バカとテストとスポンサー~愉快な彼らのバカバカしくも素晴らしき日常~ 作:アスランLS
~ルール~
各クラスの代表を除いた生徒+担任の計50人にアンケートを取り、自クラスの代表を『良い(2点)・まあまあ(1点)・悪い(0点)』の三択で評価してもらい、その合計点で支持率をランキングにしました。
第四位……根本恭二
支持率……50%
クラスメイトのコメント
I.Gさん『可もなく不可もなくなんじゃねぇの?つまりは、まぁまぁだ』
I.Rさん『以前みたいに卑怯って程じゃなくなったし……まぁまぁね』
K.M『これと言って不満があるわけじゃないけど……まぁまぁかな』
蒼介「クラスメイト49人及び担任教師全員が『まぁまぁ』と回答したようだ」
和真「ある意味凄いなそれ」
第五位……小山優香
支持率12%
クラスメイトのコメント
K.Tさん『頼むから少しは辛抱を覚えてくれ……』
蒼介「……とんでもなく低いな」
和真「今学期で俺達に惨敗してクラス設備を最低レベルにまで落としたし妥当だろ。というかこいつが五位ってことは……」
最下位……坂本雄二
支持率……11%
クラスメイトのコメント
H.Kさん『まぁ適任なんじゃね?指揮官としては優秀と言っていいだろ。ソウスケに勝てるかはともかく、勝負になんのはこいつしかいねぇだろうし』2点
K.Sさん『……雄二はいつでも、私にとって最高の人だから』2点
H.Mさん『坂本君はこれまで私達Fクラスの為に一生懸命頑張ってくれましたっ!』2点
S.Mさん『普段はただのバカだけど、いざという時は頼りになるバカ、かな』1点
K.Hさん『和真にその気が無い以上、Fクラスを纏め上げられるのは雄二以外におるまい』2点
T.Kさん『…………異端者ではあるが同時に、大事な顧客』1点
Y.Aさん『所詮ゴリラはゴリラ』0点
N.S『吉井と並ぶ問題児筆頭だ。指導のしがいがあるとも言えるが』1点
その他『異端者は処刑だぁぁあああ!』0点×42
蒼介「吉井以外の主要なメンバーからは中々の支持を受けているようだが……」
和真「FFF団は全員『支持しない』を選択、と……猛烈なデットヒートの末最下位に転落した雄二には罰ゲームとして…」
雄二「なんだ、何をさせるつもりだテメェ!?」
和真「水無しで食パン1本(1本=3斤の長さ)を食べきってもらおう」
雄二「地味にきついヤツ用意したな!?口の中パッサパサになるわ!」
【雄二視点】
「さて、次はワシが喚び出してみようかの。
島田がメンタルブレイク状態から復帰した直後、秀吉が自分の召喚獣を喚び出す。少しの間を置いて幾何学紋様の中から、見知った顔をした召喚獣が出現する。長い髪を後ろで一つに束ねていて背も少しだけ伸びている。ふむ……どう見ても女子にしか見えない現在と比べると、やや中性的よりになってるな。
「むう……」
「あん?何か不満な点でもあんのか?」
「大人の姿なのに髭が生えた形跡すら全くと言って良いほど無いのじゃ……」
「それは流石に高望みし過ぎなんじゃねぇの?」
あんまりな言い種だが秀吉以外の全員が似たような意見だろう。
「よかった……胸が全然無成長してないわ」
「してるわけなかろう!?」
もし仮に秀吉の召喚獣の胸が膨らんでたら、島田に親の仇を見るような目で睨まれてたんだろうな。
「ところで、木下君の進路は」
《ワシなら劇団に所属しておるが》
「ま、予想通りね」
まあこの演劇狂いがそれ以外の道を選んでいる光景なんて想像できないし、聞くまでもないことだったな。
「……じゃあ、優子は?」
《姉上?姉上は……(ザザァッ…)管理栄養士をしておる》
……ん?今、ノイズみたいな音が入ったような……。
「管理栄養士?って何?」
「……食指と栄養に関する専門的な知識と技術に基づいて、栄養指導や給食管理・栄養管理を行う職業」
「アイツの頭なら資格取得は余裕だろうが、なんだってそんな職を…………あぁ、そういうことか」
「愛されてるようで何よりだなぁ和真(ニヤニヤ)」
「黙れチンピラゴリラ」
こいつは将来必ずスポーツ系の職を選ぶだろうから、木下姉はそのサポートわしようとこの仕事を……って流れだろうな。真意に気づいた翔子、姫路、島田も揃って微笑ましそうな表情になってやがる。
「えぇと……どういうこと?」
「簡潔に言うとだな明久、木下姉は和真の-」
「それで秀吉、他の連中はどうなんだ?」
弄られる流れを察したのか和真が強引に話題を転換する。ここでしつこく食い下がれば、おそらく黄金の右足の餌食になるから渋々追求はしないでおく。
