バカとテストとスポンサー~愉快な彼らのバカバカしくも素晴らしき日常~ 作:アスランLS
本編が終わったらこの企画の発展形『笑ってはいけない文月学園』とかもやりたいですね。
【雄二視点】
「…………おかえり」
「遅かったわね」
三人でムッツリーニの部屋に戻ると、なぜか島田が普通に座っていた。
「うっす」
「「ただいま」」
細かいことにあまり頓着しない和真が無反応なのは勿論、俺も明久も島田がいることについてのツッコミなどしない。余計なリスクは避けるべきだ。
「…………何かあった?」
「いや、何も無い」
「ちょっと手間取っただけだよ」
「なんだよその無意味な強がゴファッ!?」
呆れたような声から一転、和真は急に吹き出した。なんだ!?何が起きた!?
「柊はどうしたのかしらね?」
「まったくだーーーぅぐっ!」
「なんだろうねーーーぐぅっ!」
こちらを向いた島田を見て、俺と明久も言葉に詰まる。おのれ……っ!卑劣な……!
「どうしたのよ二人とも?」
「な、なんでもない……!なんでもないから、できれば向こうを向いてくれないかな美波……!」
こちらを向いている島田は、胸がありえないレベルで大幅に増量されていた。しゅ、シュール過ぎる……!足の生えた蛇を見たとしてもここまでの不自然さは出せないってくらい不自然だ……!
「だははははははははは!!あーっはっはっはっはっははごほっ、げほっごほっ!!!(ダンダンダンダンダン!!)」
俺達が必死にツッコミの衝動を堪えている傍らで、
「…………。あ、さては……」
「ん?な、なにかな?」
島田は和真の方を向きながら般若のような顔つきになるが、すぐに俺達に向き直り不敵な笑みを浮かべる。
「な、なにかな?」
「またウチの胸見てたでしょ!」
「ーーーっっ!!(サッ)」
沸き上がる何かを押さえるべく顔を下げる俺達。
ぐぅぅ……っ!まさか……あの島田がこんな自虐ネタをしてくるなんて……!この企画どんだけガチなんだよ……!?
「それにしても、肩が凝るわね~」
胸ではない何かを揺すりつつ、肩に手を当てる美波。や、ヤベェもう限界……!
必死に俺達が息を止めて堪える中、
「……なんてね、あははっ冗談よ」
島田はその緊張した空気を吹き飛ばすように笑った。そして、笑顔のまま言葉を続ける。
「ところで……アンタたち知ってる?」
「「うん?」」
「……ウチ、結構傷ついてるのよ……」
「「だったらやるなぁーーーっっ!」」
『明久、雄二。アウトじゃ』
何だこの企画!?何がこいつらをここまで駆り立てるんだ!?自分を捨ててまで俺達を陥れたいのか!?
「コヒュー……コヒュー……柊和真、容赦せん……!」
バコンッ バコンッ
「いてっ」
「あいたっ」
呼吸が乱れまくってるからか、さっきまでと比べると威力は雲泥の差だった。前から思ってたけどこいつ人の不幸笑い過ぎじゃね?木下姉に飼い慣らされても本質はまったく変わってないってことか……。あ、島田が親の仇を見るような目で和真を睨んでやがる。
「はぁ……はぁ……なあ島田……」
「………………何よ」
「ナイス自虐ネタ(笑)」
次の瞬間島田は鬼神のような形相で和真に殴りかかかっていったが、案の定全部避けられていた。いつ見ても反則染みた瞬発力と直感だな……。
「どうなってんだこの企画……」
「どうして美波まであんなにアグレッシブに参加してるんだろう……」
あの後島田は諦めて部屋から出ていき、ついでに何故か和真も部屋から出ていったため、部屋の中は俺と明久とムッツリーニの三人だけになった。
「…………細かいことは気にしない」
細かいこと……なのか?考えたところで答えはでないから気にしないが。
「しかしまぁ、秀吉が判定係で助かったぜ」
「確かに。秀吉に物真似なんてされたら、平常心なんて保てないもんね」
「ああ、アイツが出てくるのは流石に反則だよな」
はっはっは、と明久と笑い合う。
ガチャッ
「では、今からワシの物真似を見てもらうのじゃ」
「「…………」」
余計なことを言わなければ良かった、と後悔した。
「まずは、わかりやすいところからいこうかの」
胸に手を当て、秀吉が物真似の準備をする。
「文月学園教師よりーー“若者の気持ちを理解しようと思って萌え文化的を勉強したが、いまいち理解できず勘違いして覚えてしまった鉄人こと西村教諭”」
それのどこがわかりやすいんだよ!?
