コードギアス・謀略のカナメ   作:JALBAS

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何とか、レジスタンスのリーダーにゼロを宛がいたい扇。しかし、ゼロ(ルルーシュ)の方は既に疎ましく感じていて、切り捨てようかと考えていました。
ところが、ここでも扇の悪運の強さが物をいいます。
コーネリアに対しての、屈辱的な敗退。組織の重要性を痛感したルルーシュは、再び扇達と手を組む事に……




《 第三話 ―― 黒の騎士団 ―― 》

枢木スザク救出作戦以降、ゼロからは連絡が無かった。

一応連絡先は教えてもらっていたので、俺の方から何度か電話をしたが、“今はまだ待て”と言うばかりで、奴をリーダーに据える俺の計画も進まなかった。

そうしている内に、クロヴィスに代わるエリア11の新しい総督に、第二皇女のコーネリアが就任して来た。

コーネリアは“戦闘皇女”と呼ばれるだけあって、自ら親衛隊を率いて出陣して、次々と日本の反ブリタニア勢力を潰して行った。俺は焦ってゼロに連絡するが、相変わらず答えは同じだった。

 

そんなある日、突然ゼロの方から呼び出しがあった。

待ち合わせ場所に行って、俺達は驚いた。ゼロは俺達の移動するアジトとして、巨大なトレーラーを用意していた。

「どうした、早く入れ。今からここが、私達のアジトだ。」

「それは、あんたが俺達と組むと考えていいのか?」

「ああ、私達は仲間だ。」

やった、ようやくその気になってくれたようだ。これで、俺のナンバー2の地位も安泰だ。

しかし、ハイテク技術満載の凄い車だ。どうやってこんな物を手に入れたのか聞くと、

「頼んだら譲ってくれたよ、道楽者の貴族がな。」

との事。

そんな訳は無いだろう。だが、別にそこは追及しなくとも良い。彼には、それだけの力があるという事だ。俺達は、それを利用させて貰えばいい。

「テレビまで付いてる。」

南が、リモコンのスイッチを入れると、テレビにニュースが映し出される。

『はい、こちら、河口湖のコンベンションホテルセンター前です。ホテルジャック犯は、日本解放戦線を名乗っており……』

車内が騒然とする。

日本解放戦線の草壁元中佐が、河口湖に集まったサクラダイト配分会議のメンバーや従業員・観光客を人質に取って立て籠もった。そして、ブリタニア軍に対して、投獄されている仲間の釈放等を要求して来た。

「動いて来たな。」

玉城が言う。

「日本最大の反ブリタニア勢力だからな、意地もあるんだろう。」

俺はそう答える。

「俺達への?」

南が問う。

「かもな?」

「喜ぶべきか、悲しむべきか?あれじゃ玉砕しかねえだろう?」

再び、玉城が言う。

確かに、こんな程度でブリタニア軍が簡単に要求を呑むとは思えない。俺達への意地よりも、次々とコーネリアに反抗勢力が潰されて行く事に、焦ったのかも知れない。

 

ゼロは何も語らず、2階の自室でこのニュースを眺めていた。その間、俺達は車の中に荷物を運び込んでいた。車の中には、俺達専用のコスチュームまで用意されていた。俺は、それを持ってゼロの所へ行く。既に、カレンと何か話をしていたが、割って入る。

「おーい、ゼロ、これ皆に配っていいのか?これさあ、恰好いいとは思うんだけど、俺達レジスタンスだし……」

「違う!私達はレジスタンスでは無い!」

「じゃあ、何だよ?」

「私達が目指すもの……それは、正義の味方だ!」

正義の味方?じゃあ、ブリタニアが悪だと?

