ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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今日は筆が進みます。
休暇中で暇なのもありますが………。

あ、お気に入りや感想ありがとうございます。


case 09 Of the enemy 〜会敵〜

 

クィディッチで勝利をもたらしていたグリフィンドールの英雄、ハリー・ポッターの人気は底辺にまで失墜していた。

 

一晩で200点もグリフィンドールの点を落とした中の一人なのだから仕方がないのかもしれないが、グリフィンドール生の手のひら返しは酷かった。

元々、寮杯に興味の無かったエスペランサ・ルックウッドは200点の減点をどうでも良いと思っていた。

 

それでも、今まで積み重ねたグリフィンドール生の努力を一晩で泡にしてしまったことに彼は罪悪感を感じている。

 

「ま、俺にヘイトが向かってくるのは納得がいくが、クィディッチで勝ち続けて点数を稼いでいたハリーにもヘイトが来るのは理解できないな」

 

「仕方ないよ。一晩で200点だもの」

 

「グリフィンドールが200点ひかれたことでスリザリンが1位。スリザリンを嫌うハッフルパフやレイブンクローの生徒も俺らに怒ってるようだ。逆にスリザリンが可哀そうに思えるな」

 

「気にするなよ。フレッドもジョージも入学から通算すれば200点以上点が引かれてるって」

 

「彼らの3年間分の減点を一晩でやっちまったってことか………」

 

 

ハリーは廊下を歩くたびに後ろ指をさされる羽目になった。

スリザリンの生徒からは「ありがとよポッター」とか話しかけられていたが………。

 

ハーマイオニーとネビルはハリーほど有名でなかったためにハリーほど露骨に無視されることは無かったが、それでも寮内では孤立した。

エスペランサは元々問題児だったことに加えて、減点されようが罰則されようが全く懲りている様子が無かった。

故に他の生徒も「エスペランサ・ルックウッドが50点減点されたところで今更驚かない」と言って普段通りに接していたりする。

 

エスペランサの傭兵時代の罰則はひたすらに腕立てをしたり、ハイポート(銃を持って走る)やスカイポート(銃を掲げて走る)をやらされたのでホグワーツの罰則やら減点やらが生ぬるく思えていた。

 

 

「まあそのうち皆忘れるさ。なんたってテストがあるからな。俺らの減点なんてどうだって良くなるだろ」

 

エスペランサはそう言ってハリーたちを慰めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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基本的にホグワーツでの罰則は書き取りをやらせたり、掃除をやらせたりする。

寮監所定で内容は決められるが、体罰や危険なことは行わせない方針だ。

 

しかし、今回、エスペランサたちが受ける罰則は禁じられた森で行われるという。

 

エスペランサは度々禁じられた森に言って訓練をしているから何とも思わなかったが、他の生徒は酷く怯えた。

特にマルフォイは禁じられた森に入るなんてとんでもない!と発狂している。

 

確かに武器を持たない生徒を森に入れるのは危険だとエスペランサは思った。

今回ばかりはマルフォイの意見に同意である。

 

 

夜11時。

正面玄関からフィルチに連れられてエスペランサたち5人はハグリッドの小屋まで向かう。

 

「儂に言わせればこんな罰則生ぬるい。昔は鎖で生徒を吊るしたものだ。今でもその鎖は保管してある。いつでも使えるようにな」

 

フィルチは体罰を伴う罰則が好きらしかった。

 

「俺も訓練でミスった時は色々反省をさせられていたが、炎天下の中フル武装で懸垂させられたのは堪えたな。あんなこと二度とごめんだ」

 

傭兵時代の訓練を思い出すエスペランサ。

彼の居た部隊では2人ペアを作り、連帯責任制をとっていた。

 

例えば持久走。

片方の隊員が脱落すればもう片方の隊員が代わりに2倍の距離を走る。

 

片方の隊員がミスをすればもう片方の隊員も一緒になって反省を行う。

 

そうやって互いが互いをフォローし合う助け合いの精神を養ったのだ。

バディとなった隊員は運命共同体となり、実際の戦場では何があっても協力することとなる。

 

 

「ああ。何だ………。ルックウッドは気の毒だったな」

 

フィルチはエスペランサが罰則を受けることに少なからず心を痛めているらしい。

 

「こんな生ぬるい罰則なら何度でも受けてやっても良い。そんなことより、ほら、ハグリッドが小屋の前で待ってる」

 

 

森のはずれにあるハグリッドの小屋の前でハグリッドとファングが待っていた。

ハグリッドはドラゴンが居なくなったことが辛いのか泣きはらしていた。

 

