IS-Lost/Load-   作:reizen

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ようやくレイジバースト終わりました。


ep.17 愛と萌えと嫉妬と本音

(そろそろ昼、か)

 

 というか、既に午後2時に近い。簪は今日はいないので自由に使っている。

 

「今日も作業? 精が出るわね」

「楯無か。できればチャイムを鳴らすくらいはしてほしいんだが………サボりか?」

「休憩よ」

 

 力強く言うからあながち間違いでもなさそうだ。

 

「それでどう? 進んでる?」

「まぁな。後はシステムを弄って機動力を強化かな」

「………なんでもできるのね」

「元々システム系の技術者を目指していたからな」

 

 多少だが心得もあるから、覚えるのはすんなりだった。……まぁ、レベルが低すぎる高校の特権でもあるといえばある。一定の場所にいれば襲撃は回避できるからな。

 

「じゃあ、マルチロックオン・システムとかも?」

「………簪は近くにいるか?」

「……いないけど」

 

 俺も周りを見て誰がかいないかを確認して言った。

 

「……実のところ、できてる」

「!? 嘘でしょ?」

「テストは済んでいるがな。とはいっても選択式というか、銃を向けてロックするんだがな」

 

 第三世代兵器としてはもっと違うものなんだろうが、第二世代でのマルチロックオン・システムとなると、ミサイルを飛ばすなら武装用センサーとハイパーセンサーをリンクさせて移動させ、一定時間の間ロックし続けるだけの代物だ。20秒ぐらいだが、それ以降は勝手にキャンセルされる。

 

「とはいえ、所詮は世代を超えられない程度のものだが、ミサイルに使うなら立派なものだろう?」

 

 第三世代のものは所謂思考操作系のものだ。だから戦闘中にどこに使うか、というものが目線だけで定められるものとなっている。だが俺のマルチロックオン・システムは銃口を移動させるもの。ハイパーセンサーを使えばズームですぐにわかるが、そんなことをするのは無謀すぎる。

 

「一応、俺の奴にも組み込んであるが………」

「……それを第三世代にすることはできるわよ。私じゃないけど」

「………俺、あの人苦手なんだけど」

「それくらい自分で頼むわ」

 

 たぶん、布仏虚だろうな。楯無は最初から冗談だとわかっているが、奴は本気で拒絶するし殺気を放つし怖い。………まぁ、隙あらば楯無のおっぱいは堪能したいと思ってはいるが。

 

「ところで楯無、聞きたいことがあるんだが―――」

「何かしら?」

「お前って、前に別の機体を持ってたのか?」

「ええ。まだ変更されていないのかしら? それがどうしたの?」

「………それって第三世代?」

「というか、ミステリアス・レイディの試作型よ。そもそも、私は生徒会長になるまで代表候補生でもなかったのよ。ただ、前の生徒会長を倒したけど専用機がないからテスト機だった「グストーイ・トゥマン・モスクヴェ」をもらっただけ。実力が認められて国家代表になった時に完全に馴染むためにグストーイの機体データを基に作ったのがレイディなの」

「………確か、打鉄弐式って第三世代だったよな?」

「………そうね。ちなみに倉持技研には性能で言えば白式という第三世代機があるけど、ちゃんとした第三世代機はまだないわよ」

「………離脱と回避ももちろんだが、簪の好みで高機動型として元データもなしに弐式を作ってんだよな?」

「まだ完成してないけどね」

「……聞くけど、お前何もない状況から第三世代機作れって言われたら作る?」

「参考データないのに作れないわよ。というか本当に虚ちゃんと薫子ちゃんの助言があったから作れたのよ、あれ。そんな状態で作れって言われたら流石にちゃんとした施設で作るわよ」

「………とっくに姉を超えてるじゃねえか」

 

 きっかけは、楯無が一人で作ったというデマだが、アレはそれを超えようとしている。というか既に超えている。

 

「なぁ楯無」

「何?」

「簪に嫌われてエロい方法で慰めて」

「別の方法だったら慰めてあげるけど、何する気? 押し倒すなら許さないわよ?」

 

 とか言って殺気を出さないのは俺にその気がないという事を知っているからだろう。だから俺はその期待に応えることにした。

 

「簪と絶交する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして機体を完成させ、名前も付けた俺は簪を呼んで言った。

 

「簪、タイムアップだ」

「………何…が?」

「周りに頼って専用機を完成させろ」

 

 今すぐ、と言わなかったのは無理だからである。

 俺自身、酷いことを言っているという自覚はあるが、もう時間はないのだ。いや、場合によっては時間はあるが、今平和である時にその準備をする必要がある。

 

「………どうして……そんなことを……言うの……?」

 