「「………………」」
「………………」
一瞬の静寂。
「『…………自分……ツンデレ、ですから』」
「「ぶフぉっ!」」
耐えられなかった。
「さて……」
吹き出してしまった俺達を気にすることなく秀吉は悪夢のような催しを続行する。
「続きまして、同じく文月学園教師よりーー“学年主任の才女、高橋女子が絶対に言いそうにないこと”」
それもう物真似じゃなくて大喜利なんじゃ-
「『お一人様1パックまでなんて、誰が決めたんですか!!』」
「「ぶハぁっ!」」
また耐えられなかった。
「次はさっき和真からリクエストされたものじゃ」
急に出ていったと思ったらあの野郎そんなことしてやがったのか……。
「同じく文月学園教師よりーー“三年学年主任の綾倉慶先生に似合いそうな台詞”」
十全に警戒しろ俺。和真のリクエストって時点でロクな内容じゃ-
「『13㎞や』」
「「ごほォっ!」」
確かにどっちも糸目で腹黒系だけども!
「次も和真のリクエストじゃ」
アイツは鬼か悪魔か!?
「文月学園生徒よりーー“二-A男子生徒、大門徹が言いたくてしょうがない台詞”」
は?言いたい台詞?どういうことだ?
「『あ、店員さん。この服もう少し大きいサイズありますか?』」
「「だフぁっっ!」」
訂正……鬼や悪魔ごときじゃあ、こんな残酷なネタは思いつきやしねぇな……。
「では、最後じゃ」
もう四度も吹いているというのに、秀吉はまだ畳み掛けてくる。演劇か!?この物真似も秀吉にとっては演劇の一環だからここまで本気なのか!?
「文月学園生徒よりーー“二-F男子生徒、木下秀吉が絶対に言わないこと”」
そう言って、少し間を取る秀吉。
「『実はワシは、演劇なんか大っ嫌いなのじゃ』」
「「…………」」
耐えられた。
「ん……む……?お、お主ら、なぜ吹き出さんのじゃ?」
「「…………」」
「だ、だって、物真似じゃと言っておるのに、ワシがワシの物真似をしたんじゃぞ?それは普通に考えたら変じゃろ?おかしいじゃろ?のう雄二、明久?」
「「…………」」
「な、なぜそんな顔をしておるのじゃ。笑うのじゃろ?本当はもう、堪えきれなくなっておるんじゃろ?」
「「…………」」
「う……うぅ……」
「「…………」」
「お、お主らなんて嫌いじゃぁーーっ!」
いてもたってもいられなかったよつで、秀吉は全速力で部屋から出ていった。
『アウトじゃアウト!二人とも4回吹き出したから二度罰ゲームじゃ!』
罰ゲームのことはしっかり覚えていたようだが。しかし4連発か……これはきっついな……。
そんな風にこれから遅い来る罰ゲームに辟易していると、罰ゲーム執行人の和真が部屋に到着した。
「さて、それじゃあタイキック四連発……といきてぇところだが……」
ん?なんだ?
「八回も蹴んのは正直かったるい。それにどうせお前ら一回蹴るたびにのたうち回って時間とられるだろうしな」
なんか雲行きが怪しくなってきたような……。
「つーわけで……四回分を一発に凝縮しちゃいます♪」
…………イマコイツナンテイッタ?
「首括れよお前ら……今から放つこの蹴りは、今までの四倍痛ぇからよ」
「「待て待て待て待て待て待てぇぇぇぇぇえええええええ!!!」」
死刑宣告に等しいことを言い放った和真に、俺と明久は断固抗議する。
「ふざけんな和真!なんでテメェの都合で俺らがそんなこと受諾しなきゃなんねぇんだよ!?」
「そうだよ!さっきまでの四倍!?そんなの喰らったら僕達死んじゃうじゃないか!」
「問答無用!」
俺達の抗議をにべもなく拒否したかと思えば、次の瞬間には明久の背後に回っていた。
「ちょ、待-」
「走れ稲妻!」
ズガァァァァアアァン!!!
「」
あまりの衝撃に悲鳴をあげることすらできず、明久はペットボトルロケットのように吹っ飛んでいき、部屋の壁にぶち当たってそれきり動かなくなった。
し……死んだのか?
一瞬本気でそう思ってしまうほどに、明久はぴくりとも動かない。あれだけの勢いで蹴られたにもかかわらず、明久は意識を失ってるのかなんのリアクションもしなかった。
……ハッ、こうしちゃいられねぇ!明久の安い犠牲を無駄にしないためにも、俺は早くこの場から-
「逃げられるとでも?」
いつの間にか俺の背後に和真がいた。……というかもう蹴りのモーションに入ってやがる!?
「や、やめ-」
「轟け雷鳴!」
ズガァァァァアアァン!!!
轟音とともにすごい衝撃を受けたことは覚えているが、それ以降の記憶はまるでない。後から振り替えってみて思うことはただ一つ、こういうバカ企画に和真だけは関わらせちゃダメだ。
姫路風クッキーでオチをつけることができないので、和真君に強引に締めてもらいました。
次回からは本編の投稿へと移らせてもらいます。本編で玉野さんを絡ませないとできないストーリーもあることですしね。具体的に言うと黒魔術。