笑顔は太陽のごとく…《決戦の海・ウルトラの光編》   作:バスクランサー

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色々と精神面でのトラブル等あり、更新遅れました。
すみませんm(_ _)m

不定期ですが、これからも読んでもらえると嬉しいです。
では本編。
利根の章、クライマックス。


心からのありがとう

 ーーー「やった…やったのじゃ…

 勝ったのじゃぁぁああああ!!」

 腕を天に突き上げ、喜びを爆発させる利根。その目からは嬉し涙が溢れ、何度もガッツポーズを繰り返す。

「利根さん…本当にありがとう。そして、よく頑張ったね」

 ウルトラマンメビウスがゆっくりと、利根の横に降り立った。

「ミライ…

 …お礼を言うのはこちらの方なのじゃ。ミライがいなかったら、きっと吾輩はまだ立ち上がれていなかった…感謝してもしきれん…本当に、本当にありがとう…!」

 しかし、とどまることを知らないその感謝の気持ちは、利根の心の別側面の成長もさせていて。

 

「色々ミライと過ごしているうちに…ミライのことが、すごく愛しくなってしまったのじゃ…。

 ミライ、大好きじゃ!吾輩はミライが、大好き!!」

「あ、ありがとうございます利根さ………ん!?!?!?」

 

 …ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ!!!!

 メビウスのカラータイマーの点滅が、点滅に見えないくらいのスピードになる。

「あっえっ、いや、あの…えええ!?」

 いくらかつて地球で戦い、その中で人間達と関わりを深めたとはいえ、ウルトラマンメビウスは地球人ではない。M78星雲からやってきた異星人だ。まだ若いこともあり、メビウスはまだほかの多くの兄たちに比べて、天然というか、いい意味でも悪い意味でも純粋すぎるのである。

「す、好き…あ、あの、その…えっ、ちょ、その…」

 かつて助けた地球人から、頬にキスを受けたことはあった。しかし、今は面と向かって好きと言われているのだ。

 メビウス…ミライは、「恋」を知った。セブンやジャックなど、兄たちがかつて話していた地球人とのつかの間の恋模様(惚気とか言ってはいけない)、その中の気持ちそれを今、彼は身をもって知った。

 とはいえ、先述のように純粋すぎるミライには、どうするべきかなど分かるはずもない。しかし、何か言葉を返さないといけないのは分かる。点滅しまくるカラータイマー、パニックになる脳内。なんとか腹を括ったメビウスは…

 

「あ、ありがとうございます!!

 

 ぼ、僕も、大好きです!!!」

 

 言い終えたメビウスは、照れ隠しのように、空高く飛び去って行った。

「ミライ…」

 そして利根もまた我に返り、先程の言葉が反復される。

「………んぬぉぁぁああああああああああああああああ!!!」

 海の上、悶絶の叫び声をあげる利根。

「ははっ、初心だな」

「ぬぐぐ…」

 リュウにも突っ込まれ、しばらく顔の赤みは引かなかったーーー

 

 ーーーその後。

 大破した筑摩を支え、仲間達と避難艇を護衛しつつ行く利根。飛行システムの損傷は少なかったため、スカイマスケッティに乗り、同じく護衛を務めるミライ。結局第35鎮守府に着くまで、2人は通信の言葉さえ交わせなかったーーー

 

 ーーー「皆!大丈夫か?」

 調査艦隊帰還の報を受け、俺は急いで響とともに埠頭へと向かった。今か今かと心は急ぐ。やがて…

 

「見えた!おーい、おーーい!!」

「みんなー!大丈夫ー!?」

 全員見えた。スカイマスケッティも見える。損傷はあるものの、全員生きて帰って来た!

「提督ー!帰ってきたのじゃー!!」

 そして、その先頭を行く、とても凛々しい艦娘…利根。何があったかなどわからないが、きっと、自分の壁を乗り越えられたのだと分かった。間違いない。

 艦隊が港に着いた。既に後ろには、大本営からの特別救護班が駆けつけて待機している。

 すぐに利根たちを入渠させ、スカイマスケッティは工廠に送り、そして第102泊地のメンバーは救護班に預けた。

 

 大本営にもこの件を報告、泊地修復までの当分の期間は、提督を含め、泊地のメンバーは明日から大本営本部で預かるとの事だ。あと、長官から膨大な量の報告書も頼まれたが。

「…わ、分かりました」

「…すまないね、だがよろしく頼む…」

 少し申し訳なさそうな長官の声。ただ、書ける人が自分しかいないのでしょうがない。

「響、しばらく残業が続くぞ」

「…うん」ーーー

 