 今にも泣きそうになる簪に罪悪感を覚えるが、これも簪を守るためだ……と、少なくとも思っている。

 そう、きっかけは楯無とのあの会話―――そして、あの時の襲撃だ。

 

「最初は今後俺に関わらないように言うつもりだった。……でも、俺や織斑がここにいる限りどっちにしろ襲撃は続くだろう」

「……だから?」

「……だから、お前には自らを守るために専用機をいち早く完成させてほしい。お前の姉には既に話は通している」

 

 どうやらそれが一番効いたらしい。簪は目に涙を貯めている。

 

「……どうして……勝手な事を……するの……?」

「簡単な話、俺はお前に死んでほしくない。……というか、お前には本当は戦ってほしくない」

「……どういう……こと……?」

 

 たぶんこれ、どう考えても告白に近いよな? っていうかこれは告白そのものだろう。

 

「……俺はたぶん、お前の事を心から気に入ってるんだ」

「………へ?」

「そして、たぶん楯無のこともな」

 

 最初は顔を赤くした簪が一瞬で沈んだ。

 まぁ、楯無には色々と世話になってるしな。それになんとなくアレは今時の女ってわけじゃないって思っているし。

 

「………そんなに……お姉ちゃんが良いの……?」

「まぁな。ん? お姉ちゃん、()?」

 

 いや待て。たぶんこいつは盛大に勘違いしている。

 確かに戦力的には楯無の方が頼りになるかもしれないが、どっちが欲しいかと聞かれれば俺はどっちも欲しい。

 

「………戦って」

「……待て。流石に専用機ができたって言っても俺の実力的にボコられるのがオチだ」

 

 前回のは楯無だってある程度手を抜いていたはずだしな。

 

「違う。私が勝ったら……私1人で作り続ける」

「……………」

 

 こういうタイプって言う事聞いてくれないんだよな。それに、これは良い機会と捉えるべきか。

 

「………わかった」

「………負けるつもりは、ない」

「じゃあ、もし俺が勝ったらちゃんと人数を集めて、ついでに1日だけ俺と一緒に寝てくれ」

「………それは……まだ……恥ずかしい……」

 

 あれ? そこって普通「嫌」って断るところじゃね?

 

(…………まさか、大人の駆け引き?)

 

 甘く見られたものだな、というわけではなさそうだが……。

 

「すまん、流石に冗談………」

「……………」

 

 少しふざけが過ぎたかもしれないな。

 

「わかった。俺が負けたら簪と寝る。勝ったら楯無と寝る。それでどうだ……」

「……絶対に……負けない……」

 

 何だろう。どっちも俺の得なのになんら得していない気がしてきた。……というか、ボケたつもりなのに突っ込みが来ないのが凄く寂しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、楯無の権力の力でアリーナを丸まり借りた。

 全システム、問題なし。1人でやった割にはかなりの出来だ。

 

(………これなら……行ける)

 

 システムチェックを軽く見ながら、俺はカタパルトに移動して脚部装甲を接続した。

 そして3カウント後に射出され、宙に浮く。

 

「………夜塚さん……」

「何だ、簪」

「………覚悟は、いい?」

 

 ラファール・リヴァイヴを装着している簪はそう言ってアサルトカノン《ガルム》を展開した。

 

「………構わない。こっちから出した喧嘩だしな」

「……そう……じゃあ……遠慮なく……潰してあげる!!」

 

 試合開始の合図が鳴り、俺たちは同時に移動した。

 

「………にしても、潰す、か」

 

 俺は思わず笑みを浮かべる。

 

 ―――それは、無謀だぜ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私―――更識簪は、いつの間にか夜塚透の事が気になっていた。

 彼は言うなれば努力家、そして常に環境の対照的な立ち位置にいる。IS学園の生徒が水ならば油と言ったところだろうか。自己流を貫き、織斑先生も含めてすべての教師を見下しているということはあまり好きになれないけれど、男ということで色々と不都合があったのかもしれない。そうじゃなければ、彼は自分から喧嘩を売らない人間だ。………今回は別みたいだけど。

 

 本当は、私を守るためにいち早く専用機を完成するように言ったのも知っている。でも、悔しかった。もっとも、それ以上に―――

 

「………早い」

「悪いが、織斑みたいな自殺特攻は期待しない方が良い。俺は他者を嵌めるのもハメて従わせるのも好きだからな」

 

 機体の機動性はもちろん、銃の腕はとても高いみたいだ。

 私はミサイルを飛ばして迎撃するが、後方に移動しつつまるで見えているかのように背部に迫るミサイルを次々と落としていく。

 

「なら……これはどう?」

 

 時間差でミサイルを飛ばす。さらにいくつかサイズを縮小させたものを真後ろに飛ばして発射。だけど―――夜塚さんは顔色を変えずに迎撃し、間に合わないものを三節昆を展開して破壊した。

