FAIRY TAIL 海竜の子   作:エクシード

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ありがとうございます!! 凄く嬉しいです!


おかえりなさいませ

 

 

 

 

 

「ご、ごめんなさい……僕にも……よく分かりません!」

 

突然さっきまでの態度とは一転し、ビクビクと体を震わせて怯えるエドナツさんを見て、僕達は目を丸くする。

 

「……お、お前……本当にさっきまでのオレ?」

 

恐る恐る近づき、声を震わせながら質問するナツさんに、エドナツさんは泣きながら返答する。

 

「は、はい! よく言われます! 車に乗ると性格変わるって!」

 

「こっちがホントのエドナツだぁ!?」

 

その様子を見たハッピーが顔に沢山の汗を浮かべながら叫ぶと、エドナツさんは「大きな声出さないで! 怖いよ……!」と言って体を小さくする。

 

その光景に愕然としているナツさんに、ルーシィさんがニヤニヤと笑いながら「鏡のモノマネ芸でもする?」と問いかける。

 

「ごめんなさい! ごめんなさい! でも僕には無理です……ルーシィさんの頼みだからここまで来ただけなんですぅ!!」

 

「いえいえ、無理しなくていいですよ?」

 

頭を下げてそう訴えるエドナツさんにウェンディが優しく声をかけると、エドナツさんは落ち着いたようで頬を緩ませる。

 

「もしかして、ウェンディさんですか? わぁ……ちっちゃくて可愛い……それで隣に居るのが……ひっ!?」

 

エドナツさんは僕を視認すると、車の後ろに素早く隠れた。

 

「テューズさんがウェンディさんの隣に!? お願いですから喧嘩しないで!!」

 

「あ、いや……喧嘩しませんから安心して下さい」

 

「ホントに……?」

 

「ホントですよ! ほら?」

 

なかなか信じてくれないエドナツさんを見たウェンディが僕と手を繋いで見せると、エドナツさんがビクビクしながら元の位置に戻る。

 

「ウェンディさんとテューズさんが手を繋ぐなんて……信じられない……それに、こっちのテューズさんもなんだかちっちゃいし可愛い……」

 

小さいと言われた事に若干傷つきながらもエドナツさんが信じてくれた事に安堵すると、ハッピーが一歩前に出て自己紹介をする。

 

「オイラはハッピー! こっちがシャルルでこっちがフィールだよ」

 

「あたしはもう知ってると思うけど――」

 

「ひぃ!? ごめんなさい! なんでもします!!」

 

ルーシィさんを見て再びエドナツさんが隠れてしまい、ナツさんがルーシィさんに文句を垂れる。

 

「お前さ、もっとオレに優しくしてやれよ」

 

 

「こっちのルーシィさんは、皆さんをここまで運ぶだけでいいって……だから僕……」

 

「ここまで?」

 

何も無い荒野だと思っていたが、エドナツさんに言われて辺りを見回すと、ここは少し高い場所だったらしく、大きな都市が見える。そしてその中央に聳え立つ巨大な城。

 

「ここって……」

 

「もしかして王都!?」

 

「大きい……!」

 

王都の近くまで来ていた事を知ったナツさんはエドナツさんの肩に手を回し、「なんだよ! 着いてんならそう言えよ!」と笑みで言うが、それすらも怖かったようでエドナツさんは震えている。

 

「あのどこかに、魔水晶に変えられたみんなが……」

 

「さっさと行くわよ!」

 

「時間がありません!」

 

そう言って駆けていくシャルルとフィールの後を慌てて追って、王都へ足を踏み入れた。

 

 

 

 

王都は今まで訪れた街とは違って住民が皆楽しそうにしており、街の装飾に魔法がふんだんに使われてキラキラと輝いている。

 

「なんだこれ……?」

 

「意外ですね。独裁国家の統治下って言うから、もっと暗い街を想像してました……」

 

「案外簡単に入れましたし……」

 

ルーエンやシッカと違って遊園地のようなこの街に、シャルル達の顔が険しくなる。

 

