装甲悪鬼村正 トータル・イクリプス   作:Flagile

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異世界交流

 異世界だ、という前提に立ってからは早かった。

 

 お互いの世界の情勢や兵器、そしてこの場所に来た原因などについて情報を交換していく。茶々丸はどうやら俺達の世界に興味があるらしく色々聞いてきた。俺達の世界との最大の差異はBETAの存在を除けば劔冑と呼ばれる超常の存在だろう。古代から存在し、現在も最強の兵器であり続けるパワードスーツなど一体何の冗談かと思ったほどだ。

 

 次に大きな差は時代だろう。ざっくりと見てみると第二次大戦が終わった直後BETAが現れるまでの冷戦時代が最も近いだろう。

 

 最も技術力に関して言えば俺達の世界と比較してかなり偏っているようだ。特に宇宙開発や航空機に関してはほとんど手付かずと言っていい程遅れているようだ。逆に材料技術に関して言えばかなりのレベルにあるように感じた。そして何より最大の特徴は劔冑の存在だろう。技術も劔冑を中心に発達している。

 

 そして地味にショックだったのはアメリカ合衆国が存在しない事だ。愛国的であろうとしていたが別に極端な愛国主義者という訳ではないのだが、それでも未だにイギリスから独立できていないという事に思いの外衝撃を受けた。

 

 こちらの世界の情勢を聞いて思ったことは平和だな、という事だった。大英連邦、露西亜帝国、そして仏蘭西の三つ巴、特にロシアと英国の微妙なバランスの中で大和帝国が侵略の危機に晒されているという事は分かった。

 

 大和国内に限っても大戦の末期に自国を裏切り降伏し、現在大和を支配している六波羅幕府、そして大戦の勝者であり占領者である国際統和共栄連盟――内実は大英連邦とその属国に依る協賛会らしい――の進駐軍GHQ。この二者は表立ってはないものの裏では対立し、そこに反幕府勢力が絡んでいる複雑怪奇な勢力模様のようだ。

 

 それでもこの世界では戦争で死ぬ人間が圧倒的に少ない。劔冑という存在が戦争の行方を左右するこの世界では戦闘の規模が小さいためなのか。俺の知っている人類間の戦争と比べても少ないように感じる。負けたとしても混乱はあれど全滅する事はなく統治者が変わるだけだ。それが重要なのは頭では分かっているのだが、どうしてもBETAに全て奪われる事を考えてしまうととそう思ってしまう。

 

「っツ」

 

 そんな事を考えながらも情報交換を続けていると突然、茶々丸の表情が曇る。この国の状況を聞いて平和と思うのは流石にまずかったか?そう一瞬思考を振り返るがどうも茶々丸の視点は自分を見ていないようだ。

 

「ちゃちゃまる、だいじょうぶ?うるさいの?」

 

 いつの間に近づいたのかイーニァが茶々丸の袖を引っ張りながらそう尋ねる。……煩い?周りからはざわざわと木々がざわめいており、虫や鳥の鳴き声も混じっているため静寂に包まれているとは言えないがそれでも煩いとは言い難い。あるいはリーディング能力者だけが感じられる煩さがあるのだろうか?そう言えばサンダーク少佐が無差別なリーディングの危険性について言っていた。茶々丸に制御装置はないようだし、そのせいか?

 

「ん、お嬢ちゃん、ありがとう。だいぶ収まってきたから大丈夫だよ……待たせちゃったね。さっ続きをしようか、お兄さん」

 

 まだイーニァは不安げな眼差しを見せているものの当の本人が大丈夫だと言うのだ。だったらここは早く状況を掴んで終わらせる事が最善ではないか、そう考え質疑応答を続行する。

 

 そんな良く分からないトラブルは有ったものの情報交換は順調に進んだと言えるだろう。そうして状況が把握できてくる中で考えることはこれからどうするか?という事だった。

 

