ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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もうすぐ賢者の石編も終わりです。

最近ブックオフで本を買いあさって読むことにハマっています。
昨日は貴志祐介さんの黒い家を読んでいました。面白いですねこれ。


お気に入り、UAありがとうございます!!!


case 10 Lord Voldemort 〜ヴォルデモート卿〜

エスペランサは‟あの地獄”にいた。

 

終わったはずのあの戦いの真っただ中に彼は立っていた。

 

 

鼻を衝く異臭は人が焼ける臭いだろう。

 

爆撃で吹き飛ばされた建物の中でメラメラと燃える人‟だったもの”が見える。

それらはかつてエスペランサが生活を共にした人々のなれの果てであった。

 

己の身に起きた悲劇を嘆く暇もなく炭にされた彼らは死ぬ間際に何を思ったのだろうか。

 

 

遠くから聞こえている炸裂音や連続射撃音は時が経つにつれて近づいて来ている。

まるで死が歩いてくるようだ。

 

エスペランサはそう思った。

 

 

破壊しつくされ、瓦礫の山となり、火の海となった町の中でなぜ自分一人だけが生き残っているのだろう。

何故自分だけが生き残ったのだろう。

 

 

 

タタタタタタタタタ

 

 

乾いた射撃音とともに悲鳴が聞こえる。

運よく爆撃から生き延びた市民に敵が銃撃を加えているのだろう。

 

守るべき市民が攻撃されている。

 

エスペランサは咄嗟に銃を取り、戦おうとした。

しかし、彼が持っていたのは銃ではなかった。

 

「これは……………」

 

エスペランサが手にしていたのは銃ではなく、棒切れであった。

 

魔法界では杖と呼ばれる棒切れを手に取った彼は独自に勉強して習得した呪文を片っ端から唱える。

 

失神光線。

盾の呪文。

妨害の呪文。

武装解除呪文。

粉々の呪文。

 

しかし、唱えて発動された呪文は見えざる敵の航空機に当たりもしないし、戦況を変えることは無い。

この地獄では11歳の子供の唱える魔法は少しも役に立たなかった。

 

 

「何故だ!何故だ!魔法なんだろ!?魔法は何でもできるんだろ!?ならこの地獄を終わらせてくれよ!!!!」

 

 

彼の叫びは虚しく炎の中に消える。

 

 

ふと、彼は自分の足を誰かが掴んでいることに気が付いた。

 

ハッとして足元を見れば、瓦礫の中から自分の足を掴む焼けただれた手がある。

その手は1本だけではなかった。

無数の手がエスペランサの足を掴み、その手の持ち主が焼けただれた恨めしそうな顔で彼をにらんでいる。

 

 

「何で……お前だけ生き残るんだ?何でお前だけ無傷なんだ?」

 

 

口から血の泡を出してそう嘆く人々にエスペランサは何も言えなかった。

 

ああ。

なぜ自分だけ生き残れたのだろう。

 

そう思いながら…………。

 

 

 

「それは君が魔法使いだからじゃ」

 

 

エスペランサの代わりに解を示すのはダンブルドアだった。

 

いつの間にか背後に立っていた戦場には場違いな服装と出で立ちの老人は言葉を続ける。

 

 

「君は魔法を使える。杖が無くても子供は無意識に魔法という名の奇跡を起こすことがある。それは子供の‟願い”を具現化させた物であることが多いのじゃ。君は深層心理で‟生きたい”と思ったのじゃ。だから銃弾からも爆撃からも君は生き延びることが起きた」

 

 

「知ったような口利くんじゃねえ!!!俺はそんなこと望んでない!たった一人生き残りたいと何て思ってない!俺は……皆に生き残ってほしかったのに…………」

 

 

 

何で自分は魔法が使えるのに皆を救えなかったんだろう………。

 

何で自分が無意識に発動させた魔法は‟自分だけを”生き残らせてしまったのだろう…………。

 

 

 

「うああああああああああああああああああああ!」

 

 

行き場のない怒りに彼は叫ぶ。

 

 

 

 

ー暗転

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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エスペランサは目を覚ました。

 

余程ひどい夢を見ていたのだろう。

服が体に張り付くほどに汗をかいている。

 

しかし、彼は夢の内容を覚えていなかった。

 

覚えているのはあの蛇のような声…………。

 

『そんな玩具で俺様に勝てると思っているのか?』

 

あれはいったい誰だったのだろう。

 

 

 

目を開けるとともに目に飛び込んできたのは医務室の天井だった。

 

医務室に居るということは自分は生きているということか。

試しに手足を少し動かしてみたが、おかしなところは見当たらない。

 

「生きてる………」

 

 

そう呟いた。

 

 

