ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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決闘クラブはずっと書きたかったんです




case 20 Esperanza vs Snape 〜銃VS杖〜

ミセス・ノリスが襲われた事件以来、生徒は誰しもが「秘密の部屋」について知りたがった。

 

魔法史の授業においてハーマイオニーがビンズ先生に秘密の部屋に関する質問をしたことである程度、部屋に関する知識は得る事が出来たエスぺランサはミセス・ノリスを石にした犯人が人間ではないことを悟った。

 

ビンズ先生によれば、秘密の部屋はサラザール・スリザリンの継承者のみによって開かれ、部屋には怪物が存在するらしい。

そしてその怪物は継承者によって操られる。

 

“継承者の敵よ。気をつけろ”

 

継承者の敵とはいったい誰なのだろうか。

 

 

 

「エスぺランサはどう思う?やっぱり部屋は存在すると思う?」

 

グリフィンドールの談話室で魔法薬学のレポートを書きながらロンがエスぺランサに聞く。

 

「さあな。でもビンズ先生の話だと過去の教職員が総力をかけて探しても部屋は見つからなかったんだろ?なら存在しない可能性もある」

 

魔法薬学のレポートをさっさと終わらせて暖炉の前でM249の銃主部にグリスを塗って、ブラシでゴシゴシ擦りながらエスぺランサは応えた。

 

「ただ、実際にミセス・ノリスは襲われた。そして、猫を石にしたのは強力な魔術であるという………。生徒ではなく怪物が手を下したとするなら一応、納得は出来るな」

 

「でも、壁には英語で血文字が書かれていたわ。ならやっぱり生徒の誰かが関わっているんじゃない?」

 

そう言うのはハーマイオニーだ。

 

「生徒にあんな魔法が使えるのか?石にするったって、ペトリフィカストタルスとは違う類のものだぞ」

 

 

ダンブルドアの言葉によればミセス・ノリスを石にしたのは非常に高度な魔法で、マンドレイク薬でしか治せないらしい。

そのような魔法を使える生徒は居ないだろう。

 

エスぺランサは2学年になってから、全校生徒の学力や思考回路、家系、技能、魔法力を徹底的に調べ上げていた。

生徒の中から闇の魔法使いとなり得る可能性のある生徒を見つけ、先手を取って排除しようとしたからである。

また、有能そうな人材は早くから彼の組織しようとしている治安維持軍に入れようと思ったからだ。

 

結果として、この学校に闇の魔術が使えるような人間は存在しなかった。

 

スリザリンに何名か疑わしい生徒は居たものの、学力も魔法力も芳しくない為、今回の事件の犯人とは思えない。

 

とすれば昨年度のクィレル先生のように教職員が犯人である可能性がある。

 

 

「スリザリンの継承者だったら心当たりがあるよ。ほら。マルフォイ。あいつなら代々スリザリンの家系だから継承者なのかもしれない」

 

ハリーが言う。

 

「無いな。可能性が0って訳ではないが、あいつの魔法力では不可能だ。それに、そんな度胸もないと思う」

 

 

エスぺランサは一蹴した。

 

しかし、何故、怪物は、継承者はミセス・ノリスを狙ったのだろうか。

スリザリンの怪物が強力な魔力を使って石にしたのが猫1匹というのはお粗末過ぎるのではないだろうか。

 

敵の目的も手段も、そして正体も分からない。

現状、打つ手は無しに等しかった。

 

 

「ところでエスぺランサ。レポート終わってるなら見せてくれない?」

 

「ダメだ。ロン。お前この間丸々写して提出しただろ。少しは自分で考えろ」

 

 

そう言い残してエスペランサは寝室に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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トロール。

三頭犬。

 

ヴォルデモート。

 

 

今まで怪物と何度か交戦してきたエスぺランサだが、どの戦いも非常に苦戦している。

 

特にヴォルデモート相手の戦いは総力戦であったにも拘らず全身に重傷を負った。

 

