バカとテストとスポンサー~愉快な彼らのバカバカしくも素晴らしき日常~ 作:アスランLS
もうすぐ今年も終わりですねぇ……。
本編投稿は来年になるかな……。
【和真視点】
「さて。次は坂本かしらね」
ムッツリーニの番が終わり、島田が雄二に水を向ける。
「むしろ俺は未来なんざ知りたくもないんだが……」
「……雄二(メキッ)」
「そうだな、抵抗は無駄だな。わかっていたさこんちくしょう!」
やけになった雄二が召喚獣を喚び出した大人になった雄二は、背丈はそれほどかわってはいないが、心無しか雰囲気が柔らかくなっている。源太や明久と並んで貧乏くじ役かとても似合うこいつのことだから、何かしらとんでもない格好で出てくるんじゃないかと期待していただけに、極普通のスーツ姿とはとんだ肩透かしだ。雄二もそれを危惧していたようで、あからさまにホットしている。ちっ。
「よかった……奴隷みたいな格好で出てこなくてほんとよかった……ところで未来の俺」
《なんだ?過去の俺》
「未来で俺はどんな職についてるんだ?」
《あー……一応高校教師をやっている》
僅かに言い淀んだりわざわざ一応をつけたことは多少気になるが……高校教師ねぇ。意外……って程でもねぇか。こいつ勉強教えるのやたら上手いし、ついでに割と面倒見も良い方だしな……学生時代の素行はどう考えても教師とは対極だけどな。
「よしご苦労、アウト」
そして雄二は満足そうに頷きつつ召喚獣を消した。
……いや、早くね?
「……雄二、そんなすぐに消さないで」
「そうだよ雄二。おかげで霧島さんとの関係がどうなっているのか聞けなかったじゃないか」
「目的は進路の確認だろ?それ以外のことを探るのは不純だと俺は思う」
相変わらず往生際の悪さと屁理屈じゃあ右に出る者はいねぇな……お前が抵抗しようが無駄なんだよ。
「なぁ翔子。こいつから無理に聞き出さなくても、未来のお前に聞いた方が早ぇだろ。どうせお前ら間違いなく交流続いてるだろうし」
「おい和真テメェ!?」
忘れたのか雄二、俺は『翔子の恋路を応援し隊』隊長だぜ?この手の話でお前を追い詰めるのに理由なんざいらねぇだろ。
「……やってみる」
翔子が小さく「……
《……(ポッ)》
大きなお腹に-ってちょっと待て!?
「「「アウトぉー!」」」
そんな未来の翔子を見て思わず叫んでしまう俺達男子陣。いやダメだろこれ!?少なくとも進学校の進路指導の延長線上に存在していいシュミレーションじゃねぇ!
「明久君達、何を騒いでいるんですか?」
「そうよ、アキ達はともかく柊までどうしたのよ。別にお腹に赤ちゃんがいてもおかしくない歳じゃない」
「いやいや!そういう問題じゃなくて!もっとこう、倫理的にというか何というか……え?何?僕らの考えがおかしいの?」
「安心しな明久、お前の考えは大概がおかしいが今回ばかりはこの反応が絶対正しい」
率直に言って生々し過ぎる。この方向性の話題に免疫の無ぇ俺にはハッキリ言って荷が重い……というかそれ以前に、ムッツリーニの発想がそっち方向にいけばその瞬間にオダブツだ。何とかそうならないように注意を反らさなければ-
「翔子ちゃん、やっぱりその子は坂本君の-」
こんの淫乱ピンクがぁぁあああ!?
ダメな流れが確定したことに内心頭を抱える俺をよそに、未来の翔子はその問いに答えようと身体を姫路に向けて、
《……あ》
そのお腹に入れてあったボールを落としてしまった。
「「「………………」」」
言葉を失う俺達の前で、てんてんと弾むボール。
《………………》
未来の翔子はそのボールを拾ってお腹に入れ直し、恥ずかしそうに呟いた。
《……動いた》
「うごくかぁぁーっ!」
紛らわしいんだよこの野郎!?お前のことは親友だと思ってるけどシバいていいかなマジで!