「魔力を奪ってこの王都に集中させているのよ」

 

「国民の人気を得るために、こんな娯楽都市にしたんですね」

 

「呆れた王様ね」

 

そう言って街を歩いていると、広場の方が騒がしくなっている事に気づき、みんなで見に行ってみる。

 

先頭を走るナツさんの後をついていくと、なにやら凄い人混みが出来ている。

人混みの中を歩いて行くナツさんが突然足を止め、ルーシィさんがナツさんの背中にぶつかり文句を言うが、その表情もすぐに驚愕に変わる。

 

「魔水晶……?」

 

「まさか……マグノリアのみんな……」

 

広場の中央にあったのは巨大な魔水晶で、倒れないように縄で固定され、その周りを兵士達が警備している。

 

「これ、一部分です……」

 

「切り取られた後があるわね」

 

フィール達に言われて魔水晶を凝視してみると、確かに切り取られた跡があり、ルーシィさんがこの大きさで全部ではないことに喫驚している。

 

すると、周りの人達が大きな歓声を上げ、魔水晶の前に建てられた高い演説台に一人の老人が立った。老人が手に持った杖で台をつくと周囲の歓声が止む。この場に集まった人達の中には、涙を流している人もいた。

 

「エドラスの子らよ……我が神聖なるエドラス国は、アニマにより十年分の魔力を生み出した!」

 

「何が生み出しただよ! オイラ達の世界から奪ったくせに!!」

 

「落ち着いてくださいハッピー!」

 

老人の演説が始まると、ハッピーは怒りに顔を歪め、ナツさんも怒りを露にする。

 

「共に歌い、共に笑い、この喜びを分かち合おう!」

 

そう語りながら老人が両手を広げると、周囲から再び歓声が起こる。

 

「エドラスの民にはこの魔力を共有する権利があり! また、エドラスの民のみが未来へと続く神聖なる民族!  我が国からは、誰も魔力を奪えなぁい!!!

 

そして、我はさらなる魔力を手に入れると約束しよう……!」

 

老人は後ろに固定されている魔水晶に杖を突き刺し、魔水晶に小さな亀裂が奔った。

 

「これしきの魔力が、ゴミに思えるほどのなぁ……!」

 

その時、魔水晶に入った小さな亀裂から欠片が落ち、僕の前で地面に当たって砕け散る。

 

手が震え、目に涙が浮かぶ。

今までの仲間達との思い出が脳裏を過ぎり、怒りに震える唇を噛んで一歩前に踏み出すと、誰かが僕の袖を掴んだ。

 

「今はダメ……我慢して……」

 

僕の袖を掴んだウェンディの手は震えており、隣ではルーシィさんが涙を流しながら必死にナツさんを止めている。

その向こうにいるシャルルと目が合うと、シャルルは目を閉じて小さく首を横に振った。

 

「お願い……」

 

震える声でウェンディに言われて握りしめていた手を緩めると、堪えていた涙が頬を伝った。魔水晶に視線を向ける。

 

(みんな……絶対に助けるから……!)

 

その決意を胸に、僕達は広場を後にした。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

あの後宿に戻ってどのくらい経ったのか、窓から見える太陽は沈みかけており、全員が暗い表情でいる中シャルルが何かを必死に書いていた。

 

「やっぱり我慢できねぇ!! オレは城に乗り込むぞ!!」

 

立ち上がるナツさんに、シャルルが制止をかける。

 

「ちゃんと作戦を立てなきゃ、みんなを元に戻せないわよ!」

 

シャルルの指摘を受けたナツさんには返す言葉がなく悔しそうにしていると、ウェンディが小さく呟く。

 

「みんな、あんな水晶にされちゃって……どうやって元に戻せばいいんだろ……」

 

シャルルは再び何かを書きながら、「王に直接聞くしかないわね」と答える。

 

「教えてくれる訳無いよ……」

 

と僕が呟くと、ルーシィさんが何か思い付いたように立ち上がる。

 