もし仮に、スリザリンの怪物と戦闘になった場合、エスペランサに勝ち目があるのかどうかは甚だ疑問である。

何しろ、敵の正体と攻撃手段が一切分からないのだ。

 

敵の情報が一切ないのに戦いに行く事がどれ程に愚かな行為か、というのは元傭兵である彼にとって常識であった。

 

 

とするならまず情報収集から始めるべきなのだろうが、残念ながらその情報が一切無い。

 

フローラ・カローやセオドール・ノットも怪物の正体はおろか、継承者に関しても知っていることは皆無であったし、スリザリン内でも知っている者は居ないとのことだ。

マルフォイが継承者なのではないか?と一応2人に聞いてみたところ、即答で「それはない」と言われてしまった。

 

 

現状で分かっている情報は、

 

①攻撃対象を石化する。

 

②スリザリンの継承者によってのみ操られる。

 

③校内を移動可能な生物。

 

 

のみである。

 

 

対象を石化するのならメデューサという生物なのではないかとエスペランサは思ったが、メデューサには意志があるために継承者に操られるとは考え難い。

 

 

「ここにきて手詰まりか。次の犠牲者が出ないように対策を練りたいが………」

 

 

校内各所に監視カメラやセンサーを設置すれば怪物の正体も分かるかもしれないが、残念ながら電子機器はホグワーツで使えない。

 

 

ハリーとロン、それにハーマイオニーはマルフォイが継承者であると勝手に思い込んだようで、現在、ポリジュース薬なるものを作成中である。

 

昨年も彼らはスネイプ教授を勝手に犯人だろうと予想して先走った行動をしたが、今回もそうだった。

 

エスペランサはマルフォイが犯人ではないと(最初はマルフォイが犯人だと疑ってぶん殴ったが)思っていたために、ポリジュース薬作りには参加していない。

 

 

しかし、次に生徒が襲われる可能性は非常に高かった。

 

生徒の間では怪物除けのお守りやら何やらが爆発的に流行っていたが、おそらく無意味だろう。

 

 

 

何の対策も出来ず、犯人も怪物も不明なままクィディッチの寮対抗杯は開催された。

 

 

雨がザーザーと降る中、グリフィンドール対スリザリンがキックオフされる。

 

 

 

「酷い雨だな………」

 

エスペランサは呟いた。

 

視界が悪く、反対側の観覧席はほとんど見えない。

時折、暴風に飛ばされた傘が宙に舞うのがかろうじで見える程度だ。

 

雨の音なのか歓声なのか競技場全体がワーッと鳴っている。

 

 

「今回は何の問題も起きずに試合が進むと良いんだけど………」

 

ハーマイオニーが双眼鏡でハリーを追いながら心配そうにつぶやいた。

 

スリザリンのニンバス2001はやはり性能が良いのだろう。

グリフィンドールの選手は果敢に戦うが若干不利だった。

 

「ファントムとイーグルが戦ってるのを見ているようだ………」

 

F-15がニンバス2001、F-4ファントムがグリフィンドールの生徒の乗る箒という例えは的確だった。

だが、グリフィンドールの生徒は技量でスリザリンを上回るために点差は思ったよりも開かない。

 

特にキーパーのウッドは合計30回は来たであろうシュートの8割を防げている。

 

 

「今度から選手のことはトップガンって呼ぼう」

 

エスペランサが冗談交じりに言った。

 

果敢に戦っているとはいえグリフィンドールは劣勢である。

 

 

そんな試合の中で異常は起きた。

 

 

 

「ブラッジャーがハリーの方にばかり攻撃を加えてる!」

 

ロンが叫んだ。

 

その声にエスペランサもハリーを見る。

 

 

2つあるうちのひとつのブラッジャーがまるで誘導弾のようにハリーを追跡している。

 

フレッドとジョージが打ち返しても、ブラッジャーは再びハリーの方へ飛んできて攻撃を仕掛けた。

 

 

「なんじゃあれ。ブラッジャーって選手の一人を集中攻撃することもあるのか?」

 

「絶対ないよ!きっと誰かが細工したんだ!」

 

