ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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case08 Norbert the Norwegian Ridgeback 〜赤子のドラゴン〜

クィディッチ2回戦。

グリフィンドール対ハッフルパフである。

 

正直なところグリフィンドールの練度であれば負けはしない戦いであった。

 

 

「だが、スリザリンの寮監であるスネイプ教授が審判ってのはグリフィンドールにとっては不利に働くだろうな」

 

「それだけじゃないわ!スネイプはハリーの命を狙おうとしているもの。それに賢者の石も」

 

「スネイプ教授が犯人かどうかはともかく、前回の試合同様にハリーの命が狙われる可能性はあるってことだな」

 

 

クリスマスが終わり暫くした日の夜。

ハリーが蛙チョコのおまけカードであるダンブルドアのカードに載せられた説明文からニコラス・フラメルが誰かをつきとめた。

 

カードには‟パートナーであるニコラス・フラメルとの錬金術で有名”と書いてあった。

 

カードによりヒントを得たハーマイオニーはニコラス・フラメルが賢者の石を作り出した665歳の人間であることを発見した。

エスペランサは665歳という年齢の方に驚いたが、ロンがニコラスの年齢に驚いていない様子を見る限り、665歳という年齢は魔法界ではそれ程驚くべきものではないのかもしれない。

 

本によれば賢者の石は如何なる金属も黄金に変え、不老不死の源となる命の水を作り出すことも出来るらしい。

 

素晴らしい石だ。

如何なる金属も黄金に変えることが出来るとすれば、地球の資源問題は1つ解決したこととなる。

是非とも、マグル界に公表して最近の金属の高騰を抑えるべきだと主張するエスペランサを無視して、ハーマイオニーはハリーの命を狙う敵が「命の水」を求めて賢者の石を狙っているのだと結論付けた。

 

何はともあれ、敵の狙う‟物”の正体は分かったわけだ。

 

 

「賢者の石……か。俺だって手に入れたいぜ?賢者の石を狙う人間なんて大勢いそうだがな」

 

 

そう呟くエスペランサは機関銃に取り付けられたスコープを覗き込んでクィディッチ競技場をぐるりと見渡す。

 

 

ハリーの命を狙う人間がまたクィディッチ競技場に紛れ込んでいる可能性がある。

ロンとハーマイオニーはそれがスネイプであると言い張ったが、エスペランサはスネイプが犯人であるという確信が持てなかった。

 

仮にスネイプが犯人ではなかった場合、もしくは犯人がスネイプであってもスネイプ以外にも複数の敵が存在した場合、ハリーがクィディッチに参加するのは危険

エスペランサもロンもハーマイオニーもハリーにクィディッチの試合に出ないよう説得したのだが、ハリーは案外強情で負けず嫌いだった。

スリザリンとスネイプに一泡吹かせてやると言ってハリーは箒を片手にクィディッチ競技場へ向かっていった。

 

 

「ハリーの命は俺が守る。敵が少しでもハリーに攻撃しようものなら俺がこいつでぶっ殺す」

 

 

エスペランサは競技場の観覧席にある手摺に脚で固定した機関銃を構えなおした。

 

M249。

MINIMIと呼称される分隊支援用の軽機関銃はエスペランサが持ち込んだ武器であった。

 

分解してトランクに入れてあったものを急遽結合して使えるようにしたこの軽機関銃にはスコープがロープで括り付けてある。

MINIMIには元々スコープはついていないが為、G3に着けていたスコープを取り外し、ロープで無理やり括り付けたわけだ。

 

スコープの倍率を上げ、観覧席の職員を片っ端から観察する。

エスペランサは敵の正体が職員の誰かではないかと疑い始めていた。

 

ホグワーツに賢者の石が持ち込まれたことを知る人間は、ホグワーツの職員と森番のハグリッドのみである。

敵がホグワーツに賢者の石が持ち込まれているということを知っている以上、敵の正体は職員の誰かであると憶測できた。

 

もっとも、外部に敵が存在して、職員の誰かがその敵に協力しているという可能性もある。

しかし、敵は前回のクィディッチでハリーの箒に直接呪いをかけていた。

とするなら敵は前回の試合時に競技場に居た可能性が高い。

競技場に居た人間で、尚且つ賢者の石が城に持ち込まれていることを知る人物は限られている。

 