「そうか、王様はみんなを元に戻す方法を知ってるの!?」

 

その問いかけに「恐らくは」と答えると、ルーシィさんが笑みを浮かべた。

 

 

「いけるかもしれない! もしも王様に近づく事ができたら!」

 

「本当か!?」

 

ルーシィさんの言葉にナツさんが食い付き、ウェンディが「どういう事ですか?」と尋ねると、ルーシィさんが説明してくれる。

 

「ジェミニよ! ジェミニは触れた人に変身出来るんだけど、その間、その人の考えてることまで分かるの! つまり王様に変身できれば、みんなを助ける方法が分かるかも!!」

 

ルーシィさんの作戦にナツさんが感心するが、ルーシィさんは顔を険しくして説明を補足する。

 

「ただし、変身できるのは5分間だけ。それと、変身できる人のストックは二人までで、その後変身しちゃうと古い方から変身できなくなっちゃうんだけど……問題はどうやって王様に近づくか……」

 

「流石に護衛が多過ぎて簡単には……」

 

「エドラスじゃ、戦えるのはルーシィさんだけですし……」

 

みんなで王様に近づく方法を考えていると、シャルルが地図の描かれた紙を僕達に見せてきた。

 

「王に近づく方法はあるわ。元々は城から外への脱出通路だったんだけど、街外れの坑道から城の地下へと繋がってるはず」

 

「凄い! でもなんで知ってるの?」

 

ウェンディが声を弾ませてそう問いかけると、シャルルは自分の頭を指しながら答える。

 

「情報よ、断片的に浮かんでくるの。エドラスに来てから、少しずつ地理の情報が追加されるようになったわ」

 

「……私は全く……」

 

「オイラも全然だよ……」

 

ハッピーとフィールが悲しそうに呟くが、「そこから城に潜入できればなんとかなるかも!」というルーシィさんの発言によって、それぞれが気合いを入れる。

 

「よぉし! みんなを元に戻すぞ!」

 

「はい!」

 

「行きましょう!」

 

「あいさー!!」

 

気合いを入れたナツさんが扉に手をかけた時、シャルルが再び制止をかける。

 

「待って、出発は夜よ。今は少しでも休みましょう」

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

日が沈んだ頃、誰にも見つからないように注意しながら目的地である坑道の前に到着する。

 

「ここ?」

 

「えぇ、間違いない」

 

その言葉を聞いたナツさんが坑道に足を踏み入れると、またしてもシャルルが制止をかける。

 

「はやる気持ちは分かるけど落ち着いて、明かりがなければ進めないわ」

 

「そんなもん! オレに任せろ!!」

 

ナツさんが坑道に向かって握り締めた手を突き出すが何も起こらず、フィールに「今は魔法が使えない事を忘れてるんですか?」と指摘される。

 

「魔法を使えるのがルーシィだけじゃ、やっぱりちょっと頼りないね……」

 

「悪かったわね、頼りなくて」

 

ハッピーの呟きはルーシィさんに聞かれていたらしく、突然後ろから言われてハッピーの肩が小さくはねる。

 

「あ、ごめん聞こえちゃった?」

 

「ルーシィさん、それは?」

 

ウェンディにそう尋ねられ、ルーシィさんは「んふふふふふ……」と笑いながら松明を僕達に見せる。

 

「あそこの小屋から持ってきちゃった! 布を巻いて油を染み込ませて来たから、後は火をつければ大丈夫!」

 

「火はどこで手に入れるんですか?」

 

思った疑問を口に出すと、ルーシィさんは言葉を詰まらせる。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「なんでオレがこんな事しなきゃなんねんだよ!」

 

「仕方ないでしょ! 無くなって初めて分かる魔法のありがたみってとこよね……!」

 

結局、ルーシィさんが取った行動は原始的な火起こし。そしてそれにナツさんも巻き込まれ、二人で地道に火起こしをしている。

 

「こんなやり方で火をつけてたんだから、昔の人は偉かったんだね……」

 

