ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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久しぶりの投稿になります。
遅くなって申し訳ないです。

冬期休暇になれば投稿回数が増やせると思うのですが………


case 23 Basilisk Appearance 〜蛇の王・バジリスク〜

トム・リドルの日記はどうも彼の記憶を閉じ込めた魔法の日記らしかった。

 

そして、ハリーはリドルの記憶の中で秘密の部屋の怪物を外へ逃がそうとするはハグリッドがリドルによって捕らえられる光景を見たらしい。

 

 

成程。

確かにハグリッドは危険な怪物を好む思考がある。

ハグリッドが秘密の部屋の怪物を見つけたのなら、真っ先に逃がそうとするはずだ。

 

しかし………。

 

 

「秘密の部屋の怪物の攻撃手段は“怪物の姿を見た者を無差別に殺害する”というものだ。ハグリッドやリドルも例外じゃない。ハグリッドが逃がそうとした怪物が秘密の部屋の怪物なのだとしたら、ハグリッドもリドルも死んでいるだろう」

 

 

エスペランサは秘密の部屋の怪物がどのような攻撃手段を持った生物なのかという自分の推理をハリーたちに話して聞かせた。

 

 

「ならハグリッドは犯人じゃないよ。たぶんトム・リドルは間違えてハグリッドを捕まえたんだ」

 

 

ロンが言う。

ちなみに、トム・リドルをロンも知っていた。

罰則でリドルのトロフィーを何度も磨かされたためらしい。

 

 

 

ジャスティンとニックが襲われてからかなりの日数が経ったが、その2人以降の犠牲者は一切出ていない。

 

エスペランサが校内のあちこちに設置した赤外線センサーにも感は無かった。

ホグワーツは珍しく平和が保たれている。

 

もっとも、エスペランサは定期的にカメラとセンサーのチェックをしていたし、対怪物対策用に重火器の整備も行っていた。

件の便利な「必要の部屋」を見つけて以来、魔法で武器の生成をしなくて良くなったのは彼にとって幸いだった。

 

 

 

「本人に聞いてみればいいじゃない。ハグリッドは友達だから聞いたら教えてくれるかもしれない」

 

ハーマイオニーが言う。

 

「正気かハーマイオニー。ハグリッドに直接聞くだって?「ねえ?ハグリッド。50年前に毛むくじゃらの巨大な怪物を逃がしたのは君かい?」って?」

 

ロンが首を大げさに振りながら言った。

 

「そんなことよりも来年の履修科目を決めなきゃ」

 

「履修科目か………。これ以上授業が増えるのは嫌だな」

 

 

3学年になれば新たに2つ以上の科目を履修する必要があるらしかった。

 

エスペランサたち4人は談話室で来年の履修科目を何にするか議論している途中だったのである。

 

 

エスペランサは占い学や魔法生物飼育学などの科目名を見ながら、将来的に役に立ちそうな科目を選ぼうとした。

 

 

「占い学は役立ちそうだな。敵の撃った砲弾の着弾地点の予想とか被害範囲の予想とかが出来そうだ」

 

「何で君の考えはいつもそんなバイオレンスなんだい?」

 

「あら。将来的に使えそうかどうかを考えて科目を選択するのは良い方法よ?」

 

「ハーマイオニー。でも、君は全部履修するんだろ?」

 

「当たり前じゃない。どれも面白そうですもの」

 

 

結局、エスペランサはマグル学と占い学をとることにした。

 

マグル学は魔法使いがどの程度マグルの科学に関して(正確にはマグルの軍事技術に関して)知っているのかをリサーチするために履修しようと思い、また、占い学は未来を予想する事が出来れば、戦闘を有利に進める事が出来ると考えたためである。

 

 

 

暖炉の火に蒔きを投げ込みながらエスペランサは大きな欠伸をした。

 

夜間であってもセンサーとカメラで城内を監視している彼は毎日寝不足である。

必要の部屋で手に入れた赤外線カメラとセンサーはバッテリーの持続時間が約7時間であったのだが、録画モードにするとそれが3時間まで減る。

 

つまり録画モードはたったの3時間しか使えず、3時間録画したらバッテリーを充電しに行かなくてはならない。

 

