……ちなみにこのほかにも2作ほど投稿していますが、そちらも同時進行で書く予定です。
可能性として、こんな人が動かしても問題ないよね?
ep.1 2人目は肥満体質
中学生くらいの時から運動を止めた俺は食べる量が変わらなかったこともあって太り始めた。
それ以来虐められるようになって一度反抗したら、してもない暴力を振るわれたと教師に言ったらしく一方的に否定されたことはまだ鮮明に覚えている。それ以後俺は教師というものを全く信用しなかった。タイミング悪く二度の受験日をインフルエンザで落とすことになり、バカな私立校に行くことになり、本当に同じ人間かと疑いたくなるほど行儀というか常識が違う人たちと一緒にいて、教師が何もしないという現状を目の当たりにしたこともその1つだろう。むしろ、それの方がかなりマシだということがよぉくわかった。
「……つまりあなたは、私も推薦されたんだから出ろ、と?」
「そうだ。それにオルコットからも誘われているし、何よりもお前の糧になる」
ここまでの経緯は簡単なこと。クラス代表を選出する時にもう1人の男が選ばれたが戸惑ったそいつは俺を推薦したのだが、それに納得が行かなかった女が異議を唱えて日本を侮辱したので男が侮辱し返して決闘騒ぎ。その2人には「平和的な解決」という言葉がないらしい。だが何故か俺も「試合に出ろ」と言われて異議を唱えているのだ。ちなみにその女は決闘する道具ではベテランだが、俺たちは素人。どう考えても俺たちに勝機は見出せないぐらいである。ましてやその道具は数に制限があり、予約が中々取れないのだ。おそらく試合の日にまで練習は全くできないと思った方が良い。
「………何度も申し上げていますがお断りします」
「何故だ? さっきも言っただろう、糧になると」
「本気で言っているなら異常者だよ、アンタは」
「何?」
「何を考えたら俺がこいつらとやることが糧になる? 実力は雲泥の差な上に向こうは戦う気が満々。しかも相手はモラルを失った脳に異常を持つ女」
「―――お待ちなさい! わたくしは脳に異常など持っていませんわ!」
「素人相手に「実力を示せる」なんて言えば脳に異常があるって考えるのが普通だと思うけど? しかももう片方は………っていうかもうこれ遺伝だろ。姉弟揃って馬鹿とか救いようがない」
「ちょっと待てよ!? 俺まで馬鹿にするのか!?」
「もはやお前ら3人は何でまともに生活できたのか不思議なくらいだ!!」
ああもう嫌だ。ここって成績優秀者が集うIS学園だよな? 何で馬鹿しかいないんだよ。警察を使えたことを含めたらまだ前の高校の方がマシだ。
「って言うか他の奴らも大概だけどな。女が男に勝てるかどうか以前にIS学園に核ミサイルをステルス性でぶっ放したら大半が死ぬし、その前にも争奪戦で血を血で洗う戦いが起こることなんざ明白だろうが。今俺がここでちゃんとした装備で毒を撒けば少なくともこの階にいる奴なんて楽に殺せて、専用機所持者からはISを奪えるし「何でISを所持していながら生徒を守ることができなかったのか」とIS学園の、ひいては学園に所属する候補生がいた国のイメージを下げることも可能。他の所だってそうだ。ISは世界で467機しかないなら最高でも467人しか助からないし、ISを常時展開していたら刑罰に処されるんだから常時展開はまずないから能力如何によっては薬か何かで誘拐して強姦や拷問などの手段も取れる。まぁ、ちゃんと訓練が積まれている奴ならばそうはならないだろうが、生徒の大半は一般人なんだから誰か選んで1人になったところを弱みを握るなりなんなりして人気がないところに移動させて殺すことだってできる。傷つけるだけなら今すぐにでもできるしな。ま、すぐ捕まるし犯罪者として扱われるしでデメリットしかないし、何よりも時間と金の無駄だからしないけどな」
全員が俺の顔を見て青ざめる。
太っている奴は動けない。確かに一理あるし間違いではないのは認める。
「以上の事から男でも女を潰せることを仮定したが、証明するべきか? 俺の目の前にいる奴なんて格好の獲物だけど?」
「そんなことをすればどうなるかわかっているな?」
「わからないのはアンタの弟くらいだろ」
「俺でもわかる」と反論している馬鹿は置いといて俺はため息を吐いた。
(………何でこんなことになったんだろ)
原因は知っているけど、今手を出せば間違いなく俺が悪者扱いだから我慢するしかない。だけど俺は、こんな学園に通う原因なったもう1人の男子である織斑一夏を徹底的に殴った後に窓から突き落としたいと思った。
この世には、インフィニット・ストラトスという女にしか扱えないパワードスーツがある。
