笑顔は太陽のごとく…《決戦の海・ウルトラの光編》 作:バスクランサー
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では本編どうぞ。
ーーーアナザースペース
「ありがとな、付き合ってもらって」
「いいってことよ!ゼロちゃんの頼みの一つや二つ、どんとこいってんだぁ!」
ウルトラマンゼロは、別宇宙で得た仲間、炎の戦士グレンファイヤーとともに、宇宙を旅する炎の海賊たちを探していた。海賊、とは言っても彼らは基本的に略奪行為などはせず(しても宇宙の平和を乱すベリアル軍からのみ)、ただ自由を愛し、宇宙を放浪する者達である。
「多分、今日はここら辺の宇宙にいると思うんだけどな…おーい、船長ー!!」
すると…
「グレンかー!ひっさしぶりだなぁ!!」
「おおっ、その声は!」
目の前に突如として、炎に包まれた宇宙戦艦・アバンギャルド号が現れた。グレンファイヤーはここで、ゼロと会うまで炎の海賊の用心棒として過ごしていたのである。
「今日はどうした?急に呼んだりして」
冷静沈着な三兄弟の船長の長男・ガル。
「ん?お前まさか…」
のんきな性格の次男・ギル。
「寂しくなっちゃったとか!?」
同じくのんきな三男・グル。彼の言葉に、グレンはすかさず「そうじゃねえ!」と突っ込む。
「んで?要件は?」
「いや、今日は俺じゃなくてよぉ…ほら」
グレンに促され、ゼロが船長たちの前に出た。
「久しぶりってとこだな、船長」
「おお!グレンの仲間だ!ベリアルをぶっ倒した奴だ!」
「あいにくその後復活したがな…しつこい奴だぜ…って、それじゃなくて」
「ん?」
「俺たちが今戦っている敵がいるんだが、まだまだその情報が少なすぎるんだ。だから、ウルトラの父…うちの大隊長曰く、炎の海賊なら何かを知っているんじゃないかってな。これが、質問事項や今知っている限りの情報を詰めたブレスレットだ」
ゼロはブレスレットを手に取ると、念力を込めてガルたちでも扱えるような大きさにし、そして船内へと転送した。
「分かった、受け取ったぞ。少し航海の休憩がてら、ここで中身を見てみるとしよう。こいつを研究室の方へ持って行ってくれ」
「ありがとう、船長」ーーー
ーーーそして数分後
「君たちの聞きたいことはよく分かった。このブレスレットの中に、我々の知る限りの情報を書き加えておいたぞ」
「しかし、まさかこんな所で奴らの名を聞くとはな…」
「最近見ないと思っていたら、別宇宙に手を出していたのか…とりあえず、受け取れ」
「お、おう」
コメントする兄弟達からブレスレットを受け取るゼロ。
「なぁゼロちゃん?一体なにがそっちの宇宙で起きてんのよ?」
「実は、こっちの宇宙にある地球って星に、今聞いた敵が侵略しているみたいなんだ」
「まじかよ…地球って、ゼロちゃんの親父さんたちが代々守ってきた星だろ?」
「ああ。うちの大隊長は独自ルートで敵を探っているから…標的はこっちの地球だけではなく、別宇宙の別の星も同時並行で進めている可能性があるんだ」
「おいおい、それ相当まずい奴じゃねえかよ…。船長、そいつら一体何者だよ?」
グレンの問いに、ガルは重々しく答えた。
「お前も聞き覚えはあるだろう。
数々の星々で、侵略や略奪行為を繰り返す…
『ブラックパイレーツ』の名を」ーーー
ーーー宇宙のどこか 謎の宇宙戦艦
「進言いたします」
暗黒に包まれた、巨大な宇宙戦艦の中。その艦長室と思われる部屋に、一人の男が、部屋の中央に位置する、艦長席に座る者の元へと座った。
「我々の計画に、再び邪魔が入ろうとしております。何でも、例の鎮守府とやらが、我々の手が及んでいないやつらへと交信を試みているようです」
「…それは、本当か」
冷酷にそう答える、艦長席の男。
「鎮守府から送られる、やつらがテレパシーに使う波長をキャッチしています。間違いありません」
「…ほう」
言葉数少なく返すが、その黒い瞳が一瞬、怪しく光った。
「まだもう少し様子を見ろ。準備は出来ているだろうな?頃合いを見て送り込め。ただし、前にエラーガがウルトラマンメビウスに負わせた傷が、癒えきらぬうちにな」
「はっ」
コツ、コツ…側近と思しき男の靴の音が響き、やがて遠ざかっていく。
一人となった艦長室で、男はひとつため息をつく。
眼帯をつけ、全身を大きな漆黒のコートで包み、頭にはシルクハット。地球の提督とは真逆の容姿の色彩から、黒く冷たいオーラを放つ。
「…どこまでも、しつこい」
水晶玉らしきものを先端につけたステッキで、男は静かに、しかしどこか煩わしそうに、コン、と一度だけ床を突いたーーー
ーーー電波特異点
テレパシー波長増幅実験開始から三日目。
この日の昼過ぎまでに、かなりの進歩があった。レイ曰く、かなり仲間たちへと近づいているように感じるという。
「このペースなら、もしかしたら今日の夕方までには、コミュニケーションが取れるかもしれないね」
「はい!頑張ります!」
レイもやる気満々だ。…ん?