ということは監視用のモニターから目を離して休めるのはその録画中の3時間のみと言う事になり、エスペランサが睡眠をとる事の出来るのはその3時間のみなのであった。

 

 

ホグワーツ城にはコンセントはおろか、まともな発電機も無いから、バッテリーの充電は必要の部屋の中でガソリンを使用した発電機によって行うしかない。

 

よって、彼は授業中や風呂飯便所の時間にのみ録画をし、そのほかの時間はほぼ全てモニターの前で監視を行っていた。

そして、消灯前に学校中のセンサーとカメラのバッテリーを充電されたものに換えに行っているのである。

 

ちなみに、そのバッテリーの交換作業はフィルチ、フローラ、セオドールの3人にも手伝ってもらっているため、あまり手間はかかっていない。

 

 

「そろそろバッテリーの交換に行かないとな…………」

 

 

エスペランサは部屋にある大きな時計を見ながら呟く。

 

彼の夜は長い。

これからも数時間にわたってモニターの監視をしなくてはならないのだ。

 

よっこらせ、とエスペランサが寝室へ戻ろうとしたのと同時に、その寝室から慌てふためいた様子のネビル・ロングボトムが飛び出してきた。

 

寝室から飛び出したと同時に転んで、階段を転げ落ちたネビルであったが、そんな事はお構いなしといった様子でハリーに話し掛ける。

 

 

「ハリー!!!誰がやったのかわからない!!でも、でも僕!」

 

「どうしたネビル。まずは落ち着け」

 

 

興奮して顔を真っ赤にしたネビルの言葉は支離滅裂であった。

 

ハーマイオニーは手近なテーブルにおいてあるコップに魔法で水を注ぎ、それをネビルに飲ませた。

 

 

「あ、ありがとう。僕、寝室に戻ったら………寝室がめちゃめちゃにされてて…。どうも、ハリーのベット周りが荒らされてるみたいなんだ」

 

 

ネビルが言う。

 

エスペランサはてっきり自分の設置した監視用のモニターや送受信機、警報機などが破壊されたのではないかと思っていたが、どうも荒らされたのはハリーの私物だけだったようである。

 

 

「とりあえず見に行こう」

 

ロンの一声に従ってエスペランサも寝室へ入る。

 

 

 

「うわ。こりゃひでえな」

 

エスペランサは思わずそう呟く。

 

 

扉を開けて寝室に入ると、そこは空き巣でも入ったのではないかと疑うほど荒らされていた。

 

 

ハリーのトランクの中身はあちこちに散らばっているし、教科書の類はビリビリに引き裂かれ床に散乱していた。

 

ベットは解体され、枕の中からは羽毛が飛び散っている。

 

 

騒ぎを聞きつけたのか、ディーンやシェーマスと言った同部屋の男子生徒も駆けつけてきた。

 

駆けつけてきた生徒は口々に「なんだこれ」とか「酷い」と言っている。

 

 

ぐしゃぐしゃになった毛布を直すハリーたちを尻目に、エスペランサは彼のベット横に備え付けられた機器が破壊されていないか確認を始める。

 

 

勉強机の真ん中に置かれた監視用モニター3つは全て無事。

電源をつけるとブラウン管に城内の廊下の様子が9等分にされて映し出された。

 

モニターの横に置かれた簡易無線機も外傷は見当たらない。

バッテリー充電器と変電器も大丈夫そうだった。

 

センサーか赤外線カメラが敵を発見し次第、作動する警報機も無傷である。

 

 

「俺の電子機器が無事ってことは、犯人はハリーの持ち物を物色しに来たってことになるな」

 

エスペランサがそう言うと、ハリーも頷く。

 

「うん。君の言うとおりだ。犯人は僕の持ち物を奪っていった。…………リドルの日記が無くなってる」

 

「リドルの日記が?」

 

「どこにも見当たらないんだ。確かに机の中にしまっておいたはずなのに」

 

 

リドルの日記。

 

秘密の部屋に関する事件が起き始め、怪物による犠牲者が出た直後に突如としてハリーの前に出現した(というよりも突如としてマートルにぶつけられた)胡散臭い魔法の日記だ。

 

