コードギアス・謀略のカナメ   作:JALBAS

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京都の公認により、黒の騎士団幹部のゼロへの不信感も何とか無くなります。
しかし、ゼロの露骨な囮作戦に、扇の方は気が気ではありません。ゼロの本性を見抜いているだけに。
そんな時、遂に扇に運命の出会いが……




《 第六話 ―― ブリタニアの女 ―― 》

 

桐原公のお陰で、黒の騎士団は京都から、全面的にバックアップをしてもらえるようになった。

だが、それに合わせて、日本解放戦線の援助も要請されていた。成田での戦闘で拠点も失い、人員も大幅に減った。もうブリタニア軍とまともに闘う事も難しく、海外への逃亡も考えているらしい。可能であれば、黒の騎士団に受け入れる事も考えて欲しいとも言われたが、俺には賛成し兼ねる話であった。

日本解放戦線のリーダーは、旧日本軍の片瀬少将だ。軍の将校が組織に加われば、まさか俺達の部下という訳にはいかない。リーダーのゼロは立てるとしても、まずナンバー2の座は片瀬少将のものだ。そうなれば、日本解放戦線のメンバーが幅を利かせてくる事も考えられる。俺達の幹部の座も、危ういものになるかもしれない。ならば、海外に逃亡してもらった方がずっといい。

そんな時、またディートハルトがコーネリア軍の極秘作戦の情報を持って来た。成田での情報提供の功績が認められ、彼は正式に黒の騎士団への入団を認められた。

 

俺達は隠れ家の倉庫で、団員全員を集めて作戦会議を行っていた。

「ちょ……ちょっと待ってくれゼロ。確かに京都からも頼まれたし、こちらの受け入れも問題無い。日本解放戦線にしたって、海外に逃亡するよりは、我々と共に歩む事を選ぶ筈だ!しかし……」

俺は、何とか日本解放戦線には海外に逃げて欲しいと思っていたため、ゼロに意見をする。

「情報提供者、ディートハルトと言ったか?」

「はい、お目にかかれて光栄です。ゼロ。」

ディートハルトは、まだ俺達に完全に信用されている訳では無いため、離れたところで、団員に見張られて立っている。

「コーネリアが、海兵騎士団を投入し、日本解放戦線の片瀬少将の捕獲を目論んでいる。本当なんだな?」

「はい、局では、報道特番の準備に入っています。」

日本解放戦線の片瀬少将は、貿易用のタンカーに偽装した船で、流体サクラダイトを持って海外に亡命する事を企んでいた。だが、その計画は既にコーネリア軍に漏れていて、完全に待ち伏せされているという事だった。

「藤堂中佐は、片瀬少将と合流できず終い。つまり、今の日本解放戦線に確たる武力は存在しない。逃亡資金代わりの流体サクラダイトだけが頼り……」

「だから、コーネリアと闘うよりも、片瀬少将を逃がす事を優先して……」

俺は、人情派を装う発言をする。

「扇!我々は何だ?」

「う……く……黒の、騎士団……」

「ならば、成すべき事はひとつだ!コーネリアの部隊を壊滅させた上で、日本解放戦線の残存部隊を救出する。成田での忘れ物を、今日、この夜に取り戻すのだ!」

「勝算は?」

「愚問だな?」

「分かった。」

ゼロは日本解放戦線がどうこうよりも、コーネリア軍を討つ事に拘っている。これ以上は、言っても無駄だろう。日本解放戦線を取り込んだ後の事は、またその時に考えるしか無い。

「作戦準備を開始する。皆、先程の指示通り待機しろ!」

「あ……あ、ゼロ……」

突然カレンが、ゼロを呼び止めるが、

「私はやる事がある。話があるなら、後にしてくれ。」

そう言って、ゼロは倉庫を後にした。

 

そして、いよいよコーネリア軍の作戦が開始される時間となった。

俺は、戦況を確認してゼロに報告するためと、監視を兼ねて、ディートハルトと見晴台の上に居た。

日本解放戦線の逃亡用のタンカーの待機する港に、魚雷の攻撃があったような水しぶきが上がる。

「始まったぞ、ゼロ。まだ出ないのか?ゼロ!おい、聞こえてるんだろう?日本解放戦線を……」

『今はまだ駄目だ。』

「え?」

『思ったよりコーネリアの動きが早い。今動くと共倒れになる。』

もしかして、また日本解放戦線を囮にする気か?しかし、これじゃやり方が露骨すぎないか?せっかく京都のおかげで幹部たちに信用されたのに、また疑念を持たれるような事をするのは……

 