「ハリーも災難だな。去年は箒に振り回されて今年はブラッジャーに襲われてるのか………っと痛そ」

 

 

狂ったブラッジャーはついにハリーの腕を直撃し、ハリーの腕の骨を折った。

ハリーが苦しそうな顔をする。

 

それを近くで飛んでいたマルフォイが爆笑して見ていた。

 

 

「憎たらしい顔しやがって………。ブラッジャーの迎撃くらい俺がやってやるから待ってろ」

 

 

エスペランサは検知不可能拡大呪文のかかった鞄の中から長い銃を取り出した。

 

バレット・ファイアーアームズ社が開発した大型セミオート式狙撃銃。

その名をバレットM82と言う。

 

装甲車やヘリコプターすら破壊可能な12.7ミリ銃狙撃銃だ。

対人狙撃銃として12.7ミリの銃はハーグ協定によって禁止されているが対物ライフルは禁止されていない。

 

12.7ミリの狙撃銃の威力は絶大で、有効射程2000メートル以内ならブラッジャー程度の鉄球は簡単に粉砕できるはずだった。

 

重量も兵士一人で扱えるほどに軽量化されている。

とはいえ12キロはある狙撃銃を12歳のエスペランサが扱うのは困難だった。

 

脚なしで撃てば大人でも肩の脱臼を避けられないその狙撃銃を子供が扱えるわけがない。

 

それがマグル界での常識であった。

が、しかしここは魔法界だ。

 

エスペランサは銃に銃弾を目標へ自動追尾させる魔法をかけていたが、最近ではそれに加えて銃の重量を軽くする魔法もかけていた。

 

呪文は簡単で「“レウィサー 軽量化”」であり、2学年でも授業で習う呪文である。

この呪文のおかげで12キロあるバレットはたった1.2キロにまで軽量化されている。

 

実際はもっと軽くできたのだが、あまりに軽くすると撃った反動で銃が後方へ吹き飛びそうだったのである程度の重量は残している。

 

 

「魔法ってなんでもありだよな………」

 

エスペランサはバレット銃狙撃銃を片手で持ち上げ、スコープも覗かずにブラッジャーへ銃口を向けた。

感覚としては拳銃を撃つようなかんじである。

 

目標であるブラッジャーを睨みつける。

目標を睨むことで彼の握る狙撃銃はブラッジャーが今回の破壊対象であると認識した。

 

ブラッジャーを目標であると認識した狙撃銃は装填された12.7ミリ弾にブラッジャーの位置、動き、大きさなどの情報を伝える。

目標の情報をインプットした銃弾はブラッジャーを追尾可能な状態となった。

 

 

「え!?エスペランサ!それハリーに当たったら………」

 

「問題ない。これは絶対外さない」

 

 

心配するロンを余所にエスペランサは引き金を引いた。

 

 

「感謝します。クィレル先生………」

 

 

 

 

ズガアアンという轟音と共にバレット銃狙撃銃の銃口から12.7ミリ弾が飛び出す。

 

初速853メートル毎秒で飛び出した銃弾は一瞬でブラッジャーへ正確に到達した。

装甲車の装甲ですら貫通するその弾はハリーを襲っていたその鉄球を木っ端みじんに粉砕する。

 

 

粉々になったブラッジャーの破片が飛び散り、ハリーを襲うが、エスペランサは咄嗟に杖を構えて「“プロテゴ 守れ”」と唱えた。

 

ハリーの周りに透明なシールドが現れ、破片は弾かれる。

 

 

その隙にハリーはマルフォイの後方に飛んでいたスニッチを掴み取った。

 

 

 

「何とかなったな………」

 

 

エスペランサは安堵する。

 

熱くなったバレットの銃身は雨によって冷却され、白い煙を上げていた。

 

周りを見渡せば、スリザリン生以外の生徒が歓声を上げている。

グリフィンドールは勝利した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、この後、ハリーはロックハートによって文字通り骨抜きにされて医務室に運ばれることとなる。

 

 

 

 

 

 

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クィディッチでグリフィンドールが勝利した次の日。

 