日記にはトム・リドルと言う少年の記憶が封じられており、50年前の事件の事をハリーに教えた。

 

 

この日記が秘密の部屋が開かれたとされる今、ハリーの前に現れたのは偶然とは言いがたい。

 

おそらく、リドルの日記の持ち主がホグワーツの生徒の中に居るのだろう。

持ち主は一度、日記をトイレに捨てたが、ハリーが持っている事を知って、回収しに来たに違いない。

 

事実、ハリーはバレンタインの日に公然でリドルの日記を晒している。

 

その時に本来の持ち主がハリーが日記を所有している事に気づいたのだろう。

 

 

(だが、持ち主は何故、日記を捨てたんだ?そして、何故回収した?)

 

 

エスペランサはハリーの荒らされたベット周りを観察する。

 

犯人は盗みになれていないのだろう。

手当たり次第に持ち物を漁り、その結果、部屋を荒らしてしまったというかんじだ。

 

それか、余程焦っていたのだろう。

 

単に日記を盗むだけなら、ここまで荒らさなくても良いはずだ。

 

 

「でも、ハリー。この寝室が荒らされたってことは犯人はグリフィンドールの生徒ってことだよね」

 

ロンが言う。

 

その通りだ。

グリフィンドールの寝室に入り込めるのはグリフィンドールの生徒だけ。

 

なら犯人は寮内に居る。

 

 

「片っ端から生徒を拷問すれば誰かしらが口を割るだろう。おそらく犯人は今回の事件に関して何らかの情報を持っているはずだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「諸君!!!今日は申し分のないクィディッチ日和だ!!!」

 

 

オリバーウッドが食堂のテーブルに立って演説するのをエスペランサはボーっと見ていた。

 

今日はグリフィンドールとハッフルパフのクィディッチの試合である。

昨年はハリーが物の数分で勝利を得ていたが、果たして今年はどうなるか………。

 

朝からグリフィンドールの生徒のテンションは高く、食堂で朝食を取る生徒たちは落ち着いた様子ではない。

 

ある者はどちらが勝つかの賭けをし、ある者は応援グッズの販売を行っていた。

 

 

朝食を食べ終え、ハリーたち3人と大広間を出たエスペランサはハリーに今日の応援には行けない旨を話した。

 

 

「悪いな。今日は応援に行けないんだ」

 

「えー!何でだよ!クィディッチだぜ?しかも、ハリーが出るんだ。君がクィディッチに興味がないのは知ってたけど、折角だから応援に行こう」

 

 

案の定、ロンがエスペランサを止めてきた。

 

しかし、エスペランサはクィディッチの試合中にも城内の監視を行わなくてはならない。

クィディッチの観戦には生徒だけでなく教職員のほとんども行く。

 

つまり、試合中の城内は警戒態勢が解かれ、無防備になってしまうのだ。

 

怪物と継承者が動き易い環境なのである。

逆を言えば、継承者を捕まえるチャンスでもあった。

 

 

「残念だけどな。城内ががら空きになる今日。継承者と怪物が動く可能性は非常に高い。俺が監視しておく必要がある」

 

「それなら僕も手伝うよ!!君一人に任せるわけには行かないだろ?」

 

「ロン。監視って言ってもずっとモニターを見てるだけだ。一人で出来る。お前はハリーの応援にいってやれ。前回のクィディッチの試合の時みたいに、ハリーを攻撃しようとしてくる奴が居るかもしれないだろ?そうなった時にハリーを助けてやれるのはロンだけだ」

 

 

実際、この言葉に嘘はなかった。

 

ハリーが出たクィディッチの試合は今までに3回あるが、その内2回で何らかのトラブルが発生している。

今回の試合でもトラブルが起きる可能性は高い。

故に、ハリーを守ってやれる人間が競技場に居る必要があった。

 

 

「…………そうだね。わかったよ。でも、エスペランサ。無茶だけはするなよ?君はいつでも一人で戦おうとする癖がある。僕たちが試合の観戦から帰って来たときに君が怪物にやられていたら嫌だからな」

 

 

ロンが言う。

 

 

「勿論だ。単独で怪物と戦おうと何てしないさ」

 

 

この言葉は嘘であった。

 