 ーーーその夜。

「利根、さん…?」

「少し、いいかな…?」

 二人の艦娘が利根の部屋を訪れた。第102泊地の蒼龍と飛龍である。

「どうぞなのじゃ。今、お茶を入れるぞ」

 かなり遠慮した様子でいる二人に、程よく温かいお茶を出して机に座らせる。

「それで、どうしたのじゃ?」

「それは…」

「その…」

 

「「利根さん、以前は本当にごめんなさい…!」」

 

 蒼龍と飛龍は、泊地にいた時から、いつかずっと利根に謝りたかった。

 自分たちが歯がゆかった。

 苦しんでいる利根に何も出来なかったことが、本当に申し訳なかった。

 なのに、今回こうして助けてくれた。

 騒動の中でも謝ったが、それでもこうしてそれを脱した今、伝えられずにはいられなかった。

 冷たい言葉を浴びせられることも、覚悟の上でここに来た。

 ごめんなさい、その言葉が言いたくて。

 

「…先程も言っただろう?

 謝る事はない」

「「え…」」

 

 驚くほど答えは意外だった。

 落ち着いた今、きっと利根は自分たちを許してはくれないだろう。

 そればかり思っていた。

「なんで…?」

「なんで許してくれるんですか…私達、何も出来なかったのに…!」

 涙を流す二人、そして次の瞬間…

 

 ぎゅっ

 

 利根は二人を、優しく抱きしめた。

「もう大丈夫じゃ。二人が気に病むことはない。

 二人の気持ちはよく分かる。一歩が、なかなか踏み出せなかったんじゃな。

 …吾輩もそうじゃった。誰しも、初めはヒーローなんかじゃない。心には弱い部分があるからのぉ」

 

「でも今は、吾輩にはちゃんとした支えがある。

 信頼できる妹が、上官が、仲間がいる。

 守りたい人もいる。

 そして…お主たちも、吾輩の支えの一つ。

 ここまでこうして吾輩のことを思ってくれているのは、とても有難い。

 だから…もう大丈夫じゃ。

 本当に、本当にありがとう」

「と…利根さぁん…!」

「うわぁぁぁああああん!!」

 その後、しばらくの間二人は泣き続けたが、最後にはみんなで笑顔を交し合えた。

 微笑みをつなぐ、笑顔の連鎖の世界がそこにあったーーー

 

 ーーー二人が帰った後、利根は装備していた艦載機…ガンウィンガー、ガンローダー、ガンブースターを机の上に置いた。まだ、中に彼らの気配がある。

「…今日は本当にありがとう。皆のおかげで、吾輩も立ち上がれた」

「礼はいらねえよ。俺達は背中を少し押しただけさ。本当に頑張ったのは、あんたさ、利根」

「みんな…」

 自然と笑顔が零れる。しかし、利根は気づいた。

「皆…薄くなってないか?」

「えっ?ああ、多分、この姿を保っているのが限界にきたみてぇだな」

「えっ」

「さっきも言っただろ?俺達は、今この世界に生きる俺達がGUYSだった頃の魂が、具現化したようなものさ。生霊というか、付喪神というようなものだな。葛藤するあんたに、俺達の思いが反応したんだろう」

「そうか、だから皆が現れたのか…」

「まあただ、永遠に保てる訳じゃないからな。こうしてまた、しばらくは消えてしまう」

「…」

「でもな、この機体に染み付いた思いは消えない。あんたの成長の証も、決して消えない。」

「皆…」

「いつでもここから、見守ってるからな」

 少しずつ、リュウたちの姿が消え始めた。もう一分もないだろう。

「皆…本当にありがとう…!」

「ははっ、大丈夫さ。

 それと…」

 光の粒となって、霧散していくリュウの最後の言葉が響いた。

 

「ミライのこと、よろしく頼むぜ」

 

 利根以外、今度こそ部屋には誰もいなくなった。利根は感謝を示すため、機体を自分で手入れしようと、工廠に道具を取りに行こうとした。

 すると…

 

「利根さん?いま…すか?」

 愛しい人の声。利根の心が、不思議な温かみに包まれる。

「ミライ…吾輩はおるぞ」

「…失礼します」

 まだ少し顔が赤いミライが入ってくる。

 机越しに向かい合う二人。しばらく沈黙が続く。

 先に動いたのは…

 

「利根さん」

 ミライの方だった。

 

「僕は…あなたも知っている通り、M78星雲から来た宇宙人です。地球人から見たら異星人ですし、そして永遠にこの星にいられるわけでもありません。

 

 それでもいいなら…短い間でもいいなら…

 

 僕と、その…」

 

 ぎゅっ!

