ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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case100 Silent spell 〜無言呪文〜

始業式の翌日。

 

談話室にてハリーはホグワーツ特急の中でマルフォイの跡をつけ、彼の話を盗み聞きした事と、それがバレて鼻をへし折られた事をエスペランサ達に明かした。

 

ハリーの話によればやはりマルフォイは何かを企んでいるらしい。

それも、ヴォルデモート直々の命を受けてとのことだ。

 

「マルフォイはパーキンソンの前で格好つけただけさ」

 

ロンの意見だ。

 

「確かにマルフォイは自分を偉く見せたがるわ。でも、それにしては話が大きいし……」

 

「エスペランサはどう思う?君はスリザリン生の一部と仲が良いから何か聞き出せない?」

 

「無理だな。セオドールやフローラが完全にダンブルドア側だと公言した時点でマルフォイは彼等に何も話さなくなった。だが、マルフォイの企みを聞き出す手ならあるぜ?」

 

「本当!?」

 

「開心術に真実薬、それに拷問すれば吐くさ」

 

「駄目よ!そんなことしたら退学になっちゃう!」

 

エスペランサは冗談で言ったつもりだが、ハリーは本気でそれらの術を考えているようだった。

 

「そんな事よりハグリッドだ。ハーマイオニーも魔法生物飼育学を取らないんだろ?」

 

「え、ええ。取らないわ」

 

「昨日ハグリッドが僕達に今年の授業も楽しみにしておけって言ってきたんだ。だけど、ハグリッドの授業を取る生徒なんて一人も居ないだろ?」

 

「そうね。ハグリッドは私達が魔法生物飼育学を取ろうとすると本気で思っていると思う?」

 

エスペランサは魔法生物飼育学を履修していない。

だが、ハグリッドの授業の悲惨さは風の噂で知っていた。

 

ちなみにエスペランサは占い学とマグル学を履修していたが、今年は取らない予定だ。

授業よりもセンチュリオン関係に時間を割きたいからである。

 

「私達が…その、あの授業で熱心なところを見せたかしら?」

 

「ハグリッドからすれば熱心だったさ。熱心にやらなきゃ今頃は尻尾爆発スクリュートに殺されてあの世行きさ」

 

魔法生物飼育学はともかくとして占い学に関しても履修継続する生徒なんて居ないだろと思っていたエスペランサだったが、ミーハーな生徒数名が履修していたことが後に分かった。

 

変身術や魔法薬などの比較的難しい科目の履修者は少なく、このご時世なのか闇の魔術に関する防衛術の履修者が最も多い。

 

スネイプによる闇の魔術に対する防衛術の教務は新学期すぐにやってきた。

 

 

スネイプの趣味なのか知らないが、闇の魔術に対する防衛術の教室は窓をカーテンで閉めてしまい、壁には闇の魔術に犯された人々を模写した絵が飾られている。

 

「我輩はまだ教科書を出せとは言っていない」

 

教室にコウモリのように入ってきたスネイプは生徒達にピシャリと言い放った。

 

「我輩の話を傾聴するのだ。我輩が思うに、諸君は今まで5人の教師を持った。この5人はそれぞれ独自の教えを尊重していたからにして諸君の授業内容は非常に遅れている。にも関わらずOWLを突破してきたのは奇跡か、あるいは個人の努力なのか……」

 

「闇の魔術は多種多様、千変万化、流動的にして永遠なるものだ。それと戦うということは、多くの頭を持つ怪物と戦うに等しいと我輩は考える。首を一つ切り落としても別の首が、しかも前より獰猛で賢い首が生えてくる。諸君の戦いの相手は、固定できず、変化し、破壊不能なものだ」

 

スネイプの演説は今までの教師の中では一番まともな話だった。

しかして何故だろう。

スネイプは闇の魔術に対する防衛術という科目にエクスタシーでも感じているように見える。

 

それはエスペランサもハリーも同じ意見だった。

 

「これらの絵は……吸魂鬼や亡者に襲われた者を描いている」

 

スネイプは教場に飾られた絵を指差して回る。

 

「亡者については先日、この学校の勇敢なる生徒達が退治してくれたようだが……。さてさて、諸君は防衛術には多少なりとも学があると見受けられる。しかし、無言呪文に関しては素人だ。誰か無言呪文の利点を説明できる者はいるかね?」

 

