IS-Lost/Load-   作:reizen

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ep.33 色々な癒し

「海! 見えたぁ!!」

 

 周りがそんなことを叫んでいる間、俺は1人で黙々とロボを作っていた。鳥型ロボットであり、専用のマイクを使ってロボットがいる場所から半径10m程度に声を届かせるように、だ。

 

「『あー、あー。ただいま殺戮準備中』」

「何でだよ!?」

 

 前の席にいる織斑が叫ぶ。そう。本来なら男同士ということで俺たちが隣になるのだが、織斑が喜ぶし周りから理不尽な目で見られるからオルコットの隣に座ったのである。そうなると争奪戦が始まったが、俺には関係ないことだ。

 

「………全く。もう少しまともな言葉はないんですの?」

「『オルコットに対するセクハラ準備中?』」

「していますの!? ………はぁ。今度の社交界でされるセクハラが可愛く感じてきますわ」

「『え? おっぱいを揉ませてくれるの?』」

「揉ませませんわよ?!」

 

 いやぁ、オルコットの反応って可愛いからついつい弄っちゃうんだよなぁ。

 

「『前々から思ってたけど、オルコットってちゃんと仕込んだらそれはそれは良い女になるんだろうな』」

「………その良い女とは……?」

「『エロい女』」

「叩いてよろしいでしょうか?」

「『むしろ叩かれたいのでは?』」

「その返しは予想できませんでしたわ!!」

 

 とりあえずオルコットの頭を引き寄せて撫でる。

 

「そろそろ目的地に着く。全員ちゃんと座れ。それと夜塚、セクハラは程々にしろ」

 

 スイッチを切りながら俺は適当に返事をした。

 しばらくして旅館は目的地に到着。約250人いる生徒たちが旅館前に整列する姿はどう映るだろうか。

 

「それでは、ここが今日から3日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」

「「「よろしくお願いしまーす!」」」

 

 織斑先生の言葉に合わせて全員で挨拶をする。男の声が混じっているのはやはり違和感がある。

 

「はい、こちらこそ。今年の1年生も元気があってよろしいですね」

 

 まぁ、柔な心を持っていたら今であれ未来であれ折られる可能性があるからな。特に男は辛いよ。

 なんて思っていると、俺とその旅館の人と眼が合った。

 

「あら、もしかしてあなたが………残虐王?」

「個人的に「王」よりも「皇帝」の方が良いんですけどね」

「「「気に入ってるんだ、あの名前」」」

 

 後ろから主に一般生徒から突っ込みが入る。だってカッコいいじゃん。

 

「では改めまして。残虐系好青年こと夜塚 透です。3日間よろしくお願いします。ああ、それとこちらがクラスメイトの織斑一夏君」

「よ、よろしくお願いします」

 

 鎖で拘束して引き寄せ、紹介して挨拶させる。嫌な男の子でも面倒見ますよ? だって兄系男子ですから。

 

「うふふ、ご丁寧にどうも。清洲景子です」

 

 そう挨拶した女将は丁寧にお辞儀をした。さっさと部屋に行きたいんだけどなぁ。

 

「それじゃあみなさん、お部屋の方にどうぞ。海に行かれる方は別館の方で着替えられるようになっていますから、そちらをご利用なさってくださいな。場所がわからなければいつでも従業員に聞いてくださいまし」

 

 女子たちが返事をするとすぐに移動を始める。みんな海を楽しみにしているのだろうか。

 

「そういえば織斑、俺たちの部屋はどこか聞いているか?」

「え? 透が知って―――いてっ」

「そろそろ敬語で話すのを覚えろよド阿呆」

 

 これでも手加減しているんだがな。っていうか姉から情報はないのか。

 

「―――お前たちの部屋はこっちだ」

 

 後ろから現れた織斑先生。どうやら案内してくれるようで、俺たちはついていく。途中、織斑が待ちきれなかったようで口を挟むと黙らせられる。

 

「織斑はここだ」

「え? ここって………」

「………一応言っておくけど、近親相姦は犯罪だ」

「そんなつもりではないのだがな。ちなみにこれは山田先生の案だ」

 

 なるほど。本質的に優しい彼女のことだ。たまには姉弟水入らずを、ということなのだろう。

 

「最初はお前たちで小さな部屋を使うという話だったんだがな、それでは片方が苦しい思いをするということでこうなった」

 

 どうやら楯無のおかげでもあるらしい。………今、話できないんだけどなぁ。あんなことをしてしまったし。

 

「一応言っておくが、あくまで私は教員だという事を忘れるな」

「はい、織斑先生」

「それでいい。それと夜塚は隣だ。個室となっている」

「ま、妥当だな」

 

 本来ならこれが正しいんだ。周りと違って部屋が小さいのは仕方がない……いや、むしろ本来は2人で使う部屋なのだからむしろ広いくらいだろう。

 

「風呂は一応、大浴場も使えるが男は時間交代だ。本来ならば男女別になっているが、我々が泊まりに来ている間はどちらも女風呂になっている。深夜や早朝に入りたいならば部屋の方を使え」

「へーい」

 

