ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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投稿遅れて申し訳ありません。
多忙につき投稿遅れることが……

とは言えコミケにはちゃっかり参加しましたが…

誤字報告ありがとうございます。
2023年もよろしくお願いします。


case106 slytherin vs slytherin 〜スリザリンvsスリザリン〜

ホグワーツに正規の方法で入るとしたら二つの方法がある。

一つは湖からボートで乗り付ける方法。

もう一つはホグズミード村の駅の横から門をくぐり、セストラルに乗って馬車道を登っていく方法だ。

 

非正規の方法となると、暴れ柳の下の抜け道やハニーデュークスの下の抜け道、煙突飛行ネットワークなどもある。

しかしながら、それらの抜け道も含めてホグワーツには大規模な防衛魔法がかけられており、ヴォルデモートはもちろん、死喰い人や人攫い、その他犯罪者は侵入することが出来ない。

 

この防衛魔法は城の四周を囲む禁じられた森も含めてかけられているため、ヴォルデモート勢力の人間がホグワーツに侵入するのはまず不可能だ。

 

さて、ホグワーツにかけられた防衛魔法や姿眩ましの制限、煙突飛行ネットワークの管理は全て校長の権限で全面解除、部分解除が出来る。

ダンブルドアは本作戦のためにホグズミード村からホグワーツの敷地内に入る門の防衛魔法を部分的に解除した。

 

そして、今日。

 

センチュリオンの流した偽情報により、ドロホフとベラトリックス率いる死喰い人軍団がホグワーツ侵攻とハリー・ポッター抹殺のためにその門の前に押し寄せていた。

 

その数、35人。

 

ホグズミード村のホグワーツ特急が停まる駅に姿現しで到着した35名の死喰い人はまず周囲を警戒する。

 

「村に敵の姿は見えない。だが、油断するな。敵の持つ武器は遠距離から攻撃出来るものだ」

 

ドロホフは杖を構えつつ四方を観察した。

ホグズミード村は平日ということもあり、閑散としている。

ドロホフは仲間の死喰い人達を見た。

皆、ひどく若い。

実戦経験がある者は一握りしか居ないだろう。

 

今回のホグワーツ襲撃は人数こそ多いものの、参加したメンバーは新参ばかりなのだ。

その理由をヴォルデモートはドロホフだけに教えていた。

 

『損なわれる戦力は最小限に抑え、かつ機会があればポッターを捕獲しろ』

 

彼は主君の考えを即座に察した。

 

今回の件が敵の罠である可能性を考え、主戦力を温存するという考えだ。

以前のヴォルデモートでは思いつきもしなかっただろう。

 

ヴォルデモートも戦闘を繰り返すごとに成長している。

 

 

「ルシウスの倅が掴んだ情報によれば、あそこの正門の防衛魔法が解除されているらしい」

 

ドロホフはホグワーツの入り口である門を指差した。

無論、死喰い人たちはその門に見覚えがある。

彼らもホグワーツのOBだからだ。

 

皆、2学年以降はその門を潜り、セストラルに引かれる馬車で城へと向かったものだ。

 

「まずは先遣隊を出して門の向こうを偵察させる。もし、防衛魔法が解除され、尚且つ、ポッターが居れば俺に知らせろ」

 

「へっ。そんな面倒なことしなくても全員で突撃すれば良いじゃないか」

 

ベラトリックスが言う。

 

「お前は神秘部での敗走を忘れたのか?無闇に突撃すれば犠牲者が増えるだけだぞ。我が君もそれを考えて、今回のメンバーを選出している」

 

「怖気付いたのなら帰って良いぞ玉無し野郎」

 

「なんだと!?」

 

言い争っている二人のところへ新参の死喰い人の一人が走ってきた。

 

「報告です!門の向こう側にポッターと思わしき生徒の姿が見えました!門にかけられている防衛魔法も解除されているようです」

 

その言葉にドロホフもベラトリックスも門の方を向いた。

確かに門の扉は開いていて、ホグワーツへ向かう道が見えている。

 

