ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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case 12 Strategy change 〜新たな戦略〜

 

隠し扉を抜けた先に待ち構えていたのは悪魔の罠であった。

おそらく薬草学のスプラウト先生が仕掛けたものであろう。

 

一面に漂う長い触手は触れた者に蔓を巻き付け、やがて絞殺する。

 

蔓の強度はかなりのものでありコンバットタイヤ並みだ。

ホグワーツ1年時にも習う植物であるが、この植物に襲われた時の対処法はあまり知られていない。

 

 

「大丈夫!動かなければこの植物は私たちを動物と判断できずに見逃してくれるわ」

 

「成程、確かにそう本に書いてあったな」

 

 

エスペランサとハーマイオニーは冷静に判断して悪魔の罠から抜け出す。

エスペランサは最悪の場合、スタングレネードで悪魔の罠を麻痺させるか、手榴弾で爆破することを考えていたが弾薬の節約という観点からハーマイオニーの指示に従った。

 

遅れてハリーも罠から逃げてくる。

 

 

「ロンはどうした?」

 

「まだ上に居る。たぶん悪魔の罠と戦ってるんだ」

 

「焦って冷静さを失っているな。おいロン!じっとしてれば罠から抜け出せるらしいぞ!」

 

 

エスペランサが叫ぶも、ロンは反応しない。

 

 

「ヤバい雰囲気だ。何とかしないと」

 

「待って、スプラウト先生が授業で言ってたわ………。悪魔の罠は暗闇と湿気を好んで日光を嫌う…………」

 

「成程。ならスタングレネードで対処可能だな。みんな、耳を塞いで目をつぶってろ」

 

 

3頭犬の時と同様にスタングレネードを投擲する。

 

眩い光があたりを包む。

日光を嫌う悪魔の罠がスタングレネードの光に耐えられるわけがない。

 

悪魔の罠は動きを止め、ロンを放した。

 

 

「助かったよ」

 

「ああ。ハーマイオニーが薬草学を勉強しててよかった………」

 

「急ごう」

 

 

 

 

 

 

 

 

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悪魔の罠を突破した後に待ち構えていたのは羽の生えた鍵が無数に飛び交う部屋であった。

 

部屋の奥にある扉はアロホモラでも鍵が開かない。

おそらく飛び交う羽の生えた鍵の中から本物の鍵を見つけ出して解錠しなくてはならないのだろう。

見ればそのための箒も置いてある。

 

 

「箒で鍵を取るのか。ハリーが得意そうだが、時間が惜しい。扉は対魔法対策はしてあってアロホモラは通じないみたいだが、プラスチック爆弾なら効果があるだろう」

 

扉はアロホモラを無効にしたことから魔法耐性があるようだ。

解錠呪文も爆破呪文も効果が無いだろう。

しかし、それは扉にかけられた魔法がかけられる魔法を無効にしているだけだ。

物理攻撃を無効にしている訳ではない。

 

エスペランサは粘土状のC4を扉につけ、起爆装置を作動させる。

 

 

ズドンッ

 

 

C4は見事に爆発し、扉を破壊した。

 

 

「おそらくコンフリンゴやエクスパルソでは扉は破壊できなかっただろう。だが、魔法以外の破壊工作に対する対策はしてなかったんだろうな」

 

 

この部屋の罠を考案したフーチ先生もまさかマグルの爆薬を使って扉を突破されるとは思わなかっただろう。

破壊魔法をはじめとした魔法を無効にすることは出来ても物理的な破壊工作を阻止する魔法はかけていなかったらしい。

 

 

「次に行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マクゴナガル教授はやはり優れた魔法使いだった。

 

彼女の用意した巨大チェスの駒はエスペランサの銃撃も手榴弾の爆発もM16A2につけられたグレネードの攻撃も全て退けた。

 

 

焦ったエスペランサであったが、チェスが得意であるロンがエスペランサたち3人に指示を出し、チェスに勝つことで罠を突破した。

 

 

「ロン!」

 

「ロン!しっかりして!」

 

 

チェスに勝つ代償はロンの犠牲であったが………。

 

 

「息はある。衝撃で気絶しているだけだ。だが、巨大チェスの駒の攻撃をもろに受けたはず………。骨折は免れないだろう。命に別状はないが、はやく野戦病院の類に搬送しないと………」