そのせいで世界は何故か「女性優遇制度」というものを設けて女を優遇した。結果、発祥である日本では特に男女間での力関係が逆転して男は女の奴隷に成り下がった。法律を使えば女を逮捕することも可能だが、通常の懲役の半分で釈放されるという意味のわからない状況になっている。……なお、精神障害者や無差別に人を殺した女性はその限りではないらしい。
インフィニット・ストラトス……もとい、ISは女にしか扱えない。だが、それなりの割合で女でも扱えない人はいるにはいるし、妹はランク不足で受験を諦めるように中学の教師に言われたらしい。でもそれは自分の性質であって俺は関係ないのではないから、八つ当たりで俺を攻撃するのは理不尽だと思う程だ。そう、だから俺が動かしたところで俺に不幸しか訪れなかった。
ある日、織斑一夏という男がISを動かせることが判明した。
連日そのニュースが放映されていて、楽しみだったアニメが飛んだ時は本気で泣きそうになった。で、通っていた高校からISの適性試験をするから絶対に来いと言われた。
―――面倒だ
最近のアニメは分野にもよるが結構裏の話をすることが多い。主に政治的戦略とかがそうだけど、もしISを動かした場合はまず実験体としての扱いをされるのはあり得る。そうなると本当に面倒だと言わざる得ない。
そんなところに喜々として受けに行こうとするなんて……俺が通っていた高校にいる人間は大体そう言う奴らだった。
「畜生! このIS、壊れてんじゃねえのか?!」
「バーカ! テメェが屑だからだろ。その点俺は紳士だから問題な―――何故だ……」
「馬鹿共が。こういうのは俺のように相応しい人間が動かし………あれ?」
それが普通だろうに。
試験会場で騒ぐ後輩らを見て俺は顔を引き攣らせる。その後ろには同級生が後輩を慰めながら下心を出しつつ触れたけどやっぱり無理だったようだ。
なんてやり取りを傍観していると、しばらくして俺の番になった。
「はー、早く終わってくれないかしら。これじゃあ電池が無くなってしまうわよ」
「……………」
受付の人が片手でスマートフォンを操作しながら紙をシュレッターにかけてる。……たぶん動かせなかった人の名前が書かれている名簿だろう。最後の所に同級生の名前が書かれていた。
そう言えば、と思って鞄から充電器を出して渡した。
「これをどうぞ」
「あら、デブのくせに気が利くじゃない」
それを受け取った女性はさも当然のように近くのコンセントに刺して使い始める。だけど断線していたからか中々使えないようだ。
「真ん中辺りを軽くつまんだら動きますよ」
「は? というかもう少しまともな物を寄越しなさいよ!」
「では、僕はISに触れてきますので。あと持ち合わせはそれしかないんです」
そもそも、充電器は常備が基本だっての。というか業務中に仕事を放り出して遊ぶな。……なんて言わないのはお約束である。というか他人が何をしようが俺には関係ないことだ。
文句はさておき、まずはISの適性テスト。ま、そんなものは最初からないと相場が決まっている。そもそも、これまで1人としてISを動かせなかったのに、たまたま1人動かせただけでとても見つかるとは思わない。
ISに手を触れるとやっぱり特に反応を示さない。これが普通であり当たり前だ。それに、仮に織斑一夏という男以外にISを動かすことができるならば、それはこの女尊男卑という歪んだ世界の中でも強い意志を持った人間だろう。俺の場合、そんなものは一切ない。だから―――
―――キンッ
変な音がしたかと思ったら何かが体に纏わりついてくる感覚を味わう。気持ち悪くて吐きそうになる。
―――ありがとう
お礼? ごめん。その前に……この気持ち悪さをどうにかしてくれ。
気が付けば、俺は保健室のベッドで寝ていた。
卒業式が終わって以来、来ることがなかったその部屋に久々に来たことよりも、教員が俺を不安そうな目で見ていることに違和感を感じた。
「……目が覚めたか?」
「先生、どうしたんですか? もしかして家族に何があったんですか?」
日本一悪い高校と言われる私立黒葉高校。そこに通うことを許してくれた家族を俺は心から大切に思っている。一度大変な目に遭わせたこともあるし、それでも変わらず愛情を注いでくれたことに感謝している。
「……その、覚えていないか? お前は……ISを動かしたんだ」
「はい?」
「すぐに政府のお偉いさんが来る。落ち着いて、あったことをすべて話せ。俺から言えることはそれだけだ」
そこからは大変だった。
政府の人たちがやってきてあったことを話すと「親と話をする」ということになり家に強制連行。そこで今後のスケジュールについて言われたのだ。
「息子さんにはIS学園に入学してもらいます」
予想の超えていたその答えに驚いた。てっきり、この容姿だから研究所に行かされると思ったのだ。
そしてこの答えは、秘書も驚いているようだ。
「ど、どうしてですか!?」
俺や後ろで聞き耳を立てている妹よりも早く秘書が叫ぶように言った。