そして、門から少し入ったところにローブ姿の生徒と思われる男女が立っていた。

一人は赤毛の女子生徒。

もう一人は丸眼鏡をかけた男子生徒である。

 

「間違いない。ポッターだ!」

 

ベラトリックスが歓喜の声を上げた。

他の死喰い人も一斉に杖を取り出す。

 

「待て!早まるな!」

 

ドロホフは制止したが、死喰い人たちは気にも留めない。

ハリーとジニーは死喰い人たちに気付くと、回れ右して城の方へと走り去る。

 

「殺せ!!行くぞっ!」

 

「二人とも血祭りにあげろ!」

 

「待て!待つんだ!ポッターは生捕りにしろというのが我が君の命令であるのを忘れたのか!?」

 

しかし、アドレナリンを放出し興奮状態にある彼等は止まらない。

雪崩れ込むようにしてホグワーツ城へ続く道へ殺到した死喰い人たちは走って逃げるハリーとジニーに杖を向けた。

 

そして、失神光線を乱射する。

だが、なかなか命中しなかった。

 

死喰い人たちとハリーの距離はざっと20メートル以上離れている。

走って逃げる人間に20メートル以上離れた位置から死の呪いを的確に当てるのは難しい。

故に失神光線を連射しようとするが、仲間の死喰い人たちがバラバラになってハリーとジニーを追いかけ始めたので、そんなことをすればフレンドリーファイアの可能性があった。

 

「くそっ!おい、一旦止まれ!味方が多くて狙いが定められん!ベラトリックス!お前もだ!」

 

ドロホフはそう叫ぶが、皆、興奮して聞こえていないようだ。

これが歴戦の死喰い人なら冷静に広範囲攻撃魔法を駆使したりして簡単にハリーを拿捕しただろう。

若手の死喰い人たちは失神光線を放つばかりである。

 

一方のハリーとジニーは突然、空へ飛び立った。

それを見た死喰い人達が驚愕する。

 

「あいつら!魔法で空を飛んだぞ!」

 

「馬鹿な!?そんなこと出来るはずがない!」

 

魔法界での飛行は箒やカーペットを使用しなければ実現しない。

 

「馬鹿者!箒を透明化して持っていただけだ!良く見ろ。二人とも何かに跨っているだろう」

 

ドロホフはそう指摘した。

 

良く見ればハリーとジニーは透明な何かに跨って飛行している。

箒を魔法で透明化し、あらかじめ隠しておいたのだろう。

箒を使われてしまうとドロホフ達に追跡は不可能だ。

 

だが、それよりもドロホフは気になる事があった。

 

何故、ハリーとジニーはあらかじめ箒を透明化して隠していたのか、ということだ。

まるで、最初から逃走用の手段を確保していたみたいである。

 

「まずい。やはりこれは罠だ……。全員、引き返せ!これは罠だ!!」

 

「何を言ってるんだ!このままだと小僧と小娘を逃してしまう」

 

ベラトリックスはドロホフの声に耳を貸さない。

 

彼女を筆頭とした死喰い人軍団は馬車道を半分以上登り、あと少しで丘の上に辿り着くところであった。

ドロホフは周囲の地形を確認する。

 

馬車道は幅3、4メートルで決して小さくは無い傾斜がある。

道の両脇は針葉樹林で覆われていた。

つまり、死喰い人達は必然的に馬車道を駆け上がるしかなくなる。

 

仮にドロホフが敵側の人間だとしたら馬車道から続く、あの丘の上に陣地を作り、一本道を攻めてきた敵に攻撃を加えるだろう。

 

ハリーとジニーという餌に食いついた死喰い人達を殲滅するための環境が整っている。

そのことに気付いたのがドロホフのみというのが致命的であった。

 

ヒュルルという風を切る音が聞こえたかと思うと、次の瞬間、大地が噴火したかのように爆発する。

そして、先頭を走っていた死喰い人の集団が土埃と共に吹き飛ばされた。

 

