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あと今朝の夢でヒッポグリフに襲われる夢を見ました
case91 Attack on Titan 〜VS巨人〜
ドラコ・マルフォイは虚な気分で自宅である屋敷に戻ってきた。
父親はアズカバンに投獄され、マルフォイ家=犯罪者という認識が世間に広がったのだ。
虚な気分になるのも無理はない。
魔法省での出来事やルシウスがやってきた事を考えれば投獄されるのは致し方無い。
それはドラコにも十分分かっていた。
ヴォルデモート側の陣営が悪である事を今更、否定することも無い。
それでも、ドラコは父親をアズカバンに投獄した闇祓いや、ダンブルドアやハリーが憎かった。
そして、エスペランサ・ルックウッドをはじめとしたセンチュリオンなる組織の人間。
彼らも同様に憎い。
エスペランサは死喰い人を容赦なく射殺した。
恐らく、ルシウスが生き延びたのは運が良かっただけだろう。
死喰い人であれば誰であろうと躊躇なく殺すセンチュリオンという組織をドラコは憎むと共に恐れていた。
さて、今、マルフォイ家の屋敷には大勢の死喰い人が出入りしている。
ルシウスの失態によりマルフォイ家の立場が落ち、屋敷が死喰い人達に蹂躙されているのだ。
そして、本日はもう一人、来客があった。
「おお。これはこれは。ルシウスの息子よ。確かドラコと言ったか?」
高貴さを思わせる大広間の長テーブルの奥。
本来であれば家の主であるルシウスが座るべき場所に堂々と座っていたのは……。
「は、はじめまして……。我が君……」
ヴォルデモート卿だ。
ドラコは無論、ヴォルデモートに会ったことが無かった。
だが、初対面でありながら、この男がヴォルデモートである事を悟った。
黒いフードから覗かせる赤い目。
蛇の様な鼻。
そして、有無を言わさぬ強者のオーラ。
こんな化け物みたいな人間相手にエスペランサは、センチュリオンは戦いを挑もうとしているのか?
こんな化け物とハリー・ポッターは何度も戦い、生き延びてきたのか?
ドラコは怖気付き、そして、自分の親や、多くの純血達がヴォルデモートに従った理由を理解した。
この人間に勝てる魔法使いなんて居ない……。
「ええ。我が君。私の息子、ドラコ・マルフォイで御座います」
ナルシッサがヴォルデモートの横に跪いて言う。
「そうか……。ドラコ。お前は父親のルシウスより有能そうだ」
ヴォルデモートが優しく言う。
しかし、その眼は笑っていなかったし、ゾッとする程の悪意が言葉に込められていた。
「我が君!夫は過ちを犯しましたが、すぐに私が挽回致します!ドラコでは無く、私が」
「シシー!少し黙るんだ」
ヴォルデモートの左脇に控えていたベラトリックスがナルシッサを止めた。
今、この広い大広間にはベラトリックスをはじめとした死喰い人が数人、集まっている。
ドロホフやルックウッド、カロー兄妹等だ。
「ナルシッサよ。俺様はドラコに話しているのだ。確かにルシウスは失態を犯した。本来ならそれ相応の罰が必要だ。しかし、俺様はマルフォイ家に挽回の機会を与えようとしているのだ」
「ば、挽回の機会ですか?」
「そうとも。ドラコ。俺様は残念ながらホグワーツに入る事が出来ない。それは、ダンブルドアの守護呪文が強力であるが故だ。認めるのは癪だがダンブルドアの魔法の腕は俺様も認めるところなのだ」
ヴォルデモートは立ち上がり、ドラコの側に来た。
ドラコは恐怖心から1ミリも動けなくなる。
「だが、ドラコ。お前はホグワーツの生徒だ。父親を助けたいのなら……。あの城で、ダンブルドアとエスペランサ・ルックウッドを殺せ」
「だ、ダンブルドアとルックウッドを……?ダンブルドアは兎も角、ルックウッド?」
「エスペランサ・ルックウッド自体は脅威では無い。この間は一矢報いられたが、これは窮鼠猫を噛むという奴だ。だが、俺様は、奴の持つ組織は死喰い人にとって脅威と思っているのだ」
「センチュリオン………」
「そうだ。奴らは俺様の計画の邪魔になる。だから殺せ。そうすればマルフォイ家の安泰は俺様が保証する。地位も上げてやろう」
失敗したらどうなるのか?