スリザリンの継承者によって2人目の犠牲者が出た。

 

 

 

コリン・クリービーと言う1年生の少年で、ハリーのファンだ。

 

骨抜きにされたハリーのお見舞いに行こうと医務室に向かう途中で襲われて石にされたらしい。

 

 

 

2人目の犠牲者が出たことで生徒は軽いパニックに陥っていた。

 

個人での行動は禁止され、ツーマンセル以上での行動が義務となった。

 

 

 

エスペランサもこの事態に危機感を感じ、常に肩にライフルを背負って生活するようになっている。

 

 

 

そんな混乱の中、決闘クラブなるものが開催されることとなった。

 

魔法使いの決闘が怪物相手に通用するとは思えなかったが、面白そうなのでエスペランサもハリーたち3人も行くことにする。

 

 

 

 

決闘クラブの会場は大広間で、大広間の中心に細長い決闘場が設置されている。

その周囲にほぼ全員の生徒が集まっていた。

 

 

「皆さん集まってくれてありがとう!私ことギルデロイ・ロックハートが今日は皆さんに護身となる術を伝授します。安心してください。今まで何度も決闘は行ってきましたから」

 

白い歯を見せて笑うロックハート。

彼が決闘を行ったことが無いのは明らかだ。

 

エスペランサは内心ガッカリしていた。

よりにもよって教師が無能ときたのだから………。

 

 

「では本日の助手を紹介しましょう!スネイプ先生です」

 

「あ、ロックハート死んだな」

 

 

ロックハートが助手であるらしいスネイプを紹介した瞬間、エスペランサは呟いた。

 

 

舞台横から登場したスネイプはいかにもロックハート殺すぜオーラを放っており、その姿を見たネビルは軽い悲鳴を上げた。

 

 

「スネイプ先生は決闘の作法を少しばかり知っているらしいので助手にしました。安心してください。スネイプ先生を消してしまったりはしませんから。ははは!」

 

スネイプはニヤニヤ笑っている。

 

「共倒れでどっちもやられちゃえば良いのに」

 

ロンが言う。

 

「残念ながらロックハートが一方的にやられるだろうな。明日の闇の魔術に対する防衛術の授業はオフになると思うから宿題やらないでおこうかな」

 

 

決闘の見本と言うことでロックハートとスネイプが決闘を行うことになった訳であるが、予想通り、ロックハートが完敗した。

 

スネイプの「“エクスペリアームス 武器よ去れ”」という呪文に吹き飛ばされたロックハートは髪と服を乱し無様に倒れている。

 

 

「あああ……。言わんこっちゃない」

 

 

 

ロックハートは立ち上がり、肩で息をしながら弁解し始めた。

 

「いやあ。スネイプ先生。あの武装解除の呪文を見せるとは良い考えでしたね……。ですが、私にはその考えは見え透いていましたよ。防ごうと思えば………」

 

「そうですか。なら是非防いでもらいたかったですな………。しかし、今のは一方的過ぎて手本にはならない。ルックウッド!出てきなさい!」

 

スネイプはロックハートの弁解を無視してエスペランサを舞台へ呼んだ。

 

 

「は?」

 

「ルックウッド。ロックハート先生では手本にはならん。トロールを撃破したお前なら手本になるだろう。来なさい」

 

スネイプは意地の悪い笑みを浮かべながらそう言った。

 

顔は笑っていても目は笑っていない。

 

 

「………わかりました」

 

「エスペランサ!」

 

「おい行くなよ!スネイプの奴マルフォイの仇だとかでコテンパンにする気だぞ!」

 

 

ロンやハーマイオニーが止めようとしたが、エスペランサは舞台へ上がった。

 

全生徒がエスペランサに注目している。

 

ネビルやシェーマスは心配そうに見ていたが、フレッドとジョージは「やったれエスペランサ」と歓声を上げていた。

マルフォイはこれまた意地の悪い顔で見ている。

フローラとセオドール・ノットは無表情だ。

 

 

おそらくロンの言った通り、スネイプはマルフォイの仇としてエスペランサをボコボコに負かそうとしているのだろう。

 