《そうじゃな……例えば、久保は代議士の秘書になっておるのじゃ!》
「「「おおおー」」」
能天気な明久達は素直に驚嘆しているが、いち早く事情を察した俺と和真は苦い顔になる。
「そ、そうか……。久保はついにそこまで行っちまったか……」
「なんというか、やるせなくなるな……」
《久保は「特に民法の改正に対して尽力したい」と言っておったのじゃ》
「「…………」」
その一言で察したのか、秀吉とムッツリーニも苦い顔になる。よりにもよって当事者の明久は理解してないが。
「……民法、第731~749条」
「? 婚姻に関わる法律がどうかしましたか、翔子ちゃん?」
「……なんでもない」
明久の奴、理解はしてないが第六感が告げたのか背筋をビクつかせてるな……この件に関してだけは多少同情する。
「じゃあ、工藤さんは?」
《医者の卵として頑張っておる》
医者か……多少は意外だがわからなくはないな。
「よく一緒にバカなことをやったりしているから忘れがちだが、そういや工藤もAクラスなんだよな」
「そうね。医学部志望でも何の不思議もないわね」
「人の身体についても詳しいしね」
絶対医学の勉強目的で詳しくなったわけじゃないだろうがな。
「…………女医……だと……?…………ヤツは……どこまで、人を惑わすのか?」
なんか勝手に
「さて、こんなもんじゃろうかの。アウト」
そうしてひと通り満足した秀吉は召喚獣を戻した。
「じゃあ次は……和真、やってみる?」
「あん?俺は別に興味無ぇんだけど」
「和真が無くても僕達はあるんだよ。皆も気になるよね?和真の将来」
「「「気になる」」」
…………まあ、能力面はともかく性格面がこの上なくデンジャラスなこいつが、未来ではいったいどうなってるのかは多少気になる。……どんな進路を選択しようが普遍的な奴には絶対にならないだろうが。
「ふーん……まあ良いけどよ。試獣召喚」
やはり興味無さそうに、しかし特に断る理由も無かったようで和真は召喚獣を喚び出すキーワードを告げる。
しかし…
ザザッ…ザザザッ……ザーーー
教室中にノイズが響き渡るだけで和真の召喚獣が一向に出現せず、それどころか教室に敷かれた召喚フィールド自体が何故か消滅してしまった。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
あまりに意味不明な出来事に言葉を無くす俺達。なんとなく気まずい雰囲気が続くが、ようやく和真が溜め息を吐き沈黙を破る。
「さてと……撤収」
「「「意義無し」」」
「しっかしアテが外れたなぁ、俺の勘も鈍ったか?」
「? どういうことだ?」
帰り支度をしつつ、和真の意味深な呟きに反応する。
「いやさ……さっきも言った通り俺は自分の将来なんぞ全くもって興味無ぇんだよ。にもかかわらずなんで今の今までここに留まったと思う?」
「言われてみれば……なんでなの?」
「理由は単純明快、何か愉快なことが巻き起こる気がしたんだよ。まぁ、今回は不発みてぇだが」
………要するにこのサディストは、今回の召喚獣の試運転でまた俺達が酷い目に遭わないか楽しみにしてたってわけか……。
「まったく和真は……僕達だって毎度毎度トラブルに見舞われるわけじゃ-」
『きゃぁぁーーーっ!!覗きぃーーーっ!!』
《ご、誤解だよ!僕らはたまたま迷い込んじゃっただけで!》
《ムッツリーニ!お前はよりによってなんてところに連れて行きやがるんだ!》
《…………すまないを昔の癖で身体が勝手に》
運動部の女子達に追い立てられて逃げていく、とても見覚えのあるスーツ姿の三人組が、タイミング良くFクラス前の廊下を通過していった。
「……やっぱ俺の勘は正しかったか。それで明久、トラブルに……なんだって?」
「見舞われるわけじゃ……ないと思ったのに……」
直前の明久の言葉がとても虚しいものに……。
「というか召喚獣は既に戻した筈だろ!?教室内のフィールドまで消えたって言うのに、なんで俺達の預かり知らない所で勝手に沸いて出てんだよ!?」
「恒例の調整ミス……いや、綾倉先生が担当だからおそらく故意だろうな。学園長から押し付けられた余計な労働に対する八つ当たりってとこか」
「どうしてこんな問題を起こすかなぁ!あの連中は一応僕らの分身なんじゃないの!?」
「お主らの分身だからこそ、じゃと思うのじゃが」
聞き捨てならねぇぞ!?明久やムッツリーニはともかく、俺の分身ならもっと思慮深い行動を取っているはず……って今はそれどころじゃねぇ!