相変わらず、この男は人の心を掴むのがうまい。こういう言葉は、味方の士気が上がる。

「そ……それで、ホテルジャックの件はどうする?このまま静観するのか?」

「いや、私達は、正義の味方だと言っただろう?」

『ま……まさか?』

俺とカレンが、同時に言う。

「奴らを排除し、人質を助け出す!」

『な……何だって?!』

 

その後、下に降りて皆にもその説明をしたところ、当然の事ながら口論となった。

「日本解放戦線は、俺達と同じ日本人だ!日本を裏切れってのか?」

杉山が言う。

「奴らの行動が、日本人の総意なのか?」

「い……いや、そうとは思えないが……」

「この組織と、日本解放戦線は仲間なのか?仲間なら、何故行動を共にしていない?」

「確かに、俺達と日本解放戦線は仲間じゃ無い。考え方も、主旨も違っている。でも、お互い日本を取り戻そうと闘っている。いわば同志だ。」

俺が答える。

ただ、日本解放戦線は旧日本軍の残党だ。民間人の寄せ集めの俺達とは、組織形態が違いすぎる。軍人としてのプライドもあるだろう。俺達なんかとの共闘は、望まないかもしれない。

「個々に闘っていては、ブリタニアは倒せない!ブリタニアを倒すには、より大きな組織が必要なのだ!」

「だったら、逆に協力して、日本解放戦線をこちらに取り込むべきじゃ無いのか?」

そう言いながら、本当は、そんな事は望んでいなかった。日本解放戦線と組めば、民間人の俺達なんか下っ端だ。俺も、ナンバー2の地位には居られなくなる。

「違うな!こちらの主旨に賛同して参加したいと言って来るなら別だが、こちらが奴らに合わせる事は無い!」

「何故だ?」

「言っただろう、テロ等は幼稚な嫌がらせに過ぎない。やるなら戦争だと。」

「戦争するなら、尚更軍属と手を組むべきじゃ無いのか?何故、日本解放戦線を否定する?」

皆の手前、一応正論を言っておく。

「奴らのやっている事は、クロヴィスと変わらん!目的のために、民間人を平気で巻き込み、容赦無く殺す。正義は何処にも無い!」

「し……しかし……」

「テロでは何も変わらないというのは、そういう事だ!極一部の反逆者が支持しても、世論は“悪”としか見ない!正義が無ければ、世論の支持は得られない!」

もっともらしい意見だ。だが、懸念事項はまだある。

「だ……だが、下手をすれば、ブリタニアだけで無く、他の日本の反抗勢力までも敵に回す事になるかもしれないぞ。」

「そうはならない。」

「何故、そう言い切れる?」

「これが、正義の闘いだからだ!」

結局、俺達は半ば洗脳されたような感じで、ゼロの計画に従う事になった。

 

河口湖に到着して直ぐに、ゼロが放送車両を奪って来た。大した騒ぎも起こさずにどうやって奪って来たのか不思議だが、今はそんな事よりも、この計画の第一段階がうまく行くのかどうかが心配だった。何とゼロは、その放送車両に全員を乗せて、いきなりコーネリア軍の真っ只中に進ませたのだ。

ゼロは、上のデッキに立っている。運転席には、俺とカレンが座っていた。俺は、不安を紛らすためにカレンに話し掛ける。

「なあ、彼が言う正義って、どういう意味なんだろうな?」

「さあ?でも、その前に殺されるかも?」

カレンも、不安でいっぱいのようだ。前回の枢木スザク救出作戦の時もそうだったが、とても生きた心地がしない。しかし、俺は彼をリーダーにすると決めたんだ。自分の直感と、悪運を信じる。きっと、今回もゼロが何とかしてくれる。

目の前に、グロースターが3機現れて道を塞ぐ。真ん中の機体から、コーネリアが姿を現す。

「また会えたなゼロ。お前は、日本解放戦線のメンバーだったのか?それとも、協力するつもりか?しかし、今はこちらの都合を優先する。義弟クロヴィスの仇、ここで討たせてもらう!」

「コーネリア、どちらを選ぶ?死んだクロヴィスと生きているユーフェミア?」

ゼロの言葉に、コーネリアは動揺する。

ユーフェミア?ユーフェミアって、ブリタニアの第三皇女のユーフェミアか?

