インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

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第二話

ドイツ帝国皇帝フリードリヒ・フォン・ヴィルヘルム・ヴィクトル・プロイセン。通称ヴィルヘルム六世。

 

彼は13で急死した父に代わり皇帝の座に就いた。もちろんそんな子供に政務ができるわけがなくフリードリヒ・フォン・ヴィルヘルム・ヴィクトル・プロイセンの父の時代から宰相を務めてきた者が貢献した。幸い彼は皇帝の座を脅かすことはなくすくすくと成長することができた。しかし、彼が14になったときにそれは起きた。

 

後に白騎士事件と呼ばれるハッキングを受けた各国の軍事施設からのミサイル発射。そしてそれをたった一つのパワードスーツが防ぎさらにはそのあとに来た戦闘機を次々と撃墜して夕日に消えていった。

 

この後あれがISと呼ばれる物と分かりさらに女性にしか扱えないということで女性の立場は上がり女尊男卑が進んでしまったのである。しかし、ドイツ帝国は真っ向からこれを否定して男女平等を掲げたのである。これに同調してドイツ帝国のみならずドイツ帝国の勢力圏の国は男女平等を掲げ女尊男卑を擁護する女性利権団体と真っ向から衝突した。しかし、西の世界の支配者と言われているドイツ帝国に逆らえるはずもなくドイツ帝国及びその勢力圏では男女平等が掲げられ女尊男卑を騒ぐものは現れなかったのである。

 

ドイツ帝国はアメリカを超える大国と言う事もあり世界に配布された467個のISコアのうち100以上のコアを配布されていた。更にドイツ帝国の勢力圏内の国と合わせれば200くらいにはなるだろう。

 

この事もありドイツ帝国のIS技術は発展を遂げた。また他国では兵器としてISは扱われているがドイツ帝国では兵器だけではなく宇宙開発のためにも扱われていた。これはヴィルヘルム六世の趣味に天体観測などがあったためでもあった。

 

第一回モンド・グロッソではドイツ帝国の代表が後にブリュンヒルデと呼ばれる織斑千冬と接戦を繰り広げた。

 

そして既にISが世に出てから五年が経っており第二回モンド・グロッソがベルリンで行われることで大忙しで一から会場を作るほどであった。

 

そしてベルリンの中心地に建てられた皇宮ではヴィルヘルム六世の極秘作戦で密かに潰された研究所から救出した少女二人を歓迎していた。

 

結局試験管ベビーは助けた少女二人しか成功していないらしく丁度軍事技術を教えようとしたところでヴィルヘルム六世の襲撃を受けたらしい。そんな少女たちは初めて見る皇宮に興味津々らしく目を輝かせて色々な部屋を見て回っていた。

 

「とは言え、産まれた時からずっと研究所の中にいたんだ。見るものすべてが新鮮なんだろう」

 

「陛下!」

 

そのように一人考察をしていると一人の老人が近づいて来た。それをみた彼は嫌そうな顔をする。ヴィルヘルム六世が産まれる前から帝国を支え続け今彼が最も信頼している人物である。

 

「じい、どうした?」

 

「陛下、しらをきるおつもりですか?」

 

その目からは何かもお見通しだ、と言っている様に見え彼の背後からはまがまがしいオーラが溢れていた。ヴィルヘルム六世は覚悟を決めて言う。

 

「極秘の案件だったのだ。仔細はちゃんと言っただろう?」

 

「…陛下が出発して数時間経ってから、行方不明でベルリンを大捜索して帝国全域で捜索を始めようとしていた時に確かに貰いました」

 

火に油どころか大火災に爆薬を入れたような状況にヴィルヘルム六世は何とか言い訳を考える。

 

「仕方がなかったのだ。極秘に行わないといけなかったし時間的に猶予もなかった」

 

「…この私に言う暇がないほどですか?」

 

老人の切り返しにヴィルヘルム六世は何も言えなくなる。それを見て老人はため息を吐くとあいれた様子で口を開く。

 

「それで、結局研究所を含めて研究所があった森はほぼ全焼して研究員も全滅。得たものは大きいです。研究所に投資していた輩は全員捕えドイツ帝国の名を守りました。確かに森を焼尽くしつつも得たものは大きいですな」

 

「…すいません」

 

「陛下も今年で19.もう少し余裕を持って行動して頂きたい。…あ、そこの。研究所から救出した少女たちは体を洗ってきれいな服を着せてあげなさい。私は陛下に説教をしますので」

 

老人は近くを通った女中に指示を出す。これにヴィルヘルム六世は慌てだす。

 

「い、いや。私にもやることが…」

 

「皇宮を勝手に抜け出してちょっとした騒動と森を焼尽くした陛下がやるべきことはまずは説教を受ける事です」

 

そのまま説教に入り一時間後に少女たちが戻って来ても説教は続いていたという。

 


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