コードギアス・謀略のカナメ   作:JALBAS

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いよいよ、扇達黒の騎士団と、ゼロ……ルルーシュの最終決戦です。
しかし、善戦空しく扇達は敗北……
そして、扇は、再びルルーシュと対峙する事に。
今明かされる、扇首相誕生の秘密!これが、最終話です。




《 最終話 ―― その命尽きるまで ―― 》

 

帝都ペンドラゴンを消失させたのは、やはりシュナイゼルの放ったフレイヤ弾頭だった。

シュナイゼルは、ルルーシュの妹ナナリーを真のブリタニア皇帝と祭り上げ、ルルーシュ皇帝を否定して来た。更には、天空要塞ダモクレスにフレイヤ弾頭を装備し、ルルーシュ皇帝に宣戦布告した。

俺達黒の騎士団も、ルルーシュ皇帝を全世界の敵と認識し、シュナイゼルとの共同戦線を申し入れた。

 

一夜明けて、決戦当日となった。

神聖ブリタニア帝国は帝都が消滅したために内政機能が麻痺、各エリアの軍隊も黒の騎士団と対峙しており下手に動けない。そのため、こちらと戦えるルルーシュ軍は、日本を再占領した部隊のみとなっていた。

「シュナイゼルが我々に合流した以上、彼我の戦力は伯仲している。フレイヤを使ったダモクレスを認める気は無いが、この場は世界がまとまる事を優先したい。この戦いが、世界を掛けた決戦となる!」

星刻総司令の号令と共に、シュナイゼル・黒の騎士団連合軍は進軍を開始する。

シュナイゼルからも、全体にメッセージが流される。

『ルルーシュは、世界の全てに悪意を振り撒く存在だ。平和の敵は、この地で討たねばならない。過去のしがらみは捨て、私達も、黒の騎士団も、ここは共に手を携えたい。世界中の人々が待っている。私達の凱歌を……そして願わくば、これが人類にとって、最後の戦争である事を祈りたい。』

そこに、オープンチャンネルでルルーシュからの通信が入る。

『ごきげんよう、シュナイゼル。』

『ルルーシュ、降伏するなら今の内だよ。こちらには、フレイヤの用意がある。』

『フィレイヤ?撃てるかな?あなたに。我が旗艦アヴァロンには、各合衆国の代表方が居られるが?』

そう言ってルルーシュは、アヴァロン内に閉じ込められている、神楽耶様を始めとする各合衆国代表達をモニターに映す。

「人質を盾とする気か?」

星刻が、怒りの声を上げる。

『シュナイゼル、あなたにとっては関係無い人達ではあるが……』

『そうだね、ルルーシュ。世界の平和と僅かな命……』

「撃つなよ!シュナイゼル!」

ルルーシュとシュナイゼルの会話に、星刻が割り込む。

『各合衆国では、代表代行が選出されたと聞きましたが?』

「いざという時の覚悟はある。しかし、だからと言って無駄にしていい命など存在しない!」

『ははははは……』

ルルーシュは、不適に笑う。

『黎星刻、我が方の戦力は、このダモクレス以外はモルドレッド1機のみ。フレイヤを使わないのであれば、この場は全体の指揮権を私に預けて欲しいが。』

「相手はルルーシュだ!」

『心配はいらないよ。私はね、一度だってルルーシュに負けた事は無いんだ。』

「分かった……」

星刻は、仕方無く指揮権をシュナイゼルに譲る。俺は、心配で星刻の方に振り返る。

「神虎を出す!全軍に、指揮系統を伝達してくれ!」

そう言って、星刻は神虎で出撃する。

ここに、ルルーシュ率いる神聖ブリタニア帝国軍と、シュナイゼル率いる黒の騎士団の最終決戦の幕が開いた。

だが、しばらくはお互い陣形を動かすだけの攻防が続く。そして、戦闘が開始されるや否や、一気に大激戦が展開される。だが、ルルーシュのギアスに操られているだけの兵士と、歴戦の黒の騎士団では戦術に大きな差があった。こちらが、徐々にルルーシュ軍を追い詰めていく。

『今かな?両翼を砕こう!』

シュナイゼルの指揮で、南が指示を出す。

「艦首拡散ハドロン重砲セット!」

「敵軍、両翼に向けて発射!」

斑鳩のハドロン重砲が、ルルーシュ軍の両翼の部隊を次々に撃破していく。

ゼロ、皆の力を合わせれば、君を倒せる!

