笑顔は太陽のごとく…《決戦の海・ウルトラの光編》 作:バスクランサー
「笑顔は太陽のごとく…」シリーズも、今作品でいよいよ完結です。
本格的に艦これとウルトラシリーズをクロスオーバーさせる予定です、これから改めてよろしくお願いしますm(_ _)m。
では本編どうぞ。
影は再び
ーーー第35鎮守府 会議室特殊ブース
「…というわけです。以上で我々第35鎮守府からの報告を終わります」
俺はそう言って席に座った。
今日は三ヶ月に一回の、極東支部内の会議の日である。安全面を考え、各鎮守府に設けられている専用の特殊ブースに提督、そしてその秘書艦が入り、仮想空間上でのホログラムバーチャル会議を行う、という方式が取られている。内容としては各鎮守府の近況報告が主だ。
「第35鎮守府、どうもありがとう。
とりあえずまずは、レイ…仮称として、超深海生命体としよう。それについて各自少し話し合ってもらいたい」
長官の一言で、ホログラムの他の鎮守府の提督たちが一斉に話し始める。
深海棲艦の対策部として、人類は大本営を設置、世界各地に支部を設けた。ちなみに日本は艦娘を使っているが、その他の国々はというと、地中海支部や北大西洋支部は海外艦娘、アメリカ太平洋支部やアフリカ支部など艦娘がいない地区は、それぞれ艦娘の艤装を研究して作った武器を搭載した軍艦や戦闘機を使っていたりと、各地に特色が見られるのだ。それぞれの支部の長は、提督のランクである中将や大将とは別に分けられた、長官という位に就いている。
ホログラムで映し出されている各地の提督たちが、一斉に話し合いを始める。ちゃんと音声も実際の会議室にいるように伝わるので、周囲のリアクションもリアルタイムで確認できるのはいい。
が。
「…しかし、どうにも信じきれんな…」
「深海側のスパイではないのか?」
「よくもこんなものを受け入れられたな…」
ほかの提督たちが喋っているのはだいたいこんな感じの内容だ。この手の反応の予想はついていたものの、流石に少し、なんというか心にきてしまう。脇の響も少し顔をしかめている。
「落ち着けよ、響」
「分かってる。僕も予想はできてたし」
結局、この件については、大多数の鎮守府から不安や疑念の目を向けられてしまった。同調を見せてくれた鎮守府も、決して100%賛成や援助というわけでもなかった。
そして会議はもう一つの議題…そう、レイを追ってきたのであろう、あのエレキングのことに移った。
「では、分析結果を」
「はい。」
俺は立ち上がり、資料を読み上げる。仮想空間上のバーチャルプロジェクターには、響が制作したスライドが映し出された。
「このスライドを見てください。
このエレキングは、かつて地球に現れた数々の個体と根本的には同じ種族です。しかし、今回の個体の特徴は、なんと言っても深海棲艦と融合を遂げている点でしょう。全身に深海棲艦と同様の装甲、艤装を纏い、今までの個体の主武器である、三日月型光線や尻尾で締め上げてからの電撃という能力もかなりパワーアップしています。また、観測所のカメラを意図的にダウンさせたり、磁場バリアーを使ってミサイルを逸らして艦娘たちに向けたりと、知能も発達していると思われます。」
「なるほど…」
あたりはざわめきに包まれる。
「艦娘の攻撃も、命中すればダメージを与えることはできます。しかし、従来の深海棲艦とはケタ違いの能力から、もし新たな個体が出てきた場合、遭遇した場合の苦戦は免れないと考えられます。また、再び出現する可能性もありますし、その場合に融合する怪獣の種個体も分かりません。いずれにせよ、警戒はこれまで以上に厳戒とすべきとして、この件についての我々からの報告は以上とします」
「ふむ、どうもありがとう。とりあえずこの融合怪獣は、深海棲艦獣と名付けるとしよう。とりあえずこの事についても、周囲で話し合ってくれ。」
そうとはなったものの、これについてもまだまだ情報が不足していて、進展という進展は無かった。とりあえず、世界各地の支部には、長官が世界支部長官たちの会議で報告してくれるようだし、ここで情報の共有が出来ただけよし、とするか。
会議はそれからしばらくして終わり、周りの提督たちのホログラムは、退室という意味で次々と消えていく。しかし、俺と響はとりあえず最後まで残ることにした。ここでは余計事態をこじらせてしまうため言えなかったが、長官とだけで色々と話し合いたかった、気になっていたことがあったからだ。