「とにかく面倒なことになったらまずい!追うぞ!明久、ムッツリーニ!」
「ああもう了解っ!」
「…………了解」
未来の自分達を追って廊下に出て走る。そして召喚獣たちの姿を探しつつ、俺達は対応策を話し合う。
「雄二!一旦アイツらを戻しちゃった方が良いんじゃないの!?」
「ダメだ!ここでアイツらが消えたら、俺達がスーツを着て覗きをやったと誤解される恐れがある!あの連中を差し出した方が俺達自身には被害が少ない!」
「…………下手に姿形が似ている分、厄介」
やってもない罪に問われるなんざ冗談じゃねぇ!幸い翔子もあの場にいたからアイツに断罪されたりはしないが、それでも理不尽なことに変わりはない。
なんてことを考えながら全速力で駆けていると、同じように前方を走っている女子運動部員共の声が聞こえてくる。
『あの覗き連中、誰だかわかる!?』
『わかんない!きちんと顔見えなかったし!』
『うちの学校の人じゃないかも!』
よし!不幸中の幸いにも顔は見られなかったようだ。これなら召喚獣を消してしまえば真相は闇の中だ!
「雄二!ムッツリーニ!」
「ああ!わかってる!」
「…………OK」
「「「アウト!」」」
三人で走りながら召喚獣送還のキーワードを叫ぶ。すると、その言葉に反応して消え去った。
『『『きゃぁぁあああーっ!?変態ぃぃーっ!!』』』
《ぎゃぁああーっ!?なんじゃこりゃぁあーっ!?》
-逃げている奴等の穿いていたズボンが跡形もなく。
「ちょ……っ!?待って!どういうこと!?どうして服だけ消えてるの!?」
「俺が知るか!どうせまた調整ミスか何かだろ!」
「…………なんという変態仕様……!」
召喚獣を消そうとしたら服だけが消失。どこに需要があるんだこの仕様!?
結果として、成人男性三人組が超クールビズ状態で学校の廊下を奔走するという地獄の構図に。
「まずい!急いで消さないと!アウト!」
「バカ!?よせ明久!」
俺が制止するより先に、もう一度送還キーワードを口にする明久。すると、
《ひぃいいぃっ!今度は上着までぇーっ!?》
未来の明久のジャケットが消え去る。やっばり逆効果だこんのバカ野郎!
「明久!これ以上その言葉を口にするな!事が覗きだけじゃ済まなくなるぞ!」
「わ、わかった!」
それにアイツらは未来の俺達、当然声質はほぼ同じ。あまり喋らせたらロクなことにならねぇのは目に見えてる。たとえば…
『ねぇ!あの覗き犯、Fクラスの三馬鹿に似てない!』
『あ!ホントだ!そういえばどこかで聞いた声だと……』
『さては変装して覗いていたのね!』
……こういうことだよ畜生!
「…………どうする?」
「今アレを消したら有罪確定になる!作戦変更だ畜生っ!」
「あぁ……。たった数分で、どうしてこんなことに……」
やっぱりババァの提案なんかに耳を貸さずすぐさま帰宅しておくべきだった!