とは聞けなかった。
失敗したら自分も、父親も母親も消される。
そんなことは考えなくても分かっていた。
断る事は出来ない。
だが、ドラコに残っていた良心が呵責する。
元々、彼はダンブルドアの事を嫌いながらも殺意等覚えた事はない。
それはエスペランサも同様だ。
そもそもダンブルドアに危害を加えられた事もないのだ。
ダンブルドアを殺害する事、いや、殺人を犯す事を身体が拒絶している。
それでも、ドラコは首を縦に振るしか無かった。
彼にとってダンブルドアの命よりも家族の命の方が遥かに大切だったからだ。
英国西部の田舎町。
日差しが照り付け、アスファルトが熱気で歪む。
時刻は10時過ぎ。
人口数千人に過ぎない小さな町を今、巨人が蹂躙しようとしていた。
死喰い人に懐柔された巨人の集団は、その死喰い人指揮の下、マグル界で破壊の限りを尽くす事を許された。
ヴォルデモートが復活してから最初の破壊活動となる今回の襲撃を任された死喰い人の一人は誇らしげに巨人を従えて街へ向かう。
本当であればロンドン等の大都会を襲撃したいところだったが、その手の街は魔法省の防衛網が張られている。
故に片田舎に限定した襲撃となったが、それでも死喰い人は満足だった。
破壊活動をするのは十数年ぶりの事である。
ふつふつと湧き上がる残忍な感情を抑え、彼は傍の巨人に声をかけた。
「今からあの町を破壊する。手当たり次第に破壊し、殺し、略奪しろ」
死喰い人が従えていた身長10メートル近くある巨人は深く頷く。
この巨人は今回連れてきた巨人の中で唯一、英語が分かる巨人だ。
本襲撃に参加するのは巨人3体と死喰い人2人。
それに死喰い人もどきのゴロツキが6名程だ。
それだけいれば闇祓い相手でもやり合うことは出来るだろう。
何せ巨人には魔法が効かない。
故に対闇祓い戦闘において巨人は貴重な戦力になるのだ。
10メートル近い巨人3体は木を押し倒し、地面を揺るがせながら、森を進む。
そして、森が抜け、マグルの街が見えるところまでやってきた。
「……片田舎だとは思っていたが、それにしても人の気配の無い街だな」
死喰い人は巨人の足元で街を眺め、呟く。
国道を走る車は無く、数件ある店はシャッターを下ろしていた。
街中を歩くマグルは一人も居ない。
まるで、住民全員が夜逃げしたような……。
「ひょっとして襲撃に勘づいて全員、逃げ出したんじゃ?」
「馬鹿言え。この襲撃は極秘裏に計画が進められていたんだ。闇祓いはおろか、マグルどもが気付く訳ないだろ」
と言いつつ、死喰い人も得体の知れない不安を感じていた。
何かがおかしい。
しかし、巨人にとってはそんなことどうでも良いらしい。
死喰い人を他所にして1体の巨人が棍棒を振り上げて、街へ走り始めた。
3体の中で最も凶暴で、尚且つ脳が足りない個体だ。
「おいこら!待て!」
死喰い人が止めようとしたが、巨人は聞きもしないし、英語がわからない。
巨人は森を抜け、国道を横切り、街頭や街路樹をへし曲げながら街へ侵入しようとした。
その時……。
凄まじい炸裂音と共に巨人の頭が吹き飛ばされた。
何の前触れも無く、突然、巨人の頭が爆発したのだ。
死喰い人達は信じられない光景に足を止める。
巨人の脳味噌が雨のように地面に降り注ぎ、アスファルトを赤く染めた。
巨人、いや、巨人だった物は悲鳴一つ上げずに地面に倒れ込む。
「何が起きたんだ!?」
「魔法か?いや、魔法は巨人に効かない。だが、魔法でないなら何が?」
死喰い人達は混乱する。
魔法界で無敵とされた巨人が一瞬で戦闘不能にされたのだ。
死喰い人達だけでなく巨人も困惑している。
「見ろ!死んだ巨人を!肩から上が破裂しているが、傷口を見るに上から攻撃された可能性が高い」
「上からだって!?どうやって?」
疑問に思いながらも死喰い人達は杖を上空に向けて盾の呪文を展開した。
すると、ヒュルルという音と共に見たこともない鉄の塊が飛来し、盾の呪文によって作られたシールドに衝突する。
爆発と炸裂音。
マグル界ではM374A2榴弾と呼ばれる迫撃砲弾の爆発に死喰い人達は驚愕する。