「やはり君は残ったか。」
「はい、長官。色々と疑問点などを確認しておきたくて…」
「確かに。それで、その疑問点というのは?」
「…敵の黒幕…その正体です。
確かにあのエレキングは強敵でした。艦娘や空軍の攻撃を平然と耐え抜き、ウルトラマンエースさえ一度は危機に陥りました。しかし、それで分かったこともあります。
注目すべきは…エレキングが、『宇宙怪獣』である所です。」
「つまり…黒幕は宇宙にいる、と?」
「可能性は限りなく高いでしょう。ただ、地球を狙う者は、これまでドキュメントに記録されているものも数多く、新種となれば尚更厄介です。それが何者か、という疑問点、まだ全く答えはありませんが、この点は長官と共有しておきたくて」
「確かにな…。分かった、我々も協力しよう。大本営の世界支部会合でも、何とかうまく説明する。」
「よろしくお願いします。」
俺はそう言って退室した。
「お疲れ様、司令官。」
響が声をかけてきてくれた。
「ありがとうな、響。とりあえず腹が減ったし、食堂にでも行くか…」
と、唐突にその時通信機が鳴った。
「すまん、先程君に伝え忘れていたことがあった。」
「長官。どういったことで?」
「いや、これまた申し訳ないが…また君のとこで療養を頼みたい、心に傷を負った艦娘が複数確認されている。異動の手続きや準備ができ次第、こちらも追って連絡する。引き受けてもらえるかい?」
「了解です。こちらこそ、よろしくお願いします。」
「ああ、それと」
「?」
「レイ君のこともある、私も君の優秀ぶりはよくわかっているつもりだが、やはり君1人だけでは不安だ。遠くない内に、君の鎮守府に、支援員のような位置づけで憲兵を派遣しようと思う。」
「本当ですか!
ありがとうございます、助かります。」
「ふふ、これからも頑張ってくれ。私からは以上だ、いつもすまんな」
「いえ、こちらこそ。失礼します。」
通信を切り、改めて食堂に向かうことにしたーーー
ーーー食堂
「いただきます。」
会議とあって、やや遅めの昼ごはん。運ばれてきたカレーを口に入れる。うむ、美味い。これはやはり絶品だ。スプーンが止まらない。
「…僕が見た限りだと、司令官はほぼ毎日必ず1回はカレーだよね」
「そういう響もカレーじゃないか」
「まあ、美味しいからね。司令官が毎日食べるのも納得だね。」
そんなこんなで俺たち2人はカレーを食べ終えて、午後の執務へと入ったーーー
ーーーしばらく後 執務室
先程の連絡曰く、新しく艦娘がまたやって来たり、憲兵が来たりとこれから忙しくなることが予想できるので、俺は響とともに、できる限り先の執務もこなしていた。大淀や、用務員としての今日の仕事を終えた長門も手伝ってくれる。
「…ふぅ…とりあえず後は、今出撃中の第一艦隊の報告書を待つだけだな…。」
と、通信機が鳴る。第一艦隊からのようだ。
「こちら第35鎮守府」
「提督、第一艦隊旗艦山城です。任務目標の海域にて、全敵艦隊の殲滅を確認しました」
「よし、良くやった!帰りも慢心せず、気を付けて帰ってきてくれ」
「はい、了解しましーーー」
その時だ。
通信機の向こうから、耳をつんざくような咆哮が聞こえた。
「な、なに?はっ…き、きゃぁぁあああ」
ブツッ…
山城の叫び声を最後に、通信は途絶えた。
「山城、山城!?おい山城、第一艦隊応答せよ!繰り返す、第一艦隊応答せよ!!」
一気にその場にいる全員の顔が険しくなる。応答を呼びかけても返ってくる気配はないが、彼女の断末魔から推測するに、かなりの緊急事態が起きていることは間違いない。
「大淀、ジオマスケッティの準備を頼む!響、長門!ここは任せた!」
俺は壁にかかっている自分のヘルメットをひったくり、駐車場へと向かったーーー
ーーー同時刻 某海域
「大丈夫か、山城!?」
「大丈夫…とは言い切れないわ、那智。どう見てもこれは大破ね…。」
「とにかく、急いでここを離れましょう!翔鶴さんや朝潮ちゃんも中破しています!皆さんは、私が守りますから!」
「体力も弾薬も消耗しているあたしらじゃ、勝ち目がどうこう言ってる場合じゃないぜ!」
「もちろんよ、羽黒、隼鷹。総員、撤退体制に入って!」
山城たちは、任務完了の報告を鎮守府にしている最中、突如として現れた巨大な魚型の怪獣に襲われた。