『じゃあ、西村先生のところに行きましょう!』
『そ、そうね!全然追いつけないし!』
『あの逃げ足の速さ、間違いなくあの連中よね!』
覗き犯が俺達だと確信した女子部員達は!未来の俺達を追うのを止めて階下の職員室へと向かっていった。
「くそっ!あのまま追いかけてくれたら楽だったものを!」
「どういうこと!?」
「追っていると思った連中が隣にいたら、普通は疑いようもないだろ!」
「な、なるほど……じゃあ今からあの子達の前に出ても」
「鉄人の前に突き出されるだけだ!」
「…………殺生な」
こうなりゃもう証拠を差し出す以外、既に前科のある俺達の冤罪は晴れねぇ。
「こうなりゃ連中を取り押さえて俺達とは別人だとしょうめいする!絶対逃がすな!」
「でも、召喚獣は触れないんじゃ」
「お前がさっき島田と接触していただろ!それなら捕獲も可能なはずだ!」
「「了解!」」
奔騰は一旦送還できりゃ楽なんだが、また服だけ消えたら大惨事だ。ここは追いかけて掴まえるしかない。
「でも、追いつける!?全然距離が縮まらないけど!」
「…………自分に追いつくのは難しい」
「為せば成る!卒業生と現役生の違いってモンを見せてやんぞ!」
こうして俺達は未来の俺達を追いかけるという、青春をテーマにした歌にありがちなシチュエーションを実演する羽目になった。
【和真視点】
「…まあそんな訳で、アイツら本人が覗いていた訳じゃねぇんだよ。下手人は未来のアイツらだから正直冤罪とは言い切れねぇけど、ここは勘弁してやってくれねぇか?」
『ま、まぁ……そういうことなら……』
『仕方ないわね……柊君に免じて不問にしとくわ』
『というかアイツら、召喚システムに大人になってもやってること全然変わらないって判断されたのね……』
やれやれ、余計な手間かけさせやがって……明久達にバレねぇように尾行しながら愉快なハプニングをひと通り満喫してから、職員室に向かった女子部員達を先回りして補足、事情を説明して矛を収めさせた。アイツらじゃ多分召喚獣には追いつけねぇだろうからな。
十分楽しませてもらったし、誤解ぐらいは解いてやらねぇとな。俺も覗きの前科があるっちゃあるけど、運動部の女子はほとんど知らない仲じゃねぇからあっさり信じてくれた。多分明久達ならこうはいかなかっただろうな。
さてと、あとは明久達の任せてさっさと帰るとするか……お、綾倉センセじゃん。
「おーい、綾倉センセ」
「ん?あぁ柊君、今から下校ですか?」
「まあそんなところだ。……ところで綾倉センセ、さっき明久達の召喚獣が暴走した挙げ句、下半身超クールビズ仕様になるという面白事件があったんだが……あれ、アンタの差し金だろ」
「ははは、学園長へのちょっとした意趣返しですよ。あんな目にあった彼らの怒りほぼ間違いなくあのクソババ…学園長に向くでしょうし」
「全然隠せてねぇし、もうクソババァって言い切っても良いんじゃねぇの?」
しかしなるほどねぇ……一定時間経つと女子更衣室の近くらへんに、あの三人の召喚獣が出現するよう予めプログラミングしてたってことか。いくら更正しようが染み付いた習性は完全には消えねぇ。未来のムッツリーニは高確率で未来の明久達を巻き込んで覗き騒動を起こす。さらにその騒ぎを収集しようと駆けつけた明久達が送還のキーワードを口にすると服だけ消えるように細工。そして騒ぎはより拡大、と……相変わらずこの人の策略はえげつねぇな。
「……アレ?てことはFクラスのフィールドが消えたことと明久達の召喚獣が勝手に出現したことは別件ってことだよな?」
「……え?フィールドが消えた?」
首を傾げる綾倉センセに、俺が召喚する際に起きた不具合を詳しく伝えた。
「…っとまあそんな感じだ。しっかし珍しいこともあるもんだな、アンタが意図的でない調整ミスをするなんて…………?」
「………………………………」
「綾倉センセ?」
「え…………あぁすみません、少し考え事を。
教えてくれて助かりました。ちょっと今から召喚システムの点検をしなければならなくなったので、この辺で失礼します」
綾倉センセは何かを考え込んでいたが、俺が呼びかけると我に返り、おそらくはその不具合の原因を確かめるべくメインサーバー室に歩いていった。
「あの人も大変だな………………?…………気のせいか……さて、俺も帰るか」
後になって思い返してみれば、このとき感じた違和感は気のせいではなかったらしい。
はい、ということで年内最後の投稿となります。
年明け後からはいよいよ『ラプラスの悪魔編』がスタートしますのでお楽しみに。