スネイプ。

マクゴナガル。

フリットウィック、スプラウト、クィレル、それにハグリッド。

 

他にも数人の教職員が前回の競技時に競技場に居た。

それら全員が容疑者である。

 

クィディッチ競技中に敵が再び、ハリーに危害を加える可能性はある。

エスペランサはそうなった場合、即座に敵を発見、射殺出来るように軽機関銃を持って来ていたのだった。

 

M249軽機関銃はエスペランサの所有する火器の中で最大の火力と射程を有する。

競技場内ならどこでも射程範囲内であったし、確実に相手の息の根を止められると彼は思った。

 

 

(敵は教職員の誰かである可能性が高い………。ならば教職員の観覧席を重点的に警戒すべきか?)

 

エスペランサは教職員の観覧席に銃を向け、スコープを覗き込む。

本体と200発入りマガジンを含めても8キロしかないM249であったが、それでも持ち上げて撃つのは難しい。

なので彼は機関銃に車両搭載用の脚を取り付け、その脚を観覧席の手摺に固定することで、銃を360度回転できるようにしていた。

 

 

「観覧席には各寮の寮監とクィレル、それに非常勤講師が数人。フィルチさんもいるな。審判のスネイプ教授を含めたら10人以上容疑者が存在する」

 

「一番疑うべきはスネイプだ」

 

「とは言ってもな………。ん!?あれは!」

 

 

スコープ越しに教職員用観覧席を眺めていたエスペランサは観覧席にダンブルドアが座っているのを確認した。

 

 

「ダンブルドアだ!」

 

「ダンブルドアが居れば誰もハリーに手出しはしないわ!見て、スネイプの意地の悪い顔!」

 

「そりゃ元々だろ」

 

 

確かにダンブルドアの目前でハリーに攻撃をするほど敵は馬鹿ではないだろう。

しかし、油断は禁物だ。

 

 

「さあ!プレイボールだ!アイタッ!?」

 

 

ゲームが始まり興奮していたロンが突如として悲鳴を上げる。

何事かと後ろを振り向けばマルフォイがロンに肘鉄を食らわせたところだった。

 

敵襲かと思い焦ったエスペランサは溜息をついて再び機関銃を構える。

 

 

「何だマルフォイ!」

 

「ごめんごめん気づかなかったよ。どうだい?ポッターがどのくらい箒の上に乗っていられるか賭けをしないか?といっても君には賭けをするほど金が無いか」

 

「失せろマルフォイ!」

 

「君たちはグリフィンドールの選手がどうやって選ばれているか知っているかい?気の毒な人が選ばれているんだよ。ポッターは親が居ないし、ウィーズリーは金が無い。ああそうだ。ロングボトム、君も入るべきだね。何て言っても頭が無いから」

 

 

マルフォイが憎まれ口を叩く。

腰巾着のクラッブとゴイルはそれを聞いて豚のように笑っていた。

 

(いやいや、ネビル以上に頭が悪いクラッブとゴイルが笑うなよ………)

 

エスペランサは内心呆れていた。

 

 

そんな中、エスペランサたちの横で観戦をしていたネビルが以外にもマルフォイに食って掛かっていた。

 

 

「ぼ…僕、君たちが束になっても敵わないほど価値があるんだ!」

 

そこからは売り言葉に買い言葉でロンとネビル、マルフォイたちの口論が始まる。

 

 

「ロン!どうでも良いが、マルフォイたちを機関銃の周りに近づけないでくれよ?危ないからな」

 

 

エスペランサは教職員席の警戒で頭がいっぱいであった。

そんなエスペランサの集中力をロンたちの口論が削ぎにかかっている。

 

 

「見て!ハリーがスニッチを見つけて急降下してる!」

 

「悪いが見れない。こっちは警戒監視で手いっぱいだ」

 

「頑張ってハリー!!」

 

 

どうやらハリーがスニッチを見つけたらしい。

会場も盛り上がりを見せている。

 

そんな盛り上がりの中、エスペランサはスコープ越しに‟彼の表情”を見た。

 

 

(何だ‟あいつ”………。ひでえ顔してやがる。まるで憎悪……………!?)

