エレンたちより一期上の兵士を主人公に。
前作で生き残った登場人物も脇役に添えて、104期たちのうきうきわくわく壁外調査を、アニメ2期でやってるところくらいまでは描きたい。
キリのいいところで区切って、一幕は女型巨人あたりまで。
(全然キリよくないな!笑)
拙作、「それは愛にも似た、」の登場人物が脇役でいます。オリジナルの登場人物なのでご注意ください。前作を読まなくても、物語上、問題ありません。
少年の決意
俺はいつだって好きなようにやってきたんだ。それで今までうまくやってこれた。
常識ばかり重視する大人なんてクソ食らえ。
ちっぽけな世界で安住する凡人には俺は絶対になりたくない。
「後方より増援!」
「目標、加速!!」
「兵長!!追いつかれます!!!」
巨大樹の森の中、恐怖に震えたリヴァイ班の面々の声がこだまする。振り返れば、女型の巨人が仲間のワイヤーを掴んで、その身体を地面に叩きつけていた。
ぎょろりと馬鹿でかい目玉と目が合った気がして、生理的な悪寒が背中を走る。
「リヴァイ」
斜め前方の班長が、先頭を行く兵長の名前を呼んだ。恐怖でリヴァイ班の精鋭たちですらおののくなか、彼女の声はいやに静かで乱れのない声だった。
「あとは頼む」
そう言った班長の顔は見えないが、あれは絶対笑ってる声だ。あの班長は常識人なようでいて頭のネジがぶっ飛んでるから。
こんな死の瀬戸際で、あの上官は人類最強に未来を託して笑っているに違いない。
「……了解だ」
振り返りながら言った兵長の表情は、いつもと変わりなく厳しい。でもその目線はしっかりと班長に注がれている。
ああ。やっぱり。やっぱり、あんた間違ってるよ、リヴァイ兵長。
「荷馬車護衛班!!何としてもエレンを守れ!!女型の巨人を足止めしろ!!!」
班長の鬼気迫る指示に、先輩方が応える。
女型の巨人が迫る。ああ、クソだ。こんな状況は本当にクソだ。
班長がアンカーを放ったのを皮切りに、他の先輩方も馬を離脱し、背後の巨人へと立ち向かう。
ああ、クソだ!!
「なあおい!!エレン!!お前!!間違うなよ!!頼むぞおい!!」
それだけ叫び、前を走る緑色の目玉が大きく見開いたのだけ確認してから、俺は背後の巨大樹の幹むけてアンカーを放った。
最後の一矢になるまで?
ふざけるな。俺はまだこんなところで死にたくない。こんなわけもわからん作戦途中でなんて、死んでたまるか。
「脚の腱を狙え!」
班長の鋭い指示が飛ぶ。先輩方が合図を送る。視界の隅で、エレンを守ったままリヴァイ班の精鋭たちが馬で遠のいていくのが見えた。
俺は死にたくない。こんなところで、誰も死なせたくないんだ。
班長の厳しい顔が、女型の動きを見て歪む。
ダメだ。班長、そっちはダメだ。死んじまう。
リヴァイ兵長。あんたやっぱり、間違ってるよ。
俺は死にたくないし、死なせたくない。絶対、あんたとの約束、俺は果たしてみせるんだ。
俺は、再度誓って、その馬鹿でかい脚の腱向かって、刃を振り抜いた。