仕事の前に1話投稿です!
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エスペランサ・ルックウッドとヴォルデモートの戦いは昨年度の賢者の石を巡った戦いよりも激しい物となっていた。
飛び交う銃弾。
ぶつかり合う榴弾。
あちこちで爆発や破裂が起こり、秘密の部屋は原形を留めないほどに破壊され尽くされていた。
そんな戦いをハリー・ポッターは岩陰から隠れて見ていた。
(何だこの戦いは!!??僕が首を突っ込める隙が一切ない!!)
ハリーも助太刀したい気持ちでいっぱいであったが、とてもじゃないが戦いに加わることの出来る状況にはなかった。
無数の銃弾が音速で行き交い、あちらこちらで爆発が起こっていて、しかも、バジリスクが暴れる戦場に杖すらないハリーが飛び込んでいけば、即、死が彼を迎えることになるだろう。
自分と同じ年の少年であるエスペランサはこれほどまでに激しい戦場に身を置きながらヴォルデモートと渡り合っていた。
彼がこの2年間で相当な努力と戦闘のための準備をしてきたかが分かる。
だが、エスペランサが本気を出してもやはりヴォルデモートは強大であった。
エスペランサの繰り出す攻撃を全て跳ね返すだけでなく、同時にバジリスクの操作と防衛までこなすヴォルデモート。
まだ完全に力を取り戻していない状態でここまでの戦闘をやってのけるヴォルデモートはやはり魔法界でも最強の存在なのだろう。
あっという間にエスペランサの魔法を無効にし、悪霊の炎で武器の9割を無力化してしまう。
悪霊の炎はエスペランサの身体をも損傷させ、勝敗を決してしまう。
「エスペランサ…………」
傷ついても尚、立ち上がり、銃を構えるエスペランサを見てハリーは立ち上がる。
この状況を打破できる力をハリーは持っていない。
しかし、友人がやられるところを黙って見ているわけにもいかなかった。
そんなハリーの気持ちに応えたのだろうか。
突如として上空から不死鳥のフォークスが飛来する。
そして、フォークスは古い組み分け帽子をハリーに投げ落とした。
「これは………剣??」
組み分け帽子の中には見たこともない剣が入っていた。
グリフィンドールの剣。
ゴブリンが作り上げた傑作であり、自身を強くするための物質なら何でも取り込んで自動で強化してしまうという剣。
バジリスクとの戦闘においてはカウンターウエポンとなり得る武器である。
おそらくダンブルドアが送ってくれたのだろう。
何の根拠も無かったが、この剣はバジリスクを倒すことの出来るものだとハリーは確信した。
ヴォルデモートはまだフォークスにも剣にも気づいていない。
エスペランサを殺すことに集中している。
チャンスは今しかなかった。
「うおおおおおおおお!!!!!」
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飛び出してきたハリーはグリフィンドールの剣をバジリスクの腹部に突き刺した。
腹部からは鮮血が噴き出し、返り血でハリーが赤く染まる。
「ハリーポッターだと!!??」
ハリーのことを完全に失念していたヴォルデモートは驚愕する。
バジリスクはうめき声をあげてのたうち回り始めた。
「ハリー!!!その剣は!?」
「分からないけどフォークスが届けてくれたんだ!」
「フォークス??」
エスペランサも剣を片手に飛び出してきたハリーに驚きを隠せない。
銀色に眩く光る剣をハリーはさらにバジリスクの腹部に突き刺し、グイっとひねりを加える。
肉が剣に絡まり、鮮血がさらに噴出した。
しかし、バジリスクは絶命しない。
「たかが剣一本でバジリスクが倒せると思ったのか!!!バジリスク!ポッターを殺せ!!!!」
ヴォルデモートはバジリスクに新たな指示を与える。
バジリスクは苦しみもがきながらもハリーを食い殺そうとしてボロボロになった口を開く。
バジリスクの腹部に剣を突き刺していたハリーは逃げ遅れる。
バジリスクの頭部とハリーとの距離は2メートル程度しかない。
「させると思うか??」
「何!?」
完全に体勢を立て直したエスペランサは杖をハリーを今まさに食い殺そうとしているバジリスクに向けた。
「‟ステータム・モータス 強制回避せよ!”」
エスペランサが敵からの攻撃を回避するために習得した呪文。
スネイプとの決闘における初手で初披露したマイナーな呪文である。
呪文をかけた対象を強制的に5.6メートル離れた位置に瞬間移動させる魔法であり使い勝手は非常に悪かったが、エスペランサはこの魔法に全てを賭けた。
