IS-Lost/Load-   作:reizen

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ep.28 透、激怒

「うぉおおおおッ!!」

 

 織斑が先制攻撃―――瞬時加速からの零落白夜ってパターンか。ありがちというかなんというか。

 俺は回避―――と思ったが、どうやらAICに捕まったらしい。やれやれ、早速出すしかないか。

 

「舞え」

 

 ボーデヴィッヒの周囲にナイフを出して握りについているブースターを起動させて飛ばすと集中力が乱れてAICが解除される。その時には既に織斑も近づいていて、回避するだけじゃ間に合わない。

 

「っと」

 

 織斑は先制攻撃する時には2パターンが存在する。織斑から見て左下段からから右上段からの薙ぎ切りだ。

 そのため、こっちも対応するパターンを増やして応対。今回は左下段からなので足で受け止めて銃で撃った。

 

「ぐぁ?!」

「流石に思わねえか―――おおっと、ようやく一次移行終了か」

「何!? じゃあお前、これまでずっと初期設定で戦ってたのかよ!?」

「そうしないと戦えねえだろ」

 

 これですべての武装が使える……第一段階の字は見なかったことにしよう。

 

「生意気な」

 

 織斑の後ろからボーデヴィッヒが近付いてくる。意外と早いなという印象だが、まさかAICにも距離があるのだろうか? ………マジか。

 

「まとめて死ね!」

「らしいから、盾になれ」

「え? ちょっ―――」

 

 織斑を引き寄せて腹を蹴って目くらましに使う。ボーデヴィッヒは織斑を退けながら接近。今度はガトリングを展開して俺に向けて撃った。

 

「って、AIC!?」

「そのままハチの巣になれ!!」

 

 それはぜひ遠慮したいところだ。

 とはいえこのまま何もしないのはまずいかな。

 

「―――舞え」

 

 するとボーデヴィッヒの周りに不可思議な筒が現れてボーデヴィッヒを攻撃する。

 

「何!?」

「何で!?」

「まぁ、当然と言えば当然だな。情報を集めるのに時間かかったけど、合法だし」

 

 驚くのも無理はない。何せ俺はオルコットと同じBT兵器を使っているのだから。さらに俺の場合は遠隔展開もできるから不意打ちもできる。ボーデヴィッヒにとってかなり苦戦する相手になるだろうな、俺は。

 

「貴様、これを見せたくなくてあの時………」

「いや、理論はできていたけど開発に時間がかかったな。1日も」

 

 なんか周りが騒がしい気がするけど気にせず攻撃再会と行きますか。

 

「この、お前はどこまで模倣すれば気が済むんだ!!」

 

 何で切れているかわからないが、とにかく怒りを見せる織斑は軽く警戒する程度にしてまずはボーデヴィッヒに仕掛ける。

 

「逃げるな!!」

 

 反転して俺を追いかける織斑。ボーデヴィッヒも俺の方に集中して攻撃してくる―――まぁ、そうした方が俺に夢中になっている織斑に攻撃しやすいからなんだろうな。

 

「BT兵器を使えるのは計算外だが、それでも私の優位は変わらん!!」

 

 何をもってそう確信しているのかわからないが、左肩にレールカノンと同じようにガトリングガンを展開して俺に向かって撃ってくるボーデヴィッヒ。その軌道を読んで回避と防御を繰り返し、ダメージを少なくする。

 

「小癪な!!」

「このッ!!」

 

 2人の攻撃をランダムに回避する。どうやらこいつら、俺に攻撃することしか頭にないらしい。俺も簪には手を出さないように言っているが、いくら何でもこれはどうなのだろうか。

 

「邪魔するな!」

「そっちこそ!」

 

 今度は喧嘩かよ。全く。

 

「呆れてものが言えねえ。流石は姉の七光りで専用機をもらった奴とその無能に鍛えられた奴だな。織斑千冬の無能教育っぷりが露見してるぜ」

「ハッ! 七光りは貴様もだろうが! 日本の大臣の孫が!!」

 

 ―――!?