 

 

そこでエスペランサは気づいた。

 

(‟あいつ”が敵であるとしたら全ての辻褄が合う…………)

 

 

エスペランサがスコープ越しに見た、‟ある教員”はハリーを憎むかのように睨みつけていた。

他人の表情や目から感情を読み取れるエスペランサであったが、そんな能力を使わずとも分かる。

 

(あれは明らかに憎悪。戦場で何度も見た。殺意すら含んだ目だ)

 

 

 

何故気づかなかったのだろう。

そうエスペランサは思う。

 

あのトロールの侵入した夜。

ほとんどの教職員は大広間に居た。

 

だから彼は大広間に居た教職員がトロールを城内に導いた犯人ではないと思ってしまっていたのだ。

 

しかし、あの男ならトロールを城内に入れることが出来たはずだ。

 

第一発見者の‟あの男”なら!!!!

 

 

 

いつの間にかハリーはスニッチを掴み、試合を終了させていた。

 

会場は湧き、グリフィンドール生が歓声を上げる。

ハーマイオニーは席に立って飛び跳ねていた。

 

口論から物理的なケンカにシフトしたロンとマルフォイは取っ組み合いをし、ネビルはクラッブとゴイルに羽交い絞めにされている。

 

 

だが、エスペランサにとって今やクィディッチの勝敗はどうでも良かった。

何せ敵の正体が掴めたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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試合終了後、ハリーはスネイプとクィレルの両教授が禁じられた森の隅で口論を(といってもクィレルが一方的に脅されているだけだが)を発見したらしい。

箒を仕舞おうとロッカーに向かっていたところ、2人が禁じられた森に向かうのを見てハリーは後をつけたということだ。

 

ハリーの話によれば、スネイプが「吾輩を敵に回したくなかったら怪しげなまやかしについて教えろ」だとか「どちらの陣営につくかはっきりさせろ」だとか脅していたそうである。

加えて、会話には賢者の石という固有名詞も登場したことから、やはりホグワーツで保管されている物は賢者の石ということになった。

 

「やっぱりスネイプは賢者の石を狙っていたんだ!スネイプはクィレル先生に石を守る罠について聞き出そうとしていたんだ!」

 

「それじゃスネイプがおとなしくしているのもクィレル先生が抵抗している間だけということになるわ」

 

 

ハリーたちはスネイプが犯人だと決めつけて話を進める。

 

 

(いや。そうじゃねえ。スネイプ教授は犯人ではない。ハリーの目撃した2人の会話。一見、スネイプ教授がクィレルを脅しているようにも思えるが、仮にクィレルが犯人だとしても会話は成り立つ。ハリーたちは先入観から気づいていないと思うが………)

 

 

エスペランサはクィレルこそが真の敵であると確信するに至っていた。

 

根拠は4つある。

 

まず1つ目はクィレルがトロールを城内に入れることが出来たという事実。

スネイプ教授はトロール進入時に大広間に居たらしい(エスペランサは図書館に居たので他の生徒に聞いた)。

しかし、クィレルはパーティーの時は大広間に居なかった。

彼は大広間に「トロールが侵入した」と伝えに来た第一発見者であった。

ではパーティーに来ないでどこで何をしていたのだろう?

冷静に考えて、あの時間に城内にトロールを導くことが出来るのはクィレルだけであった。

 

2つ目にクィレルはトロールの専門家であることが挙げられる。

エスペランサはトロールとの戦闘後、図書館でトロールについて調べた。

その際にクィレルがトロールに関する論文をかつて発表していたことを発見している。

トロール専門家であればトロールを城内に入れることも可能だろう。

 

3つ目は今日のクィディッチの試合時にハリーを見ていたクィレルの表情である。

あれは明らかに殺意を持っている顔だとエスペランサは分かった。

 

そして4つ目がハリーの目撃したスネイプ教授との会話だ。

 

 

決定的な証拠こそない物の、クィレルが敵であるとすると辻褄はあう。

彼は前回のクィディッチの試合にも来ていたらしいし、ハリーの箒に呪いをかけることは可能だったはずだ。

ハーマイオニーはスネイプ教授が呪いをかけていたと言うが、それは反対呪文の類だったのではないだろうか。

 

 

(だが、何故クィレルがハリーの命を狙うんだ?何故賢者の石を欲しがるんだ?)