ハッピーの意見にみんなが頷いた時、ナツさんの使っていた棒が折れる。

全然ダメだとナツさんが言う隣で、ルーシィさんが火起こしに成功した。

 

「凄い!」

 

「流石です!」

 

「やった!」

 

喜ぶ僕達と一緒に、ナツさんもルーシィさんに称賛の声を上げる。

 

「やるじゃねぇか! ルーシィ!」

 

「てか、なんであんたは出来てないの?」

 

「火の魔導士でしたよね?」

 

シャルルとフィールから意見を受けて、ナツさんは口を尖らせて目を逸らす。

 

「いいだろ、ルーシィがつけたんだから!」

 

ナツさん達がそんなやり取りをしている間に、僕とウェンディが持った松明に火が灯った。

 

「やりました!」

 

「これで進めますね!」

 

「はぁ……中に入る前に疲れたぁ……」

 

と言って座り込むルーシィさんを心配していると、ナツさんが僕の持っている松明を見つめてくるので「どうしたんですか?」と声をかけると、ナツさんは突然松明の火を口に含み、口から出すとついていた火は消えてしまっていた。

 

「そっか、火を食べたらひょっとして……」

 

「魔法、使えそうですか?」

 

火を食べたナツさんはお腹を指し、「ここん所が熱くなってきた」と言う。

ハッピーが「それ魔法な感じ!?」と身を乗り出して問いかけると、ナツさんも「かも知れねぇぞ!!」と坑道へ向かう。

 

「いってみよう! 復活の狼煙、火竜の鉄拳!!」

 

「よぉし!! いっけぇぇ!!!」

 

僕達が期待の眼差しでナツさんを見つめる中、ナツさんが坑道に拳を突き出すが、魔法は出ない。

 

「はぁ、ダメか……」

 

「そういうの、悪足掻きっていうのよ」

 

「諦めも肝心です」

 

落ち込むナツさんに辛辣な言葉をかけてシャルルとフィールは坑道の中を進んでいき、僕達も後に続く。

 

「ずいぶん使われてない感じね……」

 

坑道を支える木材は折れ、放置されたツルハシなどの道具は錆び付いている。

周辺の様子を見ていると、シャルルからこの先を照らすように指示が出された。

照らした先は行き止まりになっており、封鎖している木材に"KY‐2c"と刻まれている。

 

「ここよ」

 

「かなりの厚さよ? しかも、魔法でコーティングされてるし」

 

ルーシィさんが壁を叩いてそう告げるが、シャルルはここで間違いないと言いきっている。

 

「壊すしかないよね」

 

「方法ならあるわ! こんな時こそ私の出番よ!」

 

そう言うと、ルーシィさんは金の鍵を振り下ろしてタウロスさんを召喚した。

 

「そうか! タウロスなら!」

 

「タウロスは私の星霊の中で一番のパワーの持ち主だもの! 絶対この壁を壊せるはずよ!」

 

ルーシィさんの言葉を受けて、タウロスさんはニヤリと笑う。

 

「そりゃもう、ルーシィさんの頼みとあらば!」

 

「思いっきりやっちゃって!!」

 

「やっちゃいます!」

 

タウロスさんはそう言うと壁に近づき、何度も壁を殴り付ける。

次第に壁は崩れていき、その奥に通路が見えた。

 

「シャルルの情報、間違えてませんでしたね」

 

フィールがシャルルに笑いかけるが、シャルルも奥に通路があると思っていなかったのか絶句している。

 

「ざっとこんなもんです、ルーシィさん」

 

「ありがとう、タウロス!」

 

「もぉ!? それだけですか!? 感謝の印に是非とも――!」

 

タウロスさんが何かを言いかけるが、ルーシィさんに強制閉門されて消えてしまった。

 

「そのエロい目はやめてってば!」

 

「……ちゃんと城の地下に繋がってればいいけど……」

 

「情報は正しかったんだもの、この先だってきっと……」

 

「大丈夫だよ、シャルルの言うことはいつも正しいもん」

 