その姿を見たものを全て殺すという厄介な怪物との戦いにロンたちを巻き込むわけには行かない。

エスペランサは無論、単独で戦うつもりであった。

 

 

「あの声だ!!!!!!!!!」

 

 

エスペランサとロンがそんな会話をしている中、突然、ハリーが叫んだ。

 

 

「あの声って……君にしか聞こえない奴だろ?ミセス・ノリスが襲われたときに聞こえたっていう」

 

ロンが不安そうに言う。

 

「うん。今度も八つ裂きにしてやるとか……そんな事を言ってる」

 

 

ハリーが謎の声を聞いた日は必ずと言っていいほど犠牲者が出ている。

 

ならばおそらく今日、怪物は行動を起こすはずだ。

 

 

 

「ハリー。私たった今、思いついた事があるの!!!図書館に行かなくっちゃ!」

 

 

ハリーの言葉を聞いて、突然、ハーマイオニーが図書館の方向へ走り去ろうとした。

 

 

「おい!どうしたんだよハーマイオニー!?」

 

「試合が始まっちゃうぞ!?」

 

 

ハリーとロンの問いかけも無視して、彼女は大広間横の大理石の階段を駆け上がっていく。

 

 

 

「俺が追いかける。ハリーたちはもうすぐ試合だろ?もう行ったほうが良い。こっちは任せろ」

 

 

そう二人に言って、エスペランサはハーマイオニーを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元傭兵のエスペランサがハーマイオニーの足に追いつかないはずがない。

 

ものの数十秒で息を切らして走るハーマイオニーに追いついたエスペランサは彼女に「何を思いついたのか?」と疑問をぶつけた。

 

 

 

エスペランサに追いつかれ、仕方なく階段の途中で停止したハーマイオニーは喋り始める。

 

 

 

「分ったかもしれないの。怪物の正体が………」

 

 

肩で息をしながらハーマイオニーが言う。

 

 

「怪物の正体なら俺もある程度のめぼしがついている。でも何でさっきのタイミングで正体がわかったんだ?」

 

「今さっきハリーが言った言葉で気がついたのよ。例の声はハリーにしか聞こえない。可笑しな話だけど、でも、あの決闘クラブの夜を思い出してみて」

 

「いや、俺はぶっ倒れて医務室だったから決闘クラブで何が起きたかなんて知る由もない………ああ、そういうことか」

 

「理解が早くて助かるわ」

 

「ハリーにしか聞こえない声………。もしその声が蛇語なのだとしたら、ハリーにだけ聞こえて俺たちには聞こえない、というのも納得できる」

 

「そういうことよ。蛇語はハリーにしか聞き取れない。だから、私たちは声を聞く事が出来なかった。おそらく怪物の正体は蛇。スリザリンの象徴である動物は蛇だし、サラザールスリザリンは蛇語が出来たと言う事実からも、怪物が蛇である事は間違いないと思うわ」

 

 

確かに、怪物の正体が蛇である可能性は高い。

 

しかし、ただの蛇が「見たもの全てを殺す」という能力を持っているはずもない。

 

 

「ただの蛇ではないわ。幻の生物とその生息地っていう本は教科書にもなっているし、あなたも読んだ事があるわよね?」

 

「まあ、一通りは」

 

 

幻の生物とその生息地と言う本は1学年時の教科書の一つであった。

 

無論、エスペランサも一読はしている。

 

 

「あの本に全ての答えが書いてあるわ。幻の生物とその生息地の本に載っている蛇と同種の魔法生物は1つしかないわ」

 

 

エスペランサは記憶をたどり、教科書の内容を思い出す。

 

教科書に載っていた蛇と同種の魔法生物………。

 

 

 

ああ。

あった。

 

 

何故、今の今まであの怪物のことを忘れていたのだろう。

 

 

 

「蛇の王………バジリスクか!」

 

 

 

「ええ。そうよ。バジリスクの瞳を見たものは必ず絶命する。被害者が目立った外傷もなく倒れていたのは、怪物に攻撃されたからじゃなくて、怪物の目を見ただけだから」

 

「そうか。要するに、バジリスクの目だけを見なければ殺されないってわけか………」

 