 

 え、ちょ、ま、何で―――

 

「え? そうなのか、透!?」

「何だ、知らなかったのか? この男は現日本の指揮者である朝間修蔵の実の孫だ」

「……確かに血液検査をすれば、4分の1はそうだと結果が出るだろうな」

 

 まぁ、どうでも良い話だが。むしろあんなクソジジイの血縁というクソな証明程いらないものはない。

 

「何だよそれ! すげえじゃねえか!!」

 

 実際の所、そこまでじゃない。

 そもそも妹の一件以降は本家と疎遠になっていたし、姓が違うから効力はないだろうと割り切って最初から使ってなかったし。あと、最初からジジイは俺たちのことを手駒としか見てなかったからな。そもそも、俺はジジイが大っ嫌いだからな。

 

「高が不良校出身の男性操縦者程度が専用の家屋を持つこと自体おかしいと思って調べてみれば、案の定だ。どうせ別の高校でも権力振りかざして好き勝手やっていたのだろう?」

「…………ボーデヴィッヒ、あまり俺を怒らせるな。お前や他の奴らが思うほどじゃねえよ」

「よく言う。権力を振りかざすだけの無能が」

 

 ……………OK、わかった。よぉく理解した。

 

 ―――今回ばかりは、もう我慢しねえ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『な、ななななんと!? ビッグニュースです!! なんとあの夜塚透は朝間修蔵総理の実の孫だということが判明しました!! これはまさしく大ニュースではないでしょうか!?』

『ん? そう言えば君も―――』

『別に隠していたわけじゃないのよ。ただ、あれとできるだけ関わり合いたくないってだけ』

 

 そんなのんきな会話がテレビから流れていたが、五反田食堂にてただ1人、朱音が震えていた。

 

「ど、どうしたの、朱音?」

 

 蘭が心配そうに朱音に声をかける。弾も「寒いのか」と空調を見に行くが、それを制したのは悠夜だった。

 

「大丈夫。ただちょっとトラウマを、ね」

「トラウマ、ですか?」

「でもごめん。ちょっと部屋だけ貸してもらえるかな? 幸那、朱音ちゃんを見てあげてて」

「………わかりました」

 

 幸那は立ち上がり、朱音と共に蘭に案内されて食堂を出る。

 

「あの、さっきのって……」

「まぁ、ちょっと色々あってね。あまり詮索しない方が良いよ」

 

 悠夜は周りにそう言うと、試合の様子が変わっていく。

 

「でもまぁ、簡単に言うとあの銀髪の子が可哀想な目に遭うかな」

 

 苦笑いしながらそう述べた悠夜。その言葉に誰も何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(重い……!!)

 

 透が蹴りを放ち、ラウラはAICの展開が間に合わないと判断して両腕で受け止める。だが受け止めきれずに後ろに飛ばされ、辛うじて態勢を立て直して攻撃を仕掛けようとするラウラ。だがそれよりも早く顎に蹴りを入れられていた。

 

「この―――」

 

 本来、ISは一部を除いて近接格闘戦を行うことを想定して作られていない。されているとするならば精々近接武器での戦闘だが、組手などは考えられていない。

 だが透の荒鋼に関しては全くの別。シャルル・デュノアが使用していたラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡは彼の技量も相まって距離を選ばないタイプとして出来上がっているが、荒鋼の場合はそれを大きく超えるのだ。当然、仕込み武器も含めて近接もできれば狙撃までもできる。

 

 ラウラは苦し紛れにAICを発動して透の動きを止める―――つもりだったが、

 

「な、何故動け―――ガハッ!?」

「この、もう止めろ!!」

 

 透の後ろから見るに堪えなくなったのか、一夏が攻撃を仕掛けようとするが地中から鎖が伸びて拘束する。

 

「なっ、離せ!!」

 

 しかし透は無視してラウラを攻撃した。

 

「何故だ!? 何故AICが使えない!?」

「ヒントは与えたつもりだったんだが、流石は無能と言うべきか」

「黙れぇええ!!」

 

 昔からのトラウマを指摘されてラウラは激怒してワイヤーブレードを飛ばすが、ワイヤーを掴まれてこかされてしまう。

 

「こ、この―――」

「吹き飛べ」

 

 透がラウラに右の掌を向けると、見えない何かによって吹き飛ばされた。

 

「な、何故だ………何故それも使える!?」

「それだけじゃねえ。今のお前は自らの意思で動くことができないだろ?」

 