 

「そんな……」

「ショックを受けている暇はないぞ、簪」

 

 そう言った夜塚さんは瞬時加速で接近する。今からミサイルで迎撃をしても間に合わないと思った私は後退しつつ《焔備》を展開して攻撃した。その時だった。地面から私の首と身体、両手と両足を鎖が拘束した。

 

「チェックメイトだ、簪」

 

 そう言って夜塚さんは私に銃口を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………どうして」

 

 簪は涙をこぼしながらそう小さく問いかける。すると透は鎖による拘束を解き、簪を抱きしめた。

 

「昨日も言ったが、俺は弱い。だから周りを守れるほどの実力はない」

「………嘘。現に……私に……勝ってる……」

「それは君が、俺が見据えている敵よりも弱いからだ」

 

 そう言った透は簪の背中を撫でた。

 

「IS学園の教師はハッキリ言って使い物にならない。他の専用機持ちではお前ら姉妹以外はまともに交流していないから本当の実力はお互い知り得ない。使える駒は多い方が良いってのもあるが、このまま簪のことを放置していれば間違いなくお前は狙われる。……いや、お前が持っているISコア、か。最悪お前も連れ去られ、色々とマズいことをされるだろうし」

 

 顔を赤くして透は答え、今度は少しキレながら言った。

 

「そういうの、俺が困るんだよ! 最悪将来の計画に支障が出るしな」

「……計画?」

「お前たち姉妹を俺が独占する。誰にも渡さん」

 

 簪はしばらく何を言われたのか理解できず、固まったが理解してすぐに顔を赤くした。

 

「な……何を言ってるの!?! そもそも、重婚は、日本では、禁止されて―――」

「雑種の定めた法律など知るか! 俺はお前らといちゃつきたい! セックスした―――」

 

 慌てて簪は透の口を塞ぎ、たまに姉が透に対して暴力を振るった理由を理解した。

 

「馬鹿! 変態! 変態!!」

「変態で結構! 男は基本的に変態だ! むしろ織斑が異常だ!!」

 

 ―――それに関しては否定しない

 

 その場で試合を見ていた3人が同じことを思い、内1人が殺気を放出してその場から離れた。

 

「良いか、簪。お前はある意味貴重なんだ。普通姉妹は胸の大きさの厳密的なサイズは違えど、大体は同系統になる。つまり巨乳なら巨乳に、貧乳なら貧乳になる。だけどお前らは違う。年子だというのに胸の大きさは明らかに格差が生じて―――」

「うるさい!!」

「いっつつ……明らかに格差が生じているが、むしろそれはある種のマニアにとっては高い値打ちが存在し、俺のような一級おっぱいソムリエにしてみれば姉妹丼だけでなく大小どちらのおっぱいを味わうこともできるという、ご褒美なんて言葉ではとても言い表せないとてつもないものを手に入れられる!」

「簪ちゃん、抑えといて。今すぐちょっとそいつを殺すわ」

「………わかった」

「甘いな!!」

 

 そして透は瞬時加速で動きが止まっている楯無に抱き着こうとするが、楯無は咄嗟に回避して狙いを定めた。

 

「エルキ―――もとい、拘束鎖!」

 

 そう叫んだ透は楯無を拘束、そして反転して瞬時加速をし、楯無に突っ込んだ。

 その後の事は言うまでもなく、透はボコボコにされたがそれによって姉妹の絆が深まり、結果的に簪は楯無の伝手を頼り、しかしその技術力を隠すために以前の楯無と同じように「1人で作り上げた」ということにする方針になった。

 

(…………やっぱり、遠回しに言ったのがダメだったんでしょうか?)

 

 虚はあの時、透に楯無の事を諦めさせようとしていた。それは言うまでもなく透のためである。

 透は結局、色々と特殊な環境にいたが一般人としての生活しかしていない。だが楯無と結婚した場合、必ず裏の面を見てしまう。その状況を回避させるために同じく一般人として育った簪にのみ集中させたかったのだ。………そうなればお手伝いとして本音が行くことになるし、結果として巨乳と貧乳を同時に味わうことはできなくはないからだ。もっとも、透自身はその可能性は考えたことはあるが、本人はそれ自体のことを「裏切り」と考えている。

 

(………まぁ、能力としては申し分ないんですがね)

 

 虚は本気でため息を吐いた。これから透が起こすかもしれない騒動を予知したからである。




実際、透の能力は暗部の長の入り婿としては申し分ないほどになっています。

透がプログラミングできるのは「趣味でそれなりにやっていた」から。悠夜や静流と違ってそれができる時間はありましたからね。

悠夜→16歳で入学

静流→15歳で入学

透→18歳で入学
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