 

 

ロン・ウィーズリーもやはりグリフィンドールの素質があった。

己の犠牲を覚悟で敵の野望を止めようとしたのだから。

かつてエスペランサが所属していた部隊にもロンほどの人材はそう多くは無かったと思える。

 

 

「ロン。お前はお前の役割を立派に果たした。ハリー、ハーマイオニー。気絶したロンを連れて行くのは困難だ。かといって医務室に連れていく時間は無い。というかどうやって連れて行くんだって話だ。だから彼を置いて次に進むしかない」

 

「………ええそうね」

 

 

ハリーとハーマイオニーは頷いた。

 

 

 

 

 

 

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次の部屋はクィレルの作った罠だったのだろう。

 

巨大なトロールが血を流して倒れていた。

 

 

「ま、こいつを相手に戦わなくて良くなったってのはありがてえな」

 

 

そう呟くエスペランサは敵がクィレルであることを確信した。

 

 

 

 

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トロールの倒れていた部屋を後にすると次はスネイプ先生の用意した罠が待ち構えていた。

 

エスペランサたち3人が部屋に入った瞬間、入り口と出口の扉の前が紫色の炎で燃え上がる。

出入り口を炎で塞がれた3人は部屋の中で立ち往生することになってしまった。

 

 

「‟アグアメンティ 水よ”」

 

 

ハーマイオニーが杖から水を噴射して炎の沈下に当たったが効果は無かった。

噴出した水は炎の熱で蒸発してしまう。

 

 

「この炎も魔法耐性があるのか」

 

「きっと魔法で生み出したものは全て蒸発させてしまう炎なんだわ」

 

 

ではどうやって炎を突破すればよいのだろうか?

そんな疑問はすぐに解決した。

 

部屋の中央に円形の机が置かれ、その上に7つの瓶が並べられている。

瓶の中には魔法薬がそれぞれ入っていた。

 

おそらく、その7つの瓶のうち1つが飲んだ人間に炎に対する耐性を持たせてくれる魔法薬なのだろう。

 

 

「この中に炎の中を通れるようになる魔法薬が含まれているってことか」

 

「そうみたいね。見てこれ」

 

 

ハーマイオニーが瓶の脇に置かれていた巻紙を取り上げる。

巻紙には奇妙な怪文が書かれていた。

 

 

「何だいそれ?」

 

ハリーが訊ねる。

 

 

「すごいわ。これは論理よ。偉大な魔法使いでも論理を解けない人って沢山いるのよ」

 

「成程。3つが毒薬で、2つが酒。残る2つのうち片方が出口の扉を通してくれて、もう片方が入り口の炎を通してくれるのか」

 

 

エスペランサはハーマイオニーの持つ巻紙に書かれた怪文の内容を読み取った。

暗号解読は特殊部隊で何度か行ったこともあるし、論理的な思考に関しては彼の得意分野である。

 

しかし、そんなエスペランサが怪文を解読するよりも早くハーマイオニーが解読してしまった。

 

 

「一番小さな瓶が先に進む扉の前の炎を通してくれる魔法薬。右端の丸い瓶が前の部屋に戻るための瓶よ」

 

「はやいな。ハーマイオニーは軍隊の情報部隊でも活躍できる」

 

「ありがとう。でも薬は2つだけよ?どうするの?」

 

 

薬は2つ。

今部屋にいるのは3人だ。

どう考えても1人はこの部屋に残されてしまう。

 

 

「あーちょっと待ってくれ。確か俺の着ている戦闘服は耐燃性があったはずだ。それに………これもある」

 

エスペランサは鞄の中からガスマスクを取り出す。

 

ホグワーツに来るときに彼が持ってきたものの一つで、対化学兵器用に開発されたものであった。

簡易的なマスクであったが、炎の壁を通り抜けるくらいなら問題ないだろう。

 

問題は戦闘服である。

耐燃性があるとはいえ、戦闘服は防火服ではない。

もし仮に、扉の前の炎がとてつもない高温であったら恐らく熱に耐えられないだろう。

 

それに、炎は魔法で作り出された特殊なものだ。

耐燃性の戦闘服を着ていたところで安全は保障されない。

 