「何でこんな男がIS学園に通うことが許されたんですか!? こいつデブですよ!?」
俺だって驚いたが何もそんな言い草はないだろう。そんなことを言ったら女尊男卑思考を持った女は全員摂理に逆らう愚者じゃないか。
「連れていけ」
かなりの権力があるのか、男性がそう指示すると複数の男たちに連れて外に追い出された。
それからはこれからのスケジュールを教えられ、入学願書を泣く泣く書かされて、受け取ったら帰って行った。
……さらば、俺の薔薇色キャンパスライフ。
■■■
「納得いきません!」
秘書が担当者の男にそう叫ぶように言った。
この秘書は女尊男卑者であり、それを承知で担当官も連れてきたがここまで場をわきまえない人間だとは思わなかったのだ。
「……何がだ」
「どうしてあの男がIS学園に入学することになってるんですか!?」
「……君、大学はどこかね?」
「物和大学です」
その大学は確かにレベルが高い大学だが、日都大学には遠く及ばないものだった。
担当者は2人目である夜塚透が日都大学に入学が決まっていたことを告げると、秘書は顔を青くする。
「日都大学は国際的な教育を主流とし、1年の頃から諸外国の有名な教授にチェックされる。特に本当の学年主席が荒くれものが多い高校から出たとなればそれなりの話題性であり、既にマークされているだろう。そこで研究所なんかに送ればどうなると思う?」
「………日本に対する一方的な批判、そしてあらゆる締結の解除に、制裁を下すという理由での戦争ですか」
「織斑一夏の登場により、1機のISの開発は凍結された。彼は適性値こそ低いが一つ間違えれば火種になりかねない。故の措置だ」
もっとも、本人がその高校を選んだ理由は「馬鹿校ゆえの勉強のしやすさ」という理由も含まれているが、そのことを2人は知らない。
「それに、IS学園に行けば嫌でも本人から研究所行きを願うさ」
IS学園にいる生徒は、普通の生活をしていた者にとっては異常だ。
男は女の奴隷という認識を持つ者が多い。特に透の担任になるであろう女性は最悪だった。すべてが自分の思い通りになると勘違いしている代表格。以前、男たちの一計で彼女の弟がさらわれたことがあるが、結果的に彼女は堪えた様子はない。
そんな女が今、教鞭を振るっている。その猛威が男に振るえばどうなるか、想像することは容易い。
「まぁ、精々我々の賭け対象にでもなってもらうか」
そうほくそ笑む担当者の男。秘書はその笑みを馬鹿にしながらも同調するように笑みを作った。
■■■
ノートパソコンとデスクトップパソコンを何故か1台ずつ買ってもらって、どちらも普通に買うよりもスペックが高い。そんなものを俺に渡した後、両親と妹は家から出て行った。俺に愛想が尽きたのではなく、そうなったのである。保護プログラムというものでそうなった。妹は「日本旅行できる!」と何故か喜んでいたけど、両親は浮かない顔をしていた。
そして俺は一足早くIS学園に来ていた。勉強するためにそうして欲しいと思ったからだ。
「お前が夜塚透か?」
正門であまりにも大きな施設に唖然としていると、急に声をかけられて驚いた。
「………コスプレ?」
「出会った第一声がそれはどうなんだ?」
「すみません。まさか日本の国家代表がこんなところでスーツを着て立っていることに驚いたので」
「私の事は知っているんだな。ISには興味がないと聞いていたのだが?」
「まぁ、織斑千冬さんのことは誰でも知っていますよ。第一回目に優勝して、第二回目で決勝戦をすっぽか……辞退したことは有名ですし」
「今、すっぽかしたと言おうとしなかったか?」
だってそうじゃないの? って言ったらISを展開して攻撃されそうで怖いな。
「気のせいですよ。それよりもどうして日本の代表が門番なんかしているんですか?」
「代表は引退した。今は教師をしている」
「…………ああ。なるほど」
おそらくIS操縦の教師だろう。感覚派の指導は自分の能力が下がるだけなので勘弁してもらいたい。
「これからよろしくお願いします。では、これで失礼します」
「待て。お前を探していた。私に着いて来い」
「……話が見えないので説明をお願いします」
追いて来いって言われて素直に行くほど、俺は甘くない。
「……これから、お前には試験を受けてもらう。なに、IS操縦の試験だ」
「それなら構いませんが」
その後、俺は騙されたことから、織斑先生を内心「嘘つきババア」と呼ぶことにした。
人物紹介
・夜塚透
その近辺に近付くことが自殺行為と言われるほど恐れられている不良校を卒業した18歳。中学入学前くらいから太りだしているが、元々そこまで異性に興味がなかったこともあり、特に自分の体型は気にしていない。なお、不良校卒だが大人しいようで、有名大学である日都大学の入学が決まっていた。家族思いだが妹には嫌われている。