しかし、戦力的にはブラックリベリオン以前と比べて、圧倒的に低すぎます。
そんな時、エリア11にまた新しい総督が就任して来ます。
それに対してゼロは……
カラレスに代わり、エリア11の新総督に神聖ブリタニア帝国第十二皇女のナナリー・ヴィ・ブリタニアが就任する。しかし、公にはその名前と素性は伏せられていた。
例によって、何処からかゼロがその情報を入手して来て、新総督の誘拐作戦を企てた。
その作戦の直前、突然、俺はカレンに呼び出された。
「扇さん、以前扇さんが、アッシュフォード学園の学園祭に連れて来たブリタニア人ですけど……」
「え?」
「“直属の地下協力員”って言ってましたよね?でも、どうやってブリタニア人の協力員を見つけたんですか?」
「う……」
千草の事か……そういえば、学園祭の時にカレンには見られていたんだったな。
ブラックリベリオンの時は“協力員”と言って誤魔化したが、その彼女に俺は撃たれている。それで協力員は、説明が付かない。ブリタニアのスパイと繋がってるって、疑われているのか?
「扇さん?……」
答えられない俺に、カレンは怪訝そうな顔をする。
が、その時、俺はある事を思い出した。
「……カレン、最終決戦の時、俺はお前に“ゼロに付いて行け”と言ったよな?」
「え?あ……はい。」
「それで、ゼロの目的は何だったんだ?あの場の戦闘より、優先される重大な案件があったんだろ?」
「そ……それは……」
今度は、カレンが返答に困って黙り込む。
おそらく、カレンはゼロの秘密を何か知った。それは、ゼロの弱みに繋がる事かもしれない。だが、今はそこを追及する時では無い。下手に突っ込めば、こちらも千草の事を追及される。
「それは、俺達にも言えない事なんだろう。でも、カレンはゼロを信じてるんだよな?」
「は……はい……」
カレンは申し訳なさそうに答える。
「俺も、そのカレンの判断を信じる。ゼロを信じる……だから、俺の事も信じてくれないか?」
俺は、優しく微笑んでカレンに言う。
「は……はい!分かりました。私も、扇さんを信じます!」
うまくいった。これで、カレンは大丈夫だ。問題は、ゼロがカレンからこの事を聞いているかどうかだが……まあ、向こうも後ろめたい事はいっぱいあるんだ。直接俺に聞いて来るとは思えない。だとすれば、要注意は……ディートハルトか?
そして、ナナリー総督誘拐作戦は開始された。
こちらの戦力は紅蓮を含め数機のナイトメアだけだったので、カリフォルニア基地からエリア11に向かうところに、ナイトメアを航空ユニットで空輸し奇襲を仕掛けた。
しかし、本隊はゼロの作戦に翻弄されるだけだったが、ギルフォード率いるコーネリア親衛隊と、帝国最強の騎士ナイトオブラウンズまでも援軍に駆け付けたため、この奇襲は失敗に終わった。
紅蓮以外のナイトメアが全て撃破された上、四聖剣のひとり、仙波が命を落とした。
無事エリア11の新総督に就任したナナリー・ヴィ・ブリタニアは、その就任の挨拶でとんでもない発言をした。
『私は、行政特区日本を再建したいと考えています。』
この発言は、日本人だけで無く、ブリタニア人達も震撼させた。そして最後に、
『黒の騎士団の皆さんも、どうかこの特区日本に参加して下さい。』
我々、黒の騎士団にも参加も訴えて来た。
「えっ?」
「またか?」
皆の反応はこんなもの。俺も、
「今更……」
もう、千草は居ないんだ。仮に今度はブリタニアが本気でも、俺ひとりで特区に参加したって……
この特区への参加要請に対して、ゼロからの指示は中々来なかった。その前の誘拐作戦の失敗が応えているのか、ゼロからは、しばらく何の連絡も来ていない。
俺達はディートハルトとの合流のため、ヨコハマ港で潜水艦をタンカーに偽装していた。