俺がそう思ったその時、オペレーターが叫ぶ。

「エネルギー反応、下からです!」

「何?!まさか、このタイミングで?」

突然、富士山が大噴火する。あらかじめ、サクラダイト採掘場に爆薬が仕掛けられていたのだ。斑鳩を含む黒の騎士団の本隊、そればかりか、ブリタニア軍の地上部隊をも巻き添えにした非情な戦略だった。斑鳩は、完全に爆発に飲み込まれた。

「ゼロ……」

俺の脳裏に、千草の姿が浮かぶ……出撃前に、俺は、全てを彼女に打ち明けた……

『俺は、ルルーシュが……ゼロが俺達を駒として使っている事を知りながら、奴を利用していた……皆を騙していた。だから、その責任だけは取らなきゃいけない……しかし、新しい命は巻き込みたくない。勝手なお願いなのは分かっている。でも、君にはこの蓬莱島に残って欲しい。』

意識が、薄れて行く……やはり、俺が、ゼロに勝とうなんて……俺の悪運も、ここまでか……

『扇!』

『扇さん!』

「ん……んんっ……」

『死んだ振りしてる場合か!』

い……生きてる……何故?

目の前には、カレンの紅蓮と、玉城の暁の姿があった。

「ま……まさか、お前達、盾になって……」

『へへへっ、ブリッジくらいしか、護れなかったけどよ!』

た……玉城、お……お前が、俺を助けてくれたのか?心の中でだが、ずっと、お前を馬鹿にし続けていた、俺を……

『まっ、後は自力で何とかしてくれ。行くぞ!カレン!』

『何よ!偉そうに!』

そう言い合いながら、ふたりは戦場に復帰して行く。

くっ……俺は……ようやく気付いた……俺が、お前を嫌っていたのは、お前を妬んでいたんだ。お前が、羨ましかったんだ……

俺は、いつも嘘で自分を隠し、周りにいい顔ばかりして人望を集めていた。なのにお前は、いつでも素の自分で、ありのままを晒していた。それなのに、何故か人気があって、誰もお前を憎みきれない……いや、だからこそか。飾らない、表裏の無いお前だから、誰にでも好かれたんだ。俺は、そんなお前が、眩しかっただけなのかもな……

 

黒の騎士団は主力部隊の殆どが落とされたため、とうとう、シュナイゼルはルルーシュ軍に対してフレイヤでの直接攻撃を開始してしまう。

俺は、南とラクシャータ達に、生き残った斑鳩のクルー達を連れて脱出艇で逃げるように伝えた。但し、俺は斑鳩に残った。

『本当にいいのか、扇?』

南が、脱出艇から俺に聞いて来る。

「ああ、俺には皆を避難させる責任がある。」

『しかし……』

「いや、俺こそすまないと思っている。お前達を、フレイヤが支配する戦場に……」

ルルーシュとこんな形で戦う事になったのも、奴を追放に追い込んだ俺のせいかもしれない。ならば、せめて生き残った団員達だけでも助けないと、今度は本当に自分が許せなくなってしまう。

何とか無事で格納庫に残っていた車両を使い、生き残った団員を収容して戦場を離れる。

運転しながら、俺は、ナオトに問い掛ける。

なあナオト、俺達、これで良かったのかな?