現れるやいなや問答無用と言わんばかりに、背中の砲台から砲撃してきたそいつに対応しきれず、山城は大破、翔鶴や朝潮も一瞬で中破してしまった。
「とにかく、提督にこいつのデータを送るぜ!」
隼鷹がスーパースワローを繰り出す。その機体は、怪獣の砲撃で墜落しながらも、砲弾直撃の直前に、しっかりと提督、そして鎮守府にデータを転送していたーーー
ーーー「くそぅ、厄介な怪獣のお出ましかよ!!」
俺がジオアラミスに乗り込むと同時に、隼鷹のスーパースワローから、ジオデバイザーに転送されてきたデータ。ドキュメントとの照合結果を見て、俺は思わずそう吐き出した。それはZATドキュメントに記録されていた、海獣サメクジラだったのだ。かつてバルキー星人に率いられてきて、地球の海で暴れまわり、都心部ではウルトラマンタロウと交戦したという。
サメクジラの最大の武器は、頭部に付いている長い一本角だ。この角の一突きは、大型タンカーでさえあっという間に轟沈させてしまうほどの威力がある。さらにこの個体は以前のエレキング同様、深海棲艦との融合体であり、その体表には駆逐イ級やハ級といった深海駆逐艦の発光体のようなものが随所に埋め込まれ、さらには要塞のごとく、大量の砲台をその背に装備している。「人」でありながら、同時に「艦」でもある艦娘たちの、まさに天敵のような怪獣と言えるだろう。
とにかく今の自分たちでは太刀打ちできないと判断した艦隊は撤退体制に入った。しかし、サメクジラはその後を執拗に追いながら攻撃を仕掛けてくる。
「山城さん、大丈夫ですか!?」
「ごめんね羽黒ちゃん、私はタダでさえ速度は遅いのに、大破したせいで尚更…」
その時だ。
山城と、彼女の護衛についていた羽黒の間に、サメクジラからの砲撃が襲いかかる。響く断末魔。2人とも轟沈は免れたが、互いの距離が大きく離れてしまった。
「山城さん!」
再び近づかんとする羽黒に対し、山城は大きく叫んだ。
「来ないで!
各艦は私に顧みず撤退してください!」
「山城!?貴様何をっ…!?」
その一言を聞いた那智も山城の方を向くが、なんと山城は羽黒や那智に砲塔を向けていた。
「お願い…近づいたら撃つわよ…!みんなだけでも、早く、早く逃げて!」
動けない2人。他の隼鷹、翔鶴、朝潮も硬直状態だ。とーーー
ーーーザッパァァァーーーン!!!
サメクジラが海中から大きく飛び跳ねてきた。そして体の向きを整え、その角の狙う先はーーー山城だ。
「……っ!!」
全員の視界がスローモーションになる。
咆哮を上げ飛びかかるサメクジラ。
思わず目をそらす山城。
届かないと分かっていても、手を伸ばさずにいられない羽黒、那智。
しかし光は、彼女たちを決して、見捨ててはいなかった。
もうだめだ、誰もがそう思った時。
突然空中から、2本の赤い光の筋が目にもとまらぬ速さでサメクジラに命中、その地点で爆発が起こった。思いがけず横槍を入れられたサメクジラはバランスを崩し、山城を狙う軌道を大きくずらされて、離れたところに派手に着水した。
「今のは…!?」
艦隊全員が光の飛んできた方向を見上げた。
その空には、ぽっかりと丸く穴が空いている。そしてその穴を通り抜けてきたのか、1機の戦闘機がサメクジラの上スレスレを飛行していった。どうやら先ほどの光、というかレーザー光線は、この機体から放たれたようだ。
そしてその機体の正体に、艦載機運用能力をもつ、山城、隼鷹、翔鶴は特に早く分かり、そして驚いた。
「あ、あれは…!?なぜあの機体がここに!?」
「ていうか、でかくねぇか!?」
「いいえ、恐らくあれがあの機体…
ガッツイーグルαスペリオルの、本来の姿なんでしょう…」
ガッツイーグルαスペリオル。かつての防衛チーム・スーパーGUTSの戦闘機である。しかも今飛んでいる機体は、第35鎮守府の空母艦娘たちが使うミニサイズのものではなく、翔鶴の言う通り、人間が乗り込み操縦するれっきとした正規サイズのものなのだ。
そのコックピットに乗り込んでいたのは、1人の青年。その雄叫びは、山城たちに届いていたのだろうか…
「見たか!俺の超ファインプレー!!」ーーー
というわけで、最後まで読んでくれてありがとうございますm(_ _)m
感想や評価、よければよろしくお願いします!
また次回、お楽しみにです!