笑顔は太陽のごとく…《決戦の海・ウルトラの光編》   作:バスクランサー

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多分次の更新は一週間以上開くかも知れません。
ご了承ください。

では本編どうぞ。




みんなの勇気

 宇宙怪獣ベムラー。

 地球に一番最初に来たウルトラ戦士・ウルトラマンが地球上で初めて戦った怪獣だ。

 その凶暴な深海棲艦の赤い瞳が、恐怖に怯える人々を見下ろし、深海棲艦の声で嘲笑う。

「ハハハハハ!怖イカ、怖イダロウ!貴様ラノソノ怯エキッタ表情!安心シロ、スグ二ブッ殺シテヤルカラナ!」

 もう場はパニックそのものだ。泣き声、叫び声、うずくまる者、腰を抜かし後ずさりする者…

「そ、そんなこと…絶対にさせない!」

「全員、砲撃開始!」

 那珂たちの総力を挙げた砲撃。しかしそれによるダメージでも、ベムラーは全く怯まない。

「忌々シイ、虫ケラドモメガ!ソンナモノガ通用スルカ!

 全員マトメテ、沈ムガイイッッ!!」

 ベムラーは大口を開け、エネルギーをためていく。もうこの空間は恐怖そのものと化している。次に放たれるこのフルパワーの熱線を喰らえば、予想できる結果は死、一つしかない。

 もう、どうすることもできないのか。

 もう、自分は沈んでしまうのか。

 那珂の心は、いや、そこにいる全員の心も、今にも闇に覆い尽くされようとしていた。

 

「誰か…助けてっ……!」

 

 その小さな声。しかし、それはしっかりと彼に届いていた。

「那珂ちゃん…!

 君が、みんなが、呼んでいるなら…!」

 その声を聞いた彼・朝日勝人。彼はポケットから、形だけ見れば我々にも日用品として結構馴染み深いものを取り出した。

 だが決して歯ブラシとか言ってはいけない。これは正真正銘の奇跡のアイテム・ピカリフラッシャー2なのだ。

「今すぐに、そこへ行くよ!!」

 彼は、ピカリフラッシャー2を白い歯に当てた。そしてそこからさらに大きく頭上に掲げ、叫んだ!

 

「ゼアスッッ!!!」

 

 刹那、彼の体は光となり、その光は声の方向へ超光速で飛んでいったーーー

 

 ーーー客船

「コレデ終ワリダ!死ネェェェッッッ!!」

 ベムラーの口の中は、青々とした熱線のエネルギーで満ちている。今にもその一波が放たれようとしていた、まさにその時だった。

 

「そうは、させるかぁぁぁあああ!!!」

「!?」

 空から天高く響く声。思わず上空を見上げるベムラーが見たものは…

 

「ゼアス・ドロップキィーーーック!!!」

 

 ドロップキックの体制で超スピードで自分に突っ込んでくる、光に包まれた一人の巨人だった。思いもしていなかった事態にベムラーは対応し切れず、そのキックをもろにくらって大きく吹っ飛び、海面に派手に叩きつけられた。

 一方の巨人はすぐさま船の乗員乗客に向かって、目から光線を発射した。

 

「ウルトラ・ワープビーム!!」

 

 光線は展望室、さらには那珂や阿賀野といった救援艦隊など、そこにいた全ての人々を包み込み、その姿をその場から消し去った。その直後、近くの台地状の無人島に、全員がそっくりそのまま転送された。

「あれ…!?船にいたはずだったのに…?」

「俺たち、助かったのか…!?」

 事態が飲み込めず、オロオロする人々。そんな彼らの前に、先ほどの巨人が現れた。

「那珂ちゃん、みんな…大丈夫かい?」

 那珂はハッとした。自分の名を優しく呼ぶ巨人のその声に、聞き覚えがあったからだ。

「あなたは…朝日さん…!?」

「ふふ、半分正解、かな」

 巨人はゆっくりと立ち上がる。

 その勇気を体現したかのような、真っ赤で、勇ましい顔。

 同じように真っ赤な体に、銀色のラインが走る。

 輝く瞳、胸の青い灯。

「今の僕の名は…ウルトラマンゼアスだ…!」

 巨人は自らの名を告げた。

「ウルトラマン、ゼアス…」

「うん。そして、よく頑張ったね、那珂ちゃん。

 さあ、後は僕に任せてくれ!」

 遠くから、球体となったベムラーが迫ってきている。ウルトラマンゼアスは一つ、人々に向かって頷くと、ベムラーを迎え撃ちに飛び立って行ったーーー

 

