ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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いよいよ最終決戦です!


case 13 The man with two faces 〜双頭の男〜

 

透明マントを被ったエスペランサ・ルックウッドはハリーとともに最後の部屋に入った。

 

 

 

「あなたが………あなたが賢者の石を………????」

 

 

 

部屋に入った瞬間、ハリーが驚いたように言う。

 

 

(やはり……あいつか!)

 

 

 

薄暗い部屋は大教場並みの広さがあり、その中央に縦長の鏡が置いてあるだけだった。

そして、その鏡の横にターバンを巻いた一人の男が静かに立っている。

 

闇の魔術に対する防衛術の教師。

トロールの専門家。

そして、ヴォルデモートの手下。

 

 

クィリナス・クィレルがそこに居た。

 

 

 

「そうだ。私だ。良く来たなポッター」

 

「そんな!僕はスネイプだとばかり………。スネイプが僕を殺そうとしたと……」

 

 

ハリーの言葉にクィレルが笑う。

 

 

「ははは。それは違う。セブルス・スネイプは君を助けようとしたのだよ。確かに彼は誤解されやすい性格をしている。クィディッチの試合の時はスネイプが私の呪文にずっと反対呪文を唱えていたのだ。それに途中でグレンジャーの妨害が入って結果的に失敗してしまった」

 

「そんな………。スネイプが僕を救おうと……」

 

「彼がクィディッチの審判を申し出たのは私を警戒するためだった。スネイプは私を妨害しようとあの手この手を使ったのだ」

 

 

やはり自分の憶測は正しかった。

エスペランサはそう思いながらゆっくりと銃を構える。

 

ハリーの背後で透明マントを被りながら銃を構えるエスペランサにクィレルはまだ気づいていない。

 

クィレルとの距離はおよそ15メートル。

この距離なら確実に銃弾を命中させることが出来る。

 

彼は透明マントの隙間から音を立てずにM16A2の銃口を出し、照準を定める。

 

 

(狙うは頭部。この距離なら確実にあたる。これで終わらせてやる!!!!)

 

 

握把を握る手が汗ばむのを彼は感じる。

深呼吸をした後、小刻みに震える指を引き金にかけた。

引き金を引けば全てが終わるのだ。

 

 

 

『クィレル。もう一匹ネズミが居るぞ』

 

 

「何!!!????」

 

 

 

エスペランサが引き金を引く直前、‟あの禁じられた森の夜”に聞いた蛇のような声が聞こえた。

 

(何!!!???この声はあの日聞いたヴォルデモートの声だ!どこに潜んでやがるんだ!!??)

 

いきなりの展開に焦るエスペランサだったが、すぐに冷静さを取り戻し、引き金を引こうとした。

 

 

 

「ルックウッドか!?‟ホメナム・レベリオ 人現れよ”」

 

 

引き金を引くよりも早く、クィレルが呪文を唱える。

 

クィレルの魔法により、透明マントに隠れていたエスペランサは強制的に透明マントの外に出され、ハリーの足元に転がるように出現させられてしまう。

 

 

(何だこの魔法は!?強制的に隠れている人間を出現させるのか)

 

 

 

「エスペランサ!」

 

「やはりお前か。ルックウッド。お前には色々と計画の邪魔をされたからな。ここで息の根を止めてやる」

 

「くそったれが!!!」

 

 

急いでエスペランサはM16A2を構え、銃口をクィレルに向ける。

そして、間髪入れずに引き金を引いた。

 

 

 

 

ダンッ

 

 

 

 

銃口から射出された5.56ミリNATO弾はクィレルの頭部へとまっすぐに向かっていく。

しかし、クィレルは杖の一振りで銃弾を防いだ。

 

 

「なっ!?呪文の詠唱なしで………!」

 

「1学年は習わないが、無言呪文と言って詠唱なしで魔法を発動させる技術が魔法界にはあるのだよ」

 

「無言呪文………」

 

 

無言呪文は呪文を言葉に出さずとも魔法を発動させる技術である。

メリットは敵に魔法をかけることを悟られない点であり、デメリットは詠唱呪文よりも威力が落ちるという点であった。

 

 

「危なかったよルックウッド。ご主人様が居なければ私はお前に殺されていた。だが、私はお前に感謝もしている」

 

「感謝………だと?俺はお前の計画をことごとく潰した。憎まれる覚えはあるが感謝される覚えはないぞ?」

 

「これだよ。お前は興味深い物を学校に持ち込んでいるようだな」

 

「なっ………!?それは」

 

 