 

 

エスペランサはクィレルのことを良く知らない。

少々臆病な性格でありながら、授業内容自体は割とまともなことをしている。

昨年まではマグル学の教師であった。

その程度の情報しか知らなかった。

 

だからハリーの命を狙う理由など見当もつかない。

 

 

「まあしかし、これで幾分か戦い易くなったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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エスペランサは事務室に居た。

 

ハリーたちは透明マントを被って天文塔に行っている。

ことの発端はハグリッドがどこからかドラゴンの卵を貰ってきたことから始まる。

 

どこから手に入れたのかは分からないが、ハグリッドはドラゴンの卵を貰ってきて孵化させた。

ノルウェー・リッジバック種というドラゴンらしい。

ドラゴンの飼育は1709年のワーロック法で禁じられているとエスペランサは本で読んでいた。

 

ドラゴンの飼育が違法となれば、ハグリッドは犯罪者ということになる。

それにドラゴンの成長は早く、学校側にばれるのも時間の問題であった。

さらに最悪なことにドラゴンの孵化をマルフォイに見られたのである。

 

ハグリッドの逮捕を覚悟していたエスペランサであるが、ロンの兄貴であるチャーリー・ウィーズリーが幸運にもドラゴンの研究をしていて、ドラゴンを引き取ってくれるという。

その約束が今日だったわけだ。

ハリーとハーマイオニーは今の時間、ノーバートと名付けられたドラゴン(エスペランサはゴジラと名付けようとした)を天文塔でチャーリーたちに引き渡そうとしているに違いない。

 

ちなみにロンはノーバートにかまれた傷が悪化して医務室に居る。

 

 

エスペランサも誘われたが断っていた。

ドラゴン運びを3人という大人数で行うのは見つかるリスクがあるし、何より彼はやることがあった。

 

彼はクィレルに関する情報を集めようとしていたのだ。

 

 

しかしながら教師にクィレルの情報を聞こうとすれば怪しまれる。

ダンブルドアの耳にエスペランサがクィレルについて探っているという話が入れば、おそらく止められるだろう。

クィレル本人の耳に入るのはもっての外だ。

 

そこで彼は考えた。

 

昔からホグワーツに居て、クィレルについて詳しい人物。

エスペランサがクィレルに関する情報を集めていることを怪しもうとしない人物は誰か………。

 

 

「と、言うわけでクィレルに関する情報を教えてくださいフィルチさん」

 

 

消灯後に訪問してきたエスペランサを見てフィルチは大きなため息をついていた。

 

 

「はあ。貴様、今何時だと思っている?前に言ったと思うが、校則違反をしたら容赦しないぞ?」

 

「いや、だって昼間フィルチさんに話しかけようとしても無視されるので」

 

「他の生徒の前でお前と仲良くしたら舐められるだろうが。ったく。罰則は覚悟の上なんだろうな」

 

「まあ。で?クィレルについて知っていることは?」

 

 

舌打ちをしながらもフィルチはエスペランサにお茶を出す。

 

実を言えばエスペランサとフィルチは度々消灯後に煙草を吸う仲となっていた。

消灯後にエスペランサがフィルチのもとを訪ねて一服するのは今月に入って3回目であったし、「罰則をするぞ」と脅すのはフィルチなりのジョークである。

フィルチ自身もミセスノリス以外に仲の良い人物はあまり居なかったし、愚痴を言う相手が欲しかった節もあり現状を良しとしていた。

 

以前のフィルチなら生徒と仲良くなど考えられなかったが、エスペランサは別であった。

 

 

「クリスマスに送ってくれたマグル界の煙草。なかなか美味いな。気に入った。ただ、煙をミセスノリスが嫌がってな」

 

「そう言えばミセスノリスはどこに?」

 

「消灯後に出歩く生徒が居ないかパトロール中だ。お前は例外だが」

 

「何か罪悪感あるな。俺だけ見逃されていると」

 

「お前は悪戯目的ではなく喫煙目的で出歩くからな。別に見張らんでも良い」

 

「そりゃどうも」

 

「で、クィレル教授に関しての情報か。なぜ奴を知りたがる?」

 

「あいつが一連の事件の犯人だと俺が疑っているからだ」

 

「何!?」

 

 

エスペランサはフィルチにクィレルが犯人であるという根拠を話して聞かせた。

彼はフィルチを信頼しているから話したというのもあるが、フィルチにクィレルを警戒して欲しいという気持ちもあって話した。

 

