インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

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第十話

いよいよ第二回戦が始まる。勝ち残ったドイツ帝国、日本、イタリア、アメリカ、イギリス、中国、ロシア、インドの八か国は再び対戦表が作られて発表される。結果は次の通りであった。

 

Aブロック

イギリス対中国

ロシア対ドイツ帝国

 

Bブロック

日本対アメリカ

イタリア対インド

 

と言う感じとなった。ドイツ帝国が日本と戦う場合決勝戦と言うことになる。

 

「にしても対戦相手はロシアか」

 

実のところ第二次世界大戦で戦ったイギリスやロシアとはそれほど仲が悪いわけではない。次代の皇帝の時にイギリスやロシアに無償で復興の支援を行ったからだ。ロシアとしても領土の件はともかくソ連解体の時にドイツ帝国が支援していたために今のロシアがあった。そのため両国ともドイツ帝国の影響力が強かった。

 

ロシアとしては今でも巨大な領土を持っている上にシベリアを中心に大都市が新たに作られており今さらドイツ帝国の色が濃くなった旧領を取り戻そうとする動きは少なかった。

 

「これは面白いことになりそうだ」

 

昨日と同じく皇帝専用席に座ったヴィルヘルム六世は不敵に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イギリス対中国の試合はイギリスが勝利した。続くロシア対ドイツ帝国の試合なのだがアルビーナがウェスティンフォックスを連射して瞬殺してしまったのである。

 

そして肝心の日本の試合であるがさすがと言うべきか。

 

瞬殺する織斑千冬の一撃を避け反撃に転じていた。その様子は観客を盛り上げて第一回戦の織斑千冬の勝利のアナウンス時にも劣らないほどである。

 

「陛下」

 

そこへ武装親衛隊の一人が話しかけてきた。ヴィルヘルム六世は楽しそうに手すりから少し身を乗り出して応援しているクロエとラウラの邪魔にならないように小声で話す。

 

「どうした?」

 

「織斑千冬のデータを取っているものを見つけました」

 

その報告にヴィルヘルム六世は顔を険しくさせた。

 

「…何処にいる?」

 

「Bの150。部下が見張っています。何かあれば報告が入ります」

 

そこへアナウンスが響く。

 

【シールドエンプティー!勝者!織斑千冬!】

 

どうやらアメリカは勝つことが出来なかったようである。それと同時に報告をした武装親衛隊が耳に手を当てる。どうやら部下の報告を受けているらしい。

 

「…目標動きました。仕掛けますか?」

 

「…いや、研究者と合流するまで待て。俺も向かう」

 

「了解」

 

そう言って音をたてずに皇帝専用席の影の部分にまで下がった。それを確認したヴィルヘルム六世は残念そうな顔をしながら二人に話しかける。

 

「クロエにラウラ。申し訳無いが急用が出来てしまった。一時間ほどで戻るからここで待っていてくれないか?」

 

二人とも既に朝のことは忘れておりヴィルヘルム六世の言葉を聞いた二人は少し悲しそうにしたが直ぐに戻ってきてほしいと言ってヴィルヘルム六世を見送ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皇帝専用席を出たヴィルヘルム六世は武装親衛隊の案内のもとデータを取っていた者のいるところまで最短距離を突き抜けた。そのためメンテナンス用通路を通ることとなり誰にも知られずにデータを取っていたものがいる地下駐車場までくることができた。

 

既に地下駐車場は武装親衛隊によって隔離されており人が入り込むことはなかった。

 

「現在の状況は?」

 

データ取りがいる地下駐車場に来たヴィルヘルム六世は遠くから様子をうかがっていた武装親衛隊に聞く。

 

「三分前まで乗ってきたと思われる車の外にいましたが二分前に例の研究者と合流、今は車内で話しています。恐らくデータの受け渡しをしていると思われます」

 

「分かった。このまま逃げられると面倒だ。一気に仕掛けるぞ」

 

「了解」

 

仕掛ける武装親衛隊は十二名四人一組となり四方から近づき抑える。狙うのは研究者が車を降りた瞬間。

 

「全員配置につきました」

 

「よし、合図をしたら一気に行くぞ」

 

そして絶好の機会を待つ。数分の間武装親衛隊に緊張が走る。皆息をひそめてその瞬間を待つ。

 

そしてその時は訪れた。研究者が車のドアを開けて外に出たのだ。

 

「今だ!行け!」

 

ヴィルヘルム六世の言葉に武装親衛隊が一斉に躍り出る。研究者たちはいきなりのことで驚いているもデータを取っていた男は車にエンジンを掛けて一気にアクセルを踏み逃げようとするがそうはいかない。

 

四班のうち唯一女性のみで編成された隊員がISを装着する。それは東方研究所で開発された第二世代「モスカー」である。重装甲が特徴で移動速度はかなり遅いが受け止める力は強くどんなものが突っ込んで来ようと受け止めきれる力を有している。

 

そのため勢いよく車はぶつかり車は大破。乗っていた男二人もけがを負って行動不能となっていた。

 

一方女研究者はISを持っていたらしくアメリカの第二世代をまとって逃げようとする。しかし、車を盾にして武装親衛隊はISに銃弾を当て気を散らして逃げられないようにしていた。そこへデータを取っていた男たちを取り押さえたIS部隊が到着。ロケットランチャーを四人が打ち込んで研究者の乗るISを行動不能にする。

 

例えISを持っていようと所詮動かせるだけで厳しい訓練を受けたエリート集団である武装親衛隊には勝てるはずがなかった。

 

そして研究者のパソコンから無事織斑千冬のデータを回収。しかし、データのコピーがどこかに転送された形跡があるが追跡できないようになっていたためにとりあえずデータを削除して復元できないようにした。

 

これでデータ取りは一応のところ無事逮捕することが出来たのであった。

 


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