「被害者が皆、死んでいないのは誰も目を直視していないから。ミセス・ノリスは床の水溜り越しに、コリンはファインダー越しに………。全て合点が行くわね」

 

 

ハーマイオニーは遂に怪物の正体を突き止めた。

 

エスペランサが数ヶ月にわたって考えても分らなかった怪物の正体を、短期間で見つけ出してしまった。

 

 

「凄いな。こんな短期間に怪物の正体を暴いてしまうなんて………。ハーマイオニーは勉強が出来るだけでなく、頭が切れるんだろうな。参謀向きだ」

 

 

エスペランサは素直に感心する。

 

ハーマイオニーの年齢はまだたったの13歳である。

13歳の少女が分厚い教科書を全暗記し、正体不明の怪物の正体を暴くというのは驚異的であった。

 

エスペランサが所属していた部隊のブレインにも匹敵するその頭脳は将来、魔法界を救う事になるかもしれない。

エスペランサはそう思う。

 

 

 

「別に凄くなんてないわ。私はただ勉強しただけ………」

 

少し顔を赤らめたハーマイオニーが言う。

彼女は自分の能力が認められた時は顔を赤くする習性がある。

 

 

「去年だってそう。結局、例のあの人を倒したのはハリーとエスペランサ。私は……罠の一つか二つを突破する時に少し頭を使っただけだった………」

 

「そうだ。でも、お前の頭がなければ俺たちはヴォルデモートにたどり着く事も出来なかっただろう」

 

 

ヴォルデモートの名前を聞いてハーマイオニーはビクリト肩を震わせる。

 

 

「最終的に悪を倒してみんなを救ったのはあなたたちであって、私ではない。私は少し手助けをしただけだった。正直言って羨ましかったの。3頭犬にもスネイプにも例のあの人にも真っ向から戦いに行くあなたが。私にはそんな勇気も度胸もないから………」

 

「買いかぶりすぎだろ………。ただ戦いに慣れてるだけだ。あー。戦いに慣れるってのはあんまり自慢できる事じゃないんだよ」

 

「あなたがここ数ヶ月、継承者と怪物を倒そうと寝る間も惜しんで努力してきたのを私は知ってるわ。ハリーやロンは気づいていないかもしれないけどね。ホグワーツの中で電子機器を使えるようにしたり、あちこちにセンサーをつけたり。全てはホグワーツの生徒を怪物から守ろうとして行ったんでしょう?」

 

「まあ……そうだが」

 

「それが凄いのよ。エスペランサは怪物や継承者を倒そうと必死だった。怪物には人を殺せる能力があると知りながらも、必死に戦おうとしていた。そして、一度も怪物を恐れはしなかった………」

 

 

エスペランサは怪物の攻撃方法を早いうちから突き止めていた。

 

見たもの全てを殺す能力。

その能力を知った時、エスペランサは恐怖を抱かなかった。

 

彼が抱いた感情は唯一つ、憎悪だった。

 

 

無差別に人を殺める能力にエスペランサは憤り、そして、怪物をこの手で倒すと誓った。

 

 

かつて、あらゆる戦場で彼は恐怖の感情を抱いた。

 

しかし、今のエスペランサは恐怖の感情を一切抱かない。

罪無き生徒をバジリスクから救うと言う信念が恐怖を全て打ち消してしまったからだ。

 

 

 

 

「そうだな。敵を怖がっていたら戦いで勝つことはできないからな」

 

「私にはバジリスクを倒す事は出来ない。バジリスクに立ち向かう勇気もない。でも、勉強だけは苦手じゃないから………。だから、私は頭を使って出来る限りのことをしようと思ったのよ」

 

「そうだったのか………」

 

「これから私は図書館でバジリスクがどうやって校内を移動しているか調べるわ。もし、バジリスクの移動方法が分かれば、秘密の部屋の場所も突き止められるかもしれないしね」

 

 

 

そう言ってハーマイオニーは階段を再び駆け上がっていった。

 

 

ハーマイオニーは自分の役割を見つけた。

 

そして、その役割を全うするために奔走している。

 

 

 

ならば、自分も己の役割を果たさなくてはなるまい。

 

エスペランサはそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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センサーというのは光や温度、質量などの物理量を測定し、他の物理量に変換する装置である。