「ハグリッド。生徒を連れてきたぞ」

 

フィルチがハグリッドに話しかける。

 

「お、おお。そうか。ヒック」

 

「ハグリッド。これから森に入るんだ。そんな泣き腫らしたまま森に入ったら命を落とすぞ?」

 

「そうだな………」

 

「やっぱり森に入るんだ!危険すぎる!僕は行かないからな!!!」

 

マルフォイが叫ぶ。

 

「罰則は罰則だ。全員受けてもらう」

 

「森には色々居るぞ。狼男とかでっかい蜘蛛とかな」

 

「フィルチ。あまり生徒を脅かすんじゃない。それに蜘蛛は案外良い奴らだ」

 

 

ネビルはメソメソと泣き、ハーマイオニーは真っ青な顔をしていた。

 

エスペランサが普段訓練するのは森と言っても奥深くない安全な場所である。

禁じられた森の奥に足を踏み入れるのは初めてであったし、狼男や巨大蜘蛛が住んでいるのなら武器を携行する必要があると思った。

 

彼はフローラ・カローにもらった検知不可能拡大呪文のかけられた鞄からG3A3を取り出す。

小銃だけでなく、マガジンポーチの複数つけられた弾帯と拳銃、信号拳銃、半長靴を取り出した。

 

半長靴を履き、弾帯を腰につけ、小銃に弾納を取り付けたエスペランサはネビルを慰めようと話しかけた。

 

 

「大丈夫。狼男くらいなら銃で倒せるだろうし。まあ、最悪の場合、遺骨は持ち帰ってやるからさ」

 

「うわああああああああん」

 

ちょっとしたジョークのつもりで言ったエスペランサの言葉にネビルは泣き出していた。

 

「儂は夜明けに戻ってくる。それまでに何人生き残っているか楽しみだな」

 

そう言い残してフィルチは去っていった。

 

 

 

「森に入るなんて………。父上が知ったらただじゃ済まされないぞ」

 

「父上に告げ口するのは生きて帰ってきてからにするんだなマルフォイ」

 

「父上はホグワーツの理事だ!その気になれば職員を辞めさせることだって出来る」

 

「森の中では父上とやらのご加護は受けられないぞ?」

 

 

エスペランサの言葉に黙り込むマルフォイ。

 

だが、エスペランサにとってはマルフォイも‟脅威から守るべき対象”であった。

憎たらしいところはある物の、マルフォイはか弱い一般生徒だ。

決して傷つけられるようなことがあってはならない。

無論、ハリーもハーマイオニーもネビルもエスペランサにとっては守るべき対象であった。

 

 

「で?これから何するんだ?」

 

「今日は傷つけられたユニコーンを探してもらう。ほれ、これを見ろ」

 

「それは…………」

 

 

ハグリッドが手に持っていたのは以前、エスペランサが訓練中に見つけた白い美しさを持った毛であった。

 

 

「水曜日にユニコーンの死体を見つけた。何者かがユニコーンを傷つけているんだ。今日も、ユニコーンの血痕をいくつか見つけた。今から傷ついたユニコーンを探しに行く」

 

「待った。じゃあ、ユニコーンを傷つけた物騒な奴が森の中にまだいるってことじゃないのか?危険すぎるだろ」

 

「だから俺とファングが同行する。俺とファングに攻撃する奴は森には存在しない。大丈夫だ」

 

 

まあ森番が同行するなら少しは安心できるだろうとエスペランサは思った。

しかし、万が一の場合もある。

 

彼は銃のスライドを引き、初弾を薬室に送り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数十分後

 

ケンタウロスのロナンという人物に出会ったり、マルフォイがネビルに悪戯してハグリッドがキレたりと色々あった後、エスペランサはハリーとマルフォイ、それにファングと共にユニコーンの捜索に当たっていた。

ハグリッドの提案で2手に分かれて捜索を行うことにしたのだが、マルフォイとネビルを組ませたところ、マルフォイが悪戯をしはじめたのだ。

故に、マルフォイが悪戯をしないであろうエスペランサとハリーをネビルの代わりに組ませたのである。

 

 

森が深くなるにつれてユニコーンの血痕が多くなってくる。

 

エスペランサはG3A3に取り付けられたライトのスイッチを入れた。

 

 

「敵が近いな。いざというときは2人で逃げろ」

 

「ああ。そうすることにするよ」

 

震えた声で答えるマルフォイ。

 

「ひょっとして怖いの?」

 

「怖い物か!帰ったら父上に報告してやる」

 

「ちょっと静かにしろ2人とも!ユニコーンの死体があったぞ」

 

 

エスペランサは30メートルほど先にユニコーンと思われる白い生物が血を流して倒れているのを発見した。

ライトの明かりに照らされたユニコーンの死体は見たことが無いほど美しい死体だった。

 

そして、その死体を貪るようにする黒い影も発見した。

 

 

(敵か!?あれは……人間?)