クィレルはローブの懐から‟ある物”を取り出した。

 

短い銃身。

細長い弾倉。

第二次世界大戦で米兵の窮地を幾度となく救ったその銃は………。

 

 

「グリース………ガンだと!?」

 

 

 

見覚えがあるどころではない。

その銃はエスペランサがトロールや3頭犬と戦った時に使った銃そのものであった。

 

 

「グリースガンというのかこれは」

 

「何故それをお前が持っているんだ!」

 

「これはトロールの死体の横に落ちていたのを回収したものだ。修復には時間を必要としたがね」

 

 

トロールとの戦闘でエスペランサは破壊されたM3グリースガンを放棄していた。

それをクィレルは回収して修復したのだという。

 

 

「魔法使いが銃を修復して何をするつもりだ」

 

「ククク。君の知るところではないだろう……。まあ冥途の土産に教えてやるか」

 

 

そう言ってクィレルはグリースガンを構える。

その銃口はまっすぐエスペランサの方向へ向いていた。

 

 

(杖ではなく銃を使うだと?しかし、あの構え方………。銃を使ったことが無いな。あんな構え方したら15メートルの距離でも当たらないぞ)

 

 

クィレルは片手で短機関銃を持ち、照準がブレブレの状態で狙いを定めている。

足も本来なら肩幅以上に開くところなのだが、完全に気を付けの姿勢だ。

 

良く映画やアニメなどで登場人物が拳銃や短機関銃を片手撃ちする場面がある。

銃を少しでも打ったことのある人間なら分かるだろうが、拳銃にせよ短機関銃にせよ、片手で射撃することは困難なのである。

反動が強すぎて、的に当たらないのだ。

15メートルという短い距離でも片手撃ちで、尚且つ射撃姿勢をしっかりととならければ的にはあたらない。

 

クィレルの構えを見てエスペランサは今度こそ勝ちを確信した。

 

 

 

パラララララ

 

 

ダンッ

 

 

 

2人はほぼ同時に引き金を引く。

 

 

 

 

「ぐあああっ!!!!」

 

 

勝敗は決した。

 

 

 

 

 

 

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痛い………。

 

激痛だ。

 

 

焼けたように手足が痛む………。

 

 

 

 

 

4発の銃弾を身体に受けたエスペランサは無様に地面に転がっていた。

彼の身体から流れる血が床を赤く染めていく。

 

 

 

「な……何が起きたんだ…………」

 

 

 

 

勝ちを確信した。

そのつもりだった。

 

しかし、クィレルの撃った銃弾はエスペランサの‟左右の手足の関節を正確に撃ち抜いた”のである。

 

不格好な構えでそんな芸当が出来る筈がない。

まるで銃弾が意志を持つようだった………。

 

 

クィレルが撃った銃弾は合計5発。

うち4発がエスペランサの手足に命中した。

 

残りの一発はエスペランサの発射した5.56ミリ弾に命中したのだ。

 

 

 

偶然などではない。

 

しかし、飛んでくる銃弾に銃弾を命中させることなどデルタもグリーンベレーも出来ない。

ましてグリースガンは連射だった。

 

 

 

「ま……まさか。銃に……魔法………」

 

 

激痛で思考回路が麻痺しかけている中、必死にエスペランサは考えた。

 

 

「そうだ。魔法だ」

 

「………魔法で…………銃弾にホーミング……機能を?」

 

「いや。銃に魔法をかけた。この魔法にかけられた銃は‟私の意思を読み取って思い通りの場所に銃弾を命中させることが出来る”」

 

「なん…だよ。そんなの………反則」

 

 

もはや何でもありだなと彼は思った。

そんな魔法があるのなら射撃訓練は何の意味も成さない。

 

そして勝ち目はない。

 

 

手足の関節を撃ち抜かれたエスペランサは歩くことも這うことも出来なかった。

動くたびに激痛が襲い、意識を失いかける。

 

 

(銃弾を受けた身体というのはこんなにも痛く、重いのか………)

 

 

 

「さて、お前はそこで友人のハリーが殺されるのを見て己の無力さを痛感していると良い」

 

 

そう言ってクィレルはハリーに無言で呪文をかけた。

 

おそらくは武装解除と縛りの呪文だ。

ハリーは持っていた杖を吹き飛ばされ、縄で縛られた。

 

 

「さて、石はどうやらこの鏡に隠されているようだが………。果たしてどう使うのか……。ご主人様!教えてください!」

 

『ハリー・ポッターを使え』

 

「分かりました!ポッター!来るのだ!」

 

 

ハリーが無理やりクィレルに鏡の前まで連れていかれる。

 

 

かろうじて意識を保ちながらエスペランサはその様子を見ていた。

 

 

(俺は……無力だ。また……何も守れなかったのか?)