「ユーフェミアを救い出そう、私が。」

「ゼロ、何を言っているのか分からないな?」

「救ってみせる!私なら!」

コーネリアを言いくるめて、ホテルへの橋を通過する事に成功する。

しかし、何故人質の中にユーフェミアが居る事を知っていたんだ?俺達はゼロと一緒にテレビを見ていたが、そんな報道は全く無かった。いつも思うが、彼はどこからそのような情報を手に入れているのか?また、ブリタニア内の情勢にも異様に詳しい。彼は、本当に日本人か?いや、素性が分からないんだ、日本人とは限らない……

 

日本解放戦線も相手が“ゼロ”という事で、中に通してくれた。これで、ゼロの言う前提条件は全てクリアされた。

ゼロは、草壁中佐に呼ばれて彼の待つ部屋に行った。しかしこれは陽動で、その間に俺達は、ホテル内に爆薬を仕掛けた。ゼロに指定された場所に。

一方で、ブリタニア軍もこの隙に作戦を展開していたようだ。ホテルのライフライントンネルを通って例の白いナイトメアが侵入し、ホテルの基礎ブロックを破壊した。だが、その時にはこちらの準備も全て完了していた。ゼロは、爆薬の爆破スイッチを押す。ホテルは爆煙に包まれ、人質もろとも爆破されたと思われた……が、直後に、ゼロの姿がテレビ画面に映し出される。

「ブリタニア人よ、動じる事は無い。ホテルに囚われていた人質は、全員救出した。あなた方の下へ、お返ししよう。」

そして画面には、俺達が救出し、救命ボートに乗せて脱出させた人質達が映し出される。

「人々よ、我らを恐れ、求めるが良い!我らの名は、黒の騎士団!」

今度は、脱出艇に並んで立つ俺達に画面が切り替わる。スポットライトで黒い団員服に身を包み、ゴーグルで顔を隠した俺達が照らし出される。

「我々黒の騎士団は、武器を持たない全ての者の味方である!イレブンだろうと、ブリタニア人であろうと。日本解放戦線は卑劣にもブリタニアの民間人を人質に取り、無残に殺害した。無意味な行為だ。故に、我々が制裁を下した。クロヴィス前総督も同じだ。武器を持たぬイレブンの虐殺を命じた。このような残虐行為を見過ごす訳にはいかない、故に制裁を加えたのだ。」

ブリタニア軍も、俺達を黙って見ているしかない。下手に攻撃すれば、周りに居る民間人やユーフェミアにも被害が及ぶ。

「私は闘いを否定しない。しかし、強い者が弱い者を一方的に殺す事は、断じて許さない!撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ!」

ゼロは、話続ける。堂々と、ブリタニア軍の目の前で。

「力ある者よ、我を恐れよ!力無き者よ、我を求めよ!世界は、我々黒の騎士団が、裁く!」

 

成程、こういう事か。ホテルジャック事件をうまく利用し、我々を“正義の味方”に仕立て上げ、メディアを通して大々的にアピールする。ここまで全て計算に入れていた……凄い、本当に凄い男だ、ゼロ。

お前の、真の目的は分からない。お前にとって、俺達は都合のいい駒でしかないのかもしれない。しかし、それはこっちも同じだ。俺達……いや、俺のために、とことん利用させてもらうぞ、ゼロ!

 





この話では、河口湖に行くまでのゼロと扇達の会話が重要なので、原作では省略されていた部分も勝手に想像して書いています。草壁への粛清を、扇達が2つ返事で了承するとは思えませんので。

原作では、扇はゼロを信じていて、自分達が“駒”だとしか思われていなかった事を知って憤慨していました。常に何も考えていない玉城はそうかもしれませんが、少なくとも『裏切り』での扇の言動からは、それは“有り得ない”というのが私の見解です。最初から知っていたんです扇は、ゼロにとって自分達が“駒”でしか無い事を……
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