珍しく弱音を吐くシャルルをウェンディと二人で励ますと、シャルルは僕達を不安げに見つめる。

 

「……」

 

「どうしたお前ら?」

 

その後ろで暗い顔で俯くハッピーとフィールにナツさんが声をかける。

 

「ねぇ……なんでオイラ達には情報ってのがないんだろ……」

 

「同じエクシードで、同じ使命を与えられてアースランドに送り込まれました……なのに、私達にはエドラスに関する情報がありません……」

 

「私にも分からないわ……なんであんた達には情報が追加されないのか」

 

みんなの雰囲気が暗くなるのを感じたのか、ルーシィさんが先に進もうと提言する。

それに賛同し、先程タウロスさんのお陰で通れるようになった通路を進んでいると、ナツさんが辺りを見回す。

 

「今にも崩れそうだな……」

 

「不吉なこと言わないでよ……」

 

ルーシィさんが体を縮ませて怯えているが、ここは本当に古い坑道のようで、戦闘でも行えば崩れそうに思う。

 

「ちょっ!? どうしたのナツ! なんかあった!?」

 

後ろから聞こえた声に振り返ると、ナツさんが目を見開いて立ち止まっている。

 

「テューズ、その松明もっちょい上に上げろ……」

 

「ここですか?」

 

「そこだ! 動くなよ……」

 

疑問符を浮かべながら指示に従うと、ナツさんは松明の明かりでできた影に近づいていく。

 

「うほ! うほほほほ! ここはオレ様の縄張りだ!」

 

ナツさんが行ったのは手の影で恐竜を作って遊ぶこと。先程の真面目な表情とは一転して遊び始めるナツさんに、僕達は言葉を失う。

 

「遊んでる場合かぁ!!」

 

それを見たルーシィさんは僕の持っていた松明をとり、ナツさんの口に突っ込んだ。ナツさんが火を食べないよう火のついていない方を突っ込んでるところを見ると、存外に冷静のようだ。

しかし、その光景を見たシャルルは深いため息をつく。

 

「あんなバカ共に付き合ってられないわ。先を急ぎましょう」

 

「えぇ、ふざけすぎです。緊張感が足りてません」

 

「ナツ……オイラ恥ずかしいよ……」

 

と言って歩いていくフィール達の後をついていくと、後ろから「バカ共ってもしかして私も含まれてるの!?」というルーシィさんの叫び声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

あの後もシャルルの指示通りに坑道を進むと、幻想的な空洞に出た。

 

「「「「おぉ……!」」」」

 

空洞はかなり広く、青みがかった色の岩の所々が緑色に光っている。

 

「なんか広い所に出たわね……」

 

「どうやら、ここから城の地下へと繋がってそうね……」

 

「どういう原理か分からないけど、シャルルがいてくれて助かったわ!」

 

ルーシィさんは笑顔でシャルルに礼を述べると、シャルルは淡々とした態度で言葉を返す。

 

「私にも分からないわよ。次々と情報が浮かんでくるの」

 

ハッピーが「ありがとうシャルル」と後ろから声をかけると、シャルルはハッピーを横目に眉を顰める。

 

「礼を言うならみんなを助けた後にして。ここからが大変なのよ? 気づかれずに王の寝室に行き、気づかれずに脱出するの。兵隊に見つかったら、今の私達に勝ち目はない」

 

「いざって時は、私の魔法があるんだけどね~!」

 

自信満々の態度で髪を払うルーシィさんに、「あんまり期待できねぇけどな」とナツさんが辛辣な言葉をかける。

 

「ちょっと何言ってるのよ!? この作戦だって、あたしのジェミニあってこそなのよ!」

 

「はいはい」

 

ルーシィさんが大声でそう訴えるがナツさんは適当にあしらった為、ルーシィさんは「ムキ――ッ!!」と叫んで唇を噛む。

 

「フィール、行こう?」

 

暗い雰囲気を纏っていたフィールに声をかけると、少しの沈黙の後に元気な返事を返してシャルルと一緒に先頭を歩いた。

 