バジリスクは魔法によって強制的にその巨体ごと6メートル後方へ移動させられる。
バジリスクが移動させられた場所は一見何の変哲もない空き地であった。
が………。
「何だその呪文は。たった数メートルを移動させるためだけの魔法を使って何が………!?なんだあの紐は!!??」
ヴォルデモートはバジリスクが飛ばされた空き地には数本のワイヤーが張られていた。
「保険の為に作っておいたキルゾーンだ」
エスペランサはニヤリと笑う。
彼はヴォルデモートが銃火器や榴弾をあしらうことを想定していた。
検知不可能拡大呪文のかかった鞄を無力化してくるところまでは予想していなかったが、それでも、保険としてバジリスクを嵌めるためのトラップは張っておいたほうが良いだろうと思ったのである。
そこで、秘密の部屋のある一か所にワイヤーで作動するプラスチック爆弾を複数個設置しておいた。
無論、それらを起爆させるにはワイヤーを張った場所までバジリスクを誘導するか強制移動させる必要があり、タイミングを見計らうのは非常に困難であったわけである。
ステータム・モータスの呪文でバジリスクを強制的に移動させることの出来る範囲は半径6メートルの円周上のみ。
ワイヤーを張ったキルゾーンからぴったり6メートル離れた場所にバジリスクが来なければ罠に嵌めることは出来なかった。
ハリーが剣をバジリスクに突き刺したことで、バジリスクがのたうち回り、偶然にもキルゾーンから6メートル離れた場所に侵入したため、エスペランサは勝機を得たのである。
数トンはあるバジリスクの巨体が張り巡らされたワイヤーを切る。
切られたワイヤーの延長線上に設置されたプラスチック爆弾はそれによって起爆した。
ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン
凄まじい爆発が起きる。
プラスチック爆弾が連鎖爆発したのだから、その威力は計り知れない。
秘密の部屋をグラグラと揺らし、岩壁を爆風が粉砕する。
バジリスクの周りは紅蓮の炎に包まれてしまった。
「不味い!バジリスクが!!‟プロテゴ まも…………」
咄嗟にバジリスクをプラスチック爆弾の爆風から守ろうとしたヴォルデモートであったが、それをハリーが阻止しようとする。
「トム・リドル!!!!君はただの記憶に過ぎない!!!君の本体はその日記帳だ!!!!」
ヴォルデモートの足元にはリドルの日記が転がっていた。
ジニーはその日記を使うことによってトム・リドルに操られたらしい。
また、リドルはジニーが死ぬことで自身が完全に肉体を得ることが出来る、つまり、現段階ではまだ肉体を持っていないということを仄めかしていた。
要するに、トム・リドルの本体は別にあると言う事だ。
その別にある本体こそ、リドルの日記なのだとハリーは確信した。
「やめろおおおおおおおお!!!」
ヴォルデモートはハリーを止めようとするが反応が遅れる。
バジリスクを守るか、日記を守るか、一瞬考えてしまったため動作に遅れが生じたのだ。
日記に突進してきたハリーは剣を振り上げる。
リドルの日記はヴォルデモートの分霊箱の一つであった。
つまりヴォルデモートの魂の一つである。
そして、分霊箱を破壊する手段の一つとしてバジリスクの猛毒が存在する。
グリフィンドールの剣は己を強化するためにバジリスクの毒を吸収していたため、リドルの日記を破壊するための武器と化していた。
ハリーはグリフィンドールの剣を振り下ろし、リドルの日記に突き刺した。
その途端にヴォルデモートは悲鳴を上げる。
「ぐわあああああああああ!!!!」
剣が突き刺さったリドルの日記の黒い表紙からはどす黒い血のような液体が噴き出していた。
ドバドバと滝のように流れ出す液体が地面を湿らせる。
それと共にリドル、いや、ヴォルデモートの身体にも異変が起き始めていた。
殆ど生身の肉体を取り戻しかけていたヴォルデモートであったが、ハリーが剣を日記に突き刺してから、その肉体が徐々にノイズが走ったようにブレ始める。
ヴォルデモート自身も余程苦しいのか、絶叫していた。
「く、もう少しで………完全な肉体が……取り戻せたというものを………」
ヴォルデモートは憎悪を露にして未だ日記に剣を突き刺したままのハリーとそして、エスペランサを睨みつける。
エスペランサの背後では複数個のプラスチック爆弾がワイヤートラップによって作動し、爆発していた。
オレンジ色の炎が激しく上がり、土煙と吹き飛ばされた瓦礫に視界がけぶる中、エスペランサは小銃を消えゆくヴォルデモートに向けて立っている。