「霧島さんは大人になってもお茶目だなぁ」
「…………遊び心を忘れていない」
「翔子ちゃんらしいですね」
「そういう問題か!?ってか将来のシミュレーションなのにネタを仕込んでいるっておかしいだろ!」
そんな雄二の叫びを聞いて未来の翔子が首を傾げる。
《……ネタ?》
「腹にボールを入れて登場するなんて、出オチ以外の何物でもないだろ」
《……???》
雄二の言葉がピンと来ないのか、翔子は更に大きく首を傾げた。
「ん?ウチらを驚かせようとしてボールを仕込んできたんじゃないの?」
《……そんなこと、考えていない》
当然、というように否定する翔子。
…………何故だろう、無性に嫌な予感がする。
《……これは子供が欲しいっていう雄二へのアピール》
「「「ああ、なるほど」」」
「それはもう追い込みのレベルだ」
嫌な予感多分的中。
「なんじゃ、子供はまだできておらんのか」
「坂本君は子供好きなのですぐにできるものだと思っていました」
「普段はあんなに威勢の良いこと言ってるクセに意外と臆病なのね
「まったく、情けないなぁ」
「待て待て待て!論点がずれている!聞くのは将来の進路だろ!」
何か翔子が微笑んでるしほぼ確定だなこりゃ。他の奴らの反応からして誰もまだ気づいてねぇ、っと……よし。
「じゃあ改めて……未来の翔子ちゃんは何をしているんですか?」
《昼はお仕事もしている》
「「「夜は!?」」」
《……頑張ってる》
「「「………………」」」
「お、おい待て姫路に島田!俺と翔子を見て顔を赤くするな!邪推しすぎだろ!?ついでにムッツリーニと明久も唇から血が溢れるほど悔しがってるんじゃねぇ!」
ぅおっ!?すっげぇ憎悪……雄二一人くらいなら呪い殺せそうだ。
「では未来の霧島よ、お主は何を頑張っておるのじゃ?」
《……料理とか、裁縫とか、勉強とか》
おいお前ら、あからさまにほっとしてるけど多分何かしらオチがあるからなこれ。
「いやー、焦ったよ。僕はてっきり違う意味だとばかり」
「あ、あはは……私も勘違いしちゃいました」
《……ふふっ》
そんな明久達を見て、翔子は笑って告げた。
《……そういうお話は、高校生には秘密》
ほら見ろ、こんな風にさりげなく爆弾を投下するのが翔子だ。
「「…………!!(ギリッ)」」
「落ち着けバカども!『今ここでコイツを殺っておけば……!』って顔で俺を睨むんじゃねぇ!」
「「死ねぇぇーーっ!!」」
「危ねぇぇえーっ!?」
明久達が飽きもせずに不毛なやり取りを繰り広げるかたわら、翔子は知りたいことを知れて満足したのか召喚獣を戻していた。こいつにとって一番大切なものは、多分この先決して変わらねぇだろうな。
……にしてもアイツらが最後まで気づかなくてホッとしたぜ。アイツら子供はまだ出来てないって勝手に判断してたが、未来の翔子はそのやり取りをやけに微笑ましそうに眺めただけで、肯定なんざ一切してねぇってことに。
「一人目が欲しい」や「
「それにしても、面白いわねコレ」
「そうですね。シュミレーションだから確定した未来じゃないっていうのがまた気が楽でいいですし」
「それに、今までほど酷い目に遭わないものね」
楽しそうに話をしている島田と姫路。
確かに実害はさほど無さそうだし俺の直感も作用しねぇが……なんだろうな、この無性に引っ掛かる感じは。
「じゃ、折角だしウチもちょっと喚び出してみようかな」
「美波ちゃんは将来どんなお仕事をしているんでしょうかね」
「塗装業者とかじゃねぇの?壁専門の」
「ぶっ飛ばすわよ柊……それにお仕事をしているとは限らないわよ。もしかしたら、専業主婦なんてコトも……試獣召喚っ!」
願望駄々漏れなまま島田はキーワードを口にして召喚獣を喚び出す。
女性用スーツに身を包んだ未来の島田は、ポニーテールをやめて髪を下ろしていた。パッと見では特におかしな点は見当たらねぇが……さて、今回はどんなオチだ?
「あ、美波ちゃんも今よりもうちょっと背が伸びるんですね」
「……脚が長くてカッコいい」
「あ、ホントだ。ウチ、背も大きくなるのね」
自分の召喚獣の傍に立ち、やけに嬉しそうに背を比べる島田。
「ま、外見についてはこれくらいにして……聞くこと聞いちゃいましょっか」
「あ、はい。それじゃ……将来の美波ちゃんはどんなお仕事をしているんですか?」
姫路の問いに対して、未来の島田は少々照れ気味に答えた。
《ウチ?ウチは一応、その……モデルを……》
「「「モデル!!」」
《い、一応よ?いつかはデザインの方もやってみたいと思っているんだけど、そっちはまだ勉強中で……》
「あぁ確かに、ザクだのグフだのリックドムだのややこしいもんな」
《いや、プラモデルは関係無いからね?》
なんでプラモデルだってわかるんだよ……。
「凄いです美波ちゃん!切っ掛けはなんだったんですか?」
《えっと、大学の学園祭で出し物があって、それに参加させられたんだけど》
「……そこでスカウトされた?」
《ううん。熱心な友達がその写真を撮影した挙げ句、勝手にオーディションに応募しちゃって……》
「手垢まみれのベッタベタなきっかけだなオイ」
つぅか何やってんだあのドリル女は……。
「ちなみにその友達は何をしているの?」
《ファッション系雑誌の編集をやっているわ》
