ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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iPhoneが容量不足+ios自動アップデートでりんごループになり初期化を余儀なくされるという不幸。
書き溜めも消えたかなと思っていたら何故かメモ帳のデータだけ復旧したという。
何でだろう。

感想ありがとうございます!


case68 Eternal farewell〜永遠の別れ〜

セドリックの亡骸はホグワーツの空き教室に安置されていた。

全校生徒と彼の両親による葬儀をホグワーツ内で行う為である。

 

これはダンブルドアの提案であったが、ディゴリー夫妻は二つ返事で承諾した。

 

それを聞きつけたセンチュリオンの隊員は葬儀前に隊員だけでセドリックを弔いたいとエスペランサに申し出た。

無論、エスペランサもそれを望んだ。

 

幸いにもセドリックの亡骸が安置されていた空き教室の鍵の管理はフィルチの管轄であり、入室は容易である。

 

葬儀の行われる前日の夜。

総勢18名の隊員は必要の部屋の武器庫から小銃と銃剣を取り出し、空き教室へと向かった。

 

空き教室は日中でも薄暗かったが、遺体安置の為に様々な魔法が施されたので、清潔が保たれていた。

 

普段置かれている椅子や机は撤去され、部屋の中央に木製の棺桶が置かれている。

棺桶の周囲に置かれた無数の花がほのかに匂いを漂わせていた。

 

「整列!」

 

部屋に入った隊員たちはエスペランサの号令の下、正常間隔の2列横隊で整列する。

 

隊員達の前に立ったエスペランサは列の最左翼に立つチョウが今にも泣き崩れそうになっていることに気付いた。

隊員のメンタルを管理するフローラからの報告によれば、彼女は現在、軽い鬱傾向があるとのことだ。

無理も無いだろう。

 

「今回、我々の隊から初の戦死者が出た。遊撃部隊長として、吸魂鬼撃滅等に大きく貢献したセドリック・ディゴリーだ」

 

エスペランサは話始める。

 

「彼は我が隊随一の精強な隊員であり、彼の行動に勇気付けられた者も多い。セドリックは先の戦いでヴォルデモート勢力と戦闘を行い、そして、殺された」

 

敢えてアエーシェマの名前を出さなかったのは、フローラに対する配慮である。

エスペランサは尚も話を続けた。

 

薄暗い部屋の中で、彼の声が木霊する。

隊員たちは皆、その言葉に耳を傾けた。

 

「セドリックを城に連れて帰って来たのはハリー・ポッターだ。彼はセドリックが最後までセンチュリオンの旗を掲げて戦い抜いたことを教えてくれた。ならば、我々もその旗を掲げて戦わなくてはならない」

 

エスペランサがそこまで言うと、セオドールが隊員たちの前に出て来た。

 

「気をつけ!」

 

彼の号令で隊員たちは姿勢を正す。

 

隊員の持つ小銃の床尾は右足の小指に沿うようにつけられている。

彼らは、硝煙制退器と被筒の間を右手で握り、背中に旗竿を入れたように直立すると、つま先とつま先との間は45度に開いた。

 

「捧あぁぁげえぇぇ銃っ!」

 

隊員たちは3挙動で各々が持つ小銃を身体の前に捧げる。

 

18名の隊員はセドリックの死を受け入れ、そして、見送った。

 

「立あぁぁてえぇ銃!」

 

再びセオドールが号令をかける。

 

隊員たちは4挙動で銃を下ろした。

 

彼らはもう一度、セドリックの亡骸に目をやる。

仮に死喰い人と戦闘になっても、セドリックは生き残るだろうと誰しもが思っていた。

だが、彼は呆気なく死んだ。

 

18名の隊員は自分達も死喰い人と戦う限り、セドリック同様に戦死する可能性があることを理解したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セドリックの葬儀から1ヶ月近くが過ぎた。

 

ダームストラングとボーバトンの生徒は各々、母校へ帰ることになっている。

 

ホグワーツの生徒たちは名残惜しそうに握手をしたり、中には号泣している生徒も居た。

ハリーたちもクラムやフラーと別れの挨拶をしているようだ。

 

中庭から校庭にかけて、どこもかしこも別れの挨拶をする生徒で溢れている。

 

エスペランサはホグワーツの中庭にある石垣に腰を下ろし、煙草を咥えながらそれらを眺めていた。

 

ダームストラングの校長であるカルカロフは逃亡したため、ダームストラングの生徒は学生だけで帰るらしい。

 