船の中でも、話題は特区日本の話だ。
「へっ、あの総督も虐殺皇女ユーフェミアと同じって事だ。」
「確かに、日本人は誰も参加しないだろうな。」
玉城の言葉に、俺はそう答える。
「甘い言葉で誘い出して皆殺しってか?舐めやがって!」
「で、これからどうするんだ?」
南が聞いて来る。
「それはブリタニアと決戦を……」
「うちのナイトメアは紅蓮一機しか残ってないのに?」
痛いところを突かれて、玉城は返答に困る。
「だから、ゼロが……」
「そうですわ!」
そこに、神楽耶様が入って来る。
「神楽耶様?」
「玉城さんの言う通りですけど、どうしてゼロ様は居ないんですの?折角新妻が来たのに……中華連邦に居た時も、文の一通も頂けなくて……」
「浮気でもしてたんじゃないですか?」
「ば……馬鹿……」
玉城がとんでも無い事を言い出すので、俺は慌てて奴の口を塞ぐ。本当に無神経な男だ。
「馬鹿な事言わないでよ!う……嘘ですからね、神楽耶様!」
というカレンに、
「あら、構いませんよ。」
と、神楽耶様は、あっさりとそれを受け入れる。
「ええっ?」
逆に、カレンの方が戸惑ってしまう。
「“英雄色を好む”と言いますし、成人男子の生理を鑑みれば。」
「な……何言ってるんですか?」
「助かるよ。見かけより大きな女で。」
それまで無言だったC.C.が、神楽耶様に言葉を返す。すると、神楽耶様はC.C.の方に向き直り、
「私が居ない間、お相手ありがとうございました。」
そう言って、C.C.に握手を求める。
「ふっ……礼には及ばん。」
C.C.は、ゆっくりとそれに応じる。
「ほら、カレンさんも。」
「えっ?わ……私は……」
うろたえるカレンの手を取って、神楽耶様は3人の手を重ねる。
「ゼロ様を支える3人の……はっ!私達、三人官女ですね?」
『官女?』
C.C.もカレンも、唖然とするだけだった。
その後も、依然としてゼロからの連絡は無かった。
船の中では、今後の動向について意見が割れていた。
先日の作戦で殆どの戦力を失った俺達には、ブリタニア軍とまともに戦える戦力は無い。1年前の敗戦で、既に京都の後ろ盾も無くなった。中華連邦の総領事館を出た今、カントウブロックに留まる事は自殺行為に近かった。
「ここも、いつブリタニア軍に嗅ぎ付けられるか分からん。一刻も早く、ディートハルトの待つ中華連邦へ移動するべきだ。」
藤堂は、今直ぐに出航すべきだと主張する。
「いや、ここはゼロを待つべきです。万一、ブリタニア軍に待ち伏せされていたら?」
俺は、あくまでゼロの指示があるまで、動くべきでは無いと主張する。
「だが、奴からは一向に何の連絡も無い。本当に、ここに戻って来るのか?」
「ひょっとして、もう俺達の事なんか見捨てて、ひとりで逃げちゃったんじゃないの?」
千葉と朝比奈は、当然の如く藤堂の意見に賛同する。
「馬鹿野郎!ゼロが俺達を見捨てる筈がねえだろ!」
と玉城。
「どうかな?既に前科があるしな?」
千葉は、相変わらずブラックリベリオンの時の事を根に持っている。
「どうなんだ?カレン?」
俺は、カレンに問い掛ける。ゼロを迎えに行ったが、結局彼女はひとりで戻って来た。
「は……はい……き……来ます、ゼロは、必ず……」
そうは言っているが、何とも頼りない返事だ。戻って来てからの様子もおかしい。服も着替えていない。
「いったい、何処に居るんだゼロは?我々には秘密で何をやっている?」
「そ……それは……」
「相変わらず秘め事が多いよね?」
千葉と朝比奈の言葉に、カレンは答える事ができない。
「何を言ってるんですか!ゼロ様は必ず来ます!」
そこに、神楽耶様が口を挟む。
「きっとゼロ様は、私達が思いつかないような凄い作戦を考えているんです!私達が、ゼロ様を信じないでどうするんですか?」