物理量を測定するセンサーにはパッシブ型とアクティブ型が存在するが、エスペランサがホグワーツ城内に設置したのはアクティブ型であった。

 

アクティブ型のセンサーは自身から超音波などを照射して、その反応を見るものである。

 

城内に設置したセンサーは一般にレーザースキャナと呼ばれるもので、対象物に向かって赤外レーザーを照射、その光が物体に反射して戻ってくるまでの時間や考量によって対処物との距離を計測するというものだ。

この対象物との距離を測定するという性質にエスペランサは目をつけた。

 

レーザースキャナを廊下の片方の壁に設置し、レーザーを反対側の壁に照射し続ける。

もし仮に、生徒が廊下を通れば、赤外レーザーは生徒に照射される。

すると、通常は反対の壁までの距離を測定していたはずが、急に生徒までの距離の測定に変わるために測定値が変化するわけだ。

 

人間一人がレーザースキャナの前を移動しただけでは、測定している距離の変化する時間は一瞬である。

しかし、巨大な生物が廊下を移動するのなら距離の変化する時間は生徒のそれよりも長くなるはずだ。

この事象を利用して、エスペランサの設置したセンサーは廊下を通ったのが人間か、それとも人間よりも巨大な生物かの判別が出来るようになっている。

 

そして、仮に、人間よりも巨大な生物が廊下を通った際には寝室に設置した警報機が鳴り響き、赤色灯が光るようになっていた。

 

 

 

 

ハーマイオニーと分かれてから、寝室に戻ってきたエスペランサは監視カメラから送られてくる映像を映し出すモニターの前に座り、インスタントコーヒーを淹れはじめた。

ホグワーツは英国故にコーヒーではなく紅茶を好んで飲む人間が多いが、元々、米国指揮下の特殊部隊で傭兵をしていたエスペランサに紅茶を飲む習慣はない。

 

そもそも、米国が紅茶ではなくコーヒーを好んで飲むようになったのはボウトン茶会事件が原因であるところが大きい。

英国と米国の文化の違いの源には2国間の衝突があった。

 

コーヒーを口に運びながらエスペランサはモニターを監視する。

モニターの横に設置してある赤色灯は一切の反応を示さず、警報機は沈黙したままだ。

この警報機はただ単にサイレンを鳴らすだけでなく、どこに設置されているセンサーに感があったかを知らせてくれる機能も搭載されていた。

一見、市販されている拡声器のような見た目をした警報機の付け根の部分にデジタル時計のような表示機が取り付けられており、そこに感のあったセンサーの設置された場所を示す記号が表されるようになっている。

 

 

「今のところは異常なし……か。…………?」

 

 

警報機には一切の以上が見られなかったが、監視カメラの映像の一つに彼は違和感を覚えた。

 

 

「監視カメラのバッテリー切れか、故障か?」

 

 

モニターの画面は9等分されており、1度に9箇所の廊下を監視できる。

設置した監視カメラは合計で27台。

センサーは100近くを設置している。

 

27台のカメラの映像をいっぺんに見る事は出来ないが、モニターに映す各廊下の映像は5秒おきに別の9箇所の映像に切り替わるようにしているので、15秒あれば27箇所の監視カメラの映像を見る事が可能だった。

ちなみに、このモニターはフローラとセオドールにも渡してある。

 

そんな27個の映像の一つがブラックアウト、つまり、故障か何かで映像を映し出せていないことにエスペランサは気づいた。

 

 

「バッテリーは今朝交換したばかりだ。なら故障か?いや、昨晩の点検では特に異常はなかったはずだ………」

 

エスペランサは一旦、映像の5秒おきの切り替えをストップさせ、ブラックアウトした映像を確認する。

 

ブラックアウトした画面は、本来なら図書館に一番近い洗面所の前の廊下を映し出しているはずだ。

 

 

「嫌な予感がする…………」

 

 

エスペランサがそう呟いた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

ビイイイイイイ

 

ビイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ

 

 

 

ビイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ

 

 

 

 

 

 

 

けたたましい音の警報が寝室に響き渡る。

 

警報機から発せられる警報音はその大きさからベットや床を軽く振動させた。

 

 