 

俺が小学校高学年の頃、ナオト達は、俺の家の近所に越して来た。

幼い頃、ナオト達はブリタニアに住んでいた。ナオトが物心付かない内に、父親が亡くなった。困っていたところを、名門、シュタットフェルト家が援助をしてくれて、ナオトの母親はシュタットフェルト家に仕えていた。しかし、ある事件がきっかけで、ナオト達はシュタットフェルト家を追われた。ナオトの母が、シュタットフェルト家の当主との間に子を身籠ってしまったのだ。そう、カレンを……

俺とナオトは、直ぐに仲良くなった。何故か、俺達は妙に気が合った。俺は、こんな表裏のある性格だったが、奴はそんな事には気付かず……いや、気付いていたのかもしれない。それでも、俺を受け入れてくれていたのかも?

俺達が大学生の時、日本はブリタニアに占領された。幼い頃にブリタニアを追われたせいもあってか、ナオトもカレンもブリタニアを酷く憎んでいた。ナオトは、昔の日本を取り戻すために立ち上がった。レジスタンスを率いて、ブリタニアに抵抗を続けた。

俺はナオトに付いていった。いつも、あいつの後ろに隠れていた。しかし、あいつは突然居なくなってしまった。周りの皆は、俺に、ナオトの代わりを求めた。だけど、俺は自分で分かっていた。俺には、ナオトの代わりはできない。そんな力は無いと。

そんな時、奴が、ゼロが現れた。正に奴は、ナオトの再来だった。だから俺は、ゼロにナオトの夢を託し……

違う!そんな綺麗な話じゃ無い!俺は、ゼロを利用した。ナオトの夢を実現する道具“駒”として、奴を……そして、自分の勝手な都合で切り捨てたんだ!

この結果は、そんな俺に対するお前の怒りなのか?ナオト……

 

星刻の善戦もありアヴァロンは墜ち、人質は救出された。

ルルーシュは直接ダモクレスに乗り込み、以降は、ルルーシュとシュナイゼル本人同士の直接対決に持ち込まれた。

その一方で、カレンの紅蓮はスザクのランスロットと最後の対決をし、ほぼ相撃ちでランスロットを撃破した。ナイトオブゼロ、枢木スザクはカレンが討ち取った。

しかし、シュナイゼルはゼロの軍門に下り、ルルーシュがダモクレスを奪い取った。ルルーシュの放つフレイアが、空に大きな閃光を上げる中、絶望的な言葉が全世界に流される。

『全世界に告げる。私は、神聖ブリタニア帝国皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアである。シュナイゼルは我が軍門に下った。これによってダモクレスもフレイヤも、全て私の物となった。黒の騎士団も、私に抵抗する力は残っていない。それでも抗うと言うのなら、フレイヤの力を知る事になるだけだ。我が覇道を阻むものは、もはや存在しない。そう、今日この日、この瞬間をもって、世界は我が手に落ちた。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる、世界よ、我に従え!!』

 

この戦いで、黒の騎士団は殆どの戦力を失い、団員達は疲れ果て、酷く傷付いていた。もはや、ルルーシュ軍に抵抗する力も無く、生き残った団員達の殆どが捕えられた。超合衆国は軍事力を持たないため、フレイアで脅されてはルルーシュに従うしか無い。

ルルーシュは、神聖ブリタニア帝国の超合衆国への加盟を認めさせ、自身は超合衆国の最高評議会議長となった。超合衆国に加盟するにあたり、神聖ブリタニア帝国も軍事力を放棄するのだが、そうする代わりに、黒の騎士団に現ブリタニア軍を組み込んだ。俺達旧幹部は全て解任され、反乱分子として投獄された。黒の騎士団は、実質ジェレミア率いる元ブリタニア軍が牛耳る事になり、ルルーシュが再びCEOの座に就いた。

死に体のEUでは、超合衆国には全く抵抗できず、ほぼルルーシュの言いなりで合衆国憲章を批准し、超合衆国の傘下となった。

こうして、世界は、皇帝ルルーシュに完全に支配されてしまった。

 

 

 