これは賭けであった。

 

 

「俺は薬なしでも炎を突破できる可能性がある。だから魔法薬は2人で飲んでくれ」

 

「ならハーマイオニー。君は前の部屋に戻ってくれ」

 

 

ハリーがハーマイオニーに言う。

 

 

「鍵の飛んでいた部屋に箒があった。あれを使えば外に出られるし、ロンも運べるかもしれない。外に出たらふくろう小屋に行くんだ。ふくろうを使ってダンブルドアに手紙を送ってくれ。全てをダンブルドアに伝えるんだ」

 

「でもハリー。例のあの人がスネイプと一緒に居たら勝てっこないわ」

 

「それに関しては心配ない。ここ数日、外部の人間がホグワーツに侵入した痕跡は無いようだ。おそらく扉の向こうに居るのは1人だけだろう。それなら勝算はある」

 

「でも…………」

 

「時間が無い。急いでくれ」

 

 

ハーマイオニーはまだ何か言いたげであったが、渋々了承したようで、丸い瓶を手に持った。

 

 

「ハリーあなたって偉大な魔法使いよ」

 

「君にはかなわないよ」

 

「私はちょっと勉強が出来るだけだった………。でももっと大切なことがあるわ。だから2人とも気を付けてね!」

 

 

ハーマイオニーは一度ハリーに抱き着いた後、薬を飲んで元来た道を戻っていった。

ちなみにエスペランサは抱き着かれなかった。

 

 

ハーマイオニーが扉の向こうに消えた後、エスペランサはハリーに話しかけた。

 

 

「ハリー。良く聞いてくれ。この扉の向こうにはおそらく賢者の石と石を奪おうとする者が居る」

 

「うん。スネイプだね」

 

「いや。違う。スネイプは敵ではないんだ。敵はクィレルだ。間違いない」

 

「そんな訳ないよ!敵はスネイプだ!!!!」

 

「まあこの際、敵が誰なのかはどうだっていい。どちらにせよ敵は大人の魔法使いだ。俺たち2人が正面から挑んで勝てる訳がない。だから、頭を使わないとな」

 

「何か作戦があるの?」

 

「俺は1度、禁じられた森で敵と戦った。その時は銃弾を全て盾の呪文で防がれた。だから正面から銃撃戦を仕掛けたところで勝ち目はない。だが、奇襲をかければ敵が呪文を展開する前に倒せるかもしれない」

 

 

盾の呪文は確かに万能だ。

しかし、所詮は魔法。

呪文を詠唱しなければ盾を展開出来ない。

 

前回は正面から銃撃を浴びせようとしたために敵に盾の呪文を詠唱させる余裕を作り出させてしまった。

 

だが、敵にこちらの存在を悟られずに狙撃をすれば、敵は盾の呪文を詠唱する前に銃弾に撃ち抜かれるだろう。

 

 

「ハリー。炎を突破したら俺に透明マントを貸してくれ。俺は透明マントを被って次の部屋に入る。そうすれば敵はハリーが単独で部屋に入ってきたのだと思い込むだろう。そこに隙が生まれる。敵がハリーに気を取られている瞬間に俺が狙撃する」

 

 

本来ならハリーも透明マントも無い状態でエスペランサは敵と戦う予定であった。

しかし、その2つがある為に急遽作戦を変更したのである。

 

 

(本当なら作戦5を使って戦う予定だったが、ハリーも透明マントもあるこの条件下なら確実に敵の息の根を止められるはずだ)

 

 

「分かった。僕がスネイプ……敵を引き付ける。その間に君が敵を倒してくれ」

 

「ああ」

 

 

そうして2人は炎の中に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

戦闘服の耐燃性はあまり効果が無かった。

炎を突破した後でエスペランサはあまりの熱さにのたうち回ることになった。




教師陣の引いた防衛線をほぼダイジェストで書きました。
クィレル戦が本番なので………


炎や鍵のかかった扉は魔法に対する対策はしてあっても物理破壊に対する対策はしていなかったという設定です。
コンフリンゴなどの破壊魔法は防げても、プラスチック爆弾などの一切魔法が使われていない破壊工作は防げない、ということです。

やっと最終決戦が書ける………

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