天井に近い部分に取り付けられた赤色灯ランプが赤く点灯し、部屋自体を赤く染め上げる。

 

 

 

 

 

 

「!!!!!!!!来たのか!?ついに!!!???」

 

 

 

そこで彼は思い出した。

 

石にされたコリン・クリービーが手に持っていたカメラは、内部が焼かれたようにめちゃめちゃになっていた事を。

あのカメラはバジリスクの目から出る光線によって焼かれたに違いない。

 

だとしたらエスペランサが設置した監視カメラもバジリスクの目によって壊されたのであろう。

 

エスペランサは咄嗟に警報機の下に取り付けられたデジタル表示機を見る。

 

 

『3F-2-C-002』

 

 

デジタル表示機に記されていた記号は図書館前の廊下を示すものであった。

つまり図書館前のセンサーが怪物を感知したというわけである。

 

 

 

「まずい!図書館にはハーマイオニーが居るはずだ!!!!!」

 

 

ハーマイオニーが図書館もしくは図書館付近に居るのは確実である。

このままでは彼女はバジリスクの餌食になってしまうだろう。

 

 

エスペランサはモニターの後ろに置いておいたマイクとヘッドセット、音声の送受信機を慌てて取り出す。

 

怪物が廊下に出現した際に、付近に居る生徒へ警告をする事が出来るように、廊下に設置したセンサーには小規模ではあるが放送機材をつけてある。

エスペランサが取り出した音声の送受信機は、そのセンサーに取り付けられた放送機材とリンクしている。

これにより、エスペランサは寝室に居ながら、各廊下に放送で警告を出来るようにしていた。

 

 

送受信機のつまみをいじり、センサーに取り付けられた放送機材の音量を最大にすると、彼はマイクに向かって怒鳴りつけるように警告を行う。

 

 

 

「警告!!!!図書館周辺の廊下にスリザリンの怪物が出現した!付近に居る人間は周囲を十分に警戒して城外へ非難されたし!また、怪物の目を決して目視しない事!!」

 

 

エスペランサはそう言い切った後、マイクを放り出し、ベットの下に隠しておいたグレネードランチャー搭載型のM4カービン自動小銃を取り出す。

既に30発入り弾倉とグレネード弾は装填済みだ。

 

銃を引っ掴んだ彼はドアをぶち破って談話室を後にした。

 

 

「頼む!間に合ってくれよ!!!」

 

 

寮を出て、図書館へと全力疾走するエスペランサはハーマイオニーが怪物に襲われていない事を必死で願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ハーマイオニー・グレンジャーはついに怪物の移動方法を見つけた。

 

彼女は図書館においてあったホグワーツの見取り図を広げ、バジリスクが出現したと思われる場所の周辺の構造を隈なく調べていたのだ。

 

 

ミセス・ノリスが襲われた廊下やコリン・クリービーが倒れていた廊下………。

 

調べた結果、バジリスクが出現した場所の周辺には漏れなく、巨大な水道管が走っている事に気がついた。

 

ホグワーツには無数の水道管が張り巡らされているが、その中でも、下水の処理などに使われる水道管のパイプは非常に大きく、バジリスクほどの巨大な蛇でも移動する事が出来るだろう。

恐らく、バジリスクはこの巨大なパイプの中を移動していたに違いない。

 

だから、ミセス・ノリスが襲われた晩に、ハリーはバジリスクの声が廊下を移動しているように聞こえたのであろう。

 

 

 

怪物の正体も移動方法も分かった。

 

継承者の正体は未だに掴めないが、バジリスクの移動方法が分かった事は大きな収穫と言える。

バジリスクが水道管を移動しているのなら、その水道管に地雷でも爆薬でも仕掛けてしまえば良いのだ。

 

水道管のあちこちに地雷を仕掛ければバジリスクはやがて、その地雷を踏み抜き、自動で倒されるだろう。

 

 

無論、ハーマイオニーは地雷も爆薬も持っていない。

 

しかし、彼女はその手の危険な兵器を大量に持っている生徒を一人知っていた。

 

エスペランサ・ルックウッドは確かC4やクレイモアを持っていたはずである。

1学年時、ハーマイオニーは彼がトロールをC4で吹き飛ばしたのを思い出した。

 