 元の世界に帰りたい、いや帰らなくてはならない。そう思うのだが方法が検討もつかない。この世界に来た原因は試作品のG弾ではないかと予想はできるのだが、だからと言ってG弾を作る方法も材料も、まともな知識もない。そもそもG弾があったとしてそれで帰れるのかどうかも分からないのだ。万が一転移の技術が確立できたならばBETAの脅威から世界を救う事もできるかも知れないし、そこまでいかなくとも何かしら役に立つ物――例えば劔冑とか――が幾つもあるだろうから調査は必要だろう。

 

 まぁ、今すぐ帰れないのならば帰る方法を探すためにも当面はこの世界で生きていく必要がある。そこまで思考を進めた事で今まで忘れていた致命的な事実を思い出す。

 

「そうだ!イーニァ、アンプルは!?」

「だいじょうぶだよ、ゆうや。ちゃんと持ってきてる」

 

 そう言いながらイーニァはアンプルが入った箱を見せてくれる。箱の中には数本のアンプルが入っている。アンプルはイーニァが生きていくためには必要不可欠な薬なのだ。そしてこの僅かなアンプルがなくなってしまえば遠からずイーニァは死んでしまう。

 

 話を聞いている限りこの世界の技術レベルでは複製する事も困難だろうし、それが可能な程アンプルが持つとも思えない。

 

 ということはアンプルがなくなる前に元の世界に戻る必要があると言う事だ。絶望が足音を立てて迫ってきているように感じる。

 

「クソッ、俺はクリスカだけじゃなくてイーニァも助けられないのか!?」

「……まだ、絶望するには早いんじゃない?お兄さん」

 

 そうだまだ絶望するには早すぎる。

 もしかしたら何かの拍子に突然転移するという可能性もあり得ない訳ではないだろうし、そうでなくても戻れる手段、もしくはイーニァを延命させる何らかの手段を探すのが先決だ。

 

 そんな事を考えていると天使のような(悪魔のような)笑顔で茶々丸が囁く。

 

「にゃは、あてだったらお嬢ちゃんを助けられるかも知れないよ?」

「本当か!?頼む、イーニァを助けて欲しい」

 

 即座に受け入れる。イーニァが助かるのであれば大概の事はやるつもりだった。イーニァの事がなくとも生きていくためには誰かしらの協力が必須なのだ。そして運が良いのか悪いのかそれができそうな人物が目の前に立っているのだ。

 

「おにーさん、あてに協力しない?」

 

 そんな思考も読まれていたのだろうか。茶々丸の方からそう言い出してくる。どれほど権力を持っているのかまだ把握しきれていないが、それでも俺とイーニァを「保護」する事ぐらいは簡単な筈だ。なのに敢えて「協力」を申し出てくれる。

 

 これは状況からすると温情と判断すべきなのだろうが、どうも茶々丸からは裏があるような腹黒い感じがする。それでも提案を蹴るという選択肢はありえない。

 

 そう思い、イーニァに確認の目線をやると楽しそうに頷いている。

 

「その提案、受けたいと思う……で、だ。俺達は何をすれば良い?」

「んー、お兄さんの自由にして良いよ?あてとしても世界を渡る方法を知りたいし、ちゃんと結果を教えてくれるならお兄さんもお嬢ちゃんも何でもしてあげるよ」

「は?」

「だから三食昼寝付きでお世話してあげるよ、お嬢ちゃんの病気?も多分どうにかなるし」

 

 あまりにも都合が良すぎて、間抜けな声を出してしまった。少なくとも不知火・弐型は抑えられる可能性が高いと思っていた。イーニァの命が助かるならば無傷(ボロボロだが)での引き渡しも已む無しかとか考えていたのだが。まぁ、現段階では高価な鉄屑以上の価値を付けられないのだから仕方ないとも思っていた。

 

 その上で引き渡す際に爆破すべきかどうか悩んでいたのだ。機密保持のためには爆破しておくべきなのかも知れないが、まず俺達の世界と関わることがないだろう。ならば手札として温存しておきたい……いや、素直になろう。俺は唯と共に育て上げた不知火をこれ以上壊したくなかっただけだ。

 

「あてとしてはこの……不知火だっけ?にももちろん興味があるよ、むしろ興味津々なんだけどね、それ以上に世界の転移について知りたいんだ。……あてはね、お兄さん、堀越公方じゃなくてあて個人に協力して欲しいんだ」

 

 どういう事だ?茶々丸には何か別の目的があるという事か?

