インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結) 作:鈴木颯手
後アンケートは終了しました。アンケートの結果ドイツが男でも扱えるIS作って皇帝が変装して入学することとなりました。アンケートに答えてくれた方々ありがとうございました。
「おお、いいところに来ましたね」
「どうなっている!?なぜ一夏をこいつの部下が背負っている!?」
外交官の言葉に耳を貸さずに詰め寄る織斑千冬。ヴィルヘルム六世の後ろでは自身が仕える皇帝がこいつ呼ばわりされたことで顔に血管が出るほど怒っている武装親衛隊の面々がいた。
「実はですね、織斑一夏君はドイツ帝国に誘拐されていたんですよ」
「なんだと!?」
それを聞きヴィルヘルム六世をにらむ織斑千冬。ヴィルヘルム六世はまたややこしいことをと思いつつ誤解を解こうとしたとき本能の赴くままに全力で後ろに飛んでいた。瞬間目の前に現れる剣線。よく見れば暮桜を部分展開させて雪片を握っていた。瞬間頬が切れる感触があり触ってみると血が流れていた。
「…き、きさまぁぁぁぁぁ!!!!」
それに武装親衛隊はブチ切れて拳銃を取り出して織斑千冬に向けて放つ。背負われていた織斑一夏はその辺に放り出されていた。それを見た千冬も切れて暮桜をまとう。こうなると生身の武装親衛隊にできることはなく雪片によって切られていく。
「へ、陛下!お逃げください!」
何とか銃弾を放ち暮桜の気を引きつつヴィルヘルム六世に言う。それを受けてヴィルヘルム六世はその場を後にした。
後に駆け付けた武装親衛隊第五部隊によってその場を沈められた。この騒動によって武装親衛隊は五名が重症。八名が足や腕を切断する事態となってしまった。
これをドイツ帝国は正式に抗議。誘拐騒動の件も含めて世界中に公表された。どう見てもドイツ帝国が正しかったために日本は正式に謝罪。外交官の懲戒免職、織斑千冬の日本代表剥奪、暮桜の永久凍結。更に重傷を負った武装親衛隊の者たちやけがをしたヴィルヘルム六世に対する多額の賠償金を支払うことで決着がついた。なお、ヴィルヘルム六世の計らいで織斑千冬がやったのは部分展開した暮桜で武装親衛隊を殴ったということになった。
「陛下大丈夫ですか!?」
けがを治すためにあのまま病院へと向かい事後処理を高官に任せて武装親衛隊の護衛の下治療をしてもらっていると血相を変えたクロエとラウラが病室に入ってきた。ヴィルヘルム六世はそんな二人に苦笑しながら大丈夫だと声をかける。
「大して切られたわけじゃないし医者の話じゃ傷は完全にふさがるって言ってたし傷跡もなくなるそうだ」
「そ、そうですか…」
「良かった…」
二人はほっと溜息をつく。
「すまなかったな。直ぐに戻ってくるどころか二人に心配かけちゃったな」
二人にそう言うと二人は慌てて返す。
「い、いえ。大丈夫です。陛下の方こそ無事でよかった」
クロエの言葉にヴィルヘルム六世は嬉しそうに二人を抱き寄せる。
「ふぇ!?」
「ほら、心配かけた礼だ。たっぷり受けとると良いぞ」
そう言ってヴィルヘルム六世は二人の髪を撫で始める。
「あ、あぅ」
「クロエもラウラも手触りがとても良いな」
二人の髪は何時までも触っていられる触りごこちだと思いながら頭を撫でる。二人は暫くヴィルヘルム六世に成されるがままであった。
「何なのよあの男は!?」
日本にある女性利権団体日本支部の執務室でわめき散らす一人の女性がいた。彼女は女性利権団体の日本支部長で凝り固まった女尊男卑に染まっていた。
彼女がわめき散らす原因、それはドイツ帝国と日本で行われた賠償金についてである。彼女は政界にも顔が利きドイツ帝国になにも渡さずこちらが被害者だから金を逆に巻き上げろと命令していた。彼女は男が国のトップになっているのが気にくわないのでドイツ帝国を嫌っており更に男女平等を掲げたときはふざけるなと一日中叫んでいた。
「全く!これだから男どもは使えないのよ!」
彼女は懲戒免職処分となった元外交官を貶す。既に執務室はひっくり返ったものでいっぱいとなっていた。
次第に冷静さを取り戻していった彼女は荒く息を吸いながら考える。
「はぁ、はぁ、…くそっ。絶対にあいつを抹殺してやる」
そうつぶやくと携帯を取り出してとある場所にかける。
「…」
「私よ。命じていたことはどうなったの?」
彼女はヴィルヘルム六世を貶めるために使用人の中に協力者を潜り込ませていた。その内容は皇帝に肉体的関係を結び自分の思い通りに動かせるものであった。既に命じてから二週間以上経っておりそろそろ思い通りに動く奴隷となっているだろうと思っていた。
「…」
「ちょっと!聞いているの!?」
しかし、電話の先からは何も聞こえて来ないため女性は声を荒げて聞き返す。
「いい加減にしろ!」
「…ったく、うるさい女は嫌われるぜ」
その言葉を聞いて女性はびくりとした。その声は協力者の声ではなく男の声であったからだ。
「電話の持ち主なら今頃スキューバダイビングで魚と戯れていると思うぜ」
ドイツ帝国諜報員アーベル・バルヒェットはカフェのテラスで店員が持ってきたコーヒーを優美に飲みつつ話す。
「…」
「おや?今度はそちらがだんまりか。まあいいさ」
第二回モンド・グロッソが終わっても活気があるベルリンの大通りを眺めながら「ちょっと付き合え」と相手の女性に言う。
「あんたが何処の誰かは見当がついている。だが、陛下に手を下すなと言われているからな。警告だけしておく」
先ほどまで微笑んでいたアーベルは真剣な表情で電話の相手に言う。
「次はないぞ」
瞬間電話が切れるがアーベルは気にも留めずに携帯の電源を切る。そして今後の予定を立てながら店員を呼んで注文をしていくのであった。
そういうわけで織斑千冬の処遇を軽くした理由は次回に話します。
追記
感想でもあったターニャ・フォン・デグレチャフは十五話で本格的に登場します。転生者ではなく普通の少女です。性格は変わりませんが。