 言われてラウラは吹き飛ばされている途中で自分が止まっていること、そして体が何一つ動かせないことを自覚した。

 

「何故だ!? 何故貴様がAICを使えるんだ?! 一体誰からデータを奪った!?」

「………お前だよ、ボーデヴィッヒ」

「何?! そんな馬鹿な!? 私がそんなことをするわけがない!!」

「確かにな。だがお前は渡したぜ。ひたすら俺をボコってな」

「は……? 何を言って……まさか」

「ようやく気付いたようだな。そう、俺はただお前との戦いを避けたわけじゃねえ。取っていたのさ! ひたすらAICのデータをなぁ!!」

 

 ラウラは激怒よりも先に驚きで頭が白くなった。あり得るのか? たった数回使用しただけで? と。

 

「ふざけるな! たったそれだけAICを、我がドイツの技術の結晶を模倣できるわけがない!!」

「それができちゃうんだよなぁ。何せ俺、IS学園を卒業したって主席合格できないところに主席且つ満点で合格しちゃってるから」

 

 もっとも、いくら模倣だろうが他国の技術を開発するのは一般的には数年は要する。それだけでも透の頭脳が異常すぎることを十分に証明していた。

 

「まぁ、要は考えようだ。生憎衝撃砲もAICも俺の好みじゃないからわざわざ第三世代兵器として採用する必要もない。だからちょちょいと改造して全機体に採用できるタイプにしただけ」

 

 それでも十分凄いことだという事を透は気付いていない。

 会場全体はまさしく呆然。実況席にいる3人すらも言葉を失っている。

 

「……ありえ―――」

 

 ラウラの頬にISのマニピュレーターがぶつかる。瞬時加速した透が容赦なく殴ったのだ。

 

「そう言えばお前、さっき言ってたよな。俺が総理大臣の孫だからそれの権力を使っているって」

「……それがどうし―――」

 

 ―――ガッ!!

 

 咄嗟にガードを成功させたラウラ。だが透はこの程度で止まりはしない。透はそのまま掌に仕込んだ衝撃砲で攻撃した。

 

「―――訂正、そして謝罪をしろ。我にな。あのような下等種族如きの権力を笠に着るなどという罵倒をしてごめんなさい。私め程度のゴミ虫が透様を馬鹿にしたことを心よりお詫び申し上げます、と土下座でな」

 

 肉親を、そして何よりも日本を導く存在を「下等種族」と吐き捨てる透。それがまた周囲の反感を買うが、透はまさしくどこ吹く風と言わんばかりに態度を取る。

 

「……ふざ……けるな……」

「そうか」

 

 そして透は自分の身の丈程の棺を展開し、その下部をボーデヴィッヒの腹部に触れさせる。

 

 ―――ドンッ!!

 

 ラウラの意識は飛びそうになった。それほどの強烈を味わい、シュヴァルツェア・レーゲンのシールドエネルギーが50を切る。そして透は踵を返して後退した。

 ラウラはそれをチャンスと思い透に攻撃しようとした―――が、

 

 ―――まるで地雷が爆発した瞬間のようだった

 

 観客のほとんどが驚きで声を上げる。シュヴァルツェア・レーゲンの装甲は各方面に弾け飛び、爆発した場所ではほとんど装甲を失ったラウラが倒れている。

 

「―――うぉおおおおおおッ!!!」

 

 いつの間に拘束を解除したのか、一夏が透に向かって突っ込んで切ろうとする。

 

「よくもラウラを!!」

「何だ、お前ロリ体型が好みだったのか?」

 

 回避しながら一夏にそう言った透。そして自分の脳天に向かって《雪片弐型》が振り下ろされた時、マニピュレーターで受け止めた。

 

「な、何で」

「やれやれ。お前も男だから少しは期待したが所詮はあの屑教師の弟と言ったところか。自分の機体に疑問を抱かない無能相手にこの機体は少々盛り過ぎたようだな」

「何を言ってんだ、お前は!!」

「織斑、お前は今のIS事情をどう思う?」

 

 聞かずともわかっていた答えの質問を透はわざわざ投げかけた。

 