 

 

 

ハーマイオニーは自分の「魔法生物とその生息地」のバジリスクの項目が乗るページを破り、そこへ「パイプ」と走り書きをする。

 

そして、その破いたページをクシャクシャに丸めて手に持った。

 

仮に、自分が図書館から寮へ戻る道中にバジリスクに襲われた場合の事を考えてのことだ。

 

自分がバジリスクに殺されたとしても、バジリスクの項目の記されたページに「パイプ」という走り書きのしてあるこの紙をエスペランサが発見すれば、彼はバジリスクの移動方法を瞬時に導き出してくれるだろう。

 

 

 

 

ハーマイオニーはそうなる事を願いながら図書館を出た。

 

図書館には史書のマダム・ビンズも生徒も誰も居なかったが、図書館の外にはレイブンクローの女子生徒であるペネロピー・クリアウォーターという生徒が一人だけ歩いている。

ハーマイオニーはその生徒に、廊下の曲がり角を曲がる際は、曲がり角の向こうにバジリスクが居ないかどうかを確認してから曲がるように促した。

 

ペネロピーは疑わしそうにハーマイオニーを見たが、ハーマイオニーの必死そうな顔を見てそれを承知した。

恐らく、彼女もスリザリンの怪物がいつ出てくるかも分からないこの状況に少なからず恐怖を抱いていたのだろう。

 

 

図書館を出て、最初の曲がり角にさしかかろうとした時である。

急に、廊下の隅に隠されるようにして置かれたセンサーと放送機器からエスペランサの怒鳴るような警告が大音量で聞こえてきたのは。

 

 

 

 

『警告!!!!図書館周辺の廊下にスリザリンの怪物が出現した!付近に居る人間は周囲を十分に警戒して城外へ非難されたし!また、怪物の目を決して目視しない事!!』

 

 

 

 

この警告を聞いてパニックに陥ったのはペネロピーであった。

 

 

「ど、どうしよう!!!怪物が出たって!!!しかも、この近くに!!!」

 

 

 

慌ててこの場から逃げようとするペネロピーをハーマイオニーは必死で止めた。

 

 

「慌てて、逃げたら逆に危険よ!逃げる途中にバジリスクと鉢合わせしたら大変じゃない。でも、安心して。バジリスクは目を見ない限り死にはしないから。曲がり角を曲がるときに注意をしながら城外へ逃げましょう!」

 

 

ハーマイオニーも実際のところ怯えていた。

 

しかし、ここでパニックに陥るわけには行かない。

 

廊下の曲がり角を曲がるときだけ注意して避難すれば大丈夫だ、と自分に言い聞かせて平静を保った。

 

 

 

「これを使うの。この手鏡で廊下の向こう側を確かめながら避難すれば大丈夫よ」

 

 

彼女は鞄から手鏡を出した。

この手鏡を使えば曲がり角の先の様子を見る事が出来る。

 

曲がり角の先に仮にバジリスクが居たとしても、手鏡越しであるならばバジリスクの目を見た所で死にはしない。

 

 

ハーマイオニーは最初の曲がり角の向こうが見えるように手鏡を廊下へ突き出した。

曲がり角を曲がった先の廊下を映し出しているであろうその手鏡を覗く。

 

 

 

覗いたその手鏡に映っていたのは紛れもなくバジリスクであった。

 

黄色く光る鋭い目、10メートル近くある体長、長い牙。

まさしくスリザリンの怪物にふさわしい生物が、鏡に映し出されていた。

 

 

手鏡を介して、バジリスクの眼を目視したハーマイオニーは即座に石化してしまう。

 

石化する直前、彼女は後はエスペランサがバジリスクを倒してくれるであろうことを祈りながらも、自分が何も出来なかったという無力さを悔いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーああ。私は、ここまでだったか…………

 

 

 

 

 

 

彼女の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




センサーに関する知識が皆無だったので、かろうじで扱った事のあるレーザスキャナを登場させました。
突っ込みどころや、事実と異なる点があるかもしれませんが、素人知識であれやこれやを考察して書いてみたので、何卒、お許しください。




次回予告

虐殺!VSアラゴクと愉快な仲間たち!
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