「あっ!」
響の指さす先には、複数の機影。鎮守府からスカイホエールが、昼食を運んできてくれたようだ。
「時間もいいし、ここら辺で昼食休憩にしようか」
「そうですね」
弁当を受け取り、シートの上に広げる。
「じゃあ、いただきます」
やはり絶品だ。一口運んだだけでもその美味さが分かる。
「これ、本当に絶品ですね!」
「ああ。こんな美味しいものを毎日食べられる君たちが、羨ましいくらいだな」
高山さんと藤宮さんも絶賛だ。…ん?
「…すみません、失礼」
通信が入っている。どうやら、今朝出した遠征艦隊の暁たちからのようだ。少し離れた場所に移動し、答える。
「提督だ、どうした?」
「暁よ。とりあえず、目標量の資材はちゃーんと集めたわ」
「そうか、よかった。お疲れ様だな」
「一人前のレディとしては当然よ、ただ…」
ん?どうしたんだろう…
「今いる所の南あたりの天気が、急に変わってるみたいなの。結構荒れ始めてるわ」
「分かった、報告ありがとう。影響が出ないうちに、早めに撤退してくれ」
「了解したわ、すぐに帰るね!」
通信を切り、再び食事の席へ戻る。
「どうしたんだい、司令官」
「遠征に行っている暁から、南方で嵐が発生しているという報告を受けたんだ。幸い既に撤退はしている、大丈夫だろう」
「えっ」
何気なく状況を伝えただけ…だったのだが、それに高山さんが小さく声を漏らした。藤宮さんもピクリと反応する。
「…それは本当ですか?遠征の海域は?」
思わず端末に海域図を表示し、二人に見せる。
「妙だ。この季節に、この海域で嵐なんて…」
どうやら、嵐は通常なら発生しないようなのである。
「深海棲艦によるエネルギーバランスの乱れが引き起こしたのかもしれませんね…」
そう俺は結論付けたが…
「念の為、エリアル・ベースに確認の問い合わせをしてみます」ーーー
ーーー「こちらエリアル・ベース。…我夢かに藤宮か、どうした?」
「石室コマンダー、実はエネルギーバランスの乱れによる嵐が、○✕海域で発生している模様なんです。一応、進路予想を立ててもらえますか?」
「よし、分かった」
空高くに浮かぶ、研究兼救助ステーション、エリアル・ベース。その長であり、また元XIGの司令官でもあった石室章雄が、我夢からの通信に答えた。
「気象研究班、データを頼む」
「はい」
直ちにコンピューターを操作し、解析にあたる研究員たち。だが…
「どういうことだ…ありえないぞ…」
「ん?」
「見てください。この嵐は、比較的小規模ながら台風とよく似た構造をしているんですが…進路が、直線なんです。いっさい曲がりくねったりしていません」
理系分野は決して得意ではない石室だが、台風はよく進路が変わることぐらい知っている。おかしい。
嫌な予感を覚えた彼は、すぐにデータを我夢と藤宮にも転送、指示を仰ぐ。
「確かにこれはおかしすぎる…いくらエネルギーバランスの乱れから台風が発生したとしても、こんな進み方はしないはずだ」
「コマンダー、その台風をあらゆる観点から分析してください。たとえ関係がなさそうなものも、できるだけお願いします。」
「分かった」
そしてその判断が、衝撃の結果を知らせることになる。
「コマンダー、至急高山さんと藤宮さんのいる所に、避難指示を!このままのペースで直進を続けると、彼らのいる場所に直撃します!」
「なんだと!?分かった!」
彼が避難指示を出すために動こうとした時、もう一人の研究員が驚きの声をあげた。
「こ…これは…!?」
「どうした!?」
彼が発見したのは、全く思いもよらないことだった。
「台風にサーモグラフィースキャンをしたところ、中心の温度が異様に高くなっていて…まさかと思いながらも、バイタルサインのサーチをかけたんです、そしたら…!」
コンピューターの画面は、台風の目の部分が真っ赤に光っていた。つまり…
「なんて強い生命反応だ…!」
「これほどの強さから、中心部には怪獣クラスの体長を持つ生物がいるとしか考えられません、しかも…
反応は、二体分です!!」ーーー
というわけで今回も最後まで読んでいただきありがとうごさいました。
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また次回をお楽しみに(`・ω・´)ノ