「しかし、いつまでもここに居るのは危険だ。ゼロを待つにしても、場所を変えた方がいい。」
藤堂は、冷静に意見を言う。
「分かった。夜まで待って、沖合いに移動しよう。カレン、ゼロにはそのように伝えてくれ!」
「は……はい!」
夜になって、偽装船は沖合いに移動すべく出航した。
ところが、その行く手にブリタニア軍の艦隊が現れた。こちらの行動が読まれていたのだ。指揮を取っているのは、ナイトオブラウンズに昇格した枢木スザクだ。
ブリタニア軍の攻撃に対し、俺達は偽装船を爆破し潜水艦で海底に逃れる。しかし、その行動も読まれており、爆雷と水中戦用ナイトメアの攻撃が続く。
徐々に追い込まれ、絶体絶命の危機……その時、
『Q-1聞こえるか?Q-1!』
「この声?」
「ゼロ?」
ようやく、ゼロからの連絡が入った。
『ダウントリム50度、ポイントL40に向けて、急速潜行しろ!』
「間に合った!」
「ったく、遅せえよ!」
俺も玉城も、歓喜の声を上げる。しかし、次のゼロの指示は……
『正面に向けて、魚雷全弾発射!時限信管にて40秒だ!』
「正面って?」
「敵なんていないぞ!」
俺達が戸惑っていると、
「撃ってみましょう。」
神楽耶様が言う。
「信じるより他に、手がありますか?」
神楽耶様の言葉に、皆ゼロを信じ、命令通りに魚雷を発射する。
『アンカーを撃って艦を固定しろ!』
次の指示に従い、アンカーを海底に向けて撃つ。
『アンカー固定後、各員、衝撃に備えろ!』
皆、姿勢を低くして身構える。
魚雷が爆発すると同時に、凄まじい衝撃が潜水艦を襲う。皆、何かに捕まって衝撃に耐える。すると、モニターに何かが映し出される。
「く……空気?」
俺は、思わず呟く。
「そうか、メタンハイドレート。」
と、ラクシャータ。
放たれた魚雷は、海底のメタンハイドレート採掘装置の周辺で爆発。装置は破壊され、大量のメタンが気化したのだ。それによって発生した大量の泡が、爆雷とナイトメアを一掃する。更には、ブリタニアの全艦隊を飲み込み、転覆させてしまった。
す……凄い、一瞬で、完全に形勢をひっくり返してしまった。流石はゼロ、地の利までも全て把握している。
それでも、空にはまだ帝国最強の騎士、ナイトオブラウンズが居る。枢木スザクを始めとして、3人も。だが、そこにゼロが姿を現す。
ゼロは、ランスロットに似た、総領事館での戦闘から仲間になった機体の手に乗っていた。そして、攻撃しようとした枢木に告げる。
『撃つな!撃てば、君命に逆らう事になるぞ!』
続いて、枢木の目の前で、黒の騎士団全員に指令を伝える。
『ゼロが命ずる!黒の騎士団は全員、特区日本に参加せよ!』
この原作で疑問に思うのは、何で黒の騎士団員は、ナナリー総督の誘拐作戦に従ったのかってとこです。カレン以外はナナリーを知らないから、コーネリアみたいのを予想したんですかね?あんな感じで攻め込まれたらたまらないから、就任前に捕まえちゃおうって思ったのか?
だとしたら、就任会見でその姿を見た時のショックは大きかったでしょうね。危うく、少女誘拐犯にされるところでした。(中華連邦では幼女を誘拐してるけど……)
ヨコハマ港から偽装タンカーで出航するところは、原作では何の説明も無かったので勝手に想像して書きました。ゼロが居ないのに何で出航したか?まあ、いつまでも港に居たら片瀬少将の二の舞ですから……
当然、それを進言するのは藤堂一派でしょう。千葉と朝比奈は、ゼロを信用していませんから。
一方のゼロを庇う側は、カレンは失意のルルーシュを見ているので、ゼロが必ず戻って来るとは言い切れません。玉城の言う事など、誰も聞く耳もちません。そうなると、弁護人は神楽耶様しか居ないでしょう。