 ーーー「出タナァ、ウルトラマンメェ!貴様カラ沈メテヤル!!」

「かかってこい!僕が相手だ!」

 

 ウルトラマンゼアスと、ベムラーとの戦いが始まった。那珂たちも島の上でそれを見守っている。と、そこへ一つのジェット音。

「遅れてすまん!救助用具を揃えるのに、時間がかかった…!」

「大丈夫だよ、提督ー!」

 提督のスカイマスケッティが、阿武隈たち支援艦隊と、避難用緊急艇を引っ提げて駆けつけた。

「よかった、みんな助かったようだな…」

「うん…!ウルトラマンゼアスが、私たちを助けてくれたの!今、あそこでベムラーと戦ってる…!」

「なに!?そうか…!」

 すると、那珂が提督に提案した。

「私も行っていいかな…?少しでも、恩返しがしたいんだ、朝日さん…ウルトラマンゼアスに」

「ああ、もちろんだ!阿武隈たちは救助艇の護衛を頼む!」

 那珂たちも、ゼアスの元へ急いで向かっていった。

 

 一方の戦いの方はというと、ゼアスとベムラーの一進一退の攻防が続いていた。ゼアスが正拳を突けば、ベムラーが体当たりで返す。ベムラーの尻尾の一撃に、ゼアスがハイキックで退ける。両者の力は、まるでラグビーのスクラムのごとく拮抗しているようだ。

「クッ…ナラバコレデドウダァッ!!」

 その状況に痺れを切らしたのか、ベムラーはゼアスに猛チャージ。何とか受け止めるゼアスだったが、次の瞬間、なんとベムラーはゼロ距離の状態から、自身の砲塔を全てゼアスに密着させ…

「死ネェェェェェ!!」

 一斉に砲撃した!

「ぐわぁぁぁっっ!!」

 吹き飛ばされるゼアスは、そのまま海に落ちて、消えてしまった…。

「ハッハッハ!!コノ程度カ、笑ワセルナァッ!!」

 勝利の高笑いと言わんばかりに声をあげるベムラー。一足遅かったか、俺がそう思いかけた時…

「お願い、ウルトラマンゼアス!

 最後まで、諦めないでぇーっ!!」

 那珂が思い切り、海面に向かって叫んだ。他のメンバーたちも、続々とゼアスの名を叫んでいる。最後まで、彼女たちはゼアスの勝利を信じているのだ。だったらやることは一つ。俺は大きく息を吸い、

「ゼアスーーーッ!」

 思いの丈を叫んだ。

「愚カナ人間ドモヨ!ワカランノカ!!ソンナコトヲシヨウガ、無…駄…!?」

 ベムラーはそこまでしか言えなかった。なんと、ゼアスが沈んだ海面が、急に光をまとい始めたのだ。そして…

 

「ゼアッッ!!」

 ウルトラマンゼアスが、なんと海面から飛び上がってきた!

「ゼアス!!」

 那珂が声高く叫ぶ。ゼアスは那珂に、「ありがとう」と言っているかのように頷き、空中からベムラーを見下ろす。

「馬鹿ナ…!貴様、今ノヲクラッテマダ戦エルダト!?」

 動揺するベムラー。ゼアスはベムラーを見下ろしたまま言った。

 

「絶対に負けない!負けるもんか!!

 僕にだって、僕にだって…!

 

 勇気が、あるんだぁーーーっ!!」

 

 その叫びの勢いそのままに、今度はゼアスが猛烈にベムラーとの距離を詰める。そのスピードを生かし、目にも留まらぬ速さで縦回転して繰り出す技とは…

「受けてみろ!

 

 ウルトラかかと落とし!!」

 ウルトラマンゼアスが、1度は敗れた宿敵・ウルトラマンシャドーを破るために血の滲むような大特訓の末に身につけたこの技。かかとに膨大なエネルギーを蓄積、回転の勢いを利用して思い切り叩きつける。Mydoのスカイフィッシュの攻撃さえ効かなかったウルトラマンシャドーの顔面外部装甲に穴を開けるほどの威力は、その脳天に命中したベムラーにも大ダメージを与えた。

「グハッ!!」

 堪らず苦しげな声を漏らし、倒れかけるベムラー。ゼアスはうまく体制を空で整え、そして着水と同時に、ウルトラマンやウルトラマンジャックの使うスペシウム光線とは逆の十字に腕を組み、自身の必殺光線を放った。

「スペシュッシュラ光線!!」

 青く光るその光の筋。しかし、ベムラーも体制を立て直し、自身の口から熱線を撃ってきた!両者の光線は互いの間の中央付近でぶつかり合っていたが、ベムラーはさらに、正々堂々とは真逆の手段でゼアスに攻撃する。そう、胴回りの砲塔から、再びゼアスに向かって砲撃してきたのだ!