悪霊の炎で焼き払われた脇腹は真っ赤に焼けただれ、バジリスクとの戦闘で身体のあちこちを負傷しながらも尚、彼は銃口をヴォルデモートに向けていた。
スリザリンの生み出した怪物であるバジリスクもプラスチック爆弾の連続攻撃に耐えることは出来なかった。
紅蓮の炎の中で巨大な大蛇の身体が黒焦げになりながら崩壊していくのが見える。
断末魔の声を上げてドウっと地面に倒れこむ怪物を背にしてエスペランサは言った。
「3.5kgあれば幅200mmの鉄製H鋼を爆発の一撃で切断できるプラスチック爆弾の連鎖攻撃だ。お前は魔法界からマグルを追放する礎とするつもりだったんだろうが、残念だったな。お前の切り札はマグルが開発した武器によって粉砕された!そして、ヴォルデモート。お前の存在も時期に消える」
ヴォルデモートの身体は白い光を噴き出しながら徐々に消えようとしている。
その反面、ジニーの顔には血の気が戻って来ているのがわかった。
激しい戦闘の中、何故かジニーに銃弾が跳弾したりしなかったのだが、それはヴォルデモートが守っていたからに他ならない。
ヴォルデモートはジニーの魂を吸収することで肉体を具現化しようとしていた。
なので完全に肉体を取り戻すまではジニーに死なれては困る、というわけだ。
「ぼ……僕が、マグルなんかに……負ける筈が」
「いや。お前の負けだ。そして、俺の勝ちだ。ヴォルデモート。最初に言ったよな。勝者が正義で敗者が悪だ。これで決まりだな。俺こそが正義だった、と」
エスペランサは勝利を宣言する。
ハリーとフォークスの手助けがあったからこその勝利ではあったが、結果的にバジリスクもヴォルデモートも撃退することに成功した。
作戦目標を達成したのだからこれは勝利と呼んでも良いだろう。
「はははははは。まあいい。今回は僕の負けだ。君を少し過小評価していたようだ。ああ。負けを認めよう。だが、ヴォルデモート卿は過去であり現在であり、そして、未来だ。この時代で未来の僕が、また力を取り戻して君たちを……闇に葬るだろう。せいぜい今を楽しんでおくことだ」
消えゆくヴォルデモート、いや、トム・リドルはエスペランサにそう言い聞かせる。
だが、エスペランサはニコリともせずに冷たく言葉を返した。
「悪いがヴォルデモート。俺にとってお前を倒すことは俺の最終目標を達成するためのプロセスに過ぎない。そうだな。おそらく未来のトム・リドル、つまり現在のヴォルデモートは近い将来、力を取り戻して襲い掛かってくるだろう」
「………………」
「だが、そうなったらまた俺が迎え撃つ。覚悟しておけ。マグルの力を舐めるなよ?」
「くくく………。君と又戦うのを楽しみにしているよ。エスペランサ・ルックウッド…………」
そう言い残してトム・リドルは消えた。
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秘密の部屋を脱出するのは一筋縄ではいかなかった。
まず、悪霊の炎で腹部を焼かれたエスペランサがまともに動けなくなったからである。
不死鳥のフォークスの涙には全ての傷を治す力があるらしく、フォークスが彼の腹部に涙を流してくれたおかげで火傷は速攻で治ってしまったが(エスペランサは不死鳥の涙を是非とも野戦病院に配りたいと思い、フォークスの目に砂をかけて無理やり涙を出させようとしたが、ハリーに止められた)………。
次に目を覚ましたジニーがワンワン泣き出して、それを慰めるのに時間がかかってしまう。
ジニーが泣いた理由はヴォルデモートに操られて自分がとんでもない事をしてしまったという自責の念から来るものと、リドルが勝手にジニーのハリーへの恋心をバラしてしまったことを知ったからということと、どさくさに紛れてハリーに抱き着いて泣いていたのをエスペランサに見られたことが原因であった。
さんざん自分を責めて泣いたジニーを宥めて、何とか部屋を出ようとした3人だったが。
ここで、エスペランサが寄り道をしてしまう。
プラスチック爆弾によって絶命したバジリスクは鼻より上が完全に吹き飛んでいたが、口元は割と無傷で残っていた。
エスペランサはその口元に残る牙に目を付けたのである。
バジリスクの牙にはヴォルデモートの魂を葬るほどに強力な毒が含まれている。
これを武器に転用させたら確実に戦力となるだろう。
彼はそう思って数十本の牙を魔法で引っこ抜き、かろうじで破壊を免れた雑嚢に詰め込んだ。
ハリーとジニーは怪訝そうにそれを眺めていたが、特に何も言わなかったのはエスペランサが奇行に及ぶのはいつものことだからだろう。
