をトイレから引きずりだして罰を執行した。

 

 

 

「くそ……もう下半身の感覚がねぇぞ……」

「ふふっ。あの程度で取り乱すなんて情けないね。あんなのベタベタなネタじゃないか」

「ん?ってことはお前、あれに気が付いても平気だったってことか?」

どうやら雄二は僕がアレに気付かなかったから平気だと思っていたようだ。やれやれ、僕を舐めてもらっちゃあ困るな。

「平気に決まってるじゃないか。あんな“ビデ”と“ビデオ”なんて、誰でも一度は思いつくようなネタなんだから」

「なるほど、やっぱり気付いてなかったのか」

「へ?」

「ちょっと来い」

雄二に連れられて再びトイレに。なんだなんだ?

「スイッチの下の英訳部分をよく見ろ」

言われた通りビデオと書かれた箇所の下の文を見る。えっと………BIDE-

「ーッ!!」

ぐ……う……ぅ……っ!BIDEOって……!これは……僕でも間違えない……っっ!!

『明久、アウト』

「くそぉおおーっ!雄二、余計なことをーーっ!!」

「ざまぁみろ」

このせいで僕の下半身の感覚もなくなり始めてきた。

 




蒼介君が盛大にはっちゃけましたがキャラ崩壊とかではありません。和真が用意したネタをそつなく披露しただけです。



英文におかしい部分があれば指摘お願いします。お恥ずかしながらあまり得意ではないので……。

和真「いやお前、それでも文系か……?」

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