 

 

ユニコーンを食らう黒い影はフードを被った人間であった。

 

そのフードを被った人間がエスペランサたちに気づく。

 

 

「ぎゃあああああああああああああああああああああ!」

 

 

マルフォイは泣き叫んで逃げ出し、ファングもどこかへ走り去ってしまう。

ハリーは逃げようとしたが足が動かないようだった。

 

口からユニコーンの血を滴らせて、フードの人間はハリーにスーッと近づいてくる。

 

 

「まずい!?ハリー伏せてろ!」

 

 

ハリーの危険を感じたエスペランサはG3A3を構え、フードの人間に狙いを定める。

 

 

ダンッ ダンッ ダンッ

 

 

3発の銃弾を敵に撃ち込む。

しかし、ライトの僅かな光量と焦りから弾丸は命中しない。

 

「くそっ!お前は何者だ!賢者の石を狙う人物か!?」

 

エスペランサは叫ぶ。

彼の言葉にフードの人間は僅かに反応した。

 

 

(とりあえず敵をハリーから引き離さなくては………)

 

 

続けざまにエスペランサは銃撃を加える。

連射にすればバトルライフルであるG3A3は狙いが定まらなくなる。

そうなればハリーに銃弾を当ててしまう可能性もあった。

なので単射で敵をけん制する。

 

 

「こっちだ!お前の敵は俺だ!!!」

 

 

ダンダンダンダン

 

ダンダンダン

 

 

発射された7発の銃弾はフードを被った敵に向かっていく。

5発に1発の割合で装填されていた曳光弾が暗闇をシャッと照らしていった。

 

冷静さを取り戻したエスペランサは今度こそ確実に銃弾を命中させる。

 

が、しかし。

 

 

「‟プロテゴ 守れ”」

 

 

バスッ

 

バスバスバスッ

 

 

7発の7.62ミリ弾は盾の呪文によって弾かれた。

 

 

「防御呪文。魔法使いか!!!」

 

「‟ステューピファイ 麻痺せよ”」

 

「くっ!!」

 

 

敵はマントの下から杖を取り出して失神光線を放つ。

赤い閃光が襲い掛かってくるのを見てエスペランサは咄嗟に回避した。

 

間一髪で呪文を交わした彼は匍匐前進で近場にあった木の根元に隠れる。

隠れる前に銃のライトを切っておいた。

 

 

(銃弾をすべて防がれた。余程の手練れだろう。やはり賢者の石を狙う敵……クィレルなのだろうか)

 

 

フードの敵はハリーを襲うことを後回しにしてエスペランサを探すことにしたらしい。

魔法使いとして未熟なハリーよりも銃を持ったエスペランサの方が脅威になると判断したのだろう。

 

 

(暗視スコープが無いこの状況で正確な射撃は不可能だ。銃弾は盾の呪文で防がれるが、敵が呪文を詠唱し終える前に狙撃してしまえば………)

 

 

敵は今のところエスペランサを見失っている。

勝機は今しかないと彼は思った。

 

腰のホルスターにさしていた信号拳銃を取り出すエスペランサ。

 

信号拳銃には照明弾と呼ばれる弾丸が込められていた。

照明弾とはマグネシウムなどを利用した夜間に目標を証明するために使われる弾である。

 

少しの間持続して夜空を照らしだす照明弾を打ち上げることで、エスペランサは敵の場所を特定しようとしたわけだ。

 

無論、照明弾を使えば敵にエスペランサの位置も特定される。

故に彼は先に敵を捕捉し、防御呪文を使われる前に銃弾を撃ち込む必要があった。

一瞬のスキが命取りになるのである。

 

 

「3…2…1……今!」

 

 

バシュッ

 

 

シュウウウウウ

 

 

エスペランサは信号拳銃を夜空に向けると、思いっきり引き金を引いた。

 

信号拳銃から放たれた照明弾は空中で花火のように爆発し、眩い光で森を照らした。

 

 

「見つけた!」

 

 

マグネシウムの燃焼による光によって昼間のように照らされた森にフードを被った敵の姿を発見する。

敵は照明弾に驚いてエスペランサを発見するには至っていない。

 

