インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

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第三十三話

【試合終了!勝者クラーラ・アーベントロート、コルネリア・ヤルナッハ!】

 

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁと観客が沸く。その様子をヴィルヘルム六世は満足そうに見ていた。

 

「やはりあいつらとの戦いが一番の激戦となるだろう」

 

既に彼の思考は次の試合ではなくクラーラたちとの試合について考えていた。

 

「…どうやら準備が出来たようですよ」

 

「そうか。なら行くぞラウラ」

 

「了解です!」

 

ヴィルヘルム六世とラウラはそれぞれ「シュヴァルツェア・アーデル」と「シュヴァルツェア・レーゲン」を纏いアリーナへと出た。既に対戦相手は出ていたようでそのうちの一人が話しかける。

 

「男風情が調子に乗らないでよ」

 

どうやら女尊男卑(今時)の考えの持ち主の様でヴィルヘルム六世を睨みつけている。

 

ヴィルヘルム六世はそれを受けてもどこ吹く風で無視を決め込んだ。

 

【試合開始!】

 

「しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

試合開始の合図とともに女は突っ込んでくるがそれは間に入ったラウラの近接散弾型レールカノンによって逆に吹き飛んでいく。

 

「任せた!」

 

「了解!」

 

ヴィルヘルム六世は女尊男卑の女をラウラに任せてもう一人の相手をする。

 

「さて、お嬢さん(フロイライン)相手をさせてもらうよ」

 

「お、お手柔らかにお願いします」

 

もう一人は女尊男卑にはなっていないようであるが内気のようだ。ヴィルヘルム六世はそんな女性をレーザーブレードで攻める。女性も近接ブレードで迎え撃つが徐々に押し込まれていく。

 

「はぁ!」

 

「きゃ!」

 

遂に近接ブレードが弾かれて腹に大きなスキが出来る。そこへすかさずレーザーブレードで切りつける。

 

その後しばらく打ち合うも勝つ事は出来ず女性はシールドエネルギーを空にした。

 

「レーザーブレードのみとは言え意外とやるではないかお嬢さん(フロイライン)

 

「あ、ありがとうございます」

 

ヴィルヘルム六世は女尊男卑の女とラウラの方向を見る。ラウラはAICを使わずプラズマ手刀とワイヤーブレード、レールカノンで戦っていた。

 

「どうした?この程度か?」

 

「く!なめるなぁぁ!」

 

女は近接ブレードで切りつけてくるもそれをかわして着実にダメージを食らっていた。

 

「…俺が出る幕はなさそうだな」

 

そう思い静観しようとしたら女がこちらに向かってきた。どうやらこちらを見ているヴィルヘルム六世を見つけてこちらに向かってきたようであった。

 

「しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

「断る」

 

ラウラに視線で俺が相手すると伝えてレーザーブレードを構える。

 

「男なんかに私が負けるわけないのよぉ!」

 

「それは矛盾しているな」

 

ヴィルヘルム六世は女を蹴り飛ばしその勢いでその場から離れると中距離連射型レールカノンで女を撃った。

 

「ぐっ!」

 

「これでEs Beenden(終了だ)

 

瞬間ヴィルヘルム六世のレーザーブレードによって女のシールドエネルギーがゼロとなり二人の勝利が確定した。

 

「嘘よ!男なんかに負けるはずがない!一体どんな如何様をしたのよ!?」

 

「はぁ?何言ってんだ?これは俺の実力だぜ?」

 

「黙って本当のことを言えっつってんだろ!」

 

そう女は喚くが負け犬の遠吠えにしか聞こえなかった。ヴィルヘルム六世は相手をするのは面倒と思い女を無視してピットへと戻っていった。

 

しかし、その後ヴィルヘルム六世はこのことで嫌な思いをすることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

問題が起きたのは夕食を食べて明日のトーナメントに向けてラウラと部屋で作戦を組んでいた時のことであった。部屋をノックする音が聞こえ扉を開けるとそこには織斑千冬が立っていた。

 

「ボーデヴィッヒか。ヴァレンシュタインはいるか?」

 

「ええ、いますが…」

 

「なら失礼する」

 

そう言って織斑千冬は部屋へと入っていった。

 

「…おや、織斑教諭。どうかしましたか?」

 

ヴィルヘルム六世は無表情になるのを抑えて務めて明るく話す。瞬間何かが来ると思いとっさに避けた。先ほどまで座っていたベッドには織斑千冬が振り下ろした出席簿があった。

 

「…なんの真似ですか?」

 

「…貴様が如何様をしたと聞いてな。指導しに来た」

 

ヴィルヘルム六世の脳裏に今日戦った女が浮かぶがすぐに意識を戻した。

 

「根も葉もない噂ですよ。あれは俺の実力ですよ」

 

「…そうか。だが、このことは他の教師も重く見ていてな」

 

そこまで言われた時ヴィルヘルム六世は次にくる言葉を理解した。

 

「ヴァレンシュタインとボーデヴィッヒは如何様をしたということで反則負け。ヴァレンシュタインとボーデヴィッヒにはタッグマッチトーナメントが終わるまで自室謹慎と反省文三十枚を言い渡す」

 

「な!?待ってください!納得がいきません!」

 

織斑千冬の言葉にラウラは納得がいかなかったようでそう訴えるが織斑千冬は

 

「決定事項だ」

 

と取り合わずさっさと部屋を後にした。織斑千冬が去った後ヴィルヘルム六世はこぶしをベッドへと振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえねえ、あの話聞いた?」

 

学年別タッグマッチトーナメント二日目の朝、山口愛佳は友人と朝食をとっていると友人が聞いてきた。愛佳はなんの事か分からず首をかしげる。

 

「何でもハインリヒ君が如何様をして自室謹慎を受けているんだって」

 

「え!?」

 

愛佳は予想外のことに驚き箸を落としてしまう。愛佳はヴィルヘルム六世が強いかどうかは分からない。一度も戦っている姿を見たことがないからだ。それでも彼が如何様をするような人ではないと信じていた。

 

「…ねぇ、その話詳しく教えてくれない?」

 

詳しく知るために愛佳は友人に聞く。あとに聞いた話であるがこのときの愛佳の目は笑っておらず絶対零度の様であったらしい。

 


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