インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結) 作:鈴木颯手
『そうでしたか…。まさか留守中にそんなことが起きていようとは…。大変失礼しました』
「いえいえ、今回は完全に教師の不手際です。あなたは関係ありませんよ」
通信越しに二人が会話を行っていた。一人はIS学園の学園長、轡木十蔵でもう一人はドイツ帝国宰相のアルベルトである。内容は今回起きた一部の教師によるハインリヒ・フォン・ヴァレンシュタインの如何様による反則負けについてであった。
これを聞いた学園長は驚き、上記の謝罪となったのだ。
『しかし、彼女らを採用したのは私です。責任は私にあります』
学園長はひどく落ち込んでいるようであった。学園長は男性ということもあり女尊男卑をよく思っておらずドイツ帝国が掲げる男女平等に深い関心を持っていた。しかし、自身が採用した教師によって生徒、それもドイツ帝国から来た人物が悪く扱われていることに採用したことを後悔しているようであった。
「とにかく、今回の件は後程正式な文章で抗議します。学園長は今回の首謀者の公正な処分をお願いします」
『分かりました』
その言葉を最後に学園長との通信は切れる。アルベルトは一息ついて呟く。
「全く、日本は面倒ごとを持ち込むのが好きだな」
第二回モンド・グロッソの時の件と言い今回のことと言い日本はドイツ帝国にケンカを売るようなことをしてきた。
「陛下は二回までは許すと仰っていましたからな。日本で一回、IS学園で一回。陛下はああ見えて慎重ですからな。何時陛下の逆鱗に触れるかな」
アルベルトは可笑しそうに笑うのであった。
【さあ!いよいよ学年別タッグマッチトーナメントも大詰め!決勝戦!選手の登場です!】
そのアナウンスとともに盛大な拍手とともに決勝まで勝ち残った二組のチームが出てきた。
片方は決勝戦まで圧倒的な強さを見せ本来の専用機を纏うクラーラとコルネリアの二人。もう一組は同じく圧倒的強さで勝ち残った凰鈴音とセシリア・オルコット。
「クラーラとコルネリアだっけ?私たちは簡単には倒せないよ!」
「知っている。中国とイギリスの代表候補生。それに加えて専用機持ちという時点で強敵に値する」
凰鈴音の宣言にクラーラが冷静に返す。既にクラーラとコルネリアは何時でも動けるように戦闘態勢を整えており凰鈴音とセシリア・オルコットも戦闘態勢に入る。
【それでは、試合開始!】
そのアナウンスとともにクラーラとセシリア・オルコットは後方へ下がりコルネリアと凰鈴音がぶつかり合う。
「私の相手はあんたなのね。上等!」
「それじゃぁ~、殺りあおうか」
コルネリアはいつもの幼稚な喋りから好戦的な表情に変えてクロー型レーザーブレード「フライクーゲル」で攻撃するが凰鈴音は二刀の青龍刀「双天牙月」で応戦する。
「私の相手はあなたですか…。いい試合にしましょうか」
「優美に、華麗にあなたに勝ちますわ!」
クラーラとセシリア・オルコットもそれぞれ離れた位置からクラーラは三門レーザー砲を、セシリア・オルコットはレーザーライフル「スターライトmkⅢ」を使って攻撃していく。その姿は決勝戦にふさわしいものであった。
「調子はどう、クラッカー?」
日本の某所の地下施設。クラッカーの研究施設を訪れたスコールはパソコンと向き合うクラッカーに声をかける。
「…問題ない。既に基礎部分は完成した。後は外付けの武装や起動実験を行うだけだ」
クラッカーはスコールの方を見ないで淡々と答える。
「起動実験はどこでやるか決めた?」
「いや、手ごろな施設を襲わせる予定だ。理論上ISに対抗できる機体だからな」
「それなら手頃な実験場所があるわよ」
何?と初めてクラッカーはスコールの方を見た。そんなスコールは不敵に笑った。
「IS学園」
「おいおい、何で世界各国の最高戦力が集まったような場所を選ばないといけないんだ?」
クラッカーはスコールの頭を本当に心配するもスコールは「そんなことをするわけないじゃない」と言う。
「だったら何だってんだ」
「現在IS学園にはドイツ帝国の皇帝が観戦しに来ているわ。そして今日の夕方ドイツ帝国に帰るそうよ」
クラッカーはスコールが言いたいことを理解して笑う。
「…成程、なら直ぐに武装を装備させて行くとするか」
「ドイツ帝国の皇族は現在一人しかいない。この皇帝が死ねばドイツ帝国どころか世界は混乱するわよ」
スコールは楽しそうに笑う。クラッカーもつられて笑う。
「さあ、世界に教えてやろうではないか!ISが時代遅れであることを!」
「ところで、これの名前は決まっているの?」
「勿論だ。ISを超えるIS」
「