インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

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第三十話

【お待たせしました!学年別タッグマッチトーナメントの開催です!】

 

皇帝陛下(ハインリヒ・フォン・ヴァレンシュタイン)が観客席についてから少し経って学年別タッグマッチトーナメントが始まった。

 

【司会は二年の新聞部、黛薫子がお送りします!

皆さん頑張ってきた日ごろの成果を十分に発揮しましょう!そして!なんと!今回の学年別タッグマッチトーナメントにドイツ帝国皇帝、フリードリヒ・フォン・ヴィルヘルム・ヴィクトル・プロイセン陛下がわざわざお見えになられています!皆さん頑張りましょう!】

 

アリーナは歓声であふれているが黛薫子の声はそれ以上であった。

 

「声がでけぇな」

 

「そうですね」

 

ヴィルヘルム六世とラウラは控室で様子をうかがっていた。そして最初の感想がこれであった。

 

【早速第一試合!選手の入場です!】

 

そこからは特に突出したものはなかった。そして第四試合。

 

【まずはAピット!

ドイツ帝国より留学しに来た一年三組の人気者!

クラーラ・アーベントロート!】

 

「そう言えば愛佳がそんなことも言っていたな」

 

「…」

 

「ん?わわ!落ち着けラウラ!ここでレールカノンは不味い!深呼吸だ!」

 

【続いて同じくドイツ帝国から来た五組のクラス代表!

コルネリア・ヤルナッハ!】

 

二人ともドイツ帝国の第二世代「モーゲンタウ」を纏っていた。

 

対する相手は訓練機の様で知らない生徒であった。

 

【それではぁ!試合開始!】

 

そこからは終始クラーラたちが圧倒的であった。クラーラが前に立ちコルネリアが援護をするというものだが相手がうまく連携できていないのもあり直ぐに勝ってしまった。

 

【試合終了!やはりドイツ帝国は強かった!勝利を手に入れた二人も奮戦した二人にもどうか盛大な拍手を!】

 

その声と同時に拍手が起こり負けた二人を見送った。

 

【続いて第五試合!世界のイレギュラーにして最初の男性操縦者!織斑一夏!】

 

遂に織斑一夏が登場した。

 

【そしてペアはこれまたドイツ帝国からきた貴公子、シャルル・デュノア!】

 

「…せいぜい頑張ることだ。これが最後の試合になるかもしれないからな」

 

「陛下、もし彼らが優勝した場合は本当に収容所送りは取り消すのですか?」

 

「ああ、もちろん取り消すさ」

 

「しかs「ただし!」」

 

「収容所送りは取り消すとは言ったが()()()()も取り消すとは言っていない。悪名高い刑務所はたくさんある。アイランド刑務所、サバネタ刑務所、コトヌー民間刑務所、ギタラマ中央刑務所。なんならパリに里帰りさせてやるのも悪くない」

 

「ああ、サンテ刑務所ですか」

 

「まあ、アウシュビッツ収容所以外にも辛いところはある。シベリアに送り付けるのもいいかも知れないな」

 

そう話しているうちに試合は終わったらしく二人は勝ち抜いていた。

 

「…そろそろ出番だな。準備はいいかラウラ?」

 

「もちろんです」

 

二人は頷いてアリーナに飛び出した。瞬間歓声は大きくなる。対戦相手はもう出ているようだ。両者ともに打鉄である。

 

【さあ!遂に登場しました!ドイツ帝国より来たりし二人、彼らの前に立てるのは一体誰だ!?武装親衛隊所属ハインリヒ・フォン・ヴァレンシュタイン!ラウラ・フォン・ボーデヴィッヒ!】

 

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁと歓声が上がるが二人は心を入れ替えて相手を倒すことを考える。

 

【試合開始!】

 

その声とともにラウラは前に、ヴィルヘルム六世は横に飛んで中距離連射型レールカノンを相手に放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【試合終了!勝者ハインリヒ・フォン・ヴァレンシュタイン、ラウラ・フォン・ボーデヴィッヒ!】

 

歓声が再び大きくなる。二人を終始圧倒したヴィルヘルム六世とラウラはピットへと戻っていく。

 

「…ふう、勝てたな」

 

ヴィルヘルム六世はISを解除して一息つく。

 

「予想通り、でしたね」

 

ラウラもISを解除してタオルで汗を拭く。

 

「…あいつらが勝ち残れば戦うのは準決勝となりますね」

 

「そうだな。クラーラとコルネリアに勝てば、という条件が付くけどな」

 

ヴィルヘルム六世はラウラの話に肯定する。

 

「さて、暫く暇だし陛下の所に行くか」

 

「そうですね。でもISの整備をしてからにしましょう」

 

「よし、さっさと整備して向かうとするか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先程ぶりですね」

 

IS学園に用意されたドイツ帝国皇帝専用席。その部屋の皇帝が座る玉座に座り皇帝と入れ替わっていたハインリヒ・フォン・ヴァレンシュタインは出迎えた。

 

「今日はあと一戦だけだし試合までは暇だからな。問題ないだろう?」

 

ヴィルヘルム六世はそう言うとハインリヒは頷いた。

 

「本来はこの席も譲らないといけないのですがそれをやっては入れ替わっていることがばれてしまいますからね」

 

「そうだな」

 

ヴィルヘルム六世はアリーナから見えない後方から言う。ハインリヒもヴィルヘルム六世達に体を向けずにアリーナの方を見て喋る。

 

「…ところで、シャルロット・デュノアの収容先は決まったのか?」

 

ヴィルヘルム六世はそのように聞いてくる。既にアウシュヴィッツ収容所への連行は止めて刑務所への連行が決まっているため行き先は決まったのかと尋ねた。

 

「ええ、サンテ刑務所です。里帰りも出来て一石二鳥でしょう」

 

Gut(いいぞ)。シャルロット・デュノアはこの学年別タッグマッチトーナメントが終わり次第ハインリヒ達とともに連行してもらう。Hören Sie(分かったか)?」

 

Jawohl(了解)!」

 


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