「あいつ!なんて卑怯なっ!」

「提督!ゼアスの光線が押されてる!」

 あの熱線でベムラーは勝負をつける気だ。だが、絶対にそうはさせない!那珂の、ゼアスの勇気を、無駄にはさせない!

「ウルトラマンゼアスを援護しろ!砲弾のルートを逸らすだけでもいい、全力でやれ!」

「「「「「「はい!」」」」」」

 ベムラーから放たれ続ける砲撃。しかし、ゼアスへの命中弾数は、那珂たちの砲撃や、スカイマスケッティのファントン光子砲が相殺して次第に減っていく。

「コザカシイ!オノレェ!」

 ベムラーはさらに熱線の威力を上げた…はずだった。しかし、どれだけそうしても、ゼアスの光線がこれ以上押し切れない。むしろ逆に押し返されてきたのだ。

「貴様…ナ、ナゼダァ!?」

「僕には見える。僕を助けようと、みんなが頑張っている姿が!

 僕には聞こえる。僕の背中を押してくれる、たくさんの声が!!」

 ゼアスが避難させた、船に乗っていた人々。島の上から、彼らはずっと、ゼアスに声援を送り続けていた。

「ゼアス!ゼアス!ゼアスゼアスゼアス!!」

「ゼアス!ゼアス!ゼアスゼアスゼアス!!」

「ゼアス!ゼアス!ゼアスゼアスゼアス!!」

「「「「「「ゼアス!!ゼアス!!ゼアスゼアスゼアス!!!!」」」」」」

 みんなの思いは一つ。

 

「ウルトラマンゼアス、頑張れ!!」

 

 そして一つになったその思いが、ゼアスに「何でもできる力」を与えた!彼の闘志が最大となり、彼は文字通り、その口を大きく開けて叫んだ!

 

「みんなの勇気を…受けてみろ!!

 

 クロス・スペシュッシュラ光線!!!」

 

 十字に組まれた腕を、X字に組み換え、その腕全体から放たれるは、スペシュッシュラ光線の10倍以上の威力を持つ、ゼアスの「気」がマックスの時のみに使える最強の必殺技。そう、ウルトラマンシャドーとの戦いでも、世界中の人々の声援を受け「使うことができた」、クロス・スペシュッシュラ光線だ!

 光線はあっという間にベムラーの熱線を押し返して、ベムラーに到達。

「グッ…アァッ…!

 グワァァァアアアアア!!」

 絶叫とともにベムラーは爆発四散した。ウルトラマンゼアスの、そしてみんなの勇気が勝ち取った大勝利だ!歓喜にわく人々。その中で、那珂はウルトラマンゼアスを見上げ、言った。

 

「ありがとう」

 

 ゼアスはまたひとつ頷くと、

「シュワッチ!!」

 空の向こうへ飛び立って行ったーーー

 

 ーーーそれから。

 那珂は完全に本来の元気いっぱいの笑顔を取り戻した。最近は夜の食堂で新曲を披露してくれることもあり、なかなか好評らしい。

 また、朝日さんのところでたまに日雇いのバイトをすることもある。那珂に誘われて、最近は川内や神通も行くようになったとか。

 何はともあれ、今日も那珂は、その笑顔で鎮守府に活気をもたらしてくれている。

「みんなありがとー!

 那珂ちゃん、これからも頑張るからね!応援、よっろしくぅ!」ーーー

 

 ーーー数日後。

 鎮守府に一本の電話がかかってきた。

「はい、第35鎮守府…はい、はい。あ、分かりました…はい、失礼します」

 受話器を置くと、響が話しかけてきた。

「司令官、今のは?」

「ああ、大本営からだ。どうやら明後日、前も言った憲兵さんがここに着任してくれるようだ。」

「そうか、それはいい」

「ただそれだけでは無いんだよな。憲兵さんと同じ日に、またここに療養対象の艦娘が来るそうだ」

「…その人って?」

 

「航空巡洋艦の、利根だそうだ」ーーー




では今回も読んでいただきありがとうございました!
感想や評価、よければお願いします!

さて、勉強しないと…(白目)

何はともあれまた次回!
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