悪質なストーカーとかになってないだけまだマシか……。
「友達が勝手に応募しちゃって、なんて台詞を実際に耳にするとは思わなかったよ」
「本当にあるんだな、そんなの」
《でも、それはただの切っ掛け。勿論ウチも興味があったからやっているのよ?》
まあルックスがモデル向き、ってだけでやっていけるほど温い世界じゃねぇだろうな。島田にはこの未来の姿に至るまでも、そしておそらくその先も、少なくない苦労する羽目になるんだろうな。やりがいがあると言えばそうなんだろうが。
《ところで、そんなことより-》
「ん?」
島田の召喚獣が明久の方を向いて嬉しそうに笑ったかと思うと、
《高校生のアキよね!懐かしいーっ♪》
「っっっ!?!?!?」
明久を思いっきり抱き締めた。ほほう、大人になって
「ちょ、ちょっと!何やってるのよ!」
《うーん……可愛いし、抱き心地もバッチリ!》
あらら、明久の奴分かりやすいぐらいデレデレしちゃってまぁ……からかってやりてぇのは山々だが、俺の場合ブーメランになっちまうからここは黙っとくか、うん。
「み、美波ちゃん!そういうズルはダメですっ!」
「う、ウチだってやめさせたいわよっ!」
《よしよし、アキは可愛いわね~》
……傍から見るとこう映るのか。よし、俺も絶対人前ではこうならないよう注意しなければ。
「離・れ・な・さ・い!」
業を煮やした島田が割って入り、召喚獣と明久を強引に引き離した。やたらと赤くなった顔を扇ぎつつ、横目で未来の島田をチラ見していた明久だが、突然愕然とした表情になった。
「っ!ば、バカな……っ!」
「ん?どうした明久?」
「む、胸が……」
「美波の胸が……成長している……っ!」
「「「なにぃっ!?」」」
あまりの衝撃的事実に雄二とムッツリーニ、ついでに俺もノリで驚愕する。
「え?明久君達は気付いていなかったんですか?」
「……服の上からでもわかるのに」
「だ、だって、絶対にありえないことだと思っていたから……」
「殺すわよ」
「髪も下ろしちまったし、未来のお前アイデンティティ全滅じゃねぇか……。大丈夫かよこんな没個性で」
「ぶっ殺すわよ」
島田のさっきから限界スレスレまで膨れ上がったので、おちょくんのはこのくらいにして…………あぁなるほど、そういうオチか。
「しかしアレじゃな」
「ファッションモデルは胸が大きいと採用されにくいというのはデマじゃったようじゃな」
「そういえば、そんな噂もありましたね」
「……美波の胸、Cくらいありそう」
《ふふふ、凄いでしょ~》
将来の島田が胸を張って言葉を続ける。
《これこそが未来の胸パッ》
「アウト」
台詞の途中で、未来の島田は唐突に姿を消した。
俺は真顔かつだんまり状態の島田に近寄り、ポンと肩を叩いて一言。
「人生そんなもんさ」
島田はその場に崩れ落ちた。
【文月学園第二学年代表支持率ランキング①】
~ルール~
各クラスの代表を除いた生徒+担任の計50人にアンケートを取り、自クラスの代表を『良い(2点)・まあまあ(1点)・悪い(0点)』の三択で評価してもらい、その合計点で支持率をランキングにしました。
一位……Aクラス・鳳蒼介
支持率:100%
クラスメイトのコメント
K.Tさん『説明は不要だ。彼以上に僕達のリーダーに相応しい者はいないよ』
K.Yさん『逆に代表がダメなら適任な人なんか誰もいないわよ。……和真?あの子は人を率いるって柄じゃないでしょ』
D.Tさん『特に言うことは無いね、僕はあくまで自分の信条に従って動く。……まあ、僕達のリーダーは彼でいいとは思うけどね』
K.Aさん『ボクとしてはもっと奔放でも良いとは思ってるけど……ボク達のリーダーはやっぱり鳳君じゃないとね』
T.Aさん『あの人は誰より私達Aクラスのことを考えてくれている。だから私達も……うん、彼についていこうって思えるんだろうね』
和真「薄々読めてはいたが、愛されてんなぁお前」
蒼介「それは光栄だな。私も彼らの期待を裏切らないよう、これからも研鑽を積まねばな」
二位……Dクラス・平賀源二
支持率……72%
クラスメイトのコメント
S.Mさん『男にしてはそこそこまともですし、及第点ですね』
T.Mさん『平賀くんが三上さんと付き合ってるなんて……クラスが別になっちゃったせいかカズナちゃんと疎遠になっちゃったのかな……』
蒼介「注目すべきは『支持しない』と回答した者は一人もいない点だ。アクの強いこの二人からもそこそこ支持されていることからも、クラス代表としての地位は安泰のようだな」
和真「覗き騒動にかなり早い段階から協力してた前科があんのに大した奴だぜ。……あと誰かバズーカ持ってこい、今日という今日はあのボケ消し飛ばす」
蒼介「落ち着け」
三位……Eクラス・中林宏美
支持率……64点
蒼介「この作品では出番が悉くカットされるというなんとも悲しい業を背負っているが、クラスメイト達からはそこそこ支持されているようだな」
和真「クラス単位で出番がほとんどカットされてるからキャラ付けができていないせいで、クラスメイトのコメントにも書くことが無ぇのがもの悲しいな……」
蒼介「さて、下位三名の発表は次回行う」
和真「最下位のクソ代表には厳しい罰ゲームが待っているぜ!」
「「「聞いてないぞそんなこと!?」」」