どうやらヒキタニ君が本気を出すようです、まる 作:包み焼きハンバーグ
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どーも。最近両親から「あんたまた影が薄くなったんじゃない? 」と言われ影の薄さと眼の濁り具合が板についた
季節は秋ーーー辺りは紅葉が目立ち、『食欲の秋』だとか『読書の秋』とか呼ばれる季節となって参りました。……って、俺は一体誰に説明してんだ? …………まぁいいか、話を戻そう。
てか、マジでどうでもいい話だが『読書の秋』だとか『食欲の秋』だとかって一体誰が決めたんだろうな。少なくとも俺の生まれた頃にはもうそういう一種の文化があったことだけは確かだ。
他にも地方によって様々な言い方(?)があるらしくポピュラーなやつは『スポーツ』や『芸術』などがある。なんでも、秋は気温的にも過ごしやすいため色々な事がやり易い季節だってなんか先生が言っていたような気がする。いや、俺も詳しくは知らんけどさ。
確かに秋だとか春だとかの季節の移り変わる季節ってのはこう…………言葉にし難いなんとも言えない気持ちになるよな。授業中とか、こう窓から差し込む暖かい日差しが心地よくついウトウトしちゃったりとか。
「で、比企谷? 今日の遅刻は一体どんな理由なんだ? ……殴る前に聞いておいてやる」
という訳で秋の穏やかな空気をベッドでまどろんでいた俺は、絶賛遅刻を噛ましてしまった訳で只今教室の目の前で先生とマンツーマンでご対面ってな感じだ。その前においこら教師。体罰は禁止されてんじゃないのか?それともなに? あれなのか? 俺だから殴ってるとかそういうアレなのか? え?
なんだがそう考えると、何だか微笑ましい気持ちになった。
俺は先生と向き合い軽くニコッと笑う。先生も笑う。なぁんだ、これで一件落着、ワーイワーイ。そのまま俺は、先生を横切り教室内へ…………「ガシッ! 」デスヨネー。
「……で、比企谷? まだ話は終わってないんだが君は一体どこにいくのかね? 」
そう言って俺の肩を現在進行形で握りつぶす(間違ってはいない)位の力で掴んでいる先生ーーー
ふと気になり、平塚先生の腕を触ってみる。ぺたぺた。
「ひゃんっ?! ちょ、おま比企谷?! 」
何だか非常に可愛らしい声が聞こえたような気もするが、きっと気のせいだろう。続けてもう一度…………
ぺたぺた。
「だから止めろと…………んっ! 」
ぺたぺた。
「はっ! ……ん! …… 」
ぺたぺた。
「いい加減止めんかい! 」
「あたっ!」
どうやら調子にのり過ぎたようだ。平塚先生の頬は赤く染まり、肩で息をしていた。てか、どうでもいいけどマジで色っぽいな。あやうく遅刻早々前屈みで教室に入らなきゃならないところだったぜ。
「………で、比企谷はもういいとして……おい、後ろの川崎はどんな理由て遅刻したんだ? まさかお前もこの
そう言って手をパンパンッと埃を払うような仕草をした先生は、俺の後ろに問いかけた。はて、入ってきた時は確か一人だった筈だが……
疑問に思いながらも先生のありがたい
「…………何? 」
「いや……別に」
長く背中にまで垂れた青みがかかった黒髪、余った裾の部分が緩く結びこまれたシャツ、蹴りが鋭そうな長くしなやかな脚。印象的なのが遠くを見つめるような覇気のない瞳。そして、職人芸で刺繍されたかのような黒いレース。
比企谷八幡、只今絶賛賢者タイムである。
「そう……じゃあそこどいてくんない? 入れないんだけど」
そう言って少女はどうでもいいものをみるかのような瞳で俺に向かって話しかける。いや、違うな、この言い方は正しくない。
まるでどうでもいいモノに向かって話しかけるような…………そんな印象を俺は受けた。人としてじゃなくあくまでモノとしてだ。
存外に「あなたそこ邪魔です」と言われ少しむっときたが、あちらの言ってることは至って正論なので素直に道を譲る。これが俺ーーー比企谷八幡と少女ーーー川崎沙希との出会いだった。
ちょうど始業のチャイムもなり、各々が自分の席へと戻っていく。川崎も、まるで何事もなかったように自分の席についた。
川崎の態度になんだか釈然としない気もするが、悲しきかな。改めて自分の立場というかなんていうの? 身分の違いってやつを思いしらされた。畜生…………ぼっちに住みにくい世の中になったもんだぜ。
なんだか沈んだ気持ちになりながらも自分の席につく。はぁ……
「あ、比企谷は放課後遅刻した件について反省文提出な」
…………世界はもっと俺に優しくしてもいいと思う。
誰に言うのでもなく、心のなかで俺はそう呟いた。
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