だが、エスペランサにとってスネイプのような有能な魔法使いとの決闘は経験値を得るチャンスであった。

スネイプ相手にどこまで戦えるか。

それを試してみたい彼は進んで舞台へ上がった。

 

 

互いに礼を行い、向き合う。

 

 

「3秒数えたら決闘の開始だ。ルックウッド」

 

スネイプが杖をまっすぐエスペランサに向け言う。

 

 

(先生の目は本気だ。初手でどんな魔法を使ってくるかは分からないが、おそらく呪文の掛け合いで勝機は無い。先制攻撃は諦め、防御に回る方が良い)

 

エスペランサは瞬時に頭を回転させる。

 

(ゲーム理論で考えろ。自分が完全に勝つ方法ではなく、相手に絶対に初手で勝たせない方法…………)

 

 

 

2…………

 

 

1……………

 

 

 

 

「“ステューピファイ 麻痺せよ”」

 

「“ステータム・モータス 強制回避せよ”!!!」

 

 

スネイプは素早く呪文を唱えた。

 

強力な赤い光線がエスペランサに飛んでくる。

失神光線だ。

エスペランサも良く知るその光線はしかし彼に命中しなかった。

 

ステータム・モータス。

 

呪文をかけた対象を強制的に5~6メートルほど離れた位置に瞬間移動させる魔法だ。

 

移動範囲が最大6メートルであることから実用性に乏しく、誰も使わないし、知らない忘れ去られた魔法である。

 

この魔法を図書館にあった古い呪文集で見つけたエスペランサは、実用性は無いものの、戦闘において緊急回避の手段として活用できると思ったのである。

 

 

 

エスペランサはスネイプではなく自分自信に杖を向け、呪文を唱えることで自分自身の身体を元居た場所から後方45度に6メートル離れた位置に強制転移させた。

これにより初撃を回避することに成功したのである。

 

 

(この呪文を使うことを先生は想定していない。若干、動揺するはずだ!そこが狙い目!!!)

 

エスペランサはすかさず杖を構えて「“エレクト・テーレム・リミット・デュオ 武器よ2つに限定して起動せよ”」と叫んだ。

 

 

昨年度、対ヴォルデモート戦で使用したエレクト・テーレムの呪文は手持ちの武器を無制限に起動させて攻撃するもの(ハルマゲドン・モードとエスペランサは呼称していた)で、エスペランサの切り札だったが、今回は起動する武器を制限させた。

 

ローブの下に隠した検知不可能拡大呪文のかかっている鞄から2挺の銃が飛び出す。

M16A2とG3A3だ。

 

装填されているのは殺傷能力を抑えた衝撃弾(弾丸がゴムで出来ており、火薬が最小限しか入っていないもの)だったので、命中したとしてもスネイプが死ぬことは無い。

せいぜい骨にひびが入る程度だろう。

 

 

ダダダダという連続射撃音と共に2つの銃から5.56ミリと7.62ミリの弾丸が飛び出す。

無論、弾丸は自動でスネイプへと向かっていった。

 

 

「“プロテゴ・リフレクション 反射して防げ”」

 

スネイプは冷静さを失わずに盾の呪文を展開する。

 

透明なシールドに弾かれた銃弾は、今度はエスペランサの方に向かっていく。

 

 

(くそ!防いだものを反射させる盾の呪文か!!)

 

エスペランサは焦った。

 

 

「“エレクト・テーレム・インターセプト・リミット・トライ 武器よ迎撃のために3つに限定して起動せよ”」

 

鞄からグリースガンが3挺飛び出す。

 

エスペランサは襲ってくる銃弾を視界に入れ、目標に選定した。

3挺のグリースガンは銃弾を連続で発射し、反射されて襲い掛かってきた銃弾を全て迎撃する。

 

空中で銃弾通しがぶつかり合い火花を散らした。

 

 

バチバチと飛び散った火花を避けようと観客である生徒は逃げ惑う。

 

 

「“レヴィコーパス 宙づり”」

 

