インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結) 作:鈴木颯手
「ねえねぇ、クラーラちゃん」
次に試合を控えたクラーラとコルネリアはピット内で待機していた。そんなときにコルネリアがクラーラに声をかけた。
「次は織斑一夏とシャルロット・デュノアのペアだけど陛下のためにわざと負けるべきかな~?」
二人はすでにシャルル・デュノアがシャルロット・デュノアだということを知っている。そしてヴィルヘルム六世が織斑一夏と賭けたことも。
そのためコルネリアはわざと負けるべきか聞いたのだがコルネリアは二人に確実に勝てると思って話していた。それはクラーラも同じであるが首を横に振る。
「態々負けてへi…大佐殿の手を煩わせる必要はない。あの二人に私たちにすら勝てないと絶望させればいい」
「おぉ~、さっすがクラーラちゃん。それなら、やる気を出さないとな」
先ほどまで幼稚な言葉遣いとは一転。獰猛な獣のような覇気をコルネリアは出した。
普段は子供のような彼女であるが一度スイッチが入ると慈悲もない最強の兵士へと早変わりする。
それを見たクラーラはIS学園で生徒に合わせるために支給された「モーゲンタウ」ではなく本来の自分の専用機を取り出す。それに合わせてコルネリアも取り出した。
「…なら本気で行きますか」
「そうだね。織斑一夏とシャルロット・デュノア程度に使うのは可笑しいかもしれないけどドイツ帝国の恐ろしさを教えてあげないとね」
そう言うコルネリアの顔には狂気の笑みが浮かんでいたのであった。
「シャルロット、大丈夫か?」
先にピットへと出ていた織斑一夏とシャルロット・デュノアは互いに確認しつつ対戦相手を待っていた。しかし、シャルロット・デュノアの表情は暗かった。それに気づいた織斑一夏が笑顔で話しかける。
「心配すんなって。この試合にもきっと勝てるさ」
「で、でも。相手はドイツ帝国の人なんだよ?僕たちなんかが勝てるのかな?」
シャルロット・デュノアが弱気になるのも無理はなかった。ドイツ帝国のIS操縦者は企業に所属しているものを除いてすべて軍人。世界一の軍隊と称されるドイツ帝国の軍人の時点で他の生徒よりも一歩どころか何歩も抜きんでているのは明らかであった。
「心配ないよ。ここでくじけていたらシャルロットは収容所送りになっちまうんだろ?そんなことは俺が絶対させないからな」
「一夏」
織斑一夏の断固とした意志に頬を赤く染めるシャルロット・デュノア。はたから見ても織斑一夏に惚れているのは明白であった。
しかし、この時二人は予想にもしていなかった。ここにいるドイツ帝国の軍人は全員普通ではないことを。
【さぁ、遂にクラーラ・アーベントロートとコルネリア・ヤルナッハの登場で…す?】
実況していた黛薫子の困惑の声と合わせて観客席からも困惑の声が聞こえてきた。
二人はドイツ帝国から支給された「モーゲンタウ」を使って一回戦を勝ち上がったために今回も同じだろうと思っていたが違っていた。
モーゲンタウのような灰色の機体ではなく全体的にすらっとした外見。ラファール・リヴァイブのような濃い緑色の外見は恐怖を掻き立ててくるようであった。もう片方は全体的に白に近いごつごつとした外見であった。
「…な、なんだよそれ」
織斑一夏も例外ではなく少し恐怖に飲まれつつも二人に聞く。その問いに答えたのはコルネリアであった。
「別に、何でもいいだろ。お前らが負けることは決まっているんだから」
「何だと!?」
「大佐から聞いたぜ。お前、シャルロット・デュノアの収容所送りを取り消すか賭けたんだってな。ご苦労なこったぜ。お前なんかが優勝できるはずもないのによ」
「…黙れ」
小さく、織斑一夏は言う。しかし、コルネリアは続けた。
「お前のような欠陥機で勝ち残れるわけねぇだろ?遠くから狙い撃ちしてりゃ勝てるのによ。…ああ、だからシャルロット・デュノアと組んだのか。確かにシャルロット・デュノアの技術は高い。全部シャルロット・デュノアにやってもらって自分は何もしないけど勝利を分かち合うってか?」
「黙れよ!」
「黙るのはそっちだ。俺は正論を言っているんだ。逆切れするのは恥ずかしいぜ
そこへタイミングよく復活した黛薫子によって軽く紹介されて試合開始の鐘がなった。
「ほらほら、来いよ欠陥機」
「おまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
織斑一夏は激昂してコルネリアへとまっすぐ突っ込んで行く。それを難なくかわしクロー型レーザーブレード「フライクーゲル」を無防備な背中に切りつける。
「ぐぁぁ!後ろからなんて卑怯だぞ!」
「おいおい、これは戦争だぜ?何甘いこと言ってんだよ
続けてコルネリアは織斑一夏に仕掛ける。織斑一夏はそれに対して防御で精いっぱいで押されていた。
「一夏!」
それを見たシャルロット・デュノアは駆け付けようとするが目の前を三本のレーザーが通り過ぎる。
「っ!?」
「どこに行く気ですかシャルロット・デュノア」
レーザーが来た方向を見れば左腕の指の代わりに三門のレーザー砲が付いた左手ををこちらに向けているクラーラの姿があった。
「彼の相手はコルネリアが、あなたは私がお相手します、
そう言ってクラーラのレーザー砲が火を噴いた。