日本は、皇帝直轄領となり、ルルーシュはブリタニア本国では無く日本に滞在していた。俺達元黒の騎士団幹部やギアスの事を知る者は、ブラックリベリオンで敗北した時のように拘束具で拘束され、日本の収容所の牢に入れられていた。

戦闘終結から2ヶ月近く経った頃、突然俺は牢から出され、ルルーシュ皇帝の前に連行された。ルルーシュは玉座に腰かけており、俺は、拘束されたままその前に座らされた。俺を連行して来た兵は直ぐに出て行き、部屋には、俺とルルーシュのふたりだけになった。

ルルーシュは、玉座に腰かけたまま、冷ややかな目をこちらに向けている。

「何だ?皇帝自ら、裏切り者を処刑しようってのか?」

「裏切り者?……ふん、傍から見ればそうなるんだろうがな。」

「何?」

「お前は、最初から私を信用してはいなかっただろう?自分に都合のいい道具として、ずっと利用していただけだ……そして、利用価値が無くなったから見限った。これを、裏切りと言えるのかな?」

「き……気付いていたのか?」

「お前の小賢しい悪知恵等、見抜けぬ私だと思ったか?こちらにも利があるから、見逃していただけだ。」

「ふっ……流石は、魔王ルルーシュ……騙し合いも、お前の勝ちという事か……もう諦めもついた、殺すなら殺すがいい。」

「殺す?そんな楽な罰を、お前に与えると思っているのか?」

「何だと?」

「私が言えた義理では無いが、自分の利己的な理由でこれだけ大勢の日本人を巻き添えにしておいて、死んで楽になるなど言語道断!お前には、死ぬよりも辛い罰を与えねばな。」

「な……何をする気だ?」

ルルーシュは、右手を自分の両目に翳す。手が離れた時、その両目が赤く輝いているように見えた。その直後、俺の意識が飛んだ……

 

「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!お前はこれから日本の真のリーダーとなり、私利私欲を捨て、その身を日本人の幸せのために捧げよ!その命尽きるまで!」

 

気が付くと、俺はまた牢獄の中に居た。あの後、ルルーシュと何を話したのか?それは、一切思い出す事が出来なかった。

 

数日後、とうとう俺達が処刑される事になった。

特別な護送車のデッキに磔にされ、俺達はトウキョウ租界の大通りを処刑場まで連行される。その後方に、ルルーシュ皇帝専用御料車が続く。この車には後部に玉座が設けらえており、ルルーシュはそこに座り、高いところから俺達を見下している。沿道には多くの民衆が集まり、何とも言えない気持ちでこの光景を見詰めていた。誰も、不満は言えない。下手な事を言えば、一族まとめて処刑される。この様子は、メデイアでも全世界に生中継されていた。

俺達は、まるで晒し者だ。だが、一番酷いのはシュナイゼルとナナリーだ。元皇族とは思われないみすぼらしい恰好をさせられ、シュナイゼルは御料車の先頭に磔、ナナリーは玉座の直ぐ下に、動かない両足を鎖で繋がれている。実の妹に、この仕打ちはあまりにも酷い。元々、ルルーシュはナナリーのために、ブリタニアを倒そうとしていたのでは無かったのか?

その時、沿道にいる民衆からざわめきが起こる。護送車の向かう先、大通りの中央にひとりの人影が現れた。だが、その姿は……

『ゼロ?!』

皆、揃って声を上げる。

「うそ?ルルーシュはあそこに?」

カレンが驚いて、玉座のルルーシュと目の前のゼロを見比べる。

ゼロは、真っ直ぐこちらに向かって来る。護衛のナイトメアが銃撃するが、そのゼロは常人離れした反応で素早く銃撃を交わし、どんどん近づいて来る。

「撃つな!私が相手をする!」

ジェレミアが、ナイトメアを制し、ゼロを迎え撃つ。しかし、ゼロはジェレミアの剣を難無く交わし、彼の肩を足場に御料車に飛び乗る。シュナイゼル、ナナリーの眼前を飛び越え、玉座に一気に飛び上がる。