スネイプの反撃。

もうスネイプはニヤニヤ笑いをしていなかった。

 

ベテランの魔法使いとして本気を出している。

数々の修羅場を乗り越えてきたことが伺える顔つきだった。

 

飛んできた光線を咄嗟に匍匐姿勢になることで回避したエスペランサは腰につけていたスタングレネードを取り出して安全ピンを抜こうとする。

 

そのエスペランサの様子を見たスネイプは「“エクスペリアームス 武器よされ”」と唱えてスタングレネードを奪い取った。 

 

 

 

一切の隙がない。

 

一瞬でも油断したらやられる。

 

エスペランサはかつて戦場で戦っていた時以上に頭を回転させていた。

 

 

(呪文では勝ち目がない。至近距離での格闘戦なら確実に勝てる。どうにか近づかないと)

 

 

「“エレクト・テーレム・リミット・カールグスタフ 無反動砲起動せよ”」

 

エスペランサは84ミリ無反動砲を起動させた。

 

無論実弾が入っているわけではない。

装填された弾種は発煙弾であった。

 

発煙弾によって現場の視界を悪くし、その間にスネイプの懐に潜り込むつもりだった。

 

 

(杖から放たれた攻撃呪文は基本、直進しかしない。なら相手の視界を奪ってしまえば襲るるに足らず!!!)

 

 

宙に浮かんだ無反動砲から放たれた発煙弾はスネイプへと飛んでいくが、盾の呪文に弾かれてしまう。

しかし、弾かれた瞬間に発煙弾は起爆し、大広間を瞬時に白煙で覆いつくした。

 

 

生徒たちが咳き込むのがあちらことらから聞こえる。

 

 

エスペランサは周囲が白煙で覆われたのと同時にスネイプの立っている方向へ走り出した。

 

 

(先生は格闘戦は未経験だろう。至近距離での物理的な戦闘で倒す!!!!)

 

 

 

 

「甘いな………ルックウッド。魔法を舐めると痛い目を見るぞ?」

 

「なっ!!??」

 

 

視界を奪われているはずのスネイプは余裕のある声でそう言った。

 

 

「誘導できるのは銃弾だけではない。呪文もだ。“ステューピファイ・チェイスヴィノム 麻痺せよ・呪文を誘導せよ”」

 

白煙の向こうでスネイプが失神光線を唱えた。

杖から飛び出した赤い閃光は直進ではなく、ホップアップし、意思を持ったようにエスペランサに突っ込んでくる。

 

格闘戦へ移行しようとしていたエスペランサは杖を構えて盾の呪文を使うのが遅れた。

 

 

「まずいっ!!??想定外だ!!!!」

 

 

赤い閃光ー失神光線はエスペランサに直撃する。

 

直撃したその瞬間、彼の意識は遠退いた。

 

 

 

 

 




オリジナル魔法を出しました。

エレクト・テーレムの後に続くスペルは、リミットが制限でトライやデュオが起動させる武器の数です。
今のところ主人公の技量的に制限した武器の種類は指定できずランダムに出ます。

ただし、エレクト・テーレム・リミット・カールグスタフのように武器の名称を言えば武器を指定可能です。


<ステータム・モータス 強制回避>

最大で6メートル、対象を瞬間移動させる魔法。
つまり半径6メートル360度どの位置にでも対象を移動できる。

実用性に乏しくあまり知られていない。




<プロテゴ・リフレクション>

プロテゴで防いだ呪文や銃弾を反射させて相手に返す呪文。
非常に困難な魔法であり、また、発動条件が「襲ってきたのが魔法ならば、その魔法に関する理論を完全に理解している」というものである。



<チェイスヴィノム>

呪文を誘導弾のように相手へ追尾させ、命中させる。
エスペランサが銃にかけている自動追尾の魔法はこれの応用だが、その事実を本人は知らない。
これを呪文の後ろに付け加えることで呪文が敵へ自動追尾する。
ただし、その場合、魔法の威力が半減する(失神光線なら通常より蘇生が早くなる等)





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