その機を逃さず、エスペランサは小銃を構え、敵の頭に狙いをつけた。

 

 

ズガアアアアン

 

 

日頃の射撃訓練が活きた瞬間であった。

エスペランサが発射した1発の銃弾は正確に敵のフードに包まれた頭を貫く。

 

 

「当たった!ヘッドショットだ。即死に違いない!!!」

 

 

エスペランサは勝ちを確信した。

確実に敵の頭を撃ちぬいた感覚がある。

敵は防御呪文を展開しなかったのだろう。

 

ドウッと地面に倒れこむフード人間の姿がエスペランサの目に入る。

 

 

すかさず彼は倒れた敵のもとに走り寄り、死亡を確認しようとした。

 

 

銃口をフードの先に引っ掛けて、一気にフードを剝がし、敵の顔を見ようとするエスペランサ。

フードの下に隠れた顔が照明弾の光の下で露になる…………と思われた。

 

 

が…………しかし!

 

 

 

「残念だったな…………。‟エクスペリアームス 武器よされ”」

 

 

ニヤリと笑った敵は武装解除の呪文をエスペランサにかけた。

 

彼の持っていたG3A3は遥か彼方へ吹き飛ばされる。

また、呪文自体の威力が強かったのだろう。

エスペランサ自身も吹き飛ばされた。

 

 

「グアッ!?何故だ!!??」

 

 

吹き飛ばされ、地面に叩きつけられたエスペランサは叩きつけられた痛みでうめき声をあげる。

当たり所が悪かったのか、あばら骨に鈍い痛みが走っていた。

もしかしたら数本の骨が折れているのかもしれない。

 

痛みを必死で堪えながら彼は新しく武器を取り出そうとする。

 

幸いにも照明弾は効力が切れ、再び森を闇が包もうとしていた。

エスペランサは闇に隠れることが出来る。

 

 

「エスペランサ・ルックウッドか。マグルの武器で俺様に挑もうとする度胸だけは認めてやろう」

 

「誰だ貴様………」

 

 

聞いたことのない声だった。

冷たく恐ろしいその声はどこか蛇を連想させる。

このような声を出す教職員はホグワーツに存在しないとエスペランサは思った。

 

敵はクィレルではないのか?

 

 

「俺の銃弾は確かにお前の頭を撃ちぬいた………。なのになぜ生きていられる………」

 

「あの程度の攻撃を俺様が防げないとでも言うのか?まあ、種を明かしてやれば、俺様はお前が暗闇に逃げた時から全身に防御呪文を施していた。もっとも、呪文をかけたのは俺様自身ではなく僕のほうだったがな」

 

「チートじゃねえか………。くそったれ!!!」

 

 

パラララララララ

 

 

鞄からM3グリースガンを取り出し、エスペランサはありったけの銃弾を敵の居る方へ撃ち込む。

 

 

「威勢のいい餓鬼だ。そんな玩具で俺様に勝てると思っているのか?」

 

 

パラララララララ カチッ

 

 

グリースガンの残弾がゼロになる。

エスペランサはグリースガンを放棄し、今度はM16を取り出した。

検知不可能拡大呪文がかけられた鞄の中には十数挺の銃と1000発を超える銃弾が入っている。

 

効かないとわかっていてもエスペランサは銃撃を続けた。

 

半ばやけっぱちの攻撃だったが、エスペランサが攻撃をしている隙にハリーが逃げてくればそれで良いと彼は思っていた。

それにこれだけ派手に戦えばハグリッドも気づく。

異変を察知したハグリッドがハリーたち生徒を安全なところに連れて行ってくれる可能性もある。

 

 

ダダダダン ダダダ

 

 

 

「考えなしに攻撃とは脳が無いな…………。ならこちらから苦しめてやろう。‟クルーシオ 苦しめ”」

 

「ぐああああああああああああああ!」

 

 

突如としてエスペランサの体を凄まじい痛みが襲う。

 

骨という骨が折れ、皮という皮が剥がれ、身体全身に銃弾を撃ち込まれるようなそんな痛みだ。

経験したことのない苦痛に悲鳴を上げるエスペランサ。

 

(何だこれは!!!!?????止めてくれ!!!)

 

 

「ぐああああああああ!!!!ぐうう」

 

 

あまりの苦痛にエスペランサは意識を失った。




お辞儀さんの前では銃は無力ですね………。
いつかお辞儀さんに誘導弾をぶつけたいなぁ

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