「この、痴れ者がっ!」

ルルーシュは銃を向けるが、ゼロは手に持った剣でそれを弾き飛ばす。そして……

そこからの動きは、何故かスローモーションのように感じられた。大きく剣を引いたゼロは、それをルルーシュの胸に突き当てる。剣は、ルルーシュの胸を一気に貫いた。

その時、気のせいかもしれないが、俺には一瞬ルルーシュが笑ったように見えた。

ルルーシュは玉座から転げ落ち、妹のナナリーの前に倒れ込む。

そして、ナナリーに見守られながら、ゆっくりと息を引き取った。

「魔王ルルーシュは死んだぞ!人質を解放しろ!」

ここぞとばかりに、コーネリアや千草達が、俺達を助けに飛び出して来た。それだけでは無い、今迄静観していた民衆達も、沿道を囲む兵士達を抑え込む。

「いかん、引け!この場は引くんだ!」

ジェレミアの号令で、ナイトメアを含むルルーシュの兵達は、こぞってその場を逃げ出した。

「まさか……あれは?」

藤堂が言う。まさか、あのゼロが何者か心当たりがあるのか?

「ゼロです!」

「え?」

しかし、カレンがそれを否定する。

「あれは……ゼロです!」

周囲からは、“ゼロ”コールが湧き起こる。

そんな中、息絶えたルルーシュの体にしがみ付き、ナナリーは大声で泣きじゃくっていた。史上最悪の、人類の敵が倒された。本来なら喜ぶべきところなのに、その光景は、何故か酷く胸を打たれ、何とも言えない虚しさしか感じられなかった……

 

 

 

皇帝ルルーシュは、ゼロにより討たれた。

ゼロの正体は、黒の騎士団幹部と一部の者しか知らない。公式発表では、ゼロは第二次東京決戦の直後に死んだ事になっていた。殆どの人々は、ゼロは本当は死んでは居なくて、復活して世界を救ったと歓喜した。

俺達は、ゼロの正体がルルーシュである事を知っているから、今のゼロが昔のゼロとは違う人間である事が分かる。だが、それは公にするべき話では無い。ゼロが誰かなどという事は、この際関係無い。“ゼロによって世界は救われた”この事実こそが、人々にとっては重要なのだ。

ただ、ゼロが復活しても、もう俺はゼロの陰に隠れようとはしなかった。

 

ルルーシュが討たれた後、ルルーシュのギアスで奴隷と化していた兵士達は、皆元に戻った。ルルーシュが死んだために、ギアスの呪いが解けたのか?その辺は定かでは無かった。ギアスの事を知っていながらも、ルルーシュ皇帝に忠誠を尽くしていたジェレミア卿は、この事件の後何処かへ姿を消した。千草の話では、彼はギアスを無効にする力を持っていた。兵士達のギアスが解けたのは、もしかしたら彼の力かもしれない。しかし、それはルルーシュ皇帝に逆らう事になるので、もしそうなら、彼がそのような事をする理由が分からない。いずれにしても、当のジェレミアが居ないのでは確認のしようが無い。

 

次期ブリタニアの皇帝には、神聖ブリタニア帝国第十二皇女のナナリー・ヴィ・ブリタニアが即位した。ナナリー皇帝は、改めてブリタニアの超合衆国への参加を表明した。議席数を、人口の20%にするという条件も認めた上で。

そして、黒の騎士団は、ブリタニアも含めた各国からの人員で再構成された。CEOは、当然ゼロが再任し、シュナイゼルが総司令となった。星刻は、健康上の理由で脱退した。コーネリアも、黒の騎士団に加わった。

日本は再び独立国に戻り、俺は、新制日本の初代総理大臣となった。

神楽耶様は、超合衆国の最高評議会議長となるため、日本の代表という立場からは外れた。藤堂は、黒の騎士団の統合幕僚長を続けるため除外。他に適任者が居なかったという事もあるが、俺自身が率先して立候補した。今迄、常にリーダーの陰に隠れて責任というものから逃げていた自分が、何故か分からないが、日本の復興のためにその全てを投げ出すつもりになっていた。