 

 

 

「ポッター。鏡を見て何が見えるかを言え!」

 

「ぼ…僕がダンブルドアと握手をしている!」

 

「そんな馬鹿な!」

 

 

『クィレル。ポッターは嘘をついている。俺様が直接話そう』

 

 

「しかし、ご主人様の力はまだ………」

 

 

渋々といったかんじでクィレルは頭に巻いたターバンを外していった。

 

ターバンの下に隠れていたのは…………。

 

 

 

(成程な………。ヴォルデモートはクィレルと一体になっていたのか。それは……予想外だった)

 

 

 

クィレルの後頭部にはもう一つの顔があった。

 

真っ赤な細い目。

鼻はほとんどなく、蛇のようだった。

おおよそ人間とは思えない見た目である。

 

 

 

『俺様こそ……ヴォルデモート卿だ』

 

『ほとんど死にかけだ。誰かの身体を借りなくては生きていけない。ユニコーンの血もほとんど効果が無かった。この有様を見ろ。賢者の石さえあれば、命の水さえあれば俺様は復活する。ハリー・ポッターよ。そのポケットの中にある石を渡せ』

 

 

「渡すもんか!!!」

 

 

『馬鹿な真似は良して俺様の側に来い。命は取らん』

 

 

「渡さないぞ!!!!!」

 

 

 

ハリーは丸腰のくせにヴォルデモートに抵抗していた。

どんなカラクリかは不明だが、ハリーは賢者の石を手に入れたようだ。

 

 

(ハリー………。お前は武器も持たずに……抵抗するのか。すげえ奴だよ……。いつも武器に頼る俺と違って………)

 

 

エスペランサはハリーの勇気に心を震わせていた。

 

ハリーもロンもハーマイオニーも敵を恐れることなく突き進んだ。

 

銃も爆薬も持たないか弱い存在であるにもかかわらずだ。

 

 

「ハリーは……殺させねえ………絶対。作戦……5を……使えば勝機は……まだある」

 

 

思えば、エスペランサは1人でここまで来たのではない。

ハリーたち3人が居なければ罠も突破できたか分からない。

 

やはり自分は無力だと思った。

 

しかし、もう無力さを恥じたりはしない。

 

無力であっても、どんなに無様であっても……彼はヴォルデモートを倒すという任務を遂行しようと行動を起こした。

 

 

ヴォルデモートはハリーに気を取られてエスペランサの動きに気づいていない。

 

 

(今がチャンス!!!!)

 

 

エスペランサは関節が粉砕された右手を無理やり動かし、激痛に歯を食いしばって耐えながら杖を取り出す。

 

銃ではなく杖を取り出した。

 

 

 

胡桃の木と龍の鱗。

28センチ、頑丈。

その性質は汎用性に富む。

 

エスペランサがオリバンダーから買った杖であった。

 

 

胡桃の木は銃のウッドストックにも使われるものだ。

だからなのかは分からなかったが、彼の手にこの杖はよく馴染んだ。

 

 

この数週間。

エスペランサは銃の開発だけを行ってきたのではない。

彼は禁じられた森での戦闘で銃だけを使った戦闘に限界を感じていた。

 

銃弾も爆弾も魔法の前には無力である。

 

そもそもマグルの武器を使っての戦闘は部隊をしっかり編制して複数人で運用するから強力なのである。

 

だが、エスペランサは魔法が使える。

 

魔法を使って正面から挑んでも負ける。

銃だけ持って戦いに行っても負ける。

 

だったら魔法と銃を両方駆使して戦えば………。

 

 

 

 

「この数週間で………俺が作り出したのは武器だけじゃねえ。呪文も開発したんだ!!!」

 

 

 

ぼろぼろの腕で杖を振り上げる。

 

 

 

 

「‟エレクト・テーレム 武器よ起動せよ”!!!!!!!!!!!!」




作者のインタビューで死の秘宝である透明マントを被った状態であってもホメナム・レベリオは使えるとされていましたのでここでも使わせていただきました。

クィレルが改造したグリースガンは銃を持つ人間の意思を自ら読み取り、思い通りの場所へ銃弾を叩きこんでくれるという優れものです。


主人公の杖の素材は銃に使われる胡桃の木と何か強そうな龍の鱗にしました。

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