 ……クソ、さっきから翻弄されっぱなしだ。

 

「……茶々丸、アンタの目的って奴を教えてくれ。じゃないと判断できない」

「いいよ、お兄さん。……あてはね、くそったれな神様をどうにかしたいんだ」

「あのうるさいのがかみさまなの?」

「イーニァ?それに神様?煩いって……?」

 

 何を言ってるんだ?神?そんな物が何か関係あるのか?何やらイーニァと茶々丸の間では共通の認識があるようなのだが、俺には全く分からない。俺達の反応を気にせずに茶々丸は続ける。

 

「あては神の実在を知っている、感じている……さっきお嬢ちゃんがあてを機械みたいって言ってたろ?その感覚は正しいよ。だってあては生体甲冑(リビングアーマー)、劔冑と人の合いの子なんだ」

「なん、だって?」

 

 驚愕。その一言に尽きる。劔冑なんて超常の存在の実在すらまだ飲み込めていないのに劔冑と人の合いの子などと言われてもどう受け止めればいいのか分からない。……だが、そうだと仮定するならこの茶々丸のリーディング能力も納得できない訳でもない。

 

「今はそう言う物なんだって思っておいて、お兄さん。……そんな中途半端な物だからあては地下に眠る神の存在を感じる。くそったれな神様が喚いてるのが聞こえるんだ、ガーガーガーガーと四六時中煩いったらありゃしない……あてはそんな状況をどうにかしたい。……その一つの可能性をお兄さん達に感じたんだ。あてを神様の居ない世界に連れてってくれるかも知れない、そんな可能性を」

 

 だからあてに協力しない?おにーさん

 そう締めくくる。その姿からはどこか疲れ切ったような諦念と執念が同時に感じられた。

 

 その言葉に俺達はゆっくりと頷くのだった。

 

 

 協力することに肯んじた俺達に茶々丸はこんなトンデモナイ物(戦術機)、さっさと隠さないといけないから、ちょっと待っててとだけ言い残してその場を立ち去った。おそらくどこかから部下を呼んでくるのだろうと思う。

 

「なぁ、イーニァ、茶々丸に協力する事になっちまったけど良かったかな?」

「うん!ユウヤがいいとおもったんだからイーニァはそれでいいんだよ!」

「そっか、良い選択だったと思えるように俺も頑張るよ」

 

 それから先程はしなかった不知火の詳細なチェックを外部から行っていく。調べれば調べるほど不思議な壊れ方をしていることが分かっていく。最も頑丈な骨格部分がねじ切れているのに、その周囲にある配線は無事だったり、回路の一部が消失していたりと見たこともないような壊れ方をしているのだ。

 

 特に特筆すべきは跳躍ユニットだろう。右の跳躍ユニットの真ん中から先が球形に失われているのだ。断面は非常に綺麗でまるで鏡面加工でもしたようになっており、元からその形状だったと言われてもおかしくない状態なのだ。

 

「武装は……長刀は片方が破損、突撃砲は両方共健在、後は……短刀がシース内で折れてるな」

 

 そんな風に破損箇所のチェックを行うと同時に燃料の供給栓を閉めたり、爆発しかねない部分を取り外したりしていると轟音とともに4機の甲冑が飛んでくるのが見える。

 

 まだ遠目だが、その丸みを帯びて頑強そうな造りは目を引く。灰色に鈍い赤色という地味な配色が如何にも軍用と言った風情だ。鈍重そうな見掛けだが銃弾を見切り避けることも可能だと言う。レシプロ機のような合当理と呼ばれている推進器、その速度はなかなかの物だ。

 

 話こそ聞いていたが実際に飛んでくる姿を見ると強化外骨格との違いがよく分かる。あれは強化外骨格ではなく小さな戦術機とでも呼ぶべき存在。いやそれ以上の超常の存在なのだ。