最後の記憶。

敵に聞いたこともない魔法をかけられ、この世の物とは思えない苦痛が身体を襲ったところで彼の記憶は終わっている。

 

全身を撃ち抜かれたような激痛だった。

 

 

「気が付いたようじゃの」

 

エスペランサの寝ているベッドを囲むカーテンがシャッと開き、ダンブルドアが入ってくる。

 

「校長…………」

 

「随分うなされておったようじゃが悪い夢でも見たのかね?」

 

「さあ………。夢の内容は忘れました。それより………ハリーたちは無事ですか?」

 

「自分の身よりも友人の安否を気にするとは………。君は素晴らしい心を持って居る。心配ご無用じゃ。ハリーたちは無事に帰ってきておるよ。今は寮のベッドで寝ているころじゃろう」

 

 

エスペランサは腕時計を見る。

が、彼の持ってきた日本製の電波時計は城に入った瞬間に狂って壊れてしまったことを思い出した。

 

 

「今は午前2時じゃ」

 

エスペランサの行動に気が付いて時刻を教えてくれるダンブルドア。

ダンブルドアには何もかもがお見通しという感じがしてならない。

 

「あれから3時間程度しか経過していないのか。そうだ、敵は………。ユニコーンを食っていた敵はどうなったんです?」

 

「奴は逃げたようじゃな。君に磔の呪いをかけていた‟奴”からケンタウロスのフィレンツェが助けてくれたのじゃよ。今度会う機会があればお礼を言っておくと良い」

 

「フィレンツェ………か。磔の呪いというのはあの激痛が伴う呪文のことですか?」

 

「そうじゃ。魔法界では禁じられておる。使う方に余程の闇の力が無ければ君が意識を失うまでに威力を発揮せん」

 

「恐ろしい呪文だった………。禁じられて当然だな」

 

「エスペランサ。君が戦ったおかげで敵は確かにハリーを襲うことが無かった。しかし、代わりに君が傷つくことになった………。以前君に言ったことを覚えているかな?」

 

「ええ。あなたにとっては俺も守るべき生徒であると………。でも、そうであるなら禁じられた森での罰則は行うべきではないと思いますが」

 

「その点に関しては謝罪をしよう。ユニコーンの血を吸う邪悪な敵に君たちが会う可能性を考えるべきじゃったな」

 

「ユニコーンの血………。確か死にかけている者ですら助けるとされる血。だが、デメリットとしてその罪の重さから完全な復活は出来ず、魂が壊れると本には書いてありました」

 

「良く勉強しておるみたいじゃな。ユニコーンの血は口にしたその瞬間から口にしたものを呪うのじゃ。呪われた命を与えられることになる。しかし、ユニコーンを殺してまで生きようとする者は既に人としての魂を失っている可能性もある。そのような人間にとってユニコーンの呪いというものは無力でもあるからのう」

 

「あの人間は呪われてまで生きたいと考える人間だった……ということか。いったい誰なんだ。一人称が‟俺様”でとてつもない魔力を持ち、そしてあの人の発する物とは思えない声…………」

 

「この件については儂の方で解決する。この城の中に居る限り君は安全じゃ……と言っても君は納得せんか。とにかく敵を探そうとしたりするでないぞ」

 

 

おやすみと一言残してダンブルドアは去っていった。

 

 

エスペランサはベッドの脇に置かれた鞄の中から水筒を取り出す。

 

フローラからもらったこの鞄であるが、どうも森から誰かが回収してきてくれたようだ。

無論、戦闘の中で放棄したG3A3とM3、それに最近量産に成功したM16は無かったが………。

 

水筒の中の生ぬるい水を一口飲み、彼は冷静さを取り戻す。

 

 

敵はクィレルでは無かった。

 

いや、違う。

 

クィレルは黒だ。

城内で工作を行っているのはクィレルに違いない。

 

先ほど戦った敵はクィレルと共闘関係にある外部の敵だ。

可能性としてしか考えていなかったが敵は複数名で行動していたのである。

とするならば奴は何者だ?

 

ユニコーンの血を吸っていたということは死にかけどころか殆ど死んでいるに等しい人物だ。

おそらく賢者の石をクィレルが欲しがっている理由はその死にかけの人間を完全に復活させようとしているからだろう。

そう考えれば筋が通る。

 

そして、両名はハリーの命を狙っている。

 

 

「ヴォルデモートか…………」

 

 

エスペランサは文献でしか読んだことが無く良く知らないが、ハリーは1歳の時に当時、英国魔法界で猛威を振るっていた闇の魔法使いヴォルデモートを無意識化で倒していた。

しかし、ヴォルデモートの死体は見つかっていないことからヴォルデモートが完全に死んだとは考えにくい。

もしかしたら死にかけの状態で生き残ったのかもしれない。

死にかけの状態でいたところをクィレルに発見され、クィレルは賢者の石で復活させようとした………。

 

 

「ヴォルデモート……もしくは、ヴォルデモートの手下の闇の魔法使い。その可能性が高い」

 

 

ならば…どう戦う?