千草は、俺のその決意を聞き、完全に日本人となった。“ヴィレッタ・ヌウ”の名前を捨て、“扇千草”となり、俺の妻となった。

カレンは、黒の騎士団を辞め、学生に戻った。これでナオトも、安心して眠れるだろう。

玉城は、何故かバーのマスターになった。“官僚になるのが夢”と言っていたのに、どういう風の吹き回しか?ただ、あいつにはその方が似合っていると思う。あいつもあの戦いで、本当の自分を見つけられたのかもしれない。

 

俺が変わったのは、良くも悪くも、ゼロ……ルルーシュと関わった事が原因だと思う。

俺にとってあいつは、本当に、ナオトの生まれ変わりだったのかもしれない……

 






最後まで読んで下さって、ありがとうございました。

最後をどうするかは、かなり悩みました。鬼畜のまま無理やり総理大臣にされ、今度はナナリーをうまく利用しようとして、握手の時に見抜かれて一気に失墜する……という展開も考えたんですが、それだとあまりにも荒んだ話になって、後味も悪いので止めました。
ただ、人はそんなに簡単に変われるものではありません。いくら今迄の自分を悔い改めようとしても、いきなり聖人君子になるのも変なので、ギアスの力をお借りしました。
ルルーシュの命令で総理大臣になったのなら、ひとりだけおいしいとこ取りした事にもならないので、こちらの気も収まります。日本のリーダーではありますが、その実は日本人の奴隷同然ですので。
まあ、シュナイゼルと似たようなもんです。
しかし、日本の代表としてあの頭は、世界の代表に対して失礼じゃないんですかね?

原作でも、扇はルルーシュに親友のナオトを重ね合わせていた筈です。ナオトの、親友の夢をルルーシュに、ゼロに託していたんです。
それだけに、『裏切り』でのあの行動は解せません。玉城の言葉じゃありませんが、“俺はあいつを親友だと思ってた”のだと思います。
その親友を、駒のように使い捨てる……普通できません。シュナイゼルならやるでしょうけど、扇には無理です。もっと信じられないのは、ゼロを一方的に切り捨てた事を、それ以降も少しも悔やんでいない事です。悔やんでいるのは、ゼロを信じた事だけ……扇の性格を考えれば、これは有り得ないんです。
ついでですが、私の主観でナオトやカレンの過去も創作してみました。

結局黒の騎士団って、最初はゼロに踊らされていて、次はシュナイゼルに踊らされていただけ……やはり、世界を統べる器では無かった、“駒”でしか無かったという事ですね。

話は変わって、ここでも、また不死身の咲世子さん。
かなりの重傷でシュナイゼルの所から逃げ帰って、ジェレミアに助けられてベットで休んでいました。体に包帯を巻かれ、かなり辛そうでした。
翌日、何も無かったかのようにブリッジでルルーシュを手伝ってます。
本当にコード保持者じゃ無いの?この人……

あとニーナですが、ルルーシュに対しては“ゼロは許せないけどルルーシュは別”みたいな態度になって、視聴者の好感度を上げてましたが、日本人に対してはどうなったんでしょうか?その辺は描かれて無かったんで、全く分かりません。
もし、日本人を差別するあの思想が直っていないなら、私はニーナを認めません。

最後に疑問がひとつ。コード保持者って、一度死んだ後どのタイミングで蘇生するんですかね?最初のC.C.って、死んでから生き返るのに随分時間掛かってましたよね?でも、V.V.やシャルルは、死んで直ぐに生き返ってました。もしかして、自分でコントロールできるの?
もし、不定期だったら困りますよね。ナナリーが大泣きしてる最中に、いきなりルルーシュが生き返っちゃったら身もふたもありません。ゼロレクイエム台無しです。

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