遂に戦闘が開始された。

日本解放戦線のタンカーに、ブリタニア軍の攻撃が始まる。水中からは、水陸両用ナイトメアが迫り、港からは、タンカーの甲板に向けてサザーランドからの銃撃が始まる。

痺れを切らして、タンカーは港を出て行く。

「くそっ、これじゃ手遅れになる!ゼロは、いつ動くつもりなんだ?」

俺は、少し焦っていた。ここで片瀬少将が命を落とすのであれば、その後の残存兵を黒の騎士団に取り込んでも、俺達の立場が危うくなる事は無い。だが、日本解放戦線を囮にしたと京都にばれたら、大変な事になる。

「ゼロが、唯の理想論者で無い事を祈るばかりだが……」

と、ディートハルトが呟いた。何だ?何を言ってるんだ?こいつ……

水中から接近したナイトメアが、とうとう日本解放戦線の船に取り付く。

「ナイトメアが船に取り付いた!」

『そうか……』

相変わらず、切迫感が無い。

「ゼロ、早くしないと!」

『分かっている、出撃。』

ようやく重い腰を上げたかと思ったその時、突然タンカーの底から、凄まじい閃光が発生した。その光はたちまちの内にタンカーと、それに取り付いていたブリタニア軍を飲み込んでいく。タンカーに積んであった、流体サクラダイドが爆発したのだ。

「あ……ああっ……」

『流石だな、日本解放戦線!ブリタニア軍を巻き込んで自決とは。』

「自決?!しかし、そんな連絡は……」

『我々はこのまま、コーネリアの居る本陣に突入する!それ以外には構うな!結果は全てにおいて優先する。日本解放戦線の血に報いたくば、コーネリアを捕らえ、我らの覚悟と力を示せ!』

自決?馬鹿を言え、そんな事をする筈が無い。コーネリアと心中するならまだしも、あんな雑魚共と一緒に死んで何の意味がある?待てよ、ゼロは作戦会議の時に確か……

“私はやる事がある”

それは、日本解放戦線のタンカーに爆薬を……これは、ゼロの仕業?

「これじゃ、成田の時と同じじゃないか!」

思わず叫んでいた。露骨すぎる。ゼロらしくないぞ、こんな作戦!

「こうでなければ!」

そう叫んで、ディートハルトは突然に梯子をつたって下に向かう。

「あ……おいっ!何処へ行く?」

俺の呼び掛けには答えず、ディートハルトは滑るように下へ降りて行く。

「逃げる気か?おいっ!」

俺は奴に向けて発砲するが、動きが早くて当たらない。だが奴は、逃げるのでは無く、タンカーの爆発があった戦場の方へ走って行く。

何だ?報道に居た者の性か?事件のある方へ引き寄せられる……いや、あいつ、変な事を言っていたな?“こうでなければ”って、まさか、こうなる事を望んでいた?

ゼロの無頼やカレンの紅蓮を乗せた大型ボートが、コーネリアの本隊が待機する倉庫に飛び込む。そして、ボートから一斉に飛び出し、ナイトメアに搭乗する前に奇襲を仕掛けて行く。

以降は、爆炎に包まれて見晴らし台からでは状況が分からない。ディートハルトを追いながら、俺も戦場に近づいて行く。逐次ゼロを呼び掛けるが、戦闘中のためか、何度呼び掛けても全く返事が無かった。

 

しばらくして、俺は戦場から少し離れたコンテナ置き場に隠れ、再度ゼロに呼び掛ける。

「ゼロ、応答してくれ!ゼロ!」

『扇か?私だ。C.C.だ。』

何?C.C.か?いつの間に現れた?作戦開始の時には居なかったよな?そもそも、何なんだこいつは?いつも突然現れて、ゼロ同様に俺達に接して来る。ゼロと、どういう関係なんだ?

「ゼロはどうなった?」

『無事だが、今は動けない。お前が、撤退命令を出せ。もたつくと全滅するぞ。』

俺がC.C.と話をしているところに、コンテナの陰から、ディートハルトが姿を現す。

「そ……そうだな、分かった。」

とりあえずそう答えて、通信を切る。直ぐさま、幹部達に撤退命令を出す。

それらを終えた後、ディートハルトと対峙する。

「何処に行っていた?」

「近くで、ゼロの行動を観ていました。私には、それを観て、記録する義務がある。」

「はあ?」

何を言っているのか、その時にはまだ分からなかった。

 

翌日、移動するトレーラーの中で、皆が前日の作戦について振り返っていた。

「惜しい事したよな、もう少しで……」

「次は、白兜もまとめて倒すから……」

「気にするなって。」

「そうそう、玉城なんか直ぐやられちゃって。」

そこで、皆大爆笑を始める。結局コーネリアは捕らえられず、ゼロも負傷した。日本解放戦線の片瀬少将も戦死。とても“勝った”と言える内容では無かったが、皆の様子は明るい。そんな中、俺がわざと水を差す。