 

エスペランサは考えた。

 

先ほどの戦いでは圧倒的な魔力の前に完敗した。

 

確実に魔法使いを倒せると思っていた狙撃も無力だった。

いや、狙撃は有効だ。

初手でこちらの武器が銃であると敵に知らせてしまったのが不味かった。

相手はこちらの武器が銃であると知った瞬間に自分の知らない防御呪文を身体に展開したのだ。

 

銃の優位性と対魔法戦闘における弱点を相手は知っている………?

 

 

 

「防御呪文は物理的ダメージを回避する魔法だ。なら防御呪文をこちらで解除すれば………。それにフラッシュバンの攻撃は防御できない可能性もある」

 

 

次に戦うときは今回のような無様な戦いはしない。

次は確実に奴の息の根を止めてやる。

 

エスペランサはここ数か月、身体の奥底に閉じ込めておいた戦闘員としての血が騒ぎ始めているのを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ヴォルデモートが真の犯人である。

 

ヴォルデモートの協力者が城内に居る。

 

 

エスペランサと同じくハリーもそう考えているようだった。

 

もっとも、ハリーは城内の敵はスネイプであると思っているようだったが…………。

 

 

 

あんな目に遭いながら恐怖よりもヴォルデモートとスネイプに対しての怒りの感情の方を露にしているハリーは案外タフなのかもしれない。

 

 

 

エスペランサは明後日に迫った試験の対策そっちのけで武器の開発と射撃訓練を行った。

これに加えて、有用性のある呪文の習得にも励んだ。

 

前回の戦闘で銃のみで戦うことに限界を感じていたエスペランサはより高性能な武器の使用を考えていた。

しかし、城内ではマグルの電子機器は使用不能になる。

 

誘導弾も赤外線センサーも暗視ゴーグルも使い物にならない。

 

それならば、それらの武器の穴を埋めるために魔法を使ってみてはどうだろうと彼は考えたのである。

 

 

 

 

「明後日は妖精呪文の筆記と実技。それに魔法史だ」

 

「ちょっとロン黙ってて。まだ狼人間の行動綱領を覚えきれてないの」

 

「何だよそれ!そんなの教科書になかっただろ!?」

 

 

ロンとハーマイオニーはヴォルデモートのことよりもテストの方で頭がいっぱいのようだった。

この二人は実際にあの戦闘を目撃していないから危機感が無いのも頷ける。

 

どこか心ここにあらずという状態で試験勉強をしているのはハリーだった。

 

 

「エスペランサ。あなたも勉強したらどうなの?このままじゃ赤点よ?」

 

 

先ほどからずっと銃の整備をしているエスペランサを心配したのかハーマイオニーが言う。

 

 

「大丈夫だ。一通りの勉強は授業中にしているし………。それに今から勉強したところでたかが知れてるだろ?」

 

「前日になって泣きついてきても助けないわよ?」

 

「泣きつかねえよ」

 

 

実際、ここ数か月のエスペランサの成績は悪くなかった。

 

依然として幾つかの呪文は苦手であったが、元々暗記物は得意であった(傭兵時代の教育で無理やり得意にされた)のでペーパーテストには自信があったのだ。

また、魔法薬学もコツをつかんできていて(裏で魔法薬を利用した爆薬や細菌兵器に似たものを開発し続けたからかもしれない)、スネイプに減点されることも少なくなっている。

 

無勉強でも赤点は回避できるのではないかと彼は思っていた。

 

 

(ユニコーンの血でヴォルデモートが生きながらえる時間は僅かしかない。すぐにでも賢者の石を手に入れたいとクィレルは思っているはずだ。ならばもう俺に残された準備期間は数日しかないと見て良い)

 

 

試験期間に教師であるクィレルが行動を起こす可能性は低かった。

とすれば動くのは試験終了後だ。

 

試験期間は多い生徒で4日間。

エスペランサに残された準備期間は今日を含めたとしても1週間未満。

 

 

(この僅かな期間でヴォルデモートへの対抗策を考えなくてはならない…………)

 

 

 

 

 

 

 

 




ヴォルデモートとタイマンしようとしている主人公。
考えてみれば無謀ですね。

主人公の強さはレンジャー課程を終えることの出来る程度と想定しています。
デルタフォースには遠く及ばない戦闘力なのでマグル相手でも無双は出来なさそう………。
魔法の腕も学年3位くらいで設定しています。
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