「これは……一体なんだ!」
予期せぬ近代兵器の攻撃に彼らの指揮系統は崩壊した。
先頭の巨人の頭部に迫撃砲弾が着弾したのを双眼鏡越しに確認したアーニー・マクミランはホッと息をついた。
彼は81ミリ迫撃砲L16の扱いに長けていたし、相当な自信家だったが、それでも、実戦は緊張する。
街全体が見渡せる丘の上に構築した迫撃陣地に居るセンチュリオンの隊員は僅かに5名。
その指揮を務めるのがアーニーだ。
本隊は数百マイル離れたロンドンで作戦展開中であり、巨人迎撃作戦に割ける人数は若干名しか居なかったのである。
そもそも、この巨人の襲撃自体、ロンドン有事のカムフラージュとして用意された囮作戦だと副隊長のセオドールは言い切っていた。
なので、主力はロンドンに展開させ、少数の野戦砲部隊を巨人迎撃に充てたのである。
余談だが、町の住民は「大規模なマグル避け呪文」で強制的に避難させていた。
コンフリンゴやボンバーダを凌駕する破壊力を持った迫撃砲は巨人相手でも圧倒的優位性を持たせてくれる。
しかし、そもそも迫撃砲というのはその名前からして、複数発の砲弾を撃ち込んでこそ意味のある武器。
今回のようにたった1門をたったの5名だけで運用する事はあり得ない。
いや、5名中2名は別の武器に付いているから実質、L16を運用しているのはアーニーとダフネのみ。
観測、装填、発射を二人で行う事が出来たのは魔法による補助があってこそだ。
さらに、本来であれば発射後は速やかな陣地変換が必要である。
しかし、敵が巨人と死喰い人であるならその必要は無い。
81ミリ迫撃砲の射程は5000メートル以上。
それに対して死喰い人側は5000メートルを超える攻撃が不可能。
レンジの上で圧倒的に有利なアーニー達が陣地変換をする意味はほとんどない。
迫撃陣地と巨人の距離は現在3000メートル。
向こう側からこちらは視認し難い上、死喰い人は迫撃砲という兵器を知らない。
戦いは一方的になる筈だった。
射程5000メートルを超える81ミリ迫撃砲の攻撃だけで終われば話は早いのだ。
しかし、敵は思ったよりも柔軟にこの未知の武器に対応してきた。
上空からの攻撃を警戒したのだろう。
敵の魔法使い達は杖を上に掲げて盾の呪文を展開する。
「あれでは迫撃砲による攻撃は無意味になる。予想より早く対応してきたな」
双眼鏡を覗くアーニーがボヤく。
手前の巨人は初弾で倒せたが、後続の2体は死喰い人の盾の呪文のおかげで無傷だ。
ゴツゴツとした岩山を想像させる巨人は双眼鏡越しでも圧巻であり、3000メートル離れていても恐怖心が湧く。
「作戦の段階を繰り上げる。ATM発射用意」
ATMというのはanti tank missileの略で、すなわち対戦車ミサイルの事だ。
決して金を下ろす機械の事ではない。
センチュリオンで採用しているのは米軍で広く使われているTOW対戦車ミサイル。
筒のような発射管にミサイルが納められており、誘導方式は半自動指令照準線一致誘導方式という長ったらしい名前の方式である。
この誘導方式はミサイルの出すレーザー光と照準の中心とのズレを修正して誘導するというものだ。
故に、発射から着弾まで射手が照準中心に目標を捕らえ続ける必要があり、発射後もミサイルと発射機はワイヤーで接続されており、誘導情報がワイヤーを伝わって電気的にミサイル本体へ伝達されるのだ。
後方で控えていた隊員が既に設置されているTOWの照準器を覗き込む。
「目標捕捉!TOW発射用意よし」
「焦るな。TOWを発射すればこちらの位置は必ず露見する。初弾で確実に命中させろ」
「り、了解」
隊員達は魔法界で育って来た故に巨人の恐ろしさを知っている。
だから、ロングレンジで有利な今のうちに、とっとと倒してしまいたいと思っているのだ。
その気持ちが焦りに繋がる。
「撃てっ!」
アーニーの号令を聞いた射手がTOW対戦車ミサイルを発射した。
発射器を突き破り、白煙と共に飛翔したミサイルは真っ直ぐに巨人へと向かう。
巨人にミサイルを避ける手段は無かった。
