インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

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感想でもあったのですが主人公が全く活躍していないと ありました。残念なことに今回も対して活躍しませんが次回は活躍する予定です。


第四十話

「しねぇ!」

 

近づいたヴィルヘルム六世はレーザーブレードを取り出して横に切りつける。しかし、敵は軽々とヴィルヘルム六世の攻撃を避けるとその巨大な腕で殴りつけてくる。

 

「大佐殿!」

 

そこへラウラがワイヤーブレードを射出して敵に攻撃する。敵はこれも避けるが避けたためにヴィルヘルム六世への攻撃は中断された。

 

「くらえ!」

 

ヴィルヘルム六世は間髪入れずに敵に向かって中距離連射型レールカノンを放つ。しかし、それすら敵はひらりとかわしてしまう。

 

「っく!ちょこまかと…!」

 

ヴィルヘルム六世は悪態を付きつつワイヤーブレードも用いて攻撃するも敵には一向に当たらない。そこへ敵が腕についている大口径の砲門をこちらい向けると同時に発射した。

 

「っちぃ!」

 

そのスピードは早くギリギリ避けることが出来たがかすっただけで百近くのシールドエネルギーを奪っていく。

 

「おいおい、一体どんな威力をしてるんだよ」

 

ヴィルヘルム六世はそんな風に言うが口には笑みが浮かんでいた。

 

「…はは!いいねぇ!この状況、不謹慎だが楽しいよ!」

 

ヴィルヘルム六世はスラスターを吹かして一気に詰め寄る。敵はふわりと避けようとするがヴィルヘルム六世はワイヤーブレードを敵を囲むように発射して逃げられないようにした。

 

「今度こそ!」

 

ワイヤーブレードの端まで追い込まれた敵にヴィルヘルム六世はレーザーブレードを振り上げる。

 

Schachmatt(チェックメイト)だ!」

 

ヴィルヘルム六世はレーザーブレードを一気に振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「陛下!…くそ!急いで運ぶんだ!」

 

一方、敵の攻撃で爆発したヘリに乗っていた皇帝を助けるためにクラーラとコルネリア、さらに護衛についていた武装親衛隊第五部隊の者たちが救助に当たっていた。

 

ヘリ撃墜後すぐに救出に向かったため海の底に落ちる前に引き上げることが出来ていたが容体は悪かった。五体満足ではあるが左腕はひじのあたりから折れて骨が露出しており腹部には金属片がいくつも突き刺さっていた。更に全身から血を出しているがかろうじて息をしていた。幸いなことに肺は無事なようであった。

 

「これほどの傷ならIS学園もしくは艦隊に到着するまでに死んでしまいます!急いでナノマシンを!」

 

武装親衛隊隊員の一人が医療用ナノマシンが入ったケースを皇帝を抱えているクラーラに渡す。クラーラはケースから注射器を取り出して医療用ナノマシンを注入する。少しすると医療用ナノマシンが効いてきたのか息が少しだけ安定する。

 

「急いで艦隊へ行くぞ!確か病院船があったな!?」

 

「はい!一隻だけですが確かにあります!」

 

「なら陛下は病院船で治療させる!IS学園に行っても余計な混乱を招くだけだ!」

 

さらに言えばIS学園の医療施設よりも病院船の医療施設の方が上であった。これはIS学園の医療施設はドイツ帝国が提供したものでドイツ帝国では古いものであったが他国からすれば最新型も同然であった。

 

「病院船に通信を入れました!こちらに急行するそうです!」

 

武装親衛隊隊員の言葉にクラーラは頷き声を上げる。

 

「分かった!私は陛下を病院船へ送る!」

 

「なら私は大佐殿の援護に向かいます~。ここには六人いるので半分に分けて行動しましょ~」

 

コルネリアの言葉に武装親衛隊隊員たちは頷きそれぞれ行動する。その時であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォン!

 

ヘリが撃墜された時よりも低い爆発音が響く。その方向を見てみればヴィルヘルム六世が戦っていたところが煙に覆われておりそこから黒い機体が落下していった。

 

ヴィルヘルム六世の「シュヴァルツェア・アーデル」である。

 

「!?大佐殿!」

 

武装親衛隊隊員たちが駆け付けようとするが落下していたヴィルヘルム六世はラウラによって助けられる。そのことにホッとしつつ敵に意識を向ける。敵は大した傷を負っていないようであったが左肩に切り傷がありそこからは電気を発するケーブルが見えた。

 

「尋常じゃないと思っていたがやはり無人機だったか~」

 

コルネリアはあちゃ~、と言いつつ一気に接近する。

 

敵はそれすらも交わすがコルネリアは獰猛な笑みでおおわれていた。

 

「陛下を傷つけた時点で処刑もんだが無人機なら派手にぶっ壊していいよなぁ!」

 

コルネリアは「ヴェアウォルフ」のモード、凍月軍狼にすると氷の弾を撃ちだしながらクローで攻撃する。しかし、敵はそれすらも回避する。それどころかコルネリアのすきをついて反撃してくるのである。流石にコルネリアは避けきれず氷の盾を形成するも敵の攻撃が当たると消滅するように消えて大した防御にもならずにヴェアウォルフにヒットする。

 

「ぐ!ああ!」

 

それだけでヴェアウォルフのシールドエネルギーは半分以上を持っていく上に搭乗者であるコルネリアにまで衝撃が伝わってくる。

 

「ったく、どんな技術をつぎ込めばこんな機体が出来るのやら」

 

コルネリアは衝撃に襲われた時に口を切ったのか口から垂れる血をふき取りながら言う。ヴェアウォルフは氷の能力を使用しなければ燃費のいい機体である。装甲もそれほど薄いわけではないが決して一撃だけで半分以上も持っていかれるような事は無い。つまりそれだけ敵の能力が高すぎるという事であった。

 

「応援が来る可能性は低いし来ても倒せる保証はない、か」

 

コルネリアは現状を把握して苦笑いを浮かべるのであった。

 


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