 

「あれが、劔冑、か」

 

 自分達の世界には存在しない超常の存在、話をそのまま信じる限り強化外骨格と同サイズでありながら明らかに超越している。事実上燃料も必要とせず、戦術機と共同作戦を取れるかも知れない存在、劔冑。

 

 その存在は実際に目にした今でも半ば信じることができない。とりあえず、もしあれが俺達の世界に存在したとしたら戦車級以下の小型種の脅威は大幅に小さくなったのではないか?そう思える存在であるという事だ。

 

 4機は着陸すると同時に手に持っていた荷物を降ろし、そのまま迅速に周りから見えないように巨大な天幕を張っていく。

 

 その様子を確認すると荷物のように運ばれてきた2人の女性がこちらに近づいてくる。片一方は先程とは違う軍装をしている茶々丸だ。もう片方はメカニックらしきつなぎを来た褐色の肌をした白髪の少女だった。

 

「にゃは、おにーさん、お待たせ~」

「……初めまして、不知火つくし、です」

「ああ。初めましてユウヤ・ブリッッ耳!?尖ってる!?」

 

 不知火つくしと名乗った少女の耳は長く鋭く尖っていた。それこそ人間にはありえない程に。

 

「はにゃ?……ああ、そっかお兄さん達の世界には蝦夷(えみし)とかドワーフはいないのか……まぁそういう人種だと思って頂戴。若いけど劔冑のスペシャリストで超有能だから。あの子も任せる事になるんだし」

 

 そう言いながら不知火を示す茶々丸。ここまで色々と衝撃的な展開の目白押しだったが、蝦夷の存在は自分が異世界に居るのだ、と実感させた。正直、ドッキリでした、と言われたら信じてしまう程度に現実感がなかったのだが、無理矢理現実に叩きつけられた気分だ。

 

「あ、ああ。すまない。ドワーフなんて初めて見たから取り乱した。改めてユウヤ・ブリッジスだ。よろしく頼む」

「……大丈夫、大体話は聞いてる、よろしく頼む。それにしても、戦術機、美しい」

 

 つくしは一見むっつりと黙りこんだ無表情のように見えるのだが、眠たげな目が爛々と不知火・弐型を見ている。明らかにユウヤ達の存在よりも戦術機に興味があるようだ。このタイプの人間は基地でも見たことがある、技術にしか興味のないとびっきり有能で変人な開発者だ。人種差別的なことにも興味がないためビジネスライクに付き合えたのでよく覚えている。

 

「そうか?ありがとう」

「うん、美しい。有り様が……これは人を守るための刃」

 

 何やら無表情のまま陶酔したような目で不知火・弐型を見つめるという器用な真似をしているつくし。

 

「さて、夜も更けてきたし、今日はこれぐらいにしてそろそろ休まない?」

 

 天幕を張り終え、周りの目から戦術機が隠された事を確認した茶々丸がそう告げる。どうやら今日の内はとりあえず人払いをした程度で済ませ、近い内に整備ができるような基地に運びこむ算段らしい。一通り機体のチェックも終えており、この状態から突然爆発するような事もないと判断し、茶々丸を信じて付いていくことにする。

 

 茶々丸に連れられて近くに駐車されていた車に乗り込む。道は最低限均されている程度でかなり揺れる。軍用車で慣れているとは言え、下手に口を開けば舌を噛んでしまいそうだ。

 

 仕方なく、外の景色を眺めることにする。が、山の中というだけあってまともな街灯すら存在しない闇の中をヘッドライトだけが微かに照らす。すれ違う車どころか家すらもまばらな様子からここが比較的辺鄙な場所であると推測できる。

 

 しばらくヘッドライトだけを光源に暗がりの中を走ると外の様子が変わってきた事が分かる。家が建ち並ぶようになったのだ。街に入ったらしい。とは言えやはり街灯は少なく、暗い。すぐに一件の武家屋敷が見えてくる。どうもかなり広いようなのだが玄関以外にろくに明かりがないためどの程度広いのか判別が付かない。