真っ先に手を挙げたのは勿論、ハーマイオニーだ。

だが、手を挙げたのはハーマイオニーだけではない。

 

エスペランサをはじめとしたセンチュリオンの隊員全員が手を挙げていた。

こんなことは滅多に起きないのでスネイプは軽く驚いたようである。

 

暫し考えた挙句、スリザリンの隊員を指名した。

ハーマイオニーは悔しそうな顔をしている。

 

「では……ノット。答えてみよ」

 

「はい。往々にして魔法による攻撃は呪文を唱える必要があり、攻撃の発動まで若干の隙が出来ます。そのデメリットを克服するのが無言呪文であり、敵に自らの意図を汲み取らせないという利点もあります」

 

しかし、とセオドールは続ける。

 

「死の呪いをはじめとした強力な呪詛に関しては発音が必要であり、それを踏まえた上で近接戦闘での魔法使用は不利であると共に、魔法は直線にしか進まない故に狙撃という観点から個人の技量が求められます」

 

「概ねその通りであろう。スリザリンに20点」

 

普段ならスリザリン生が拍手をするところだが、今回は起きなかった。

セオドールはダンブルドア側の人間である故にスリザリン生の半分以上を敵に回しているからだ。

 

「魔法使いの決闘において無言呪文を使える者と使えない者では強さにハッキリとした差が出る。その強さを補う為に"道具"に頼る者も居るが……」

 

スネイプは一瞬、エスペランサを見た。

かつてエスペランサとスネイプが決闘を行った時、その差が仇となりエスペランサは敗北している。

 

「しかし先生。例えば死喰い人は敵を攻撃する際に死の呪い、或いは悪霊の炎などの詠唱を必要とする魔法しか使って来ませんでした。奴らを"殺す"為には魔法よりも武器を利用した方が得策では?」

 

エスペランサは質問する。

彼の発言にスリザリンの生徒の何人かが反応した。

エスペランサが神秘部で死喰い人を殺害した事に対して少なからず恐れと怒りを抱いているからである。

 

「死の呪いは誰でも使える訳ではない。悪霊の炎然りだ。そういった敵は通常の魔法による攻撃を仕掛けてくる。その場合は無言呪文を行使してくる可能性が極めて高い。さて、話を戻すと、無言呪文というのは極めて集中力が必要な技術だ。この中にはその集中力が欠如している者もいるが……」

 

スネイプはハリーをねっとりと睨んだ。

 

「今から二人組を作り、片方が無言で攻撃を行い、片方がそれを無言で防ぐ訓練を実施する。かかりたまえ」

 

生徒達は各々ペアを作り、杖を構える。

 

センチュリオンの隊員はセオドールの指導のおかげで大半が無言呪文を習得していた。

無論エスペランサもとっくに習得している。

 

エスペランサとセオドールは互いの呪いを無言で防ぎ合い、フローラとダフネ、それにザビニも成功させていた。

 

ハーマイオニーは独学で習得したのだろう。

ネビルの無言呪文を軽く防いでいた。

 

この出来にはスネイプも少し感心したようで"スリザリン生のみに"点数をあげている。

スネイプのスリザリン贔屓には慣れていたエスペランサやネビルは特に何とも思わなかったがハリーはイライラとスネイプを睨んでいた。

 

「流石だなグレンジャー。君を見ているとつくづく純血主義に傾倒しなくて良かったと思える」

 

ザビニが珍しくグリフィンドール生を褒めた。

元々はゴリゴリのマグル生まれ差別者だったザビニだが、今ではすっかり毒が抜けている。

 

その様子を見ていたロンは面白くなさそうにしていた。

 

「悲劇的だなウィーズリー」

 

一向に無言呪文に成功しないロンを見たスネイプが嫌味を言う。

そして、ロンを脇へ退かしてハリーの目の前に立った。

 

「我輩が手本を見せてやろう」

 

スネイプはハリーに杖を向ける。

その瞬間にハリーは「プロテゴ・守れ」と唱え、スネイプを攻撃した。

 

呪文が強烈だったのだろうスネイプは体勢を崩し、後ろに積んであった机に激しくぶつかった。

 

「我輩は無言呪文を使えと言った筈だ。ポッター」

 

「はい。先生は僕に先生なんて敬語をつけて頂く必要はありません。先生」

 