大きな空洞を進んでいくと、ルーシィさんが突如飛来してきた粘着性の物体に拘束された。

 

「ルーシィ!」

 

「「ルーシィさん!」」

 

「な、なに……これ……!」

 

ルーシィさんを助けようと前に出ると、先程と同じように飛来してきた物体が体に巻き付いて拘束され、ナツさんやウェンディも同様に拘束されていた。

 

どうにかこの物体を外そうと体を動かしていると重い金属音が聞こえ、兵士達が姿を現す。

沢山の兵士達が僕達を囲み、武器の矛先をこちらに向けている。

 

「兵隊!? どうして見つかったの!?」

 

「なんでこんな坑道にこれだけの!?」

 

フィール達エクシードは拘束こそされていないが、見るからに様子がおかしい。

ハッピーはいつも通りなのだが、シャルルとフィールの体は震え、額に汗を浮かべている。

 

「こいつらがアースランドの魔導士か」

 

突然耳に入った聞き覚えのある声に全員が喫驚する。

僕達の知っている声よりも威圧的な声を発した人物が僕達の前に歩いてくる。

 

「エルザ!?」

 

「ナツ・ドラギオン、ルーシィ・アシュレイとは本当に別人なのか?」

 

エルザさんはそう言って僕達の顔を見回すと、ニヤリと口角を上げて兵士達に「連れていけ」と指示を出す。

 

指示を受けた兵士達は僕達を拘束した物体を引っ張り、体を動かせない僕達は尻餅をついて引きずられる。

 

「エルザ! 話を聞いて!」

 

ルーシィさんが引きずられながらも必死に訴えるが、エルザさんは眉一つ動かさずにフィール達を見つめている。

 

「ウェンディ!」

 

「テューズ!」

 

「ナツ! ルーシィ!」

 

フィール達がそれぞれ名前を叫びながら駆けてくるが、エルザさんが前に立ちはだかって行く手を阻んだ。

 

「エクシード……」

 

エルザさんがそう呟くと兵隊がフィール達の前に膝をつき、エルザさんも同様に跪いて頭を垂れる。

 

「お帰りなさいませ。エクシード」

 

兵隊全員がフィール達エクシードに頭を下げる光景に、僕達は愕然とする。

 

「どういう事よ……一体……」

 

「ハッピー、シャルル、フィール、あなた達一体……!?」

 

シャルル達は何も答えずに唇を震わせていると、エルザさんは頭を少しだけ上げて口を開いた。

 

「侵入者の連行、ご苦労様でした」

 

「連行って……!?」

 

エルザさんの口から出た言葉が信じられずにフィール達に目をやると、フィールが慌てたように口を開く。

 

「ち、違います……私達……こんな……!」

 

しかし、フィール達の話を聞き終わる前に、僕達は兵士達に連行されてしまった。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「ぐわっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

「うわっ!?」

 

連行された僕達は、城の牢に乱暴に放り込まれる。

 

「この野郎!! みんなはどこだ!?」

 

ナツさんは鉄格子にしがみついて、僕達を放り投げた男を睨み付ける。

 

「みんな……?」

 

「ルーシィさんとシャルルとフィールとハッピーです!」

 

「ルーシィさんも捕まったはずだ!」

 

この牢に入れられたのは僕、ナツさん、ウェンディの三人。僕達と同じく兵士達に連行されたはずのルーシィさんの姿が見当たらない。

 

「ルーシィ……あぁ! あの女か! 悪ぃけど、あの女に用はねぇんだ。処刑されんじゃね?」

 

男がニヤついた顔で笑いながら告げると、ナツさんが鉄格子を掴む手に力を入れる。

 

「ルーシィに少しでも傷をつけてみろ……てめぇら全員灰にしてやるからな!!!」

 

 






前書きにも書いてますが、UA15000、お気に入り100突破ありがとうございます!
小説は今回が初めての未熟者ですが、今後ともよろしくお願いします!

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