 振り上げて降ろすつもりだったであろう拳が途中で止まる。俺が咄嗟に近接ブレードを展開したからだろう。

 

「何のつもりだ?」

「ああ、悪い。一般フォルダに入っている方を出しちまった」

 

 なお、刃抜き済み。これはあくまでしつこい奴らを撃退するためのものであり、また特訓用でもある。

 

「今回は見逃すが、勝手に武装は展開するな」

「へいへい。っていうかまず殴るなよ。お前は肉体言語しか使える言語がないのか?」

「教師に敬語を使え!」

「だったら使えるような教師を連れて来い!!」

 

 俺たちが睨み合っていると織斑が割って入る。こんなことで時間を食っているわけにはいかないし、こっちから先に引いた。

 部屋は中から見るとかなり広く、1人で使うのは結構贅沢だ。いくら傲慢な俺でも少し落ち着かない。

 

(まぁいいか。……とりあえず、罠は張っておこう)

 

 色々と技術が漏れるからな。これも生存競争だ、と言いながら俺は勝手にカードキーを増設して周囲に侵入者防止の不可視の鉄格子を設置する。さて、せっかくの海だし俺も泳ぎに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 以前から疑問だったが、どうして織斑は女の子に迫られても動じないんだろうか。

 辺り一面水着女子。少し肌色が多いので目眩がしそうだが、性欲旺盛な高校生ならテンションを上げるはずなのだが、

 

(真面目に体操するって………もはや……)

 

 ジジイかあいつは。奴の行動を敢えて年齢で表すならば60は超えていそうだ。

 

「………透さん」

「簪か。……………」

 

 高校生って、やっぱり大人に発展する年齢だよな。

 以前から顔つきが「大人っぽくなってるなぁ」と思ったが、なんというか場に合う格好をすればそれっぽいよなぁって思う。

 

「さぁて、もう海は堪能しただろう? もうおうちに帰ろうか」

「………まだ……入ってすら……いない……」

 

 どれくらいかというと、少し素っ頓狂なことを言うくらいだろうか。

 

「おーい! 透ー!」

「何だジジイ。ここは老人ホームじゃねえぞ」

「誰がジジイだ! お前より年下だ!」

「だったら敬語使えや行動年齢クソジジイ!!」

 

 少なくとも、俺は織斑の姉よりもやっていることは偉大だと思う。主に技術面とか勉学面とか。

 蹴り飛ばしたが、意外と飛んだな。もう少しで海に入りそうだった。復帰した織斑がこっちに向かって走ってくるので簪を背中に隠しておく。

 

「痛いだろ!? 何すんだよ!!」

「悪いな。老体はもっと労わるべきか」

 

 まぁ、本音を言えば「年上なんだからもっと労われ」とほざかれてもゴミを見る目で返すだけだが。

 

「誰がジジイだ!!」

「良し。じゃあまずは周りを見渡そうか」

 

 そこは素直に見回すが、織斑はあまり何も感じていないらしい。

 

「海とIS学園の生徒がいるな」

「……………」

「……………」

 

 俺も簪も沈黙する。もっと………もっと他に言う事がないのか、こいつの頭には!?

 

「織斑、前から思っていたんだが」

「何だよ」

「お前、やっぱりホモか金玉がないだろ」

 

 後ろにいる簪の体温が上がっているが、それは気にしない方向で。

 

「ある! 何なら脱いで確かめさせてや―――」

「で、遺言はそれだけ?」

「いえ、何でもないです」

 

 周囲にナイフを展開、文字通りすべてを織斑に向けてその空間に停止させる。まぁ、冷汗をかいているので反省したとみて消しといてやろう。ちなみにこれはナイフ1本1本にPIC機能を保持させているというだけだ。AICが可能でそれはPICの発展タイプなのだから、PICのみを作動させることができるコピーコアを作って組み込んだだけである。

 

「っていうか何で急にそんなことを言うんだよ」

「あまりにも反応が悪いので、てっきり玉無しかと思っただけだ」

「んなわけないだろ?!」

「わからないぞ。世の中にはニューハーフというものが存在するしな」

「ちげえよ! 俺は生粋の日本男児だ!!」

「おい織斑、「空気を読めない」と「知能数が低い」と「自分の本質を理解できないド阿保な姉がいる」のワードが抜けているぞ」

「抜けてねえよ! 後千冬姉は阿保じゃねえよ!!」

 

 何でそこを強調しているんだ、こいつは………まさか?!