「何だこれは!敵の攻撃か!」

 

間一髪で盾の呪文を展開して爆発による被害を防いだベラトリックスが叫ぶ。

彼女の目の前に何かがゴロゴロと転がってきた。

良くみるとそれは味方の死喰い人の生首だった。

爆風で吹き飛ばされたのだろう。

 

ベラトリックスは驚異的な反射速度で盾の呪文を展開したおかげで致命傷は避けられたが、右頬に飛んできた砂利による裂傷が出来ている。

頬を伝う血を感じた彼女はアドレナリンが放出されるのが分かった。

 

「空だ!敵は空から攻撃してきてる!巨人を倒した武器と同じだ!」

 

「空!?」

 

土埃で視界が悪いため、何人死んで何人生き残ったのかは分からないが、返答と呻き声の数からまだ全滅してはいないのだろう。

 

死喰い人を襲ったのは迫撃砲による砲撃であったが、迫撃砲という武器の原理をベラトリックスは知らない。

しかし、上空から攻撃してきている事は理解出来ていたので、生き残っている死喰い人に空へ向かって盾の呪文を展開するように指示をした。

 

遠くからボンッボンッという破裂音が聞こえたかと思うと、迫撃砲による第二波攻撃が襲った。

だが、迫撃弾は盾の呪文によって防がれる。

 

見えない透明なシールドによって防がれた迫撃砲弾は空中で爆発し、周囲の針葉樹林を揺るがした。

 

「盾の呪文で防げるのなら恐れる事はない!このまま突撃だ!」

 

調子に乗った若い死喰い人の一人が走り出す。

 

しかし、走り出した瞬間に針葉樹林の影に設置されていたクレイモア地雷が火を吹き、彼の身体を木っ端微塵に吹き飛ばしてしまった。

迫撃砲弾によって作られたクレーターの横に血溜まりが出来る。

 

あらゆる拷問や暴力をしてきた死喰い人達も、一瞬で人間をミンチにする武器に顔を引き攣らせた。

 

「おいおい!あんな武器使ってくるなんて聞いてねえ!どうするんだ!」

 

「敵は近くに潜んでいる筈だ!見つけ出して片っ端から殺せ!」

 

「だが、この状況で敵を見つけるのは難しいぞ!」

 

死喰い人達は軽いパニックに陥っていた。

 

この間にも絶え間なく迫撃砲弾は降り注ぎ、正面からはTOW対戦車ミサイルが襲ってくる。

おまけにどこにクレイモアが仕掛けられているかも分からない。

 

ドロホフは生存している死喰い人のうち10名に盾の呪文を展開させ、残りの15名に周囲を警戒させようとした。

 

最初の迫撃砲による攻撃とクレイモアにより、すでに10名の死喰い人が死んでいる。

これ以上、仲間を減らす訳にはいかなかった。

 

「敵の攻撃は盾の呪文で防ぐ事が出来る。防御する者と攻撃する者に分かれて前進すれば大丈夫だ!」

 

そう言いつつ、ドロホフは飛来した榴弾を盾の呪文で防ぐ。

 

ここまで用意周到に攻撃をしてくる敵のことだ。

他にも罠を仕掛けているのだろう。

ひっきりなしに飛来する各種榴弾を防ぎつつ、それでも死喰い人軍団は前進していく。

彼等の辞書に敗走という言葉は存在しない。

 

狩る側しか経験したことの無い死喰い人達にとって狩られることなどあってはならなかったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予定通り死喰い人の軍団がホグワーツを襲撃してきてくれた事にセオドールは安堵していた。

 

ダンブルドアにより、ホグズミード村に続く門の防衛魔法を一時的に解除してもらったのは今から約1時間前の事である。

流した噂通りの時間だ。

 

そして、ポリジュース薬によりハリーとジニーに変身したコーマックとチョウを餌として進出させた。

ハリーとジニーは自分達が囮になると言って聞かなかったが、セオドールはそれを無視した。

 