「どう思うって、そんなの考えたこともねえよ!」

「そっか。やっぱりお前程度じゃそんなもんだよな。俺はオルコットからBT兵器が試作機と聞いた時、そして簪からマルチロックオン・システムが未完成と聞いた時、心の底から嘲笑したよ。「男を見下していて女は10年という月日を無駄にしたのか」ってな」

 

 瞬間、一夏は蹴り飛ばされた。一夏はすぐに体勢を立て直すと追撃が来る。

 

「まぁ、正直なところ女ごときに大した期待はしていなかったけどな。所詮女というものは大半がロマンも理解できないゴミ同然の生き物。女性優遇制度の真の目的すらわからない脳味噌が存在するかどうかの知性すらない汚物同然の存在だ。織斑千冬という戦うしか能がない無能なゴミ屑程度に憧れるようなのだからもはやとっくに証明されているんだし、仕方ないか」

 

 透はそう言って一夏に憐みの目を向ける。

 

「黙れ! 千冬姉は―――」

「お前にとって救いの神としても、俺にとってはただのゴミだ」

 

 そう吐き捨てた透に怒りを覚えた一夏はとうとう飛び出した。

 透は接近し、《雪片弐型》を振り下ろす一夏に慌て近接ブレードを展開する。しかしそれは―――

 

「《雪片》を模倣してみた」

「!?………テメェ!!」

「とはいえ、所詮形だけの模倣だ」

 

 透の言う通り、模造された《雪片》にヒビが入り、刃が折れた。慣性に従って《雪片弐型》の光刃が透に当たると思われたが、瞬時にしゃがんだ透は巧みにISでバク転して回避する。

 

「逃げるな!」

「逃げるさ。俺はお前と違って何の後ろ盾もないんだからな」

「なに言ってんだよ! 総理大臣の孫の癖に!!」

 

 しかしそれは禁句。普段は我慢強い透だが、それを言われた瞬間にキレた透からは余裕の笑みが消えた。

 

「……やはり織斑はゴミでしかない、か」

「何を―――」

 

 一瞬で距離を詰めた透は一夏の腹部に衝撃砲から非実体の砲弾を出して一夏を吹き飛ばす。壁に叩きつけられそうになったが一夏は足を引っ込めて衝撃を受け止め、壁を蹴って加速した。

 

「これでぇええええええッ!!!」

 

 だが透は上段からの振り下ろしを回避して右足を高く上げ、踵落としで地面に叩きつける。

 

「まだ―――」

「いいや。終わりだ」

 

 ―――ドンッ!!

 

 透は一夏の頭に足を移動させ、音を鳴らす。簪はそれを見て顔を引き攣らせた。

 

 ―――ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!

 

 連続で5発の攻撃。荒鋼の脚部装甲の踵部分はなんとパイルバンカーを仕込まれているのである。

 それを顔にまともに食らった一夏のダメージ―――そして白式のシールドエネルギーは10をわずかに切った。

 

「これで終わりだ―――ライトニング・ブレード・レイン」

 

 透の言葉に合わせて動けない一夏の頭上に100を超えるビームソードが柄すらエネルギーの状態で展開され、それが一夏に降り注ぐと同時に爆発が起きた。透は既に爆発圏内から離れていて、ため息を吐く。

 

「これが俺を馬鹿にした代償だ。悔いて傷跡をその身に刻め、鈍感クソ野郎」

 

 爆炎が晴れ、一夏の姿が見えるようになる。倒れて動かない一夏に本来ならあるべきはずの装甲はラウラ同様ほとんどなくなっていた。

 本来なら実況者も、そして名乗りを上げる教員もするべき仕事をするはずなのだが、あまりの光景に彼らを含めて全員が戦慄していた。

 

(帰ったら簪を愛でよう。ストレス発散で楯無の乳を吸わせてもらうのもありか……)

 

 その頃、その状況を生み出した本人は騒ぎなどどこ吹く風と言わんばかりに全く別の事を考えていた。




ライトニング・ブレード・レイン―――光剣よ、雨の如く

上のにツッコミを入れないでください。キャスターピックアップで金キャラ当たらなかった八つ当たりです。せめてメディアちゃん14歳の宝具レベル2以上にしたかった。最終は可愛いと思う。


ということで、透の本気でした。普段温厚でも総理大臣の孫の事で弄られたらああなります。下手なことは言わないようにしましょう。
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