試合も終わっているため、3校の生徒は互いに友好を深めていた。

とは言え、死者の出た試合の後ということもあり、校内はやはり暗い雰囲気が漂っている。

 

この1ヶ月でエスペランサたちセンチュリオンは定期訓練以外に活動をしていない。

フナサカに装備の開発をさせていることと、ザビニに諜報活動を頼んでいることを除けばだが。

 

 

「あ、あのー」

 

船や馬車に向かうダームストラング生とボーバトン生を眺めていたエスペランサは唐突に話しかけられて我を取り戻した。

 

振り返れば、フラー・デラクールの妹であるガブリエルが立っている。

 

大きめの鞄を抱えていることから見るに、馬車へ向かう途中なのだろう。

エスペランサは煙草を靴で踏みつけて煙を消した。

 

「ガブリエルか。久しぶりだな」

 

「はい。そうですね。最近、話す機会、無かったので」

 

「そうだな。色々あったからな」

 

ガブリエルは悲しそうな顔をした。

彼女もまた、セドリックとは面識があったので、彼の死にショックを受けていたに違いない。

 

「本当に………ディゴリーさんは殺されてしまったんですか?」

 

「ああ。そうだ」

 

「私………3校対抗試合が開催されて嬉しかったんですよ。毎日楽しかったし、あなたにも会えたから」

 

「………………」

 

「でも、でも、ディゴリーさんがこんなことになるのなら、開催なんてされなければ良かったです」

 

ガブリエルの目からは涙が溢れていた。

 

彼女はエスペランサよりもセドリックとの関わりが薄い。

だから、エスペランサは彼女がセドリックの為に涙を流す理由が分からなかった。

 

「ガブリエル。セドリックを3校対抗試合に参加するように促したのは俺なんだ。だから、俺もずっと罪悪感に苛まれていた」

 

「そう………なんですか?」

 

「そうだ。逆転時計を仕入れて過去を改竄してセドリックを救う道を模索する程度には後悔した」

 

「そんな。あなたが悔やむ必要は無いです。だって………」

 

「うん。俺も悔やむのは止めたよ。俺が促さなくてもセドリックはやはり、3校対抗試合に立候補しただろうしな」

 

エスペランサが居なくても、セドリックは3校対抗試合の選手になっていただろう。

それに、罪悪感とやらに苛まれて何も行動を起こさない様な人間に隊長は務まらない。

個人的な感情を抑え、エスペランサは死喰い人の殲滅に向けて動き出す必要があった。

 

「あなたは、ディゴリーさんを殺した人達をどうするつもりなんですか?」

 

「え?」

 

「私、第二の課題が終わった後から、ずっとあなたのことを見ていました。だから、分かるんです。ディゴリーさんが死んだあの夜から、あなたの雰囲気が変わってしまったことに」

 

「俺の雰囲気が変わった?」

 

「ううん。正確に言えば、変わったんじゃなくて、元に戻ったということなんだと思います。たぶん、今のあなたの雰囲気があなたの本質なんですよね?」

 

「言っている意味がわからんが」

 

「だって、今のエスペランサさんは、殺気に満ち溢れてるから。きっと、ディゴリーさんを殺した人達を殺す事しか考えていないんですよね?」

 

「それは………」

 

「あなたの本質は、それです。戦う事を恐れない。むしろ、戦いを好んでしまう。ここ最近のあなたは、悲しんでいる訳でも、悔やんでいる訳でも無く、ひたすらに敵を殺す事しか考えていない。そんな雰囲気でしたから近寄れなかったんです。私はディゴリーさんが殺されたと知って恐怖しました。でも、あなたは恐怖より先に殺意という感情を持った。違いますか?」

 

「違いない。俺は死喰い人たちを恐れた事は無いからな」

 

「やっぱりそうですか。私、ヴィーラの血が混じっていて、少しだけヴィーラの能力が使えるんです。だから、ヴィーラの能力でエスペランサさんのこと何回も誘惑しようとしてたんですよ?」

 

「そいつは知らなかった」

 

「でもでも、あなたに私の能力は効果ありませんでした」

 

エスペランサにヴィーラの能力が効かない事はワールドカップの時に分かっていた。

 

「そうみたいだな。俺にヴィーラの能力は効かない。でも、それは珍しい事じゃ無いだろ?」

 

「ううん。珍しいんです。特定の相手にヴィーラ能力を行使すれば、多少なりとも効果はあります。ヴィーラの能力が効かない相手っていうのは、人としての心を失った人とか、サイコキラーとか、あとは同性とか、それから、幸せになる事を拒否している人とか。あなたは恐怖よりも殺意を持つような人ですから、きっとヴィーラの能力も効かないんです。それに、ディゴリーさんが死んだ後のあなたは、もう………」

 

「………………」

 

「ねえ。だから心配なんです。あなたのことだから、きっと、死喰い人っていう人達と戦いに行くんでしょう?」

 

「戦おうとしてるのは俺だけじゃねえ。ダンブルドア達だって同じだ」

 

「ダメです。あなたは幸せになる事だって出来るんです。今ならまだ間に合います。あなたは壊れかけているけど、まだ完全に壊れた訳じゃ無い。戦いに行く以外の選択肢を選ぶ事も………」

 

「それは出来ない」

 

「なんで………!」

 

「魔法族は知らないかもしれないが、この世界には死喰い人よりもたちの悪い連中が大勢居る。今この瞬間も、大勢の罪無き人間が理不尽に殺されているんだ。紛争やテロ、弾圧。それを知っていて尚、見過ごす事なんて出来ないだろう?俺は偶然にも魔法という力を手に入れた。なら、その力で世界を救う役割を担っても良いじゃないか」

 

「そんなの!あなたじゃなくても!ダンブルドアとか、もっと力を持った人がやるべきじゃないですか!」

 

ガブリエルにはエスペランサが無茶をしようとしている様にしか思えなかった。

彼女はエスペランサは死喰い人を相手に戦おうとしているのだと思っていたが、実際には、より強大な物と戦おうとしていることに気付く。

 

世界を救う?

 

そんな事を真顔で言ってのける人間がまともな筈が無い。

 

「ダンブルドアか。俺に言わせてみれば、あれ程の魔法力を持っていながら、ヴォルデモートを倒すことしか頭に無いなんて、愚かだとも思えるがな。俺にダンブルドアと同じだけの魔法力があれば、とっくに死喰い人は殲滅出来ているさ」

 

「怖いですよ。私はあなたが怖いです。何で、自分の事をそんなに粗末に扱えるんですか?死ぬ事が怖く無いんですか?世界を救うとか、そんな事の前に自分を大切にして欲しいです!」

 

エスペランサの言葉から、彼は自身が死ぬ事を恐れていないのだとガブリエルは察した。

 

だが、果たしてそんな人間が存在するのだろうか。

ガブリエルは知る由も無かったが、ヴォルデモートですら死ぬことを恐れて分霊箱を作っているのだ。

 

「わからん。それに俺は自分の命を粗末にしようとなんてしていない」

 

「側から見てると、そうとしか思えないんです!」

 

はぁ、とガブリエルは溜息をついた。

 

「本当は、本当はあなたが無茶をしたり、命を投げ捨てるような事をしないように、ずっと側にいたかったんですけど、私はもうボーバトンに帰らないといけないので」

 

「おお。そうだな。のんびりしてると置いてかれるぞ」

 

見ればボーバトンの生徒たちはホグワーツの生徒と別れを告げて、ほとんどが馬車に戻っていた。

 

ホグワーツの生徒達は校庭に出て、見送りの準備をしている。

 

「本当だ!急がなきゃ!でも、このまま置いてかれたら、エスペランサさんともう少し一緒に居られるからそれでもいいかなー」

 

「お前なぁ」

 

「へへへ。冗談です。でも、あなたのことが心配なのは冗談ではないです。絶対に無茶なんてしないで下さいね?」

 

「ああ。気をつけよう」

 

「では、次に私と会うまでの間、エスペランサさんが無茶をしないように見張る役目は、あの人に任せますか」

 

「はあ?あの人?」

 

「ほら、そこで私とあなたが仲良くしてる事に嫉妬してる人がいるじゃないですか?」

 

エスペランサはガブリエルが指差す方向へ顔を向けた。

見れば、フローラが見送りをするホグワーツの生徒の中に混じって、エスペランサ達の方をじっと見ていた。

 

「ああ。フローラか。あいつは、まあ、俺の事を監視してるだけだから」

 

センチュリオンの人事と隊員管理を担っているフローラの事だから、エスペランサがガブリエルに何か情報を漏らしたりしないか監視しているのだろう。

エスペランサはそう考えていた。

 

二人の様子に気付いたフローラが近づいて来る。

 

「何ですか?二人して私の方を見て」

 

不快そうな顔をしながら近づいてきたフローラにガブリエルはニヤリと笑う。

 