ハリーとジニーはセンチュリオンと共同の訓練をした事が無い。

一方でコーマックとチョウは遊撃班として死線を潜り抜けてきた精鋭中の精鋭。

ミスの許されない今回の作戦に戦闘に関しては素人のハリー達を参加させる余裕は無かった。

 

ハリーとジニーに変身したコーマックとチョウは魔法で透明化した箒を手に、馬車道へ続く門の前で待機した。

本隊は馬車道から続く丘の上に陣を敷いていた為、彼等を援護する者は居ない。

 

コーマック達は死喰い人達の攻撃を全て回避した上で逃走に成功していたが、それは彼等の技量が並ならぬものだったからだ。

失神光線を回避しつつ、敵をキルゾーンまで誘導するのはビクトール・クラムでも困難だっただろう。

 

 

センチュリオンが敷いた楕円形の陣地は、丘の頂上にある。

最前線に有刺鉄線と地雷源を設置し、その後ろに小銃、機関銃手の入る塹壕が横一列に配置されていた。

小銃手たちは緊張した顔持ちで銃を構えている。

 

古参の隊員はともかくとして、半数近くの隊員は今回がはじめての対人戦闘だ。

人を殺害することに慣れていない隊員の精神がどれだけ保つか。

それはセオドールにも分からなかった。

 

さらにその後ろに迫撃砲陣地と対戦車榴弾部隊が待機していて、本部指揮所は一番後方に存在する。

 

本部指揮所は天幕の中にあり、通信機器と馬車道横の林に設置された監視カメラ(マグル避け魔法解除済み)と連動するモニターも運び込まれている。

その天幕の横には補給物資が山積みにされていた。

弾薬、燃料、資材。

必要の部屋から大量の武器を持ち出してきていた。

 

馬車道に砲口を向けて並べられた81ミリ迫撃砲からはひっきりなしに砲弾が発射されている。

さらにその横ではTOW対戦車ミサイルとパンツァーファウストⅢを隊員達が交互に発射していた。

 

だが、これらの攻撃は初撃を除いて戦果を上げていない。

敵が盾の呪文を展開している為だ。

 

ボンボンという破裂音が聞こえ、黒煙が見える中、セオドールは軽く舌打ちした。

このままではジリ貧である。

 

「砲撃により敵の足を止めることは出来ていますが、この調子では敵が迫撃砲の最小射程に到達します」

 

本部天幕から出てきた補給員が報告した。

 

「思ったよりも対応が早いな。もう少し敵にダメージを与えておきたかったが……。敵側にも有能な奴がいるみたいだ。恐らくはドロホフだろうが……」

 

セオドールは死喰い人の中で強敵になりそうな人間をピックアップしていた。

その中でも脅威になりそうなのはヴォルデモートを除けばドロホフとアエーシェマ・カローが群を抜く。

 

「対戦車榴弾をメインに攻撃を加えればもう少し足止め出来そうですが」

 

「榴弾はあとどれくらい保つ?」

 

「あと10分が限度です。対戦車榴弾はもともと数が少ないので……。必要の部屋から予備弾薬を運べば継戦は可能ですが……」

 

必要の部屋からは相当量の砲弾を陣地に運び込んでいた。

しかし、それ程の量の砲弾を叩き込んでも尚、死喰い人は全滅しない。

 

「分かった。榴弾は使い切っても構わん。弾幕を張ったままにしろ。狙撃班と第1分隊に作戦を第2段階に繰り上げさせる」

 

セオドールは本部天幕に入り、通信機の送話器を手にした。

 

「HQより各員に達する。作戦段階を繰り上げる。01とスナイパーは攻撃を開始しろ」

 

『01了解』

 

『スナイパー了解』

 

受話器から第一分隊の通信員とネビルの声が聞こえた。

 

セオドールの立てた作戦は至って単純だ。

 