苛立ちがピークに達していたのだろう。

失言王として名高いハリーの新学期最初の失言だった。

シェーマスやロンは吹き出し、ハーマイオニーは顔を青くし、エスペランサやセオドールは呆れていた。

 

「罰則だポッター。毎週土曜の夜。良いか?我輩に対する生意気な態度は許さんぞ。例え、選ばれし者でもだ」

 

記念すべき罰則第一号は恐らく全員が予想していたが、ハリーに決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新学期は特に何も起きずに過ぎていく。

 

ハリーが魔法薬の授業で優秀な成績を修めはじめたことが特筆すべき事柄だった。

もっとも、ハリーに才能が開花した訳ではない。

その原因は"半純血のプリンス"蔵書の魔法薬の教科書のためだ。

 

どうやら彼が手にした魔法薬の教科書には半純血のプリンスを名乗る昔の生徒が非常にためになる書き込みをしていたらしい。

その書き込みの通りに魔法薬を調合すると教科書以上の効果が得られるそうだ。

 

これを面白く思っていないのはハーマイオニーとフローラだった。

 

必要の部屋で真実薬の量産をしているフローラはあからさまに不機嫌である。

彼女はハーマイオニーと同等以上に魔法薬の成績が良かったのだ。

 

「しかし半純血のプリンスか……。俺達が使っているマフリアートの呪文もプリンスが考えた物だとはなぁ」

 

大鍋をかき混ぜているフローラの横でエスペランサが言う。

必要の部屋の基地には魔法薬量産プラント(と言っても簡単なプレハブ小屋だが)が設けられていた。

 

エスペランサは不機嫌なフローラの機嫌取りをするためにこの小屋に来ている。

 

「そうですね。半純血のプリンス……胡散臭い人物です」

 

「そうか?俺はそう思わないけどな。魔法の開発は俺もしたことがあるし」

 

「あなただって相当胡散臭い人物ですよ。まったく……」

 

額から流れる汗を拭きつつフローラは大鍋に蓋をした。

あとは煮るだけなのだろう。

 

「そういえばフェリックス・フェリシスは量産出来ないのか?あれがあれば戦闘も楽になるかもしれない」

 

フェリックス・フェリシスは幸運薬だ。

飲んだ者は全員、幸運になる。

スラグホーンが第一回の授業でハリーにプレゼントしていた。

 

「やめておいた方が良いです。もしフェリックス・フェリシスが万能であればヴォルデモートがいつも飲んでいるはずでしょう?でも、そうしていない理由はあの薬には副作用があるからです。ずっと飲み続ければ中毒になり、判断力が無くなる。麻薬のようなものですよ。それに作るのには6ヶ月かかります」

 

まあ私なら作れますけどね、とフローラは呟いた。

 

「ところで、その件のハリー・ポッターはダンブルドアに個人授業を受けているみたいじゃないですか。一体、何を教えてもらっているんですか?」

 

「それが不明なんだ。ロンやハーマイオニーには話しているみたいなんだが、俺に話すのはダンブルドアに禁止されているそうで」

 

「ハブられたわけですね」

 

「言い方に棘があるぞ。否定はせんがな」

 

ダンブルドアにハリーが個人授業を受けているのは知っていた。

しかし、その内容は極秘中の極秘。

 

エスペランサに話せばセンチュリオンに共有される。

それを恐れたのかダンブルドアはハリーにエスペランサに授業内容を教える事を禁じていた。

 

これはつまり、センチュリオンを信頼してないのではないか?とエスペランサは直々に抗議したが無駄だった。

 

「それにしても魔法薬か……。厄介な代物だよな。ポリジュース薬とか魅惑万能薬とか。魅惑万能薬なんてハニートラップにはもってこいの代物だぜ?世の男女は何で魅惑万能薬を使いたがらないんだ?」

 

「それは……」

 

大鍋の火を調整しながらフローラは言葉を選びつつ返答した。

 

「魅惑万能薬は万能では無いからです。あれは擬似的な……要するに嘘の恋愛感情を作り出すだけなんです。もし魅惑万能薬が本当に万能なら私はとっくに貴方に飲ませていましたよ?」

 

彼女はそう言い捨て、小屋を去って行った。

フローラの言葉の意味をエスペランサが理解したのはその後少し時間が経ってからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




少し短めですがキリが良かったので投稿します。
謎のプリンス編は新学期に入るまでが長かったですね汗
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