爆発や銃弾でボロボロになった秘密の部屋を出ると、ロンが道を塞いでいた岩を何とかどかして待っていた。
ロンとジニーは再会を涙して喜んだ。
ロンの傍らにいるロックハートが記憶喪失なのをエスペランサは不思議がったが、ロンがセロテープだらけの杖をフリフリとかざすのを見て何となく状況を察する。
また、ロンが勝手に彼の拳銃を持ち出していたことにも驚いた。
今度からは机に鍵をかけようと思ったが、鍵くらい魔法で簡単に攻略されてしまうことをエスペランサは思い出した。
その後、なんやかんやあって、小銃を担いだエスペランサに、組み分け帽子と剣を持ったハリー、記憶喪失でいつも以上にポンコツなロックハート(ロンもエスペランサも記憶喪失になったロックハートが気に入っていた)にウィーズリー兄妹を不死鳥のフォークスが怪力で持ち上げて、元居た女子便所まで帰してくれた。
体長1メートルもない鳥が人間5人を持ち上げて飛行することに疑問しか浮かばないエスペランサだったが、「まあ魔法生物だもんな」という一言で片づけることにした。
バジリスクもそうだが、不死鳥も相当にアレな存在だ。
トイレで待っていた嘆きのマートルはハリーに未だに足がついているのを確認すると残念そうに「死んだらいつでもここに来てね」と言う。
ロンがジニーに「ライバル出現だな」と耳打ちしてジニーが真っ赤になるのをエスペランサは呆れたように見ていた。
「さっきまで死ぬ思いで戦ってたのが嘘みたいだ。ハリーに恋するゴーストとロンの妹。何でもありなダンブルドアの鳥に記憶喪失のロックハート。突っ込みどころ満載でとても突っ込みたいんだが。もう今日は疲れた。突っ込むのは止めだ」
「ははは。僕も疲れたよ………」
ハリーもゲッソリして言う。
この1年、ハリーは厄年としか言いようがないくらいに不幸が続いた。
来年からは平和であると良いよな…とエスペランサは願う。
「それはそうと。エスペランサ。君、またひとりで戦おうとしただろう。僕たちに頼ってくれれば良いのに……。まあ僕たちじゃ力不足だけどさ」
「いや。そんなことは無い。今回はハリーやロンが居なければ勝てなかった。改めて礼を言う。ありがとう。いや、もう一人で戦うのには限界があるな……」
これはエスペランサの本音だった。
今回の戦いでエスペランサは単独での戦闘が如何に困難であるかを思い知った。
戦闘部隊を編成して戦えばどんなに楽だっただろうか………。
監視カメラを用いてバジリスクの出現を監視するなどの行動も一人では難しかったのを思い出す。
「それに……もう一人では戦えない」
「???」
エスペランサは悪霊の炎に焼かれて灰になってしまった検知不可能拡大呪文のかかった鞄を取り出す。
悪霊の炎でここまで焼かれた鞄はレパロを使っても修復不可能だろう。
すでに原形を留めていないし、闇の魔術で破壊されてしまったのだから。
フローラ・カローからもらったこの鞄を失ってしまったことでエスペランサは無数の銃火器や弾薬を携行することも出来なくなったし、彼の切り札であったエレクト・テーレムの呪文による武器の飽和攻撃も出来なくなってしまった。
これまでは単独でもそれなりの火力と汎用性で戦えていたが、神通力が無くなってしまった今、彼はただの一般兵士に成り下がってしまったのである。
今後の戦い方は相当に考える必要があった。
「お説教は後にして、早く寮に帰ろう。お腹ペコぺコだ。ジニーもだろ?」
「うん」
「じゃあ、マクゴナガルに事の顛末を報告する前にロックハートをどっかに置いてきて、寮の談話室で何か食べよう。エスペランサもそれで良いだろ?」
ロンが言う。
「はあ……。本来なら真っ先にマクゴナガルに報告をするべきなんだろうが…………。まあ、良いんじゃないか?どうせこの時間だし教職員は寝てるかもしれない。それに………」
エスペランサはため息交じりに言う。
「俺も今日は疲れた………」
チート道具も失ってただの兵士になってしまった主人公。
今後、どう戦うか………。
原作7巻で杖がレパロで直らなかったこともあったので、悪霊の炎に焼かれた鞄も復元不能にしました。
登場したプラスチック爆弾はトロールを倒した奴と同じC4です。
分霊箱のヴォルデモートがどうやってジニーを使って肉体を取り戻すのか、自分も疑問だったのですが、適当に魂でも吸収するんだろと思って書きました。まあ、あいついつでも何でもありなことするし………。
主人公の「マグルを舐めるな」という台詞はスネイプとの戦いと逆の状況になっていることに注目したいです。