 

「!?!?!?!?!?」

「ミライ…ありがとう!本当にありがとう!」

 利根は、ミライが言い終えないうちにその体に抱きついた。

「短い間でもいい!

 吾輩でいいなら…ミライと…ミライと一緒にいたい!!」

「利根さん…!」

 ミライの手が、利根の肩にかかる。二人は互いの体を強く抱きしめ合った。そして、ひとしきりした所で、お互いどこか心地よく赤い顔を見合わせる。

 

「…」

「…」

 自然と、利根は部屋の灯を消して、ミライは窓のカーテンを開いた。

 窓から月明かりが差し込む中、二人は目を閉じ、ゆっくりと顔を近づけーーー

 

 ーーー翌日

 妙に赤い顔の利根、ミライさん。他、調査艦隊として出向いたメンバーとともに、第102泊地の皆を見送る時が来た。

 何があったかは知らないが、昨夜きっと、利根と彼女たちの間のわだかまりが消えたのだろう。蒼龍と飛龍が、隣同士の利根とミライを口笛で冷やかしている。

 やがて、専用のバスが到着し、遠くなっていく彼女たちの姿。見えなくなるまでいつまでも、全員で手を振り続けた。

 こうして、一連の利根のことも、そして第102泊地の事件も全て…

 

 …解決してない!

 報告書が残ってる!まだこんなに!!

「司令官…大丈夫かい?」

「ああ…さすがに昨日出撃した利根たちや、憲兵の仕事もあるミライさんに頼るわけにもいかないからな…大淀も大淀で別の書類をしてるし」

 響が時々おにぎりなどを差し入れてくれるおかげで、効率はいい。だが、量が多すぎる。

 その日の夜、ヒトキュウマルマルにはだいぶ終わったにしろ…

 

「ここをどう書くか…」

 利根曰く、かつてのGUYSの仲間が艦載機の中に現れて、自分を助けて怪獣を倒したそうだが、これを報告書に書き下ろすとなると…どう書いていいかわからない。傍から見れば色々と熱くなれるかもしれないが、俺の頭が熱くなりすぎてオーバーヒートしそうだ。

 

 こうなったら仕方が無い。

「ええい、ままよぉっ!」

 俺は電話をかけた。長官に直接。

「こちら大本営極東支部」

 聞きなれた、長官の優しい声。

「こちら第35鎮守府、夜分遅くにすみません。実は…」

 事情を正直かつ手短に話す。

「…という訳で、どうすれば良いのか…」

 対して、電話口から帰ってきた答えは。

 

「そういうことか。

 なら、その件はこちらに任せてくれ」

 …え?

「あ、え、いやしかし…」

「遠慮はしないで欲しい。こちらで上手く処理しておくさ」

「は、はぁ…

 あ、ありがとうございます。」

 

 その後、もう少し長官と話して受話器を置く。

「響」

「?」

「たった今仕事が終わった」

「え?

 でもまだ、ここの部分…」

「長官から直々に、任せてほしいと言われた…」

「えぇ…?」

 気遣いはありがたいが。同時に少しの間、この事態に俺達は困惑したーーー

 

 ーーー大本営極東支部

「ふぅ」

 第35鎮守府との通話を終え、長官は再びいつもの仕事へと戻る。刻刻と変化する状況に素早く対応するため、こんな夜遅くまでの仕事も珍しくない。

「…懐かしいな」

 先程の電話の内容を思い出し、彼はそう呟いた。言葉では簡単に言い表せないほど、奇妙な現象が起き、艦載機の中に小さな人が現れて、ウルトラマンメビウスと共に怪獣と戦ったという。

 しかし、それを聞いたからこそ、彼はその部分の報告書を任せてほしいと言ったのであった。

 

「長官。エスプレッソのお代わりをどうぞ。」

「ああ、ありがとう」

「あまりご無理をなさらぬよう…」

 支部のスタッフの渡したエスプレッソが、ほんのりと湯気をたてている。好物のそれを一口飲み、彼は微笑みを浮かべた。

 

 大本営極東支部長官、サコミズ・シンゴの仕事は、もう少しかかりそうだーーー

 

 ーーー数日後

「さて、今日来る彼女が、大本営からの療養依頼艦娘の最後の娘らしい。」

「それは…誰なんだい?」

 俺と響は、これまで同様、正面玄関前で彼女の到着を待つ。今回はミライさんも一緒だ。

 俺は書類を見直して、言った。

 

「千歳型軽空母の二番艦、千代田」




今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

気軽に感想、評価もらえると嬉しいです、よろしくお願いしますm(_ _)m

ではまた。
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