「解放戦線の船、どうして爆発したのかな?」

「え?」

誰も、昨日のゼロの行動に疑念を抱いていないのか?それならば、問題は無いのだが……

「自爆だろ?」

玉城が言う。

「連絡はしたんだよな?助けるからって……」

「そのために、ゼロが動いたんじゃないか?あ、そっか!顔を見るチャンスだった?なはははははは……」

玉城は、またバカ笑いをする。

「まさか、ゼロを疑ってるんじゃ?」

カレンが俺に詰め寄る。

「いや……でも……」

「あまりにもタイミングが良すぎると?もし、あれがゼロの仕業だとしたら、どうするつもりです?」

2階から降りて来た、ディートハルトが口を挟む。

「何?その言い方。」

カレンが、食って掛かる。

「おい、ディートハルト。この前は、怖くて逃げ出したらしいな?チキンなブリキ野郎が!俺達幹部に向かって、タメ口聞いてんじゃねえ!」

玉城も、文句を言う。

「戦況の把握に努めただけです。扇さんも認めてくれましたが?」

「ええっ?」

驚いて、カレンがこちらを向く。

「あ……ああ、ゼロも、構わないって……」

こいつは間違い無く、ゼロがタンカーを爆破した事に気付いている。それでいて、あえてゼロに付いて行こうとしている。何を考えている?目的は何だ?

 

夕方、俺は、ひとりで昨日の港に来ていた。既に後始末はされていて、ブリタニア軍はもう居ない。

「ゼロ、昨日の君はらしくなかった。どうして、そんな気がするんだろう?」

成田の直ぐ後で、また日本解放戦線を捨て駒にする様な事を……京都の目もあるのに……

幹部達が誰も疑念を持たなかったからいいが、何か、いつものゼロらしくない。何かに、焦っているような……事実、ミスもしている。自分の銃を無くして、俺に探らせている。

その時、ふと、テトラポットの辺りに赤いものが見えた……血だ!

良く見ると、テトラポットの間に人が倒れていた。俺は、慌てて駆け寄る。それは、女性だったが、ブリタニアの軍人だった。撃たれて気絶しているようだ。もしかして、死んでいるのか?

「大丈夫ですか?……しっかりして!おい、君!」

触って見ると、海の水に濡れて体が冷えてはいるが、まだ温もりがある。生きている。

すると、突然、その女性がうわ言のように呟いた。

「……そうか、お……お前が……ゼロ……」

い……今、何と言った?ゼロだと?まさかこの女、ゼロの顔を見たのか?それで、ゼロに撃たれたのか?

「?!」

その顔を良く見て、俺は衝撃を受けた。

「ち……千草?」

似ている……千草に…………

 






扇が、もしここで本当にゼロに疑念を抱いていたんなら、『裏切り』であそこまで衝撃を受ける事は無いと思います。そもそも、この話以降、全然ゼロに疑念抱かなくなっちゃいます。R2の1話でブリタニアに捕まっている時も、全く疑っていません。
となると、ここで疑念を抱いているのはポーズという事になります。じゃあ、何故そんな事をするか?皆の反応を見るためではないでしょうか?

この話とは関係無いんですが、原作の13話で私が一番突っ込みたいのはスザクのセリフ。
「ゼロのやり方は卑怯だ!自分で仕掛けるのでも無く、ただ、人の尻馬に乗って、事態を掻き回しては、審判者を気取って勝ち誇る。あれじゃ、何も変えられない!間違ったやり方で得た結果なんて、意味は無いのに!」
矛盾だらけです。
自分で仕掛けずにって、いつも自分で仕込んでますがな。それを気付かせないところが策士なんでしょ?解って無いねえ……
尻馬に乗って、事態を掻き回してるのはあんたの方や!審判者は気取ってませんが、完全な偽善者を気取ってます。スザクのやり方こそ、何も変えられません。
“間違ったやり方”って、そんなの誰が決めたの?あんたの勝手な価値観でしょ?意味が無いってのはあんたにとってってだけで、ゼロを信仰する大勢の日本人には立派に意味はあります。
「結果ばかり追い求めて、他人の痛みが解らないのか?」
偉そうに言ってるけど、あんただって全然解って無いよ。
「平然と命を囮にする、お前はただの人殺しだ!」
平然とって、素顔見てもいないのに何で解るの?勝手にそう思ってるだけじゃん。だいたい、生身の日本解放戦線兵士を撃ち殺す命令実行しようとしてた奴が、何言ってんだ?お前こそただの人殺しになってたよ。ゼロが仕掛けなければ。
「どうしてお前は、無意味に人の血を流す?」
あんたにとって意味が無いだけでしょ?ゼロが、意味の無い血を流す訳無いじゃん!あんただって、父親殺してるでしょ?旗から見たら、無意味な人殺しだよ。

序盤のスザクって、本当にウザイですよね。まあ、ルルーシュと対峙させるために、わざとそういう風に作ったんだろうけど。
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