遠距離火力で敵に攻撃を加え、数を減らす。

敵は空からの攻撃を恐れて盾の呪文を展開するだろうから、横と下からの攻撃を加える。

必然的に敵は森に逃げるしかなくなるが、森にはベトコンの使用したトラップが張り巡らされていて、死喰い人は森で全滅する。

 

「本当にこの作戦で上手くいくのか?今のところ砲撃はほとんど防がれているし……」

 

通信機の横に座るフナサカが不安を口にした。

 

「心配するな。確かに敵は予想以上に砲撃を防いでいる。だが、盾の呪文の弱点は下からの攻撃に弱いところだ」

 

「それはそうだが、ドロホフはその攻撃にも恐らく対応してくるだろ?」

 

「無論、ドロホフは狙撃や地雷攻撃を難なく処理するだろう。何せ奴は神秘部の戦いで狙撃銃による奇襲を受けているからな。今回も警戒してくるだろう。だが……」

 

セオドールは指揮所に広げられたホグワーツの地図に目を落としながら言葉を続ける。

 

「ドロホフだけなら兎も角、奇襲や一方的な攻撃に慣れていない他の連中の精神はそう長く保たないだろう」

 

「精神?」

 

「そうだ。俺たちスリザリン生は精神的に相手を追い詰めるのが得意な反面、追い詰められることに慣れていない。だから、そこに隙ができる」

 

フナサカはなるほどと思った。

 

死喰い人は一方的に攻撃する事には慣れている。

今まで彼らが相手にしてきたのは不死鳥の騎士団や闇祓いといったフェアに戦う集団だ。

つまり、グリフィンドール的な戦いをする集団に対し、奇襲や絡め手、残虐な方法で戦ってきたのである。

 

しかし、センチュリオンの戦闘形態は非常にスリザリン的なものだ。

奇襲も暗殺も良しとし、圧倒的な火力で敵を粉砕する。

 

「つまるところ、センチュリオンと死喰い人の戦いはスリザリン対スリザリンという訳だ。死喰い人の連中はスリザリン的な攻められ方をされた事が無いから……精神的に崩れる…と」

 

「ああ。そうだ。俺を含めてスリザリンの隊員はそのことを良く理解している」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迫撃弾と誘導弾を防ぎつつ、着実に丘の上に近づいていたドロホフ達であったが、その数は20人まで減っていた。

 

「踏ん張れ!あと少しでこの丘も終わる!敵はすぐ近くにいるはずだ!」

 

センチュリオンの攻撃は威力は強いが、盾の呪文でやり過ごすことが出来る。

所詮はマグルの武器だ。

 

そう思っていた矢先に先頭を歩いていた死喰い人が片っ端から血飛沫を上げて倒れていく。

 

「何っ!?」

 

あっという間に5人の死喰い人が絶命した。

 

「くそっ!神秘部で見た攻撃か!用心しろ。敵はどこか遠くから狙撃してきているぞ!」

 

ドロホフは神秘部でネビルに狙撃された時のことを思い出す。

あの攻撃を四方からされれば、死喰い人はあっという間に全滅だ。

 

反撃の機会を作ろうとドロホフは考えを巡らせたが、その間に地面に埋めてあったC4プラスチック爆弾が連続で起爆する。

 

狙撃を警戒していた死喰い人たちは片っ端から吹き飛ばされていった。

 

「地面からの攻撃……。盾の呪文の弱点を的確に突いた攻撃だ」

 

ドロホフは冷静に攻撃を防いだが、大半の死喰い人はC4と狙撃によって瀕死の重傷を負っていた。

 

「た……助けてくれ」

 

「い、嫌だ!誰か!俺の腕がなくなっちまった!」

 

「痛い!痛いいいい」

 

腕や足を吹き飛ばされた者。

内臓器官をぶちまけて絶命している者。

精神的に追い詰められ、発狂する者。

 

もはや戦闘を継続することは不可能だ。

 

「森だ!森に身を隠して、反撃するんだ!」

 

ベラトリックスが生き残りの死喰い人に声をかける。

 