 

「ここが茶々丸の家か?」

「そう、ここがあての家、堀越御所だよ」

 

 家の中へと通され、離れらしき一室へと辿り着く。

 

「しばらくはここで暮らして頂戴、何か用事があれば女中さんか誰かに伝えてくれればやってくれるように伝えとくから」

「ああ、ありがたく使わせてもらうぜ」

「さて、お腹空いてるでしょ?何か出してもらうけど食べられない物とかある?日本食自体が無理とか?」

「いや、そういうのはない、よな?」

「うん!イーニァはすききらいしないんだよ!」

 

 イーニァが胸を張って言う。

 

「そうか、それは偉いな」

「じゃ、そういう事で……あてはちょっと色々やらなくちゃいけない事があるから、詳しいことはつくしにって事でじゃねー」

「……任された」

 

 それだけ言い残すと茶々丸も去っていく。

 食事も終わり、一息ついているとつくしが話しかけてくる。

 

「……戦術機について、話、したい」

 

 本当に戦術機にしか興味がないようだが、こちらとしても色々と知りたいことがあるので話をするのは歓迎だ。

 

「いいぜ、俺も劔冑についてとか色々聞きたいことがあるしな」

「劔冑の事は、任せろ。……あの子(戦術機)は一対多、それも人じゃない物を相手にする事を重視していて、跳びはねる、いや、地を這うように戦う、違う?」

「あ、ああ。よく分かったな」

 

 いきなり戦術機の基本的な動き方を指摘され驚く。

 

「簡単、刀の重心が切り返しやすい位置にある、後柄、示現流。鍔がない。合当理(がったり)自体が可動する構造になってて、腰の位置にある。……これは凄い。腰は身体の要、動かない。安定した場所、根本的に概念が違う」

 

 つくしが無表情なドヤ顔という訳のわからない物を見せて解説する。最低限の説明を割っているような気もするが、つくしは74式近接戦闘長刀を見て、その重心と鍔、それに柄の工夫を見抜き特性を推察してみせたのだ。

 

「凄いな、よく分かるもんだ。ところでガッタリって言うのは跳躍(ジャンプ)ユニットの事か?」

「跳躍ユニットと言うのか。そうだ推進器、バレル、翼筒、を合当理と呼ぶ」

「なるほど、ところで劔冑はパイロットの熱量だけで動くって本当なのか?」

 

 劔冑の話を聞いて一番信じられなかった点を問う。どんな変換効率をしていれば人の熱量だけで空を飛べると言うのか。核分裂でもさせていなければ賄いきれるモノではないはずなのだ。

 

「そこは現在でも謎が残っている分野、焼き入れに熱量、現代科学でも劔冑は分からない事だらけ」

 

 つくしと戦術機と劔冑について話し込んでいるとイーニァが袖を引っ張る。

 

「ユウヤ、ねむい」

「あっ、そうだなもうだいぶ遅いよな」

 

 時計を見てみると既に丑三つ時だ。言われてみれば自分も眠い。

 

「……ごめんなさい。熱中した」

 

 無表情のまましょんぼりするというこれまた難易度の高そうな芸当をこなすつくし。つくしが女中さんを呼び、何事か伝える。するとすぐに布団の用意と寝間着が用意され、風呂の場所も教えてくれる。さらに手伝いも申し出てくれたのだがそれは遠慮しておいた。

 

「……至れり尽くせりだな」

「あの人達スゴイね!読めないのに私達の事分かるんだよ!」

「プロ、って事なのかな」

 

 そのまま寝ることも考えたが、せっかく用意してくれたのだから、と風呂に入ることにする。衛士強化装備を脱ぎ、風呂に入り、さっぱりする。衛士強化装備には身体を清潔に保つ機能もあるのだが、やはり気分が違う。

 

「これからどうなるんだかな……」

「ユウヤといっしょならきっとだいじょうぶだよ!」

「……そうだな、イーニァと一緒だもんな」

 

 

 

 

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