 

「確かに、教授が怪しいというのもわかるな。うむ。あの教授は生徒のときはそんなに目立たなかった。あれは儂が管理人として日が浅かった時だな。奴はレイブンクローの生徒として入学してきた」

 

「レイブンクローだったのか」

 

「優秀だったのかは知らんが、おどおどした生徒でな。儂が罰則だと脅せば泣いて逃げ出すような生徒だった。そのせいか周りの生徒には馬鹿にされていた」

 

「成程。続けてくれ」

 

「教授になってからはあまりおどおどしなくなっていたと思う。真面目な人でマグル学を教えていた。ある時、出張でアルバニアの森に行ってからおかしくなった。どうも鬼婆と嫌なことがあったらしい。その、痴話的な……な。それで今の奴が出来た」

 

「それだけ聞くとクィレルが犯人だとは思えないし、ハリーの命を狙う動機も分らんな」

 

「儂もそう思う。しかし、お前の話を聞くとやはり犯人は奴なんだろうな」

 

「近いうちにクィレルは賢者の石を奪取するために行動を起こす。用心してくれ」

 

「ああ………」

 

 

夜も更けてきたことだしそろそろ帰るかと思っていたエスペランサ。

そんな時、事務室の扉を叩く音がした。

 

「こんな時間にお前以外の訪問者とは珍しい」

 

「ミセスノリスが帰ってきたのか?」

 

「いやいや。彼女はノックはしない」

 

 

フィルチが事務室の扉を開くとそこにはマクゴナガル女史が立っていた。

 

 

「アーガス。消灯後に生徒が出歩いていました…………。ルックウッド!?」

 

「うげっ」

 

「あなたまでも消灯後に徘徊をしていたのですか!?全く、私の寮生には失望しました!」

 

「あ、いや……これには事情が………」

 

「ポッターもグレンジャーもロングボトムも………。あなたたちはもう少し賢いと思っていました………」

 

 

どうやらドラゴンをチャーリーに引き渡そうとしていたハリーたちがマクゴナガル教授にしょっ引かれたらしい。

 

ネビルまで捕まっているのは謎であるが。

 

しかし、透明マントを携行していたはずのハリーたちが何故捕まったのだろう?とエスペランサは疑問に思った。

それにドラゴンはちゃんと引き渡せたのであろうか…………。

 

「あー。マクゴナガル教授………彼はですね………」

 

「何ですアーガス?」

 

 

フィルチはエスペランサを庇おうとしていたが、言葉が見つからないようだった。

事実、エスペランサは消灯後徘徊を行っていたし、フィルチはそんな彼を見逃していた。

両名共に有罪である。

 

さらにエスペランサは机の隅に2本の煙草の吸殻が入った灰皿が置かれていることに気づく。

 

これは不味い。

 

色々と言い訳を考えていたエスペランサであったが、どの言い訳をしてもフィルチの立場が悪くなりそうだと思った。

それに深夜徘徊をしていたのも事実。

他の学生が処罰されるのに自分だけ免除されるというのは腑に落ちないと考え、ここはフェアに自首しようと判断した。

 

 

「先生。深夜徘徊をしていた自分をフィルチさんが捕まえたんです。罰則も減点も覚悟の上。処罰してください」

 

「お前…………」

 

「勿論ですとも。他の学生と同じく50点の減点と罰則を与えます」

 

「了解しました」

 

「もう夜も遅いですから寮に戻りなさい。二度とこのようなことが無いように………」

 

 

そう言い残してマクゴナガル教授は帰っていった。

 

 

「良いのか………?お前」

 

フィルチがエスペランサに話しかける。

 

「消灯後に徘徊していたのは確かです。他の生徒が罰を受けるのなら俺も受けなくてはならない」

 

「そうか………。すまないな」

 

「謝る必要はないでしょう。悪いのは俺だし。ただ、これからは用心して扉を開けて下さい。この部屋以外で俺が喫煙できるところは少ないし………。また来ますよ」

 

「さてはお前、懲りてないだろ?」

 

「勿論」

 

 

 




原作ではハリーたちをしょっ引いたのはフィルチでしたが、ここではマクゴナガルに改変しています。

登場したM249は初期型の物です。
至近距離で発砲を聞くと耳がヤバいらしいです。

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