 

「もしかしてお前ら、実はとっくに関係ができているとか言うんじゃねえだろうな!?」

「何の関係だよ!?」

「近親相姦にして肉体関係」

「できてねえよ!!」

 

 いや、正直そっちの可能性が高いんだが、というかできればそっちの方がまだ良いんだ。だって俺の方に被害がないし。

 

「い、ち、か~」

 

 後ろから織斑に飛び乗る凰。全く、こいつは。

 

「気を付けろよ、凰」

「何がよ。あ、もしかして砂かかった? ごめんね」

「ちげぇよ。織斑の首が捥げるだろ」

「え? もしかして俺の心配を―――!?」

 

 誰がお前の心配をするか。

 

「テメェのスプラッタの情景が無垢な少女の脳裏に焼き付いたら可哀想だろ! あと教育に良くないだろ!!」

「そっちかよ!?」

「当たり前だ。というか織斑、今絶賛凰の股に挟まれているわけだが?」

 

 凰の顔が赤くなるが、織斑は平然としているので聞いてみた。

 

「え? いつものことだろ?」

「凰、悪いこと言わないから織斑を諦めるかもう少し慎ましく過ごせ」

「…………頑張る」

 

 織斑の肩の上で凰が泣いているが、織斑は気付いていないようだ。

 

「せっかくのタンキニタイプなのにな」

「それ、言わないでよ」

 

 まぁ、凰の場合は見た目が見た目だから仕方ないと言えば仕方ないが。

 

「ん? そう言えばオルコットは? とっくにモデル体型で男を悩殺しに行ったのか?」

「していませんわよ。それにここにはお二人以外は男性の立ち入りは厳重に取り締まわれていますから難しいでしょう」

「まぁな。それに侵入する事態になっても俺たちがいるし、なんとかはできるだろう」

 

 簪と布仏ぐらいなら、な。

 

「ま、今は楽しむか。それはそうと織斑、篠ノ之はどうした?」

「箒? そう言えば見てないな。あいつ、泳ぐの得意だったはずなのに」

 

 とりあえず居場所を探す。早速さっき完成させたロボバードが役に立つ様だ。パソコンを出すために周囲にバリアと椅子を展開すると織斑と凰、オルコットは吹き飛んだ。

 

「うわっ!?」

「ちょっ?!」

「何するんですの!?」

「悪い。簪は普通に入ってたから忘れてた」

 

 単に粉塵対策のバリアだが、簪は入れるようになっている。だが、バリアの影響で俺と彼女の身体に着いた砂とかはなくなっているが。

 

「ってこれ、何だよ」

「バリアだ。これを展開させてパソコンに害があるタイプのものはさっきのお前らのように吹き飛ばす。専用のパスがあったら簪みたいに何も起こらないけどな」

 

 さっきから俺の身体に張り付いている簪。俺は俺で結構頑張ってる。主に息子を興奮させない方向に。

 

「見つけた。あそこの崖だ。織斑、行ってこい」

「え? 何で―――」

「良いから行け。それとお前1人でな」

 

 そう言ってバードを戻して織斑を無理矢理行かせる。

 

「ちょっと、アンタどういうつもりよ」

「べっつにー。ただそうした方が色々と面白いっていうのはあるが、そもそも気にならね? 織斑がどんなタイプが好きなのか。本当に凰に振り向かないのは凰がお子様体型だからかっていうのは貴重な情報だろ」

「………そ、そうだけど……」

「仮に織斑が篠ノ之みたいな奴がタイプなら、まぁそれはそれで諦めろってことで」

「酷いじゃない!!」

「ただ織斑がそう言うのが好きじゃないってことだろ。ほら、接触するぞ」

 

 だが、やはりというかなんというか織斑はただ篠ノ之を誘っただけで別段意識した様子はない。………と思いきや、少し動きが鈍ったな。

 

「もっと近づきなさいよ!」

「無理言うな。どっちも俺が作り終えたことを知ってんだぞ。場合によっては色々と面倒になる」

「―――ほう。何をするつもりだ?」

 

 後ろから急に声をかけられ、俺たちは特に何もしていないのに驚いた。

 

「アンタか。なに、何もない。どっちかというと篠ノ之に発情した織斑が間違いを犯さないかという議論をしていただけだ。………にしても」

 

 マジマジと、珍しく水着を着ている織斑先生。その後ろには黄色いビキニタイプを着た山田先生なんだが、

 

「やっぱり並んで見ると、織斑先生って女としての魅力が著しく欠けているよな。山田先生の方がモテるに1票」

「素直に褒めることはできないのか、お前は」

「凄いなー、山田先生は。織斑先生が霞んで見えるぜ」

「…………ほう」

「やっぱりオーラの違いかねぇ。山田先生は織斑先生と違って大らかで包容力があるし、癒してくれるだろうから会社から帰ってきた夫は間違いなく襲いそうだけど、織斑先生はさらにそこからのしごきがあるから精々同棲して3か月持ったら凄い方なんじゃないかなー」

「………勇者ね」

「………勇気と無謀は違うのではないのでしょうか?」

 

 まぁ、これはあくまでも客観的に希望―――のつもりだったが、どうやら簪は信じてしまったらしく山田先生の胸を揉んでいた。しかも上を取って生乳を揉んでいるし。

 簪を止めて上を返して謝らせる。

 

「ダメだろ、簪」

「………ごめんなさい」

 

 まぁ、可愛いから撫でるんだけど。

 ちなみに、デュノアとボーデヴィッヒはしばらくしてから来たんだが、何故かボーデヴィッヒはバスタオルを巻きに巻いていた。………珍しくツインテだったから可愛いと言ったが、どうやら言われ慣れていないらしい。

 

 ………そう言うのに限って、実は裏でファンクラブができているんだろうなとか思う。




果たして、織斑千冬が女性として癒せる相手が出てくるのだろうか!?
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