「馬鹿が!それこそ敵の思う壺だぞ!」

 

恐らく左右の森にも罠が仕掛けられている。

故に死喰い人たちが生き残る術は後退する事だけだった。

 

しかし、後退という選択肢をベラトリックスが取るはずが無い。

 

彼女は生存者を森に追い立て、森の中から敵に攻撃を仕掛けようとしたのだ。

 

冷静な判断が出来ない他の死喰い人もベラトリックスの後に続き、森へ入っていってしまう。

 

馬車道の左右にある森はそれほど深い森では無い。

針葉樹が点々とする林のようなものだが、地面は蔓草や茂みに覆われているため、足元はおぼつかない。

 

だから死喰い人たちは森に仕掛けられた罠に気付かなかった。

 

先頭を我先に走っていた2人の若い死喰い人はワイヤートラップに引っかかる。

木に貼り付けられた手榴弾の安全ピンにワイヤーをくくりつけ、そのワイヤーに足を引っ掛けると起爆するという単純なトラップだ。

 

「ぎゃあああ!」

 

断末魔の叫びと共に、死喰い人が倒れる。

付近の草木には彼らだった物が飛び散っていた。

 

左へ走って逃げた3人の死喰い人は深く掘られた落とし穴に落ちてしまう。

ただの落とし穴であれば良かったものの、その落とし穴の下には竹槍が無数に埋められていた。

 

穴に落ちた3人は竹槍によって串刺しにされる。

 

「言わんこっちゃ無い。これでは犠牲が増える一方だ。お前達、無闇に動くなよ」

 

遅れてやってきたドロホフが生存者の数を数えながらボヤく。

生存者はドロホフ、ベラトリックスを含めて僅かに6人。

 

そのうちの2人はもはや精神的に限界が来ていた。

 

「嫌だ!もう嫌だ!死にたく無い。帰りたい!僕が悪かった!助けてくれー!」

 

「うわあああ!母さん!母さん!」

 

そう言って走り出した男をセンチュリオンは容赦なく狙撃した。

 

「俺が言うのもあれだが……。血も涙もない敵だな。俺達のことを全滅する気満々で用意してやがる」

 

「どうするんだい?このまま帰っても我が君に合わせる顔が無い……」

 

「たった4人で何が出来る?今回に関しては敵の完勝だ。我々に出来ることは敵の戦い方を我が君に伝えることのみ。つまり、撤退して生き残るしか無い」

 

ベラトリックスは兎も角、他の若い死喰い人2人は顔面蒼白で使い物にならない。

仮に使い物になったとしてもたったの4人ではセンチュリオンの火力を相手に戦うことは出来ないだろう。

 

しかし……。

 

「わ、私が盾になります。このまま逃げ帰ったのでは我が君に申し訳無いどころか、死んでいった仲間が浮かばれません」

 

若い死喰い人の1人が震えながら言った。

ドロホフは彼の名前を知らない。

小刻みに手を震わせている若い死喰い人の目は真剣そのものだった。

 

「お前1人が盾になったところでどうしようもない。無駄死にするよりは生き残って後の戦いに備えた方が遥かにマシだ」

 

「いえ、私にやらせて下さい!今回死んでいった仲間はほとんどが私の同級生なんです。このままでは死んでも死にきれない。逃げ帰ったとあれば、あの世であいつらに何と言って良いか……」

 

「………わかった。お前の命と引き換えにして、センチュリオンの連中に死喰い人の意地を見せつけてやろう」

 

そう言うと、ドロホフは生き残りの死喰い人にこれから行う捨て身の作戦を伝えた。

相変わらず若い2人は顔面蒼白で手も震えていたが、決意を固めたようである。

 

勇気という言葉はグリフィンドール染みてて好かんが、しかし、こういう時に必要なのは勇気に他ならない。

 

幾度となく最前線で戦ってきたドロホフはある意味でグリフィンドール生のようなメンタルを手に入れていたのだ。




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