「ふふ。私たちが何話しているのか気になって来ちゃったみたいですね?」

 

「はあ?別にそういう訳では無く。私はこの人が…………」

 

「まあ、何だって良いです。フローラさん。私が居ない間、エスペランサさんが無茶をしないようにしっかり見ていて下さいね?」

 

「え、まあ、それは勿論なんですけど」

 

話の流れが掴めていないフローラはキョトンとしている。

 

「じゃあ、私はボーバトンに戻ります。何かあれば絶対に協力しますので、連絡して下さいね!ではまたいつか会いましょう!」

 

名残惜しそうに手を振りながらボーバトンの馬車が停めてある方向へ走り出すガブリエル。

 

ガブリエルはエスペランサの異常性に気付いていた。

気付いてしまったので、矯正しようとも考えた。

だが、恐らくそんなことをしても徒労に終わるだろう。

 

自分にはエスペランサ・ルックウッドを光の道へ連れ出す事は出来ない。

ガブリエルは察したのだ。

 

彼女は去り際に、フローラに一言囁く。

その囁きは勿論、エスペランサには聞こえなかった。

 

「エスペランサさんの事、よろしくお願いします。あの人が暴走しないように、しっかりと支えてあげて下さいね」

 

「はあ………?」

 

「もし、次に会った時に、彼がフリーだったら………………。奪っちゃいますからね?」

 

「!?」

 

ほんのりと顔を赤く染めて動揺したフローラ。

へへへっと微笑んだガブリエルは今度こそボーバトンの馬車へと帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。

 

センチュリオンの隊員の一人であるザビニは図書室に籠もっていた。

彼は特にボーバトンやダームストラング生と関わりを持っていなかったので見送り行事には参加していない。

テーブルの上には大量の書物と羊皮紙が転がっている。

 

来るべき戦いを前にしてザビニはエスペランサに情報という物の重要性を説いた。

 

無論、エスペランサも戦争において情報戦が如何に重要であるかは知っている。

情報戦とは、それ即ちインテリジェンスの運用である。

 

だが、エスペランサはインテリジェンスの運用については素人である。

そもそも、大国はインテリジェンスを扱う組織、例えばCIAとかであるが、を専門に作っているため、末端の隊員がインテリジェンスを運用する事は無い。

 

そこでザビニは独学で勉強し始めたのである。

 

だが、魔法界ではインテリジェンスという概念は確立されていなかった。

無論、魔法界にも情報戦は存在する。

 

マグゴナガルは動物もどきとなり、スパイ活動をしていた。

これも立派なインテリジェンスだ。

 

しかし、集められた情報を解析したりする組織は魔法省に存在しないのである。

そもそも、魔法使いは真実薬や服従の呪いに頼りきる傾向があるのだ。

 

故に魔法省は死喰い人に簡単に乗っ取られるし、ヴォルデモートの復活を予期出来なかった。

 

無論、センチュリオンとて情報戦に長けている訳では無い。

情報の大切さを理解している隊員も少ないのだ。

そもそも、隊員たちは何が秘密になるのかを理解していない。

例えば、訓練作業予定や弾薬の管理表が無造作に机の上などに置かれているが、これは我が戦力や行動を秘匿する上で由々しき事態である。

 

そこで米国にならってセンチュリオンの保有するデータをシークレット、トップシークレット、コンフィデンシャルなどに分類して、扱われているデータの重要性が一目で分かるようにした。

隊員に防諜意識を持たせ、情報戦で敵組織に勝つ。

 

現状、死喰い人を含むヴォルデモート勢力と真っ向から戦って勝つ程の戦力が無いセンチュリオンであるが、情報戦でなら勝算がある。

 

親族も周囲の人間も皆、ヴォルデモート復活を祝福する者ばかりのザビニにとって敵勢力の情報収集は容易い。

本来なら自分も親ヴォルデモート派になっていたのだろう。

だが、彼は2年近く前に自分を吸魂鬼から救い出したエスペランサの姿を見て考えを変えたのだ。

 

マグル生まれを差別したり、純血以外を見下したりするよりも、エスペランサ・ルックウッドのように戦う方がきっと誇れる生き方に違いない。

 

故にザビニはエスペランサの力になれるよう、戦いに備えているのである。

 




最近は魔女の旅々にハマってます。
イレイナさんみたいな魔女良いですね。

あと、かぐや様のイベントのライブビューイングに行きました。
3期おめでとうございます!
アオハルかよ!
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