いや、巨人は死ぬその瞬間まで、何が起きたのか理解していなかっただろう。
飛来した対戦車ミサイルは巨人の頭蓋を貫き、一瞬にして生命活動を停止させたからだ。
「……命中」
巨人の頭がTOWによって吹き飛ばされたのを目視で確認した隊員達は安堵する。
敵の死喰い人達も動揺し、指揮系統に乱れが見えた。
だが……。
「危ない!?伏せて!」
突然、ダフネが空中を指差して叫ぶ。
隊員達は何事かとその方向を向いた。
「何っ!退避だ!退避しろ」
生き残った巨人の一体が迫撃陣地に向けて棍棒を投げつけてきたのだ。
巨人と迫撃陣地との距離はまだ3000メートル近くあったが、恐るべき事に棍棒は3000メートルも飛び、陣地へと突き刺さった。
間一髪で攻撃を交わした隊員達であるが、設置していた迫撃砲は不運にも棍棒が直撃して砲身が変形してしまっている。
周囲の地面も抉れてしまい、土煙が舞っていた。
「何て馬鹿力なんだ!巨人には3000メートルも離れたこの陣地が見えているのか!?それに、ピンポイントで投擲してくるなんて信じられねえ」
「どうする!?迫撃砲は使い物にならない。もう一発TOWを撃ち込むか?」
アーニーは双眼鏡を覗き込む。
巨人は確実にアーニー達を目視出来ているのだろう。
巨体からは想像もつかない敏捷さで陣地に向かって走って来ている。
このままでは5分程度で陣地へたどり着いてしまうだろう。
「TOWはもう間に合わない。だが、心配するな。策はある」
彼は冷静だった。
本作戦で隊長のエスペランサが要求したのは2点。
一つ目は巨人の殲滅。
二つ目は戦死者を出さないこと。
この二つを達成するための作戦立案は副隊長のセオドールではなく、現場指揮官のアーニーに一任されていた。
対巨人戦闘をするならば近接戦闘は避け、中距離火力である迫撃砲や対戦車榴弾、誘導弾を使用するのが好ましい。
故にアーニーは迫撃砲とTOWを投入した。
だが、作戦参加人数は5名のみ。
飽和攻撃は期待出来ない。
もし、迫撃砲とTOWの攻撃を掻い潜り、巨人が至近距離まで接近してきたら……。
「そうだ。そのまま来い!」
巨人と隊員達の距離は目測で1000メートルを切った。
それでもアーニーは攻撃指示を出さない。
500メートル。
200メートル。
ついに100メートルを切り、地響きを立てながら巨人は隊員達に襲い掛かろうとした。
「今だ!総員、伏せろ!」
アーニーの号令で隊員達は一斉に地面に伏せる。
それと同時に、彼らの100メートル先、ちょうど巨人がいる場所が爆発した。
側から見れば、丘が噴火したように見えただろう。
事実、死喰い人達はそう思った。
だが、実際には地面に埋めてあった対戦車地雷が爆発しただけだ。
巨人によって踏み抜かれた対戦車地雷は見事に起爆。
巨人の下半身を一瞬で吹き飛ばしてしまう。
断末魔の叫びと共に"巨人だったもの"は地面に倒れ込んだ。
「やったのか?」
「ああ。倒したみたいだな」
アーニーは立ち上がり、内臓を撒き散らして倒れている巨人に目を向けた。
100メートル離れていても肉が焼ける悪臭が漂ってくる。
後処理は闇祓いか担当の魔法省職員にやらせたいところだ。
「巨人と白兵戦になれば勝ち目は無い。なら、罠に嵌めるか迫撃すれば良いんだ。対人用もしくは対戦車用のトラップの存在を知らない巨人や死喰い人相手なら有効だ」
隊員に負傷者はいない。
逆に敵は虎の子の巨人3体を失い、敗走を開始していた。
「どんなもんだ!ざまあみろ!おい、見たか?俺の作戦で3体もの巨人を倒してやったぜ?」
「はしゃぎ過ぎ……。もっと緊張感持たないと隊長に怒られるよ」
「何言ってんだ!魔法界じゃ無敵を誇る巨人3体をほぼ無傷で倒せたんだ」
アーニーのはしゃぎ方はまるでクィディッチの試合を観戦しているかのようだった。
ダフネはその姿に呆れ、釘を刺